新 三好春信は勇者である   作:mototwo

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この話にはキャラ崩壊成分、および誤解を招く表現が含まれます。
ご注意ください。



37話 ツンデレひくデレ

春信が早めに勇者部部室へ来ていたある日

千景が一人で部室へ入ってきた。

 

「おや、これは珍し。。。」

 

「げっ…三好…!」

 

口を歪め、露骨に嫌そうにする千景

 

「は、はい、三好春信ですが。。。何かお気に触りましたか?」

 

その言葉を聞いて我に返ったように無表情でフゥ…と小さく溜息をついた千景は

部室の隅の椅子に座り、携帯ゲーム機の電源を入れた。

 

「…」

 

無言でゲームを始める千景

 

「あ、あの。。。(こおり)千景(ちかげ)様?」

 

「なに?」

 

返事はするが、画面からは目を離さず、その手も止めようとはしない

 

「何かお気に触ることがありましたら、是正致しますので、仰っていただければ。。。」

 

「別に何もないわ」

 

「しかし、先程の反応は。。。」

 

「…」

 

「あの。。。ひょっとしてゲームのお邪魔でしょうか。。。?」

 

「気にしなくていいわ。この程度のゲーム、会話やよそ見をしていてもミスなんてしないから」

 

言葉の通り、画面から目を離していてもゲームを操作する千景の指先は忙しく動き続けていた。

 

「そ、そうなんですか、随分お上手なんですね」

 

「大した事はないわ。何度かクリアしてパターンを知っているだけよ」

 

「はあ、ではこのままお話を続けても。。。?」

 

「特に問題はないわ」

 

「そうですか。。。ではあらためてお聞きしますが、お邪魔でないとしたら

何か(わたくし)に不手際があったのでしょうか?」

 

「不手際?なぜ?」

 

「お顔を拝見した途端、表情を崩されましたので」

 

「ああ、あれは…あなたに問題があったわけではないわ」

 

「では。。。」

 

少し安心したように表情を緩めた春信に千景の言葉がかぶさる

 

「あえてあなたの問題点をあげるなら…」

 

「あるんですね。。。」

 

「顔と声と名前よ」

 

「。。。」

(ツッコミたい!『それほとんど全部やん!』ってツッコミたい。。。!)

 

ツッコミを我慢してひくついた笑みを浮かべる春信に少しだけ申し訳なさそうに説明する千景。

 

「…っ、勘違いしないで、あなたの存在が鬱陶しいとかではないから」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「あなたの声と姿と名前があの男とそっくりなだけよ…」

 

ゲームをしている千景の表情がわずかに歪む

 

「あ、ああ。。。以前お話されたそちらの時代の『三好春信』さんですか

そんなに似ていますか?」

 

「正直、話し方と接し方が違う以外、見分けなんてつかないわ」

 

大分(だいぶ)嫌っておられるように見えますが。。。」

 

「ええ、キライよ。いつも笑っていて、おせっかいで、人の懐にずけずけと入り込んでくる…」

 

「は、ははは。。。」

 

「大して強くもないくせに戦いに紛れ込んで、かと思えばいつの間にかいなくなる…」

 

「えっ?」

 

「人の話はろくに聞かない上に、自分の事はもっと話さない、

そのくせ人から話を聞き出すのが上手くて…」

 

「あ、あの、郡千景様?」

 

気になる言葉を確かめようと声をかける春信に

 

「なに?」

 

苛立つように言葉を返す千景。

 

「そ、その方は一般男性なのに戦いに紛れ込んでいたんですか。。。?」

 

「あ…」

 

千景の手元の動きが止まり、画面には『GAME OVER』の文字が浮かんでいた。

 

「ミス。。。されましたね」

 

「…」

 

千景はゲーム機の電源を落し、パタンと膝の上に倒すと

フッ…

と乾いた笑みを浮かべる。

 

「どうやら勘違いでおかしな事を言ってしまったみたいね」

 

「勘違い。。。だったんですか?」

 

「ええそうよ、私たちの時代で戦闘に紛れ込んだ男なんてあのバカ勇者だけだから」

 

「ば、バカ勇者ですか。。。」

 

「ええ、なぜか今の時代にも召喚されているあの仮面のバカよ」

 

「ゆ、勇者様なら召喚されるのはおかしくないのでは。。。」

 

「あんな弱くてバカな勇者がいても仕方ないでしょう!」

 

「弱くてバカ。。。」

 

「ああ、でも今の時代の性能に上がってるせいか、時々バカみたいに強く見えることもあるわね

バカ勇者だけに」

 

なぜか嬉しそうな顔でせせら笑うように言い放つ千景。

 

「バカ勇者なのは変わらないんですね。。。」

 

「ええ、とんでもないバカで変態よ」

 

「バカな上に変態なんですか。。。」

 

「そうよ!あの男、人の心の内を巧みに聞き出してはせせら笑うような…!

私がまるで仲間や友達という言葉に恥じらいでも見せるとでも…」

 

「せ、戦闘時にそんな話をされたんですか。。。?」

 

「え? あ…」

 

「どうか。。。されましたか?」

 

千景は一旦息を整えると、遠い目で冷や汗混じりに語り出す。

 

「ま、また勘違いで三好の事を話してしまったようね…」

 

「か、勘違いですか。。。」

 

「ええ、そもそもあの男の話をしていたんだったわね」

 

「そ、そうでしたね、確か私に似ているという。。。」

 

「ええ、そうよ…!」

 

「ああっ、申し訳ありません!」

 

「なぜあなたが謝るのよ…!」

 

「な、なんとなくお怒りを買ってしまった気がして。。。」

 

「お怒り?ええ、そうね、あなたを見ていると苛立つわ…!」

 

「顔が似ているから。。。なんですよね?」

 

「え…?」

 

「違うの。。。ですか?」

 

「ちっ、違わないわ!アイツに似ているその顔が気に入らないのよ…!」

 

「そ、そうなんですね。。。」

 

「そうよ、それ以外なにもないわ!

ああぁ…もう!あなたの顔をもっとよく見せなさい!」

 

「は、はい!」

 

言われるままに千景に顔を向ける春信

千景はその顔をじーーーーーっと睨みつける。

 

「あ、あの。。。千景さ。。。」

 

「うるさい!」

 

(あ。。。)

 

(「うる…さいっ…!うるさい…うるさいっ…!」)

 

(ダメだ。。。)

 

「え…?」

 

「?」

 

「な、何も泣く事はないじゃない…」

 

「え。。。?」

 

記憶の中にある千景の面影に思わず涙が流れる。

 

「べつに泣かせるつもりで睨んでたわけじゃ…」

 

「申し訳。。。ありません」

 

「…」

 

「。。。」

 

「三好…」

 

「。。。はい」

 

「今までの話はみんなには…」

 

「黙っておいた方が。。。良いのですね」

 

「特に…上里さんには言わないで…」

 

「了承しました」

 

「素直ね…」

 

「私は名誉勇者様の補佐の為にここにいますので」

 

涙を流していた事など忘れそうなくらい大赦の使いとしての顔で言い放つ。

その言葉を聞いて、千景は複雑な表情で微笑みながら

 

「本当…気に入らないわ…」

 

春信の両頬をつねるように引っ張ると椅子から立ち上がり、部屋を後にした。

 

「ふう。。。」

 

再び誰もいなくなった部室で一息つくと

 

「ちょっと。。。気が緩んだか。。。」

 

自らの不甲斐なさに顔を歪め、反省する。

 

「しかし。。。飛鳥(アイツ)は千景たちが会ったのは『別の春信』だって言ってたけど。。。」

 

たった今つねられた頬をさすりつつ

 

「一体ナニやったらアレだけ嫌われるんだ?『別の僕』。。。」

 

身に覚えのない自分の行為に、ぼやくように呟くのだった。

 

<つづく>

 




ここで今回から短編続けて各勇者や巫女と春信が絡む話を続けるよ!
って予告入れるつもりだったんだけど

は?つもり?

球子や雪花で途中まで話作って予告も書いてたんだけど

はあ。。。じゃ、載せれば?

なんか、オチが降りてこないから、しばし休もうと思う

なんじゃそら!

まあ、無理して仕上げるような話でもないしな

しかし、いきなりだな。。。

まあ、ハーメルンの原作:『結城友奈は勇者である』カテゴリもいつの間にか3桁越えてて

ほう

ほとんど毎日、誰かが話をアップしてくれてるし

ありがたい話だな

以前から思ってたのよ
ワシのような老人がいつまでも出しゃばるのもなんじゃしのう…

ネタが尽きたから休むだけのクセに。。。

まあな、思いついたら続きと前に書いてた話も上げるし
休んでる間は他の人の話読むし

悠々自適だな

その分、仕事は忙しくなる時期なんだけどね

そっか、また暇ができたら遊びに来やがれだぜ!

というわけで皆さん、またしばらくお達者で~

まったねー!

<また、いつか>

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