新 三好春信は勇者である   作:mototwo

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オマケでは本文でグダグダ話、後書きでキャラのやりとりが基本となっております
キャラ崩壊なども含むのでご注意ください



15話 オ・マ・ケ・3

春信(以下略):春信でーっす!

 

mototwo(以下略):mototwoでーっす!

 

二人合わせて。。。

 

オマケだよ♪

 

コンビ名みたいに言うな!

 

最初にそのノリで始めといてよく言うな…

 

しっかし、遂に公開されましたなー

 

そうですなー

 

「「『結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章- 第3章「やくそく」』!」」

 

長い事待った甲斐がありましたなー。。。

 

まあ、私が書いてる時点で公開まだなんですけどねー

 

またそれかい!

 

むしろ余裕もって書いてることを褒めてほしいくらいですわー

 

仕事ももっと余裕もってしましょーなー

 

ソーデスネー(棒)

 

それにしても前回の話ですけどー

 

はいはい

 

出しちゃいましたねー、『花結いのきらめき』

 

そうですなー

 

。。。

 

 

もう、普通に話そうぜ

 

うん、俺もアホらしくなってきた

 

で、なんでいきなり俺をあれに参戦させようと思ったの?

 

いや、ここんとこ週1で更新してたじゃん?

 

ああ、最終回以降も意外と続いてたな、フェイドアウトせずに

 

んで、オマケ2まで書いたらもうネタが思いつかなくなって

 

そんじゃフェイドアウトしかないはずだろ

 

そうなんだけど、ふと「あれ?もう1回更新したら映画の第3章公開されるな」って

 

それでわざわざアレを書いたと。。。?

 

まあ、折角だから、2・3章の公開の間をつないで頑張ったって言いたかったし

 

いや、頑張ったのって5月末からだけじゃん?!

 

まあ、そうなんだけど、その分はGW期間にほぼ毎日上げてたし

 

ほぼが付いてる時点で頑張りは足りなかったと思えよ

 

まあ、私事もあったもんで

 

しっかし、だとしても他のネタはなかったのか?

 

ない訳じゃなかったんだけど

 

だったらそっちで書けばよかっただろ?

アレだと「ゆゆゆい」で話続けることになるんじゃ。。。?

 

それは困るな、『花結いの章』ってまだそこまで話が公開されてないみたいだし

 

え。。。?

 

ん?

 

「みたい」って、お前。。。まさか。。。

 

ん?なに?

 

また公式のゲームもやらずにネタだけ使ったのか?!

 

そうだよ?

 

なんで開き直れるんだよ!今回のは無料アプリだぞ!

 

いや、俺スマホ持ってねーし

 

なんでそこで「ゆゆゆい」ネタに走ろうと思ったんだよ!頭使えよ、ちょっとは!

 

一応考えた末だったんだよ?こっちにしたのは…

 

いや、どう考えてももう一つのネタにすべきだろ、何のネタか知らんけど。。。

 

う~ん、もう一つのネタって主人公がお前じゃない話だったから…

 

え?あー、前に言ってた「彼」の話か?

 

いや?全然違うよ?

 

は?じゃあ誰の話だよ?

 

夏凜ちゃん

 

ほ。。。

 

ん?

 

ほわぁーーーっ!

 

お、おいどうした?

 

うきゃっほーうおぉーーいっ!!

 

え、ちょ、それ浮かれてんのか?

 

ウニョラー!ウラー!ゲッテルフンケン!ハーザイ!フーレーイ!トッピロキー!

 

なんだ?何語だ?それは?

 

夏凜ちゃん!夏凜ちゃん!!夏凜ちゃん!!!

 

落ち着け、とにかく一度落ち着け!

 

はあーーーーーっ!はぁーーーっ!はぁぁっ!

 

過呼吸起こしそうな勢いだな…

 

書け!

 

 

夏凜ちゃんの話を書け!

 

いや、それは…

 

夏凜ちゃんと俺のラブラブ話を書くんだぁーーーーーーっ!!!

 

ラブラブじゃねえよ!

 

。。。え?

 

誰もお前とのラブコメ書くなんて言ってないだろ…

 

えええぇぇぇぇぇぇぇっ?!

 

意外そうな反応すんな、俺がラブコメなんぞ書けないのは以前も言ったろうが

 

そこを頑張って書こうと決意したって話じゃなかったのか?

 

勝手に都合のいい解釈すんな、それにどっちかっていうとその逆の出だしだぞ、考えてたのは

 

え。。。逆って?

 

夏凜ちゃんの独白で始まる物語なんだが

 

ほうほう

 

書き出しが

 

「私は兄のことが嫌いだった」

 

うおいっ!

 

「いや、違うな」

 

うん、違うよねー、夏凜ちゃ~ん

 

「私は今でも兄のことが大嫌いだ」

 

なんでやねんっ!!

 

「だってあの男は…」

 

おう、待てや、オッサン、夏凜ちゃんの声使って何書こうとしてんだ、コラ!

 

だからお前のことが嫌いな夏凜ちゃんの独白から始まる物語をだな

 

いらんわ!そんな話!

 

まあ、お前はそう言うだろうな

でも別にお前のためにこの話をやめたわけじゃないんだわ

 

ほほう、いい度胸だ。。。

 

この話、結構長くなりそうだったから映画公開までのつなぎに使うのもなんだなって思って

 

まるで今後本気で長編に取り組むかのような発言だなぁ、おい

 

いちいち怒るな、別にそう決めたわけでもないし

 

決められてたまるか!

 

それにこの話自体はお前を嫌いなままの夏凜ちゃんで終わるわけでもないから

 

ほほう?あ、いや、夏凜ちゃんはそもそも俺のこと大好きだし!

 

妄想にばかり逃げてると前みたいなことになるぞ?

 

前みたいって。。。

 

身に覚えはないのか?

 

身に覚えはないよ、ないけど。。。

 

ないけど?

 

心当たりが多すぎてどれの事かわからんっ!!

 

見事なダメ兄貴ぶりだな、まあ今は書いてない話のこと言ってても始まらんし

 

そうだよ、続きそうなのに続き書く気ないのか?「ゆゆゆい」の俺の活躍!

 

お前の活躍って…w

 

鼻で笑いやがった。。。俺、あの設定なら力戻ってるから必殺技叫べば結構強いだろ?!

 

皆、必殺技持ってるみたいだし、あんまり特別感ないだろ

 

それはそうかも知れんけど。。。

 

大体、乙女達が16人もいるのに、今更お前が参戦してどうするんだよ?

 

そんなにいたのか、アレ。。。

 

「ゆゆゆ」の5人、「わすゆ」の3人、「のわゆ」の5人、長野、北海道、沖縄の3人で16人だ

 

あれ?勇者部は6人じゃないの?

 

うん、中学生園子はなぜかまだ勇者になれない

 

まあ21体も精霊出されたら、それこそ他の()達の立場なさそうだしなぁ。。。

 

メタな理由を1番に出すところがお前らしいというか…

まあ、ゲームの性質上、精霊がいてもダメージは受けるみたいだから

 

ピンチを救う裏方って発想自体は成り立つじゃないか!

 

別にそれで話書いても良いんだけど、面白く出来るかは疑問なんだよなぁ

 

俺が活躍するだけでも喜ぶ読者はいるって!

 

お前、こないだこれ読んでる人が少ないって嘆いてたの忘れたのか?

 

それでもこんなメインタイトルで読みに来る人たちなんだから!

 

まあ、それはそうかも知れんが…

ふむ…ちょっと書いてみるか、あの前作前半のバカ騒ぎみたいな三好春信を

 

おおっ!

 

んじゃ、結城友奈がピンチになったところから

 

えっ!今ここで?!

ちょっと待て、それっていつものg。。。

ボスバーテックスの範囲攻撃に苦戦する乙女達

皆が膝をつく中、ボスの攻撃が最前線の結城友奈に集中する

 

「うあぁぁぁぁぁぁーっ!」

 

その攻撃に吹っ飛ばされる友奈

 

「友奈ちゃん!」

 

東郷がその姿に気力を振り絞り引き金を引く

だが、その攻撃は効いているのかいないのか

ボスの攻撃の手を緩める事すら出来なかった

 

「友奈ちゃんが、友奈ちゃんがっ!」

 

更なる攻撃を仕掛けようとエネルギーを溜め始めるボスバーテックス

東郷はそのエネルギーにも攻撃するが、効果があるようには見えない

焦りをつのらせ、連射する東郷、あの攻撃が放たれたなら

先程の攻撃で倒れたままの友奈がそれを避けることは難しい

 

そこへ

 

「待たせたでござる。。。」

 

焦る東郷の(もと)へ馳せ参じる仮面の赤き勇者

 

「仮面の人!」

 

以前の宣言通りピンチに現れたその男に安堵の表情を浮かべる東郷

しかし、この距離では彼の刀の攻撃は届くのかどうかすら怪しい

再び不安な表情を見せる東郷に仮面の男は叫ぶ

 

「東郷美森!結城友奈のピンチを救うため、拙者に力を貸すでござる!」

 

「え?は、はいっ!でも…どうすれば…」

 

戸惑う東郷に更に指示する仮面の男

 

「拙者の前に立ち、両腕を前へ(かざ)すでござる!」

 

何をしようとしているのかさっぱりわからないが

他に打つ手のない東郷は自信満々に支持してくる仮面の男の言葉に従う

 

「こ、こうですか!?」

 

「うむ、そのまま敵へ意識を集中するでござる!」

 

「はいっ!」

 

そうしている間にも敵のエネルギーチャージは進んでいる

これを失敗すれば友奈が危ない、そう思う東郷は冷静な判断力を失っていた

 

その東郷に

 

ムニュ

 

「?!」

 

ムニュ、モニュ

 

「きっ…」

 

ムニュ、モニュ、フニュ

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

樹海中に轟く東郷の悲鳴、皆がそちらへ振り向く中

仮面の男に後ろから胸を揉みしだかれた東郷が背後へ力の限りのピンタを繰り出していた

 

しかし仮面の男はその攻撃をさらりとかわし、そのまま空中へ避難

空中回転しつつ叫んでいた

 

「ハイエロ粒子ッ、フルッチャーッジッッッ!!」

 

そして東郷を飛び越え、敵に向かって左手を構えた状態で樹海の大地に着地すると同時に

 

「必殺っ!!」

 

その手から閃光が放たれる

 

「ユビビイイィィィィィィィィッム!!!」

 

その閃光は遠く離れたボスバーテックスを

溜め込んでいたエネルギーごと貫き、一瞬で光と散らせる

 

「ふうっ。。。。」

 

仮面で隠された顔をスッキリさせ、息をつく仮面の赤い勇者

乙女達はその周りに駆け寄り

 

「この痴漢!」

 

「乙女の敵!」

 

「死ね!死んでお詫びしろ!」

 

口々に罵りながら足蹴にしていた

しかし

 

「ふはははははははは。。。」

 

その背後で響く男の声に自分たちの足元を見ると

 

「こ…これは変わり身の術…!」

 

適当な大きさの丸太に仮面と長マフラーだけが付けられたそれを

乙女達はいつの間にか足蹴にしていたのだ

そして背後の声に振り向くとそこには仮面の赤い勇者が

 

「痛いでござる。。。」

 

まるで今の今まで皆から足蹴にされていたかのようなボロボロの姿で佇んでいた

 

「あ、最初の感覚はやっぱちゃんと蹴りが入ってたんだ…」

 

「た、タマは全部お見通しで蹴り続けてたけどな!」

 

適当な事を言っている球子を尻目に

 

「痛かったでござるが、皆が無事で良かったでござるよ」

 

一人納得してウンウンと頷く仮面の男

 

「いや、何言ってんのよ!一人の乙女の心が無事じゃないわよ!」

 

「気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い…」

 

顔面蒼白で胸を押さえて呟く東郷を指差し抗議の言葉を連ねる風だったが

 

「それでは皆の者、さらばだ!アデュー!」

 

仮面の男はそんな事に気付きもせずに去っていった

 

なお、東郷の心のケアは

その後、復活した結城友奈の顔をその胸に(うず)めて抱きしめることで事なきを得たという

は~、どっとはらい

やっぱりいつものギャグじゃねぇか!!!

 

何がだよ、大活躍じゃないか、本家主人公をピンチから救ったんだぞ

 

やった事は女子中学生の巨乳揉みしだいただけじゃねぇか!

 

それで手から必殺技が繰り出せるなら安いもんだよな!

 

乙女の胸を安売りすんな!なんで「ダイ○ダラー」持ってきたんだよ!

 

なんという健全さ!

 

会話しろ!

 

なんでも何も、最初に思いついた叫ぶ必殺技が「指ビーム」だっただけだよ?

 

ますますなんでだよ?!

 

まあ、俺、「ダイミダラー」って原作もアニメもほとんど観た事ないんだけどな

 

おかしいだろ?!何もかもが!

 

そうだな、本編でやってたらお叱りを受けそうな内容になってしまったな

 

途中で書き込むコントとしても最低だよ!なにが「は~、どっとはらい」だ!

 

便利な言葉だよな、アレ言うとなんか何もかもが上手くいったような気になる

 

完全に気のせいだけどな。。。!

 

まあ、とにかく春信を活躍させるノルマは達成したし、満足満足

 

訳の分らん事言うとらんで、本気でちゃんと書けよ。。。

 

まあ、次は映画第3章見た後だな、どっちにしろ

 

その前に書いた話が今のコントってもう、俺の株は下がりっぱなしだよ。。。

 

「花結いの章」も10月の2期放送に向けてゆっくり更新していくんだろうし

 

お前の元にその情報が入るまで俺は痴漢のまま放置か。。。

 

何言ってんだ

 

あ?

 

情報が入っても話を思いつかなきゃ放置だぞ?

 

最悪だ。。。

 

第3章観たら、園子や須美絡みでバカ話も暫く思いつかんだろうし

 

先に結末わかってるってのは厄介だな。。。

あ、それで神樹館の二人絡みでバカ話続けてたのか?

 

え?あ、うん、そうだよ

 

違うんだ。。。

 

そうだって言ってるだろ!

 

顔と言い方は「違いますよ?」って言ってるぞ

 

でもまあ、ホントのとこ今回のコントも東郷さん使うのちょっと気が引けたんだが

 

とてもそうは見えないノリノリっぷりだったが

 

東郷さん以外にあの役にハマりそうなのがいなかったから

 

よっぽど好きなんだなぁ、メガロポリス。。。

 

他の子たちも大きいとかいう話は出てるんだけど、東郷さんはその中でもデカ過ぎる気が…

 

いい歳したオッサンが中学女子の胸のデカさを気にしてるのってキモイぞ。。。

 

だって、東郷さんって変身やら温泉やらそれっぽい描写ばっかなんだもん

 

それにまんまとはまった一人のオッサンがここにいるわけだ。。。

 

そういえばデカい組っていやぁ、ひなたにも気持ち悪がられてるんだったな、お前

 

お前のせいでな。。。

 

まあ、夏凜ちゃん見てたらお前が巨乳好きじゃないのはハッキリ分るし、問題ないだろ

 

ざんねんでしたー!夏凜ちゃんだってちゃーんと出るとこ出てますー!

 

その言葉が実の兄の口から出たと知ったら夏凜ちゃん絶望しそうだな

 

知られた時点で俺が絶望するわ!

 




<三好の勇者・・・?>

「あ~、夏凜…さん?」

「夏凜でいいわよ、私も若葉って呼ばせてもらうから」

わざわざ部室ではない空き教室に夏凜を呼び出した若葉は
ぎこちない切り出しに気さくに返す夏凜に少しホッとしていた

「そうか、助かる」

「で、なに?若葉」

「夏凜は確か、『三好』という姓だったな」

「ええ、そうよ、『乃木』や『上里』とは比べらんないけど、一応大赦の家系なのよ」

「み…『三好春信』という名に聞き覚えはないだろうか?」

「聞き覚えも何も、兄貴の名前じゃない、なんで若葉が知ってるのよ?」

「御令兄か!」

「そんな大したもんじゃないわよ、兄貴で充分
ま、一応大赦で結構な重役には就いてるらしいけど…」

「ふむ、立派な兄上なのだな」

「だっ、だからそんな大したもんじゃないって///」

「ふふっ
ところで…それはやはり何か(いわ)れのある名なのかな?『友奈』のように」

「え?なにが?」

「だから、『春信』という名だ
何かの謂れで付けられたとか
代々、三好家で受け継がれてきたとか…」

「いいえ、聞いた事ないわね」

「そうか…」

「何?若葉の時代に『春信』って立派な人でもいたの?」

「い、いや…立派な人かと言われると返答に困るんだが…」

「どういうことなのよ…」

「ま、まあ、この件は気にしないでくれ、きっと私の勘違いだ!」

そそくさと部屋を後にする若葉の後姿に違和感を感じる夏凜

(そういえば以前、球子の口からも
兄貴の名前が出たことがあった様な…
アレっていつだったかしら…)

記憶の糸を手繰り寄せ、ある事象を思い出す

(仮面の赤い勇者!アイツが来たときだわ!
そういえば西暦組の丸亀城チームは何か知ってそうって
東郷も言ってたっけ…)

思い切って話を聞こうと球子の部屋を訪ねる夏凜



「で…どうしたんだ?急に部屋まで来るなんて?悩み事ならタマに任せタマえよ!」

「あ~、悩みって程の事じゃないんだけどね…」

「そうか?まあ何か話があるんだろ?気を使わず話しタマえ!」

「その「タマえ」って言わないと気がすまないのね…
あの男勇者、『仮面の赤い勇者』について聞きたいんだけど」

「ハル…じゃなくて『仮面の赤い勇者』か!そいつは困ったな!
いくらタマでも謎の男の正体までは知らないぞ?!」

「今、ハル…とか言わなかった?」

「言わない、言わない!なに?春がどうかしたのか?!」

そう言った後、あらぬ方向を見ながらピューピューと口笛を吹く球子に

(何か隠してるわね…)

流石の夏凜もその様子に何かを感じ取ったが、それ以上はウッカリ話す事もないだろうと踏み

「いいえ、ただ単に、丸亀組が知ってる仮面の赤い勇者の話が聞きたくてね」

「アイツの話~?」

「だって気になるじゃない、銀や私以外に赤い勇者なんて」

「2人いるんだから、3人目がいたっていいじゃないか、タマたちの色は皆1人だけだぞ」

「ああ…そうか…」
(銀の端末を私が引き継いだことは皆知らないんだったわ…)

「ん?」

「なんでもないわ、でも男勇者ってだけでも気にはなるでしょ?」

「まあ、それはそうだなぁ…」

「何でもいいのよ、知ってる事教えてよ、後でうどん奢るから!」

「うどん?!肉うどんでもいいのか?!」

「え、ええ、いいわよ」

「じゃー、何でも話すぞ!アイツは基本アホな大人だ!」

「あ…アホな大人ぁ?」

「うん、時々カッコいいことも言うけど、基本はアホだ!」

「基本アホ…」

「それと、それとぉ~」

流石にアホだけでは申し訳ないと思ったのか、何か情報をひねり出そうとする球子

「アホ以外には~」

その様子に本気でそれ以上なにも思うところがないと見た夏凜

「い、いいのよ、無理に考えなくっても…」

「いや!他にも何か…そうだ!」

「何か思い出したの?!」

「丸亀組の皆にも話を聞けるように言っておいてやるぞ!皆から聞けば色々わかるだろ!」

「そ、それはありがたいわね」
(正直、球子以外にはどう話しかけたらいいのかわからなかったから
これは本当にありがたいわ…)

「そうと決まれば善は急げだ!隣の杏の部屋へ行こう!」

「え?あ、ありが…」

言い終わる前に球子に腕を引かれ杏の部屋へ行く夏凜



「かくかくしかじか、という訳なんだ」

「なるほど、かくかくしかじか、便利な言葉だね、タマっち先輩」

「それじゃー、杏が話してる間に他の皆にも話は通しておくから、適当に周るといいぞ!」

「あ、球子ありが…」

またしても言い終わる前に部屋を出てしまった球子

「すみません、ウチのタマっち先輩、(あわただ)しくって…」

苦笑いしながらお茶を出す杏に礼を言うと

「で、仮面の赤い勇者のことなんだけど…」

「はい、その正体は誰も知りません」

にこやかな表情でキッパリと言い切る杏
その物言いからは隠し事をしているのかどうかすら読み取れない

(手強いわね…でもまあいいわ)
「正体はわからなくても、どんな人物かは分るでしょ?一緒に戦ったんだから」

「そ、そうですね…あの時話されていたように、あまり強い勇者ではなかったですね」

「ふーん、そうなんだ」

「あ、あと凄くロマンチックなところがあって…」

「ロマンチック?」

「亡くなった恋人をずっと思い続けて戦ってるような人でした…」

どこか遠い目でうっとりしながら語る杏

「へ、へえ、謎の人物なのにそんな込み入った話までしたのね…」

呆れ気味に問う夏凜にサラリと答える

「いえ、全然?」

「へ?」

「でも、なんとなく伝わるんですよ、そういうのって…」

また遠い目をする杏に思う

(あ、これ、勝手な思い込みってやつね…そういうの好きそうだものね、この子)

「夏凜さんや銀さんと同じ、赤い勇者服っていうのにも
きっと何か強い思い入れがあるんだと思うんです…」

(なんかうっとりしてる…これ以上は妄想しか出て来そうにないわね…)
「そ、それじゃ他の子たちにも聞かなきゃいけないんで、私行くわね」

「はい~おかまいもしませんで~」

何か色々と妄想したままの杏を置いて次の部屋へ向かう



「変態ね…」

呟くように、しかしキッパリ言い切る千景

「変態…なの?」

「ええ…、変態よ…」

「でもそれって照れ隠しとかアイツは言ってたけど…」

「いいえ…、変態だわ…」

「そ、そうなの…」

「そうよ…」

(なんていうか、取り付くしまもないわね…)
「そ、それってなにか…イヤらしい事でもされたの?」

「!」

急に顔を赤らめて俯く千景
夏凜はそれにピンと来る

「何かされたのね!アイツ!本当に変態痴漢野郎だったとはっ!」

「い、いえ…」

「ん?」

「直接、触られたとか…そういうんじゃないんだけど…」

「なに?それ?」

「なんていうか…友情、とか…」

「え?友情?」

「友達が好き…とか大切…とかって気恥ずかしい…じゃない…?」

目線を逸らし、指をもじもじさせ、顔を真っ赤にして呟く千景

(好きって…)

夏凜も友奈や勇者部の皆の事を思い

「はっはっはっはずかしいこといきなり言わないでよ!」

ボッとでも音の鳴りそうな勢いで顔を赤らめてしまう

「そ…そういうのを言わせて、ニヤニヤしてるような奴なのよ、アイツは…」

「そ、それは確かに恥ずかしいわね、変態野郎だわ…」

お互いに顔を赤らめ俯いてしまう

「あれ?でも?」

「え…?」

「アイツって仮面で顔、隠してるのになんでニヤニヤしてるって…?」

「!」

「…千景?」

「いけない!これから24時間耐久ゲームマラソンの時間だったわ!」

「え?」

「ごめんなさい、そういうことで!」

「え?なにそれ?今の思い付きよね?完全に嘘よね?」

千景に背中を押され、部屋から追い出される夏凜
バタン!と閉じられた扉に一応声をかける

「いつ出動するかわかんないんだから、24時間耐久はやるんじゃないわよ!」

「…」

「それと…
話してくれてありがと」

「…ええ」

「じゃあね」

扉越しに声をかけ、次の部屋を目指す



「いらっしゃい!夏凜ちゃん!」

「お、お邪魔するわね(ホントに友奈そっくりね…)」

「夏凜ちゃんがわざわざ遊びに来てくれるなんて嬉しいなぁ!ねえねえ、何して遊ぶ?」

「え、そ、そうね…」

「ババ抜き?UNO?7ならべ?」

「いや、それって二人でやるゲームじゃないわよ…」

「そっか!じゃあスピードにしよう!グンちゃんに鍛えられたから結構強いんだよ、私!」

「ふふん、私だって反射神経のゲームならそうそう負けないわよ!」



「って、違ーうっ!」

「どうしたの?夏凜ちゃん」

ひとしきり遊び、気付いた夏凜が声を上げた

「私、遊びに来たんじゃないわよ!アンタ、球子から話聞いてんでしょ?!」

「え?タマちゃんからは夏凜ちゃんが部屋に来るって事しか聞いてないよ?」

「アイツ…段々テキトーになってきてるわね…」

「ごめんね…私がちゃんと話を聞かなかったから…」

(こ、この顔でショゲられると胸が痛むわ…)
「べ、別にいいわよ!私も楽しかったからつい用件を忘れちゃってたんだし!」

「そう?楽しんでくれてたなら嬉しいなぁ!」

「くっ…」
(危ないわ…この子といるとつい友奈といるみたいに…ってこの子も友奈なんだけど…)

「ん?」

「と、とにかく!本題に入るわ!」


「仮面の赤い勇者さんかぁ…」

「別に正体までは聞こうとは思ってないから、何か知ってる事を教えてくれる?」

「と言われても、う~ん、あの人って神出鬼没だし…」

「以前から忍者みたいだったわけ?」

「うん、戦闘中もいつの間にかいなくなってることが多かったよ」

「なにそれ、無責任な奴ね」

「でも、戦ってる間はすっごく必死にやってる風なんだよねぇ」

「だけど弱いのよね」

「そうだね、星屑数体に囲まれると、もう危ない感じだったよ」

「弱すぎじゃない…足手まといでしょ、それじゃ」

「あ、でも私たちの時代では星屑相手でもわりと苦戦してたから」

「ああ、勇者の力自体が今ほど強くなかったんだっけ…」

「そう、だけど私たちはピンチになったら精霊をその身に宿して
パワーアップしたりしてたんだ、でも…」

「アイツにはそれすらなかったと…」

「大変だったんじゃないかなぁ、ただ…」

「ん?」

「あの人っていつも無傷なんだよねぇ」

「無傷?」

「私たちは楽な戦闘の時でもわりと傷だらけになるんだ、今みたいに精霊の加護がないから」

「そっか、厳しい戦いなら尚更ね、でも」

「あの人はなぜか無傷なんだ」

「弱い分、回避や防御は上手かったってこと?」

「そう…なのかなぁ?そうは見えなかったけど…」

「どういうこと?」

「なんていうか、敵の攻撃が時々すり抜けるみたいに見えるんだよね」

「紙一重で素早く避けてたってわけじゃ…なさそうね」

「だとしたら凄いんだけど、皆も…若葉ちゃんですら、すり抜けて見えるって言ってたし…」

「謎ね…」



「ごめんね、私が遊んじゃってたせいで、あんまり話せなくって…」

「べ、別に気にする事ないって言ったでしょ、私も楽しかったし!
それに今までで一番まともに話が聞けたくらいよ!」

「ふふふっ」

「な、なによっ?」

「夏凜ちゃんは優しいなあって思って」

「なっ!なに言ってんのよ!?そんなわけないでしょ!」

「あんな話で一番まともなんて、私でもお世辞だってわかるよ」

「え?それは本当なんだけど…」

「照れない、照れない!」

(こういう、人を良いふうに勘違いするとこもそっくりなんだから…)
「まあ、そういうことにしておくわ…」

「ありがとう、夏凜ちゃん」

「逆でしょ、私の方こそ、ありがとう、よ」

「あははっ」

「ふふっ」

「じー…」

「………
って、千景?!」

「あっ、グンちゃん!」

「高嶋さん、偶然ね…」

「偶然って…私たちが部屋出て話してたのを見つめてたわよね、アンタ」

「何のことかしら?」

「はあぁ…別に『アンタの友奈』を取ったりしないから、心配しなくてもいいわよ」

「別に…心配なんて…それに高嶋さんは私のものってわけじゃ…」

「いいのよ、なんとなく苦労はわかるから」

「?…ああ、結城さんの事ね…」

「べっ別に友奈のことで心配とか苦労とかした覚えは…
って、ああ、この『友奈』はこっちの『友奈』のことでこの『友奈』のことじゃ…」

「ぷっ、ふふふ…」

「あー、めずらしいね、グンちゃんがこんな風に笑うなんて!」

「そ、そうね…ふふふっ」

「うー、なんだか私が恥ずかしい思いしただけみたいじゃない…
まあいいわ、それじゃあ二人とも、ありがと!」

「あ、またねー夏凜ちゃん!」

「また…ね」

友奈がそのまま千景の部屋へ遊びに行くのを見送った後、夏凜は次のターゲットを目指す

(せっかく話が出たんだし、ここは彼女よね…)



「で、話とは?」

「警戒しなくてもいいわよ若葉
『春信』って人の話を聞きに来たわけじゃないわ」

「そうか…
い、いや別にその事を警戒しているという訳でもないんだがな」

(なんていうか、まっすぐで不器用な子ね
なんとなく親近感が湧くのは誰かに似てるのかしら?)
「で、私が聞きたいのは『仮面の赤い勇者』のことなんだけど…」

「やっぱり聞きに来たんじゃないかっ?!」

「え?」

「え?あっ!」

「いまの話の流れって…」

「あーっ!『仮面の赤い勇者』か!そっちの話だったかぁ!いやー勘違いしてしまったなぁ!」

「か、勘違い…?」

「いやぁ、すまんすまん、空耳してしまったみたいだ!」

「空耳…だったの?」

「うむ、まるで違う言葉に聞こえてしまったな!
で?仮面の赤い勇者の何が聞きたいんだ?正体なら私も知らないぞ?」

「え、ええ、だから彼の人となりとか、戦闘力とか、どうだったのかな?って思って」

「人となりについては…正直掴みどころがないな、正体不明で普段どこにいるかもわからん」

「そっか、勇者のままで日常生活してたらただのおかしい人だものね…」

「そうだな、おかしい人だな」

「え?」

「え?
あーっ!もちろん!そんな人がいたらおかしい人だなって意味だぞ!」

「そ、そう…」

「あとは戦闘力の方だが…」

「弱い…のよね?」

「勇者としては、だがな」

「どういうこと?」

「夏凜は勇者部の中でも勇者となるために特別な訓練を積んだと聞いているが」

「ええそうよ、初代勇者様に語るのはおこがましいかも知れないけど
勇者の能力は変身前の基礎能力に大きく左右される
普段から鍛えておくことでより強い勇者となれるのよ」

「うむ、それは我々の時代でも同じだった
だから特訓メニューなども学校生活に組み込まれていたんだ」

「へえ…学校でも勇者として特訓できるなんて、ちょっと羨ましいわね」

「ふふっ、球子などウンザリすることもあったようだがな
だから、変身前の技量が勇者としての強さ、そういう認識が成り立つわけだが」

「そうね」

「しかし、彼は少し違っていた」

「違うって?」

「その動きを見ればわかるんだが、彼は相当の手練(てだれ)だ」

「そうなの?」

「うむ、どういう系統かはわからんが、その動きは洗練されていて、達人のそれに近い」

「じゃあ、友奈の言ってた敵の攻撃がすり抜けて見えるってそういう技ってこと?」

「友奈からその話を聞いているのか、いや、それは別だな
おかしな話だが、本当にすり抜けているとしか考えられんのだ
バーテックスの攻撃は人のそれとは違う
動き・物量・速度
それらは達人に近い動きができるからと言ってかわし切れる物ではない」

「そうなんだ…」

「にもかかわらず彼はその攻撃をすり抜ける
いや、攻撃の方が彼をすり抜けると言った方が正しいか…
武道をたしなむ者としての私の見解も
射手としての杏の目もそう判断するしかなかった」

「やっぱり謎ね…」

「それと話を元に戻すが、彼自身は手練だが、勇者としての彼はそう強くはない」

「どうして?」

「なんというか、一つ一つの能力が我々より劣るんだ」

「一つ一つ…」

「攻撃力、速さ、跳躍力、その他諸々の能力が勇者のそれであるにも(かかわ)らず
どういうわけか、その全てが我々より数段低いレベルなんだ…」

「それじゃ…」

「そうだ、数と力で押してくるバーテックス相手の戦いでは圧倒的不利に立たされるわけだ」

「歯痒いでしょうね、それは…」

「それでも彼は必死に戦い続けていた
だからこそ、我々も彼を勇者として認めていたんだ
あのふざけた仮面も含めて…」

「ふざけたって…大赦仮面でしょ?」

「大社仮面?」

「そう、大赦仮面。知らないの?大赦のまつり事に携わる人たちが着けてる仮面よ」

「いや…我々の時代の大社ではそんな物を着けてまつり事に携わる人などいなかった
皆、普通の宮司や巫女たちだ」

「それって…」

「うむ…」

「「まさか、彼が今の大赦(社)の始祖ということでは…」」

「…」

「…」

自分たちはとんでもない真理に近づいたのではないか、そんな雰囲気に包まれそうな中

「違うわね、きっと」

「うむ、私もそう思う、根拠はないが」

二人の意見は合致した

「大体、あんなふざけた忍者男が始祖の訳ないわよ」

「今の大社の体制はわからんが、あの男が始祖ではトンデモ組織になってしまう」

「そうよね…ってあれ?」

「ん?」

「さっき人となりはわからないって…」

「そうだな?」

「なのに彼が始祖ではトンデモ組織にって…」

「あーっ!そっ、それは単に彼の勇者としての言動がおかしいと言う意味だ!
それ以上の含みはないぞ!」

「そ、そうなの…」

「い、一度会った夏凜ならわかるだろう、そのおかしさは」

「まあ、確かに…勇者なのに忍者とか訳がわからなかったわね」

「あー、アレは本当に訳がわからんな…」

「仮面といい、あの行動といい、何か正体を隠す理由があるのかしら?」

「ふむ…それは我々もいつも不思議に思っていたのだが…」

「戦闘でしか会わないならそれを聞く機会もないものね…」

「えっ?」

「えっ?って戦闘以外会わないわよね、神出鬼没で普段どこにいるかもわからないんだから」

「え…
ああ!そうだな!まったくもってその通りだ!」

「なにか…隠してない…?」

「なにか…とは何かな…?」

「例えば…」

「た、例えば…?」

「『仮面の男』と『三好春信』って人が…」

「ごくり…(これはもう隠し通せないか…)」

「頭ん中でごっちゃになってんでしょ!」

「すまん!実はそうだったんだ!
…ってあれ?」

「やーっぱりそうだったのね!
そっちの人の事は今回は聞かないって言ってるのに、警戒しすぎよ、若葉は!」

「え…あ…
ああっ!そうだったか!
私とした事が無駄に警戒してしまっていたんだな!
いやー、まいったまいった、いかんいかん!」

「ふふっ、もっと気楽に話してもらっていいのよ」

「そ、そうだな、しかし仮面の男の正体については
我々は追及しないと言う事で意見統一しているんだ」

「そうだったの?」

「ああ、隠している以上、なにか理由があるんだろうし、何より…」

「ん?」

「ひなたがこの話をするのを嫌がるんだ…」

「ひなたが?」

「うむ、ひなたはアレで怒らせると怖いところがあるからな、皆それ以上何も言わないんだ」

「へぇ、あのひなたがねぇ」

「だから、もしこの後ひなたの所にも行くつもりなら気をつけた方がいいぞ」

「な、なにを?」

「仮面の男の正体について突っ込みすぎると訳のわからない怨みを買うことになるやもしれん」

「そ、そうなの…気をつけるわ」



若葉の部屋を出てすぐにひなたの部屋の前まで来ている夏凜

「そうは言っても、ここまで来て、話さないのもなんだし…
球子も一応、来るって言ってくれてるみたいだし…」

頬を叩いて気合を入れる

「ぃよっし!行くわよ!」



「あらあら、いらっしゃい、夏凜さん」

(いつものひなた…よね)
「お、おじゃまするわね」

「昆布茶でいいですか?」

「え?ああ!気を使わなくてもいいわよ!話をしに来ただけだから!」

「そうですか?」

といいつつ二人分の昆布茶を用意して夏凜の前に座るひなた

「まあ、とりあえずどうぞ」

「あ、ありがと…こういうとこ、ソツがないわね…」

「はい?」

「いえ、いいのよ、それで話なんだけど」

「はい、なんでも聞いてくださって結構ですよ」

「『仮面の赤い勇者』って知ってるわよね?」

ピク

「え?」

ピクピクピク

「ちょっと…ひなた?」

ピクピクピクピクピクピクピク

「ゆ、湯飲みが震えてるわよ…」

ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク

「ちょっ!昆布茶こぼれてる!」

ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク

「落ち着いて!とにかくひとまず落ち着いて!」

「はっ!?」

「どうしたのよ…今の…怖かったわよ…」

「な、なんでしょう?なんだかいきなり意識が飛んでしまいました」

「大丈夫?」

「ええ、もう大丈夫ですよ」

「まったく、『仮面の赤い勇者』の話をした途端だから、ビックリしたわよ…」

ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク

「って、それはもういいから!」

「はっ!?…す、すみません、なにかあったんでしょうか…?」

「なにかも何も…」
(どうなってんのよ、若葉!
突っ込みすぎるどころか名前出しただけで拒絶反応起こしちゃってるじゃない!)

「え~と、仮面…」

ピク

「を着けた人たちが大赦で働いてるんだけど」

「そうなんですか、今の大社には変わった習慣があるんですね」

「赤い勇者…」

ピク

「服って私と銀の二人いるじゃない?」

「そうですね、他の皆さんは同じ色の人がいないのに、珍しいですね」

「3人目がいたら…驚く?」

ピク

「い…いいえ、2人いるんですから、3人目がいても不思議ではないと思いますよ」

「それが男性でも…?」

ダンッ!

「ひっ!」

テーブルを叩いてひなたが立ち上がる

「あの男が…」

「え?」

「あの男が出たんですねっ!?」

「出たんですね、ってこないだ話してたの知らなかったの?」

「この間、というと…」

「アンタも会話に参加してたわよ!『若葉は仲間のピンチに敏感だ』って!」

「そうですか、あの時に…」

「ホントに気付いてなかったの…?」

「私があの男の話を嫌がるのを丸亀城の皆さんは知ってますから
その部分が聞こえないようにしてくれていたんでしょうね」

「さっきの様子からすると記憶から抹消された可能性も否定できないけど…」

「そうですね、可能であるならあの男の記憶は私のメモリーから全て抹消しておきたいです」

「そこまで…」

「あんな男の記憶に()く位なら、抹消してしまって
若葉ちゃんとの栄光の日々を上書きした方が余程記憶細胞の有効活用といえるでしょう」

「普段、人当たりのいいひなたが言うとキツいわね…」

「あ、皆さんとの記憶は全て大切な思い出ですよ、もちろん夏凜さんも」

「う、嬉しいんだけど、その前の反応見てると正直微妙な気分だわ…」

「とにかく!あの男には気を許さないでください、同じ赤い勇者だからって」

「それは大丈夫よ、むしろ警戒してるくらいだから」

「そうですか、ならいいんですが…」

「それにしても、なんでそこまで毛嫌いしてるの?」

「…」

「ひなた?」

「…なぜでしょう?」

「はあっ?!」

「いえ、最初に会った頃からおかしな人という認識ではあったのですが
気付くとその存在そのものが許せないくらいになっていて…」

「まさか、嫌い嫌いも好きのうちってやつでは…」

キッ!

「ないわよね、わかってるわよ…」

「まあ、真面目に戦っている部分もあるらしいんですが…」

「え?ああ、そっか
ひなたは戦闘中は樹海化で動けないから奴の戦ってる姿は見えないのよね」

「はい、皆は共に戦う仲間、と見ている様なのですが…」

「ひなたにとっては違うってのはわからなくもないけど…」

「勇者は皆、美少女ぞろいですから…」

「ん?」

「その中で男が一人というだけでもあの男にとってはハーレム状態…」

「ひなた?」

「あの仮面の下では
『うきゃっほーう!ウニョラーウラーゲッテルフンケンハーザイフーレーイトッピロキー!』
と浮かれているに違いないんです!」

「何語よ!それは?!」

「しかも『看護師(ナース)よりも巫女がいい!』とか言いながら巫女服や勇者服に興奮をっ!」

「具体的過ぎない?!何かあったの?」

「いえ、私自身なにかあった訳ではないんですが」

先程とは打って変わったケロリとした表情で言うひなた

「なんでそれがそんなに具体的なのよ…」

「なぜでしょう?魂がそう言わせるというか…神託にも似た感覚が…」

「どんな神託よっ!」



「なんか、長居した上に嫌な思いさせちゃったわね」

「いえ、気になさらないで下さい、私も少し興奮してしまって恥ずかしい限りです」

「少しじゃなかったけど…あ、そうだ聞き忘れてたわ」

「はい?」

「『あの男』じゃなくて、『三好春信』って人のことについて…」

ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク

「って、そっちもかい!」

扉にもたれかかり、震えるひなたを引き戻すのにまたしばらくかかる夏凜であった

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