新 三好春信は勇者である   作:mototwo

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この話にはネタバレが含まれます
二つ目の話に出る『勇者御記(検閲済)』は
『乃木若葉は勇者である』原作本および
『乃木若葉は勇者である』公式ページの<STORY>で閲覧できます
http://yushadearu.jp/nogiwakaba/story/1/



10話(最終回) 引き継ぐ想い

<勇者システム>

 

薄暗い社殿の中

ひなたを中心に巫女たち、神官たちが集まっている

 

(何かの儀式でも始めるのか。。。?)

 

こっそり潜んで様子を伺う春信は、そのただならぬ雰囲気を

14歳の少女であるひなたが作り出しているという事実に驚いていた

 

(あの()達に比べて、僕は一体なにをしてこれただろう。。。)

 

「それでは企画書の1ページ目をご覧下さい…」

 

考え悩む春信の耳に、やっと口を開いたひなたの声が聞こえる

 

(。。。ん?)

 

聞き耳を立てる春信の鼓膜を揺るがすひなたの声

その中におかしな単語が入っていた気がした

 

「本プロジェクトは勇者の…」

 

(。。。んん?)

 

なにかの聞き間違いかと更に耳をそばだてるが

確かにひなたのその口が、その声が「それ」を発していた

 

(メソッド?コミット?)

翌日の丸亀城、ひなたと若葉の会話を廊下で聞く春信

 

(昨日の話、途中からどーでもよくなって帰っちゃったけど、どうなったんだろ?)

 

「ボツになりました…」

 

「何ぃっ!?なぜだっ!?」

 

しょぼくれるひなたと驚く若葉だったが、春信は納得していた

 

(うん、途中で聴くのやめてやっぱ正解だった。。。)

 

ひなたの用意していた数十枚はあろうかという企画書には

以前、春信の書いた報告書を思い起こさせる勢いがあった

 

(あれは。。。苦い思い出だ。。。)

 

今となっては、恥ずかしさに頬が引きつる思いだ

 

実は以前、鷲尾須美が作った遠足のしおりも同様に”無駄に”分厚い代物だったのだが

無論、春信の知る(よし)も無い

どうやら勇者とその周りには凝り性で人を呆れさせる能力の持ち主が集まるらしい

 

その後もなにやら話し込んでいるが、どうやら企画を諦めた訳ではないようだ

 

「そうか!私が義経のような精霊になるのか。なるほどなるほど…」

 

(精霊。。。ねぇ)

 

「うむ!カッコイイかもしれないな!」

 

(きっとシャーマ○キングの阿弥陀○みたいなの想像してんだろうなぁ。。。)

 

春信は牛鬼や木霊を思い出し、そのイメージの落差に苦笑していた

 

(まるで魔法少女のマスコットだったもんなぁ。。。)

 

あのデザイン自体、大赦の少女たちへの精霊への疑念を逸らす為の偽装だった

そう考える事も出来るが、精霊たちは確かに勇者部の娘達を守ってくれていた

春信自身、あの時の義輝がいなければ、ここにこうしていられたかも怪しいのだ

 

(しかし、この時代の精霊とはあまりにも違う。。。)

 

まるで悪霊のように憑依者の心を蝕んだ精霊たち

 

(千景。。。)

 

あの時の少女の目は、まるで荒みきった頃の自分を見ているようだった

 

(僕には周りに大赦の皆がいて。。。

勇者部の少女たちが助けてくれた。。。)

 

(千景にもいたはずなのに。。。

ちょっとした行き違いが続いて。。。

助けを得られなかった。。。)

 

(人の心は弱い。。。

その弱さゆえに人を傷つけ、自分も傷つける

天の神はそんな人間に憤りを感じ、バーテックスを遣わしたんだろう)

 

(でもその弱さゆえに人は助け合い、愛し合う

地の神はそんな人間を愛し、加護し勇者たちに力を与えてくれた)

 

(僕たちは。。。)

<引き継ぐ想い>

 

久し振りに乃木園子宅へお邪魔する春信

 

「園子嬢、僕にも見せてもらえるかな、その『初代勇者御記』」

 

「あれ~?春信さん~来てたんだ~?」

 

「こんにちは、夏凜ちゃんのお兄さん」

 

「やあ、こんにちは、春信でいいよ、東郷さん」

 

「にぼっしーはもう帰っちゃったよ~」

 

「そいつは残念、会って抱きしめてやりたかったのに」

 

本当は妹の前で西暦勇者の話をする事に気が引けて

わざと訪問の時間をずらした春信だったが

 

「そういうこと言うから避けられるんじゃないですか…」

 

「家族愛って難しいねぇ。。。」

 

冗談を交わしながら御記に手を伸ばす

 

「はい~どうぞ~」

 

「ありがとう」

 

1ページずつめくり、修正だらけの御記を読んでいく

 

「塗りつぶしが酷いな。。。乃木若葉。。。」

 

「私のご先祖様だよ~」

 

「なるほどね、不安定。。。弱気な発言には検閲が入ってるのか?」

 

ページをめくると他の名前も書かれていた

 

(若葉だけじゃなく、他の皆も書いてるのか、学級日誌。。。だったのかな?)

 

 

「土居球子。。。」

 

「誰かのことを心配してますね」

 

(球子のことだ。。。多分、杏だろうな。。。)

 

 

「伊予島杏。。。」

 

「『切り札』か~、どんなものだったんだろうね~」

 

(肝心なところが消されてる。。。『満開』のときと同じか。。。)

 

 

「高嶋友奈。。。」

 

「友奈ちゃんと同じ名前で驚きました?」

 

「あ?ああ、友奈さんと字も同じだし、すごい偶然だね」

 

「それが偶然でもないんだよ~」

 

友奈の名前の由来を得意げに話す園子

 

「風先輩は『友奈因子をもつ友奈の一人だ』なんて言ってましたけど」

 

「なるほど。。。」

 

笑いながら言う東郷の言葉に思う

 

高嶋友奈と結城友奈を見た春信だからこそ感じた

まるで同一の存在が別の時空にいたかのような感覚

 

(もしかしたら本当に友奈は何度も生まれ変わっているのかもな。。。)

 

 

「土居球子。。。」

 

「ムフ~ッ!」

 

園子が鼻息を荒くして御記に顔を近づける

 

「園子嬢。。。女の子同士の”好き”ってのはそういうんじゃないからね。。。」

 

「あう~><」

 

(また球子か、この消されてる部分って。。。)

 

「敵に対して、なにかが通じなかったと書いてあるみたいですね」

 

「なんだろうね~?」

 

「な、なんだろうな、ホントに。。。」

 

(噂に聞いた例のアレか。。。

西暦の末期からあの信仰具合。。。

ある意味病んでるな、この土地の人間は。。。w)

 

 

「伊予島杏。。。」

 

「なんでしょう、これ?本の検閲でもあったんでしょうか?」

 

「言論の統制は許せないよ~」

 

「あんまり百合物に偏った著作も検閲すべきかもなw」

 

「そんな~」

 

 

「乃木若葉。。。」

 

「ご先祖様も色々悩んでたみたいだね~」

 

「そもそもの原因、か。。。」

 

(神話の時代から続いてきた人間の横暴、神の裁き

確かにずっと人類を見続けた神様がいるなら。。。

でも、それでも僕たちは諦める訳には。。。!)

 

「何か思い当たる事でも?」

 

「いや。。。別に。。。」

 

またページをめくっていく

 

 

「高嶋友奈。。。」

 

「この時代には四国以外にも生き残った土地があったみたいですね」

 

「でも~、なんだか挫けないために無理に信じてるようにも見えるね~」

 

「。。。」

 

(結局、北と南の地には行けずじまいだったようだな。。。)

 

 

「土居球子。。。」

 

「『やっこさん』っていうのがバーテックスの事なんだろうね~」

 

「進化に神樹様。。。か」

 

(十二星座にまで進化した後、更なる合体もしてきた。。。きっと今後も。。。)

 

 

「伊予島杏。。。」

 

「あっ、そこは皆ビックリしましたよ、いきなり『勇者部』ですからね」

 

「犬吠埼風さんはこの事を。。。知っていた筈もないか」

 

「そ~だよね~」

 

(いつの時代も少女達の考える事は似てくるってことか。。。)

 

思わず苦笑しつつ

ページをめくった春信の手が固まる

 

 

「?!」

 

「あ~、ここは酷いよね~、全部塗りつぶされてて~」

 

「日付や名前まで消すなんて、よほどの事が書かれてたのかしら?」

 

(それにしても、ここまでは名詞らしい単語だけだった塗りつぶしがこんなに。。。)

 

仕方なく次のページへ進む

 

 

「乃木若葉。。。」

 

「ここは容易に想像できますね、『うそ・虚偽・偽り』といった事でしょう」

 

「偽の情報で大衆を誤魔化す、今の大赦と同じような事してたんだねぇ~」

 

「いつの時代も戦況が不利になるとこんな事をしてしまう

それだけ苦しい状況だったんでしょうが…」

 

「そうだな。。。」

 

しかし春信は別の違和感を感じていた

 

(前のページが全部消されてたってのにここはそこだけ。。。どういうことだ?)

 

 

「伊予島杏。。。」

 

「また『切り札』の弊害についてだね~この杏さんって人はよほど警戒してたんだね~」

 

「それに『精霊』についても書かれてるわ

私たちのバージョンアップ前には精霊なんていなかったのに…」

 

「精霊か。。。」

 

ページをめくると

 

 

「またっ?!」

 

またも全てが塗りつぶされたページ

 

 

「次も?」

 

(何かがおかしい。。。)

 

心に引っかかる違和感

 

 

「塗りつぶしの酷いページと少ないページとの落差が大きいですね…」

 

「内容だけならともかく、日付や名前もだもんね~」

 

(なんだ?何に違和感を感じているんだ、僕は。。。?)

 

違和感の原因を探ろうとページをめくる手が自然と速くなり、汗ばんでくる

 

 

「高嶋友奈。。。」

 

「こっちの友奈ちゃんは四国の生まれではなかったのかしら?」

 

「思い当たる土地が。。。?」

 

「神話の里というと、鹿児島の霧島、宮崎の高天原とか…」

 

「奈良の大和地方にもそういうのあるって昔言ってたね~」

 

「よく覚えてたわね」

 

「えへへ~」

 

「流石ねそのっち」

 

 

「乃木若葉。。。」

 

「…」

 

「…」

 

「『…という勇者がいたことを、私は忘れない。』。。。」

 

勇者の『死』を連想させる文面に二人の少女は口をつぐむ

きっと自分たちの大切なともだちの事を思い出しているのだろう

 

だが春信はそれ以上に何かに驚いているようだった

 

「あ、あ。。。ああ。。。」

 

違和感の正体に気付いた春信は乱暴にページを前後させる

 

「ああ~、古い紙なんだから~乱暴にしないで~」

 

いつもより少しだけ慌てた口調で注意する園子をよそに

春信は感じていた違和感の正体、それを探していた

 

(ない、ないっ、ないっ。。。)

 

そして初めの方に見た土居球子のページで手を止める

 

(ここの人数。。。文字。。。消された名前は。。。

球子が心配してたのは杏じゃなかったんだ。。。)

 

・・・(郡千景)。。。」

 

消え入るように呟いたその名は二人には聞き取れていなかった

 

「どうしたんですか?春の…」

 

怒りと悲しみと悔恨と…

様々な感情がぶつかり合って涙を流す春信に

東郷は声をつまらせた

 

(こおり)千景(ちかげ)は。。。

確かに英雄となるには心が弱かったかもしれない。。。

だが、それでも勇気を振るい立たせて、世界の為に戦ったんだ!

千景は間違いなく勇者だった!

それを。。。

その名すら残させないなんて。。。

勇者という拠り所を死して尚奪い去るなんて。。。

これが大社の。。。大赦のやり方かっ。。。

若葉もひなたもそれを止める事が出来なかったのか。。。)

 

彼の言葉が脳裏によぎる

 

(『お前は背負わなければならない』

『今まで戦ってきた勇者たちの思いを』

『大赦を…変えるんだ』)

 

「変えてやるさ。。。」

 

「えっ?」

 

「どうしたの~、春信さん~?」

 

「今のままじゃ足りない、大赦はもっと変わっていかなくちゃいけないんだ。。。」

 

「足りないって…」

 

「大赦は今、世間にバーテックスや世界の事を公表する準備をしている」

 

「うん~、いい事だよね~」

 

「でもそれは皆が頑張って戦況が有利になったからだ、大赦の体質が変わったわけじゃない」

 

「それは…」

 

「勇者システムの量産もすすめている

だがそれも、また沢山の少女たちを戦いに巻き込むって事だ

戦況によってはまた大衆や少女たちを騙しかねない」

 

「…」

 

「変えなくちゃ、僕らが

今まで歩んできた人達のためにも

後に続く人達のためにも

人類が一枚岩にならなきゃ

”天の神”になんて勝てるわけがないんだ」

 

「春信さん~、一体なにを~」

 

「園子嬢、僕は君たちが戦っているとき大赦の人たちの優しさを見てきた」

 

「優しさ…」

 

「そして東郷さん、君たち勇者部が戦っているときの大赦の忌むべき体質も見てきた」

 

「体質…」

 

「大赦の両面、そして勇者たちを見てきた僕には責任がある」

 

「「責任…」」

 

「園子嬢、東郷さん

二人にも。。。

いや、皆にもきっと協力してもらう時が来る

その時には。。。頼めるかい?」

 

顔を見合わせ、二人は春信に力強く頷いた

 

天の神の使徒バーテックスとの真の決戦

それは間近に迫ろうとしていた

 

 




mototwo(以下略):終わり!

春信(以下略):終わりってお前。。。

終わったの!

何の解決も完結もしてねぇじゃねぇか。。。

そういう話だったからな、今回のコレは

どういうことなの。。。

『その後の園子』読んでない俺には

まだ読んでないのか。。。

大赦が変わったって思えなくて

ほう

戦況が有利になったから都合のいい事言ってるだけじゃないかって

ふむ

きっと第二期に入ったらまた友奈達は勇者になって戦うんだろう

公式のキービジュアルが勇者部の6人だもんな

それを支える人たちがいて欲しいなって

それがお前の希望か

一期の大赦があまりにもあんまりだったからな
せっかく春信っていう大赦の偉い人がいるんだし

非公式扱いしてるくせに。。。

実際、公式の本編では出てこない可能性の方が高そうなんだもん

しょぼ~ん。。。

前作のおかげで、「ここ」では3つの立場にいる唯一の人間ってことになってるし

大赦の表と裏と勇者か

そのうえ西暦末期の地獄絵図を見てきた

どの程度まで見てたか前回からブツ切り過ぎてわからんが。。。

原作ネタバレ部分を出来るだけ切り取ってシェイプアップしたらアレしか残らなかった…

それでもネタバレは酷かったがな!

球子、杏、千景の話はこれ以上切れなかったし

友奈については?

俺が触れるとこでもないだろうから丸々カットだ

友奈と絡んだの、最初の出会いの時だけだったな。。。

歌もあったろ

あれは。。。カウントしていいのか?

アレ外すと杏とは会話すらしてないみたいになってるぞ、色々カットしたから

えっ?!



おお。。。ホントだ。。。出番が出会いのとこと珍劇のとこと蠍座のとこしかねえ。。。

また見直してたのか…
まあ、そこらへんはちょっと心残りではあったが…

勇者としての活躍が欲しかったな、もっと。。。

お前が活躍するには「斉天大聖(せいてんたいせい)」くらいその身に宿さんとあの子達とつり合いが取れん

無敵の大妖怪、しかも大陸産じゃねえか。。。

それぐらい地力が違うんだよ、少女たちと最弱勇者は

男勇者はつらいよ。。。

まあ、コレで一段落だし、一視聴者として第二期を楽しむとするわ

嘘設定満載だったから、第二期で設定説明入ったら整合取れなくなるもんな!

バラさなくてもいいんじゃないかな、そーゆーことは…

タイムトラベルとか擬似精霊システムとかなんなんだよ

ま、こっちの設定説明はまた気が向いたときにオマケでも入れるわ

説明できるほど設定あんのかよ。。。

しっかし、次は映画の3章が7月公開か、間あいちゃうなぁ

コレ上げる時点では映画の3章って終わってるのかな?

どうだろ?ホントにいつ上げるか考えてないから

GW中に書き終わってたって知ったらみんな笑うかな?

だからそういうことバラすなって…

そんで映画観てなんか思いついたらこの下に書き足すんだろうなw

バカにしやがって

とにかく、終わりは終わりだ

うむ、映画と第二期見るまではのんびりするとしよう

あ。。。言い忘れてたことがあった

なによ?

コレ、言って

カンペ渡すなよ、いきなり
えーと…
「仮面の赤い勇者、お前は一体…?」

「通りすがりの勇者(ヒーロー)だ、もう会うこともあるまい、覚えなくていい」

なんだこりゃ?

本文で言えなかった台詞だ
コレ言わんと終われんからな!じゃーな!

<お・し・ま・い>





<そのごのそのこと…>

園子の部屋でゆっくりお茶を(たしな)む3人
ふと園子が春信に問いかける

「春信さん~私のことなんで『園子嬢』って呼ぶようになったのかな~?」

「え?直接お仕えすることもなくなったし、『様』付けは嫌だろうと思ったからだけど。。。」

突然の問いにそれが当然であるかのように答える春信
しかし園子は少々不満げだ

「そっか~」

「何?また『園子様』って呼んで欲しかったの?」

「違うよ~、なんだか『嬢』って言葉に距離感が感じられたんだよ~」

「ふむ。。。それじゃ、こんなのは?」

「「?」」

はて、何をするのかと疑問符を掲げるような表情の二人を前に
春信は流暢な発音で語りかける

「Oh! my Honey Sonoko!」

「ぶっ!」

思わず吹き出す東郷を尻目に
更に流暢な発音で返す園子

「Year! my Darling Harunobu!」

「ぶふぅっ!」

いかに日本贔屓(びいき)な東郷でも今の英会話の意味くらいわかる
これには反応せざるをえない
しかし二人は清々しいまでにいつもの調子で会話を続ける

「コレは違うか」

「何か違うね~」

「ちょ、ちょっと待って二人とも…」

「どうしたの~わっしー?」

「『違う』以前に今の流れはおかしくなかったかしら?」

東郷の指摘に互いを見つめ合う園子と春信
そして東郷に向かって同時に話す

「園子嬢が」「春信さんが」
「「おかしいのはいつものことだから」~」

声をそろえる二人に呆れる東郷

「な、仲がいいのね、二人は…」

見つめ合うとまた同じように

「いや?」「ん~ん」
「「別に」~」

「いや!息ピッタリでしょう?!」

我慢しきれず、思わず突っ込んでしまう東郷
そのまま、先程から気になってた事を小言のように注意しだす

「大体、呼び鈴も鳴らさずに女の子の家に平気で上がって来る春信さん…
それに対して何も言わないそのっちも…」

しかし東郷のお説教は当の二人にはまるで効き目が無い

「おやおや、コレはアレですわよ、奥様。。。」

春信がわざとらしく東郷に聞こえるように園子に向かって囁く

「アレ、と言うと何かしら~?」

園子もノリノリで聞き耳を立てる

「こ、小芝居まで始めだした…」

「焼きもちですわよ、や・き・も・ち!」

「まあ~!わっしーさんが焼きもち~?!」

「何を言ってるんですか…私が春信さんに焼きもちなんて」

呆れた顔で溜息をつく東郷

「久し振りに会った親友が、自分の友達はおろか
ほとんど知らない男性とまで仲良くしてるもんだから!」

「あらあら~私に焼きもちを~?!」

「しかもそっちですか!」

目をキラキラさせて喜ぶ園子と
慣れない全力突っ込みに息を切らせる東郷

「いやー、東郷さんが突っ込み役って珍しいねぇ。。。」

「そうかな~?2年前はわりとこうだったよ~」

お茶をすすりながら(なご)む二人と、息が整わない東郷

「くっ…友奈ちゃんのいない所でそのっちと話してるとペースが乱されっぱなしだわ…」

なぜか無駄に敗北感に(さいな)まれる東郷をよそに話を続ける園子

「ほらほら~わっしーもそうだし、他の皆も『さん』付けでしょ~?」

「ん~?東郷さん、友奈さん、風さん、樹さん。。。」

「ね~?!」

「愛しい愛しい夏凜ちゃん」

「にぼっしーは別格だね~」

「そこは突っ込むべきところじゃないかしら…」

「春信さんはコレが平常運転だよ~」

「いや、ワザとだからね!ボケただけだからね!突っ込むとこだからね!!」

突っ込みに疲れた東郷に代わって春信が突っ込む
突っ込み体質の春信はボケにボケを被せられると自ら突っ込まざるを得ない

「とにかく、私だけ違うじゃないの~」

「そういやそうだな。。。」
(皆の昔の呼び方が出ないように意識してただけなんだが。。。)

そう、春信はうっかり勇者時代の皆の呼び方が出ないよう意識して、さん付けしていたのだ
勇者時代に東郷の事を「お嬢ちゃん」と呼んでいたのも
うっかり「鷲尾須美」の名を出さないよう気を使ってのことだ
高嶋友奈に対しては驚きのあまり初対面から「友奈」と呼んでしまったが…
そもそも春信はウッカリさんなのである。アホなのである
それがバレないよう、いつも気を張っているだけなのだ

「なんか失礼な事を誰かに言われた気がする。。。」

「よく分りませんが、もう突っ込みませんよ…」

「そんな事より!さあ、ここは私もも~っとフレンドリーに呼ぶべきだよ~!」

「なんで目ェ、キラキラさせてんのよ。。。」

「いいから!わっしーみたいにあだ名で呼んでもいいよ~」

「無駄に鼻息荒いな。。。でもまあ、そういうなら。。。」

「HEY!カモ~ン!」

「もう、二人で勝手にやってて下さい…」

妙なテンションの園子についていけず、放置することにした東郷
春信は先程とは違い、普段のノリで話しかけてみる

「やあ、そのっち、元気かい?」

「お~うっ!元気だよ~っ、ハ~ルル~ン!」

「。。。」
「…」

静かな空気が流れた
ニコニコ顔の園子と
またか…という顔の東郷

(『ハルルン』。。。コレが言いたかっただけか。。。)

そしてお茶をすすりながら冷静に返す春信

「。。。健康なのは結構なことですね、『園子様』」

「うおっ!=△=
距離を縮めようとしたのに、なぜか突き放されてしまったよ~!><」

「そのっちは自分のネーミングセンスに自信を持ちすぎよ…」

「わっしーまで~!?」

東郷の指摘に本気でショックを受けている様子の園子
どうやら相当自信のある呼び名だったようだ

「とにかく、その呼び方したら、僕も『園子様』って呼びますからね。。。」

「いいニックネームだと思ったのに~」

どうしてそこまで自信が持てるのか、春信にとっては正直参考にしたいくらいだったが

「それに、園子嬢は園子嬢でいいんじゃないかな?」

「そうですね、そのっちになんとなく合ってますし」

(ちょっと懐かしいと思ったことは内緒にしておこう。。。)

消えてしまった過去を思い出して微笑むその姿は二人に見せない、春信であった

<END>





「『みよっしー』だとどうかな~?」

(まだ諦めないんだ。。。)
「それは夏凜ちゃんに使ってあげてください、きっと『にぼっしー』よりは喜びます」

「あ~お茶がおいしい」

「わっしー流さないで~!せめて感想を言って~!」

先の誓いとは裏腹に、勇者部の元神樹館コンビと春信のティータイムは賑々しく過ぎていった

<今度こそおしまい☆>





ほほう。。。

うむ…

第3章公開すら待てなかったか。。。

う、うむ…

どういう心境の変化だ?

い…いや、単に書きたいことが出来ただけで

はあぁ~ん?なんですかぁ~?!

う、うっさいな!なんでお前に話を上げるタイミングまで文句言われなきゃなんないんだよ!

上に書いたこと忘れたのぉ~?

くっ…

まるで「3章の映画観るまでは上げません」って宣言したかのような後書きぃ~!

あ、あれは…

それをそのまま直しもせずに上げる勇気ぃ?!

べ、別に勇気とか…

いやぁ~!おみそれしましたわぁ~!

ううぅ…

さぁすが、作者さん、物書く人はやりますなぁ!

ぐ、ぐぅぅぅ…

まるで案山子ですなぁ!

ぐっすん…

あ~!スッキリした!

へ?

で、何を書きたくなったって?上の<そのごのそのこと…>ってやつ?

あ、あれ?

どした?はよ答えんさい

さ…さっきまでのイジリはなんだったの?

なんか後書きのお前がいい気になってる気がしたから泣かしたかっただけだ!

なんだ!それ?!

長い事放置された俺のストレス解消だ、気にすんな!

ホント、なんなのよ…

で、上のあれが書きたくなったの?

いや、あれは全部書き終えてから日にち経ったら
また馬鹿話が思いつくようになったから書き足しただけ

ほう、そんじゃホントのきっかけは?

皆さんに良くない話と良い話があります

は?

さあ、どっちから聞きたいですか?

え。。。

さあ!

おい。。。

どっちから!

ちょっと。。。

き・き・た・い・で・す・か?!

待て待て待て!

少しも待てませんなぁっ!

キタキ○おやじかっ!

では悪いお知らせから

うおいっ!

実は今日!

まてまて

映画館行ったら!

「良くない話」が「悪い知らせ」になっちゃってるだろ!

もう2章の公開時期終わって結局パンフレット変えませんでした!

あ~。。。

あ~…(泣

そういうお知らせか。。。

買えなかっただよ…

第3章観るときに再販されるのに期待するしかないな!

まあ、そうなんだけど…

しっかし、こんなどうでもいい話に何行使うんだよ、お前。。。

だから待たずに言い切っただろ?それに俺にとっては重大事項だ

大体、この「今日」っていつの事だよ。。。

言わない

は?

「そんなの公開終わってるに決まってんだろ?」って言われるような日にちだから

はぁ~、もういい、文字数の無駄だから良い話の方いってくれ

「鷲尾須美は勇者である外伝 勇者行進曲」買ってきた

おお、「勇者部所属」の人が書いてるアレか!

うむ、それに G'sマガジンでやってたらしい
元祖勇者と本家勇者の時空を越えた「勇者GP(グランプリ)」が巻末収録だったんだが

元祖と本家?

「乃木若葉」組と「結城友奈」組の対決なんだが

ほうほう

個人戦と団体戦って流れだったんだが

うん

個人戦のカードが序盤で発表されるんだが

「だがだが」しつこいな。。。

そのカードの中に一つ気になるものがあったんだが!

わざとだろ、もう。。。

当然なんだが!

もういいよ、気になるって「友奈」vs「友奈」とかか?

あ、うん
それもある意味、気になるっちゃー気になるんだけど…

何よ?

俺の中の春信があるカードに反応した

は?俺?なんて?

「千景ぇーっ!駄目だーっ!お前じゃそいつに勝てないーっ!」って

なんじゃそら?!

「お前がソイツに勝てるのは幼少期の不幸自慢くらいだーっ!」って

失礼な奴だな!お前の中の俺は!

実際、他のカードはどう転んでもおかしくないが、アレだけは千景の勝つ姿がイメージできん

一体誰との対決だったんだよ。。。

あの前後編の話であの女の「黒さ」を再認識させられたぜ…

「黒さ」って…ああ、あの()か。。。

上の話で叩いておいて正解だったぜ!

って、バラすんかい!秘密にするんちゃうんかい!

まあ、雑誌で掲載されたの半年も前だし、知ってる人も多いだろうし

しかし、ああ。。。確かに勝てるビジョンが浮かばんな。。。

だろ?

唯一、性能的に有利なはずのゲームですら叩きのめされそうなイメージが。。。

千景さん、可哀想…

人のあしらいに長けたあの娘と、コミュ症引きずった千景じゃあなぁ。。。

夏凜ちゃん以外じゃお前が唯一勝てそうなコミュニケーション能力の相手だからな

え?俺ってそんなにコミュ力低いの。。。?

自分の経歴確認しろ、『非公式版』春信!

お前、いちいち神経逆撫でしに来るな。。。

なんの苦労も知らない学生時代!

イケメンでサッカー・美術の両立、完璧超人お兄ちゃん!



。。。

ま…まあそこはいいだろう、公式とほぼ設定同じだから

ふっふ~ん!

しかしここからは俺のターン!

な、なんだとぅっ?!

夏凜ちゃんへの引け目でデブオタニートに転落!

ぐっ!

鍛えてイケメンに戻るも、ニート時代の自分を引きずって女性とまともに会話できず!

はあ?!

勇者となるも勇者部メンバーとのコミュニケーションは(ことごと)く思惑を外れ!

ええっ?!

時間を戻されてからは話すこと自体出来なくなり、無言の仮面に!

ちょっ!

言葉を取り戻してからまともに会話してる女性相手は園子のみ!

なんでやねん!

順を追っていくと
苦労知らずのボンボン→デブオタニート→女子とコミュ失敗→言語能力喪失
→特定の少女としか話せない

うわ、(ひで)ぇ。。。

酷いもんだろう、以上が前作からのお前の経歴だ

いや、酷いのはお前の作った設定が、だよ!

同じ事だ、ここのお前は俺の設定した『非公式』春信なんだからな

い、いや、そうかも知れんが、なんで今更そんなの掘り返してくるのよ。。。

あ~多分アレのせいだな

アレって?

後書きまで書き終えて暇なときに「三好春信」で検索したのよ

ほう?

そしたら結構いろんな人が春信を扱った二次小説書いててなぁ…

俺様人気、バッツグ~ン!

どれも落ち着いた大人だったり

うんうん

大赦仮面だけど努力を重ねてとんでもなく強かったり

俺とおんなじだね!

時には園子と淡い恋物語演じちゃったり

園子嬢とねぇ、ま、そういう見方もあるのか

そういうの見てたらさぁ…

なになに?俺のこと見直した?

突っ込み体質でコミュ力不足の最弱勇者なんてウチの春信だけだよなぁ…って

お前のせいだろうが!それは!

それで他の春信っていうか、『公式の』春信と混同されると悪い気がしてきて…

え?なに?何言ってんの?

すいません、ウチのは『非公式』なんで、許してやってください…

ネガティブになんな!俺が全否定されてるみたいで気分悪いわ!

いっぺん、コレくらい卑屈になっとかんと
「あの作者、春信バカにしすぎ!舐めてんの?」
とか言われるかも知れんから…

だったらもっとカッコいい俺を書けよ。。。

「7000度なんて目じゃないぜ!俺のハートは10万度さ!」

お前、それ自体がマイ○ガインのパロじゃねえか!

てへっ!

しかも後書きで書いた妄想、本編の俺とまるで関係ねぇ!

そうだっけ~?

俺、本編で「~さ!」なんて言った覚えねえよ!

いや、きっとキャッキャウフフ話のどこかで言ってたよ~

えっ?!



言ってなかったぞ!どっちの話も!

わざわざ見て来たんだ、恥っずかしぃ~い

く。。。まるで反省してねぇじゃねぇか。。。

卑屈になっても反省などしない!後悔しても反省などしない!

ロクデナシめ。。。大体、新刊読んだだけにしてはテンション高すぎねぇか?

ふ、やっと気付いたか

なに?何かあんの。。。?

以前言ってた「感想」、好評でしたーっ!

え、あ。。。ああ、すっかり忘れてたわ!どれどれ?
『面白いです!応援しています!』
か、やったな!

うむ、罵詈雑言だったらどうしようかと本気で悩んだ末のオープンだったが、良かった!

相変わらず、外からの評価には弱いな。。。
しっかしそうか~「面白い」か~、あれ?「面白い」?

どした?褒め言葉だぞ、「面白い」ってのは!

いや、そうなんだけど、日付が。。。

日付?

この感想書かれた日付と時間って『乃木若葉』編に入ってすぐじゃね?

あ、そうだね

つまり、あの西暦勇者との邂逅と嗚呼ガンダ○の回。。。

そう…なるな?

コレってやばくね?

え…?どういうこと?

あの回ってシリアスの欠片も無かった回だよ!
お前に求められてるのはギャグ回ってことなんじゃ…

え?ええ?

その証拠に、大阪とか諏訪でちょっと真面目な回入ってから感想来てないよ!

ええっ?そんなっ?

どうすんの!お前今回と前回、シリアス上げちゃったぞ!

ど、どうしよう?!

あ~!もう駄目だ!お前もう見捨てられたわ!

い…いや、いくらなんでもそんな事は…

無いって言い切れるのか?

え…

絶対の自信持てるのか?あの話に?

ええ…

自分で完結も解決もしてないって自覚ある話に?

えええ…

そこまで自信があるのか?

ええええ…

ふ~っ、残念だったな。。。

で、でもさ

なんだ?何かいいわけがあるのか?

『ダイナマイトガイ』のときって完全ギャグ回だったのに感想なかったよ?

既に見捨てられた後か

ふえっ

あまりのクオリティの低さに評価に値しなかったか

ふえぇっ

自分でも酷いって言ってたしなぁ。。。

ふえぇぇっ

あ~残念、残念!

あ、そ、そうだ!もしまだ見捨てられてないなら!

まだなにか?

今回の後書きに書いた話、ギャグっぽくない?

東郷さんツッコミ話か

そうそう!

あんな東郷さん、フツー書かねぇよな。。。

だろ?!

不評じゃないといいな。。。

え~~~~…

「東郷さんは黒くてなんぼ!」
「突っ込み疲れる東郷さんなんて!」
「そもそも東郷さんはツッコミなんてしない!」
「清楚で可憐な東郷さんを返して!」
とか言われるともう取り返しがつかないなぁ。。。

が~~~~~~~~ん…

東郷さんファンまで敵に回すとか、ウチの作家様は度胸ありますなぁ!

い、いや、アレは…

まだ諦めきれないのかね。。。

アレは園子といると鷲尾の頃が甦るっていうか…

へ~

そういう…話を…だね?

ふ~ん

ね、聞いてる?

『上の話で叩いておいて正解だったぜ!』

え?

さっきのお前の台詞~

あ…
ああ~っ!

そっか~、叩いちゃったか~、正解だったか~

ちょっ!それっ!

いや~、東郷さんファンはご立腹でしょうなぁ!

い…今からでも消せば…

おうおう、吐いたつば飲まんとけや、オッサン!

くっ…

どうした?もういい訳はないのかね?

あ…

あ~?なんだって~?

…せん…

ああ~?聞こえんな~?

ありませんっ!

いよっしゃぁ!勝った!

負けたぁ…何がなんだかわからん内に負けてしまったぁ…

ふっ、コレに懲りたらこれからはイケメンダンディーな俺様を描くことだ。。。

いや…今のやり取りでお前の株は大分下がったと思うぞ…

え。。。?

<なんだ?この最終回?>


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