魔法先生ネギま!-Fate/Crossover servant-   作:魔黒丼

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第9話

 ―2年の学年末から今に至るこの短い期間で、明日菜を取り巻く環境は激変した。

 ことの始まりは自身の担任である子供教師―ネギの赴任から始まり、図らずも魔法の世界に触れる事になった彼女は、ネギを中心に巻き起こる魔訶奇天烈なトラブルに毎日のように振り回されるつつも彼を助けることで解決する、そんな日々を送っていた。

 

 もともと子供が嫌いだった彼女は出会った当初こそネギの事も毛嫌いしていたものの、懸命に教師として、そして立派な魔法使いになる為に一生懸命になるネギの事をどこか憎みきれず、いつしか何か起こるたびに気に掛けるようになっていた。

 

 そしてこの日も、たまたま駆け付けた時には既に事は始まっていた。

 いつもの帰り道、先に別れた宮崎のどかを家まで送り届けようと、友人の木乃香と一緒に桜通りまで戻って来ると、気絶した(何故か半裸の)のどかと、彼女を抱えるネギの姿があった。

 

 予想だにしない光景に驚く間もなくネギは抱えていた彼女を明日菜たちに任せ、砂ぼこりの奥に消えた人影を猛スピードで追いかけて行った。

 

 呆気に取られたのも束の間、明日菜は気を失ったままの宮崎を木乃香に押し付けて、夕闇に消えていったネギを追いかけた。

 

「もー!アイツはまたワケわかんない事に巻き込まれて!ヤバい奴だったらどうすんのよ!」

 

 悪態吐きながらも漏れる言葉からはネギに対する憂慮が含まれるあたり、彼女の人の良さが滲み出ている。

 

 とは言え、明日菜は既にネギの背を見失い、夕闇に包まれた麻帆良を闇雲に走っていた。

 時折、遠目にだが戦っているであろう魔法の光が見えるものの、はっきりとどこに居るのかまでは追えていなかった。

 

 ―こうなったら校舎の屋根にでも登って…。

 

 そんな、やぶれかぶれな思い付きを実行しようとした時だった。

 突如、彼女の頭上に雷鳴が轟いた。

 

「―――はっ!?なに、雷っ!?」

 

 思わず見上げたそこには、桜の花びら舞う夜空には似つかわしくない巨大な蹄と無骨な車輪があった。

 

「はぁああ!?」

 

 堪らず素っ頓狂な声をあげた彼女を誰が責められようか。

 真っ黒な巨大な牛が刺々しい派手な荷台を牽き、雷電を撒き散らしながら夜空を駆けているのだ。

 戦車(チャリオット)を知らない彼女からすれば、いや、戦車(チャリオット)を知っている者から見ても、それを現実だと受け入れることは甚だ難しいだろう。

 

 唖然と見送りかけた明日菜だったが、まさにその荷車に乗る人物を見て我に返った。

 

「あ!綾瀬さん!?」

 

 驚愕する視線の先には深紅のマントを翻した巨漢の背中と、そのマントにしがみ付く夕映の姿があった。

 

 「な…なんで綾瀬さんが…それにあの大男は…だれ?」

 

 湧き上がる疑問を考える間もなく、その姿はどんどん小さくなってゆく。

 しかもよく見れば、あの奇妙な牛車(・・)もネギたちが居るであろう方向へと向かっていた。

 

「―――ああもう!いったい何が起きてんのよぉーーー!!」

 

 今日何度目かの咆哮を上げながら、明日菜は雷の轍を追って行った。

 

………

……

 

呆気に取られたままのネギとエヴァたちの上空を戦車は旋回し、徐々に速度を落としてゆく。

 

 やがて牡牛たちの歩みが一番落ち着いた具合を見計らって、御者台から夕映を小脇に抱えたライダーが屋根の上に降り立った。

 

 ちょうど三人から少し離れた尾根の端である。

 

「ネギ先生!」

 

 その太腕から解放されると同時に夕映は声を上げた。

 並び立つライダーも、豪胆な笑みを浮かべたままネギたちを睥睨する。

 

「ほぉ…誰かと思えば坊主ではないか。して…そやつらが此度の下手人か?」

 

 そう言ってネギを拘束するエヴァと茶々丸を見るライダーの瞳は冷静だった。

 対照的に夕映は動揺を隠しきれずにいた。遠目にネギを拘束する二人の姿を確認した時から彼女の気はずっと動転したままだった。

 

「エヴァンジェリンさん…それに茶々丸さんまで…これは一体どういう事なのですか?」

 

 口調こそ冷静を装ってはいたが問いを掛ける彼女の表情は困惑に歪んでいた。

 対するエヴァも、予想外のイレギュラーの乱入に内心は混乱の極みだったが、そこは数百年生きた吸血鬼の意地かソレを決して表情には出さないでいた。

 

「フ、フフ…綾瀬夕映と、その使い魔か…まさかそんなモノ(戦車)まで持っていたとはな」

 

 不敵な笑みを無理やり浮かべてエヴァは巨漢の双眸を見つめ返す。

 月夜に煌めく紅い瞳と、口元から覗かせる鋭い牙を見てライダーはエヴァの正体を察した。

 

「なるほど…貴様が(くだん)の吸血鬼だな」

 

「え!?」

 

 彼の口から発せられた事実に驚嘆する夕映だったが、そんな彼女を尻目にエヴァは冷笑を以って返した。

 

「フ…理解が早いな、征服王」

 

「ほう、余の正体を知っているとは…どうやら昨夜のぞき見していたのは、やはり貴様だったようだな。とすると…口ぶりから察するに先日の書庫での小競り合いも観ていたと見るが…」

 

「推察のとおりだ…私はオマエが図書館島に現れた時からずっと見ていた」

 

「成る程な…ところで、そこの小娘がとっ捕まえている坊主はこやつ(夕映)の教師でな。早々に開放せよ」

 

 言いながらライダーは、やおら剣を抜く。

 それを見たエヴァは、これ見よがしにネギの首元に鋭い爪を突き立てた。

 

「断る、と言ったら?」

 

 そう問い返すエヴァは余裕を振りまくように底意地悪くにやついて見せた。

 

「う…くっ…」

 

 爪の先が僅かに刺さるネギの首元から血が滲む。

 傍らで見守る夕映が不安げな表情を浮かべるなか、ライダーはおもむろに剣を振り上げた。

 

 直後、大気を揺らすほどの轟音と振動、そして目も眩む閃光が両者の間に落ちた(・・・)

 それは紛れもなく落雷である。

 雲一つない月夜の下で発生した雷電の元は疑うべくも無く、頭上の戦車からだった。

 

「―――なっ!?」

 

 浮かべていた笑みも消え去り、空を見上げて吃驚するエヴァに向かって、ライダーはその切っ先を向けた。

 

「さもなくば…ゼウスの雷霆が貴様の身を貫くことになるが…さて、どうする?」

 

「くっ…」

 

 エヴァは苦悶の表情でライダーを睨んだ。

 いまだ人質(ネギ)と言うアドバンテージがあるものの、それ以上の事が出来ない彼女は完全に手詰まりな状態に陥っていた。

 目的であるネギの血は吸えず、対抗するだけの魔力もいまだに集まっておらず、人質だけが盾にしかなりえない自らの不甲斐なさにエヴァは苦虫を噛み潰したように表情を歪めた。

 

 しかし、無闇に手を出せないのはライダーとて同じだった。

 吸血鬼と対峙するのは初めてではあったライダーだったが、眼前の少女から感じられる魔力は人外にしてはあまりにか弱く、如何な搦め手を使われようと圧勝出来る確信が彼にはあった。

 だが、それを阻むのはやはり人質(ネギ)の存在だった。

 どれだけ圧倒的な武力を誇ろうと十全に活かせなければ意味は無く、自慢の戦車も牡牛の雷撃も人質を前にしては甚だ無力であった。

 無論、人質を無視して悉く蹂躙することも可能ではあるのだが、それはマスターである夕映の望むことでは無いし、何より彼自身がそのような外道な振る舞いを許せる筈も無く、結果として彼もまた手詰まりな状態のままエヴァたちを睨みつけることしか出来ずにいた。

 

 両者は無言のまま睨みあい、この膠着した状態がどれだけ続くかと思われた、その時だった。

 

「コラーーーッ そこの変質者どもーーーっ!!」

 

 何の前触れもなく、先ほどのライダーの咆哮に負けず劣らずの怒号が響く。

 何事か――とその場に居た全員が振り返った直後、首だけを動かしたエヴァと茶々丸の頬にローファーのつま先がめり込んだ。

 

「ウチの居候(いそうろう)に何すんのよーーーっ!!」

 

 飛び蹴り一閃。

 ようやく追いついた明日菜が彼女らの姿を見つけるや否や、それが誰かも確認することもなくネギを拘束していた二人に向かって渾身の飛び回し蹴りを喰らわせた。

 

 完全なる不意打ち。それは直撃した当人らだけでなく、真っ正面で見ていたライダーたちでさえ面食らうほどの完璧な一撃だった。

 

「――はぶぅ!?」

 

 意識外からの攻撃。しかも微弱ではあるが展開していた魔力障壁すらも打ち破る一蹴に為す術なく、エヴァと茶々丸は勢いのまま屋根の斜面を転がり、転落寸前で何とか静止した。

 

「か、神楽坂明日菜っ!?」

 

 想像だにしなかった横やりの正体に驚愕するエヴァだったが、それは明日菜も同様だったらしく、頬を抑えてフラフラと立ち上がる彼女を見て目を丸くしていた。

 

「あんた達ウチのクラスの…ちょ、どーゆーことよ!?」

 

 声を荒げて問いかける明日菜に対し、想定外のダメージにふらつくエヴァには答えるだけの余裕はない。

 

「ぐ…おのれ…」

 

「どうやら、形勢逆転のようだな…」

 

 ゆっくりと剣を鞘に納めながらライダーは告げた。

 もはや勝敗は決したと告げるように睥睨するライダーを恨めし気に睨みつけるエヴァだったが、その紅眼にうっすらと溜まった涙のせいで、より少女らしい幼さが際立つだけだった。

 

「お、覚えておけよオマエたち…この借りは必ず返す!」

 

 最後にそう吐き捨てて、エヴァは茶々丸と共に背後の闇に身を投げだした。

 

「な!」

 

「あ――ちょっと!」

 

 思わず駆け寄る夕映と明日菜だったが、見下ろす屋根の下には二人の姿は無く、ただ真っ暗な夜道だけが無機質に広がっていた。

 

「ふむ…力を隠しているかと思ったが…どうやら本当に逃げたようだな」

 

 そう言って肩を竦めるライダーの表情には少なからず落胆の色があった。

 噂の吸血鬼がどれほどのモノかと期待していたものの、見えてしまった実力差に肩透かしを喰らった気分になった彼はエヴァが去ったことを確認すると、上空で待機させていた牡牛たちを早々に退去させた。

 

「は!?消えた!?」

 

 圧倒的な存在感を見せていた黒牛と戦車が、まるで霞のように消えてしまった事に目を剥く明日菜を尻目に、夕映は興味津々にライダーに尋ねた。

 

「ライダーさん、さっきの戦車のことなんですが…」

 

「おぉ、そう言えば急いで来たもんだから説明していなかったな。あれはゴルディアス王がゼウス神に捧げた供物でな、余が(ながえ)の綱を切り落として手に入れたもんだ。…余が騎兵(ライダー)(クラス)に据えられたのも、きっとあいつの評判のせいであろうな」

 

「あれが以前に話していた『宝具』と呼ばれるモノなのでしょうか?」

 

「そうだ。『宝具』と言うのは、その英雄にまつわるとりわけ有名な故事や逸話が具現化したものであって、さっきまで乗っていた『神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)』もその一つだ」

 

「その一つ…と言う事は、宝具は他にもあると言うことですね?」

 

 夕映の質問に得意げな微笑みを浮かべてライダーは答えた。

 

「フフン、察しが良いではないか。然り、余が真に頼みとする宝具は別にある」

 

「それは一体どのような―――」

 

「ちょっと!あんた達!」

 

 夕映がさらに質問を重ねようとした時、ようやく我に返った明日菜が二人の会話に割って入る。

 

「あ、アスナさん…」

 

 すっかり明日菜の存在を忘れていた夕映は、明らかに機嫌が悪そうな彼女の様子を見て気まずそうに後ずさる。が、それを見て逃がさないとでも言うように明日菜は二人にグイッと詰め寄った。

 

「一体全体なにが起きているのか、でもってこの鎧を着た人は誰なのか…き~~っちり説明してもらうわよ、綾瀬さん」

 

 鬼気迫る様相で詰め寄って来る明日菜に、気圧されて言葉に詰まる夕映と肩を竦めて見守るライダー、と徐々に混沌としてきたその場に、不意にすすり泣く声が響いてきた。

 

「うっ…ううっ…」

 

 そしてその声は、意外と近くから聞こえていた。

 ようやく振り返った三人の視線の先には、目いっぱいに涙を溜めたネギが、もはや決壊寸前の状態で立ち尽くしていた。

 

「うぅ…アスナさん…」

 

「そうだ!ネギ!あんたまた無茶なこ――」

 

「うわーん!アスナさーーーん!!」

 

 明日菜の叱責が飛ぶより早く、ネギは明日菜に抱く着くと同時に、噴き出したように泣き声を上げた。

 

「ちょ、ちょ…危ないって、屋上なんだから…」

 

「ここ、こわ、こわかったですー!」

 

「あーはいはい、もう大丈夫だから。よしよし…何があったか、ちゃんと話して」

 

 泣きわめいて抱き付くネギと、まるで母親のようになだめかす明日菜のやり取りに、場の空気は少しずつ弛緩していった。

 

「やれやれ…やはりまだまだ子供か」

 

「はい…ですが、それでこそネギ先生なんです」

 

 そんな微笑ましい光景に嘆息するライダーと夕映だったが、ネギをあやしつつも明日菜は二人をじろりと横目で睨みつける。

 

「あとであんた達にも説明して貰うからね」

 

 そんな明日菜の宣告に夕映は脱力したように肩を落とし、そんなマスターの姿にライダーは労うようにポンと肩に手を置いた。

 

………

……

 

 一方、撤退を余儀なくされたエヴァは自らの邸宅に帰るや否や自室に閉じこもると、脳内で計画の練り直しを行っていた。

 

 もともと今回の一連の騒動は、15年前、ネギの父親である『千の呪文の男(サウザンド・マスター)』に掛けられた『登校地獄(インフェルヌス・スコラスティクス)』などと言うバカげた呪いを解くための計画に他ならなかった。

 

 ことの発端は半年前、ネギが麻帆良学園に赴任してくると聞いたのが始まりだった。

 相手は子供とは言え、呪いによって力を封じられていたエヴァは対抗策として、学園の女子生徒から血を集めて力を蓄え、やがて来るその時の為に雌伏の時を費やしていた。

 

 そして今日、ようやく忌々しい呪いから解放されると思っていた矢先に二つのイレギュラーが起こった。

 

 それがライダーたちと神楽坂明日菜の乱入である。

 

 後者に関しては茶々丸という対抗手段がある為、そこまで重要視してはいない。

 しかし前者に関しては別格だった。

 

 いかに力を失っているとは言え、かつては『闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)』と恐れられていた彼女は平場の魔法使いなどに後れを取る気はさらさら無かったが、現状の魔力量ていどでは、膨大な魔力の塊であるライダーに対し対抗できる策など持ち合わせてはいなかった。

 

 まして相手は英霊(サーヴァント)。人類から逸脱した精霊の上位種であり、まともに当たっては例え全盛期であったとしても、ただでは済まない。無論、敗北するなど思ってはいないが、無傷では済まないだろう。

 

 それはさて置き、どれだけ“たられば”を考えた所で今の彼女は無力である事は変えようもない事実であり、それは彼女とて重々弁えていた。

 だからと言って長年待ちに待ったチャンスをふいにするなど許せる筈が無い。

 ならばどうする―――頭を掻きむしり、焦燥感に駆られる彼女の目にふと、机に置きっぱなしにしてあったあの本(・・・)が飛び込んだ。

 

「……」

 

 吸い込まれるようにその本を手に取ると、無造作にページを捲る。

 それは先日、夕映が地下図書館から回収した例の本だった。

 

 解析の途中で放り出しいてたその本をパラパラと捲ると、彼女はあるページで手を止める。

 薬箱を持った茶々丸が部屋をノックしたのは、それとほぼ同じタイミングだった。

 

「マスター、薬を用意しました。傷の手当てを…」

 

 扉を開こうとする彼女より早く、エヴァが扉を吹き飛ばす勢いで部屋から飛び出してきた。

 

「茶々丸、すぐに『別荘』の用意をしろ」

 

「マスター?」

 

「ふっふっふ、何が“征服王”だ。使い魔風情が、わたしを怒らせたことを後悔させてやる」

 

 

 背後に控える従者の制止も聞かぬままエヴァは鼻息荒くずんずんと家の奥へ向かって行く。今に見てろと言わんばかりに息巻く彼女の目はどう見ても冷静さを失っており、明らかに私怨に曇り切ってた。

 

「お待ちくださいマスター。一体なにを…」

 

「フフフ、目には目をだ茶々丸。奴が英霊(サーヴァント)であると言うならば、同じ英霊(サーヴァント)をぶつければ良いだけのこと…」

 

 そう言うとエヴァは地下室の人形部屋の更に奧にある物置部屋へとやって来た。

 部屋の中には埃を被った古い本棚や道具箱、さらにはあらゆる用途の魔道具が乱雑に捨て置かれていた。

 

「ですがマスター、そちらの本にあったように、サーヴァントの召喚には聖遺物が必要なはずでは…」

 

「そんなことは分かっている」

 

 茶々丸の方を一顧だにしないまま、エヴァは片隅にあった箪笥を漁っていた。

 彼女の解読によれば、英霊の召喚には触媒となる聖遺物の存在が必須(・・)とのことだった。

 

「あったぞ…」

 

 口元に孤を描くエヴァの手には布に包まれた何かがあった。

 

「それは…?」

 

「かなり昔に私を罠に嵌めようとしたバカがいてな…返り討ちにした際、命と引き換えに明け渡してきたモノだ」

 

 茶々丸の持つランプの明かりに照らされながらエヴァはそれを丁寧に布から取り出した。

 

 それは『(かぎ)』だった。

 だが単に鍵と呼ぶにはあまりに華美に過ぎるものだった。それは余りにも装飾過多であり、彼女の手のひらに収まりきらないほどの大きさのそれは黄金と宝石で豪華に彩られていた。

 

 見た目の金銭的価値でも計り知れないそれは、茶々丸にさらなる驚きを与える。

 

「…僅かにですが魔力の反応があります」

 

「そうだ。茶々丸、これは人類の最も古いマジックアイテムの一つ…この世の全てが詰まっていると言われる宝物庫の鍵だそうだ」

 

 無論、所詮は伝説だ―――そう付け加えてからエヴァは更に続けた。

 

「だが…この鍵の持ち主が私の予想通りなら―――私は最強の英雄を使い魔(サーヴァント)に出来る」

 

 何かを確信した笑みを深め、エヴァはようやく茶々丸に目を向けた。

 

「支度をしろ茶々丸…サーヴァント召喚の儀式を執り行う」

 

 そう告げる彼女の深紅の双眸に、茶々丸ただ恭しく従うだけだった。




………
……

…ホントに続くの?

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