「グハハハハ!こんなに強い挑戦者は久々だな!」
疲れて眠ったせいで、夕飯を作り損ねた日から数日。俺達はクロガネシティに着いた。いよいよ待ちに待ったジムへの挑戦だ。原作ではヒョウタがジムリーダーだったが、今はまだヒョウタの父親のトウガンさんがジムリーダーらしい。…ミオシティのジムリーダーはどうなってるんだろうか…
今回は最初に俺が挑戦し、その後にシロナが挑戦する。二度目の人生では初の挑戦ーーーといっても前世では画面越しだったがーーーではあるが、シロナの手前格好悪い所は見せられないため、全力で攻略しようと思う。ちなみに、シロナには観客席へ行って貰った。
「よくここまで来たな少年!次はジムリーダーの俺が相手だ。」
そして現在。俺はジムトレーナーを倒し、ジムリーダーのトウガンさんへの挑戦権を手に入れた。ところで、岩タイプのジムのジムトレーナーと言えば『タケシさんに挑戦なんて100万光年早いんだよ!』のジムトレーナーが印象的なんだが、この世界でも戦うときに言ってくれるんだろうか。私、気になります!
…どこかの古典部部長が憑依した気がするが、きっと気のせいだろう。初めてのジム戦に緊張しているのかもしれない。
そんな事を考えていると、不意に声が聞こえた。
「ハルトー!頑張れー!」
「お父さん頑張ってー!」
シロナも応援してくれているんだから頑張らないt…ん?なんか一人多かった気が…
なんということでしょう。信じて送り出した幼馴染の女の子が男(ヘルメットを被ったショタ)と一緒に居た。あれれ~?おかしいぞ~?
なんて、
「おう!頑張るぞ!」
野太い声の持ち主はトウガンさんだった。ということは、あのショタがヒョウタ君か。なるほど、それならここに居ても不思議じゃないな。こうやって小さい頃からバトルを見て勉強していたから、原作で若くしてジムリーダーになれたのかもしれない。将来はジムリーダーだろうから、バトルするのが今から楽しみだ。
「グハハハハ!息子が応援してくれてるんでな、父親として格好悪い所は見せたくないから本気でバトルするぞ!」
「それはこっちの台詞です!」
遂に戦いが始まった。
「行け!イシツブテ!」
「行ってこい!ケーシィ!」
「ケーシィか…てっきりヒンバスだと思っていたんだがな!どんな工夫をしてくるのか楽しみだぞ!」
俺はジムトレーナー戦ではヒンバスを使っていた。まあ当然だろう。ヒンバスの波乗りを連打するだけで勝てる簡単な作業だ。今回も本当は、ヒンバスで無双する予定だった。
でも、そうする訳にはいかなかった理由がある。それは「まるくなる→転がる」とかいう鬼畜コンボのせいだ。一匹目のイシツブテはまるくなる→転がるをタイプ一致で放ってくる。
でも、まだそれだけならよかった。問題は、イシツブテの特性が『がんじょう』であることだ。これがあるせいで、ヒンバスがどんな攻撃をしようと一回は耐えられる。つまり、イシツブテの攻撃を喰らうと言うことだ。いくら『まるくなる』をしていない『転がる』の一回目だとしても、ヒンバスの紙耐久ではとてもじゃないが耐えらないだろう。そうなったら最後、威力の上がり続ける攻撃に耐えられずパーティーが壊滅するだろう。
だから今回はケーシィに、絶対イシツブテ倒すマンになって貰う事にした。勝つための条件は一つ。相手が最初に出す技が『まるくなる』であることだけだ。だから、その確率を上げる為に、ちょっとした策を用意した。
「イシツブテの対策はバッチリしてきましたよ!」
こう言っておけば対応は『いつも通りの戦略』か『全く違う戦略』のニ択しかないだろう。そして、俺の想像通りならトウガンさんはーーー
「グハハハハ!それは楽しみだ!ならお望み通りやってやろう。イシツブテ!まるくなるだ!」
よし!計画通りだ!
「ケーシィ!身代わり!そしてそのままアンコールだ!」
「っ!…なるほど、確かにこれならイシツブテは何も出来ないな。普通、その歳では攻撃する事にしか頭がいかない物だが…今でこれなら将来が楽しみだな!」
さて、もう作戦は成功したが、ここからがこの作戦の要だ。
「ケーシィ!イシツブテが三回まるくなったらもう一度アンコールだ」
イシツブテにもう一度アンコールをかける。相手が行動出来ないうちにさらに攻撃。
「エナジーボール!」
イシツブテは岩・地面タイプだから、草タイプのエナジーボールは威力が4倍だ。勿論、イシツブテはそんな攻撃を耐える事はできないが、特性『がんじょう』で持ちこたえる。しかし、『アンコール』の効果はまだ続いている。
「そろそろアンコールの効果が切れたか。ケーシィ、もう一度アンコール!そしてそのまま自己暗示!」
「⁉そういう事か!自己暗示でケーシィの防御力を上げるのが目的だったのか!グハハ!素晴らしい戦略だ!」
「止めのエナジーボール!」
イシツブテは倒れる。
「イシツブテ、お疲れ様だ。イワーク!行け!」
「ケーシィ!エナジーボールだ!」
憐れイワークもエナジーボールの前に沈む…事はなかった。理由は単純。イワークも特性が『がんじょう』なのだ。攻撃に耐えたイワークは反撃してくる。『岩落とし』本来ならば、紙耐久なケーシィの身代わりは消えてしまうが、ここで『自己暗示』が効いてくる。
「やはりか!防御力が上がっているせいで身代わりが壊れない!」
イワークを倒すとラスト一匹のポケモン。
「グハハハハ!こんなに強い挑戦者は久々だな!」
「ありがとうございます!でも手は抜かずに最後まで本気でいきますよ!」
「グハハハハ!それでよし!『ポケモンバトルは最後まで全力で!』それが強いトレーナーの条件だ!」
ポケモンバトルは最後まで全力で…か。
「言われなくても最初からそのつもりです!」
こうして、最初のジム戦は勝利で幕を閉じた。
「それでは、俺達の勝利を祝いまして」
「「かんぱーい!」」
あの後、シロナも無事にバッジを手に入れる事ができた。そして今は二人だけの祝賀会だ。
「それにしても、ハルトのバトル凄かったね!」
「ありがとう。いやー…実は最初にまるくなる以外の技を出されてたら負けてたかもしれないんだけどね。」
「それでも勝ったんだから凄いよ!」
そ、そんなにべた褒めされたら…ね、調子乗っちゃうよ?いいの?
「いいよいいよ!ハルトは自信持っていいんだよ!」
「だ、だよな!よっしゃ!じゃあ………あれ?」
「ん?どうしたの?」
「いや、今、俺の心でも読んだ?」
「?」
「い、いや、なんでもない。」
ジム戦には勝てても、シロナには勝てない気がする。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
凄く間が空きましたが、エタってはないですよ?
いやー…それにしても結構間が空きましたね(二回目)前回の更新が5/27だから…28日!ほぼ1ヶ月ですね。
リア友は結構な頻度で更新してたんですけどね…いかんせんモチベーションがね…
次回の更新はいつだろう(遠い目)それは作者も知りません。
こんな作者と作品でも読んでくださると言う方は、次回をお待ち下さい。