ある日の宿毛泊地―
今日もきょうとて、日がな一日を気ままに過ごす提督と艦娘たち。
任務で忙しない娘もいれば、一日をだらだらと過ごすコもいる…有体に言えば暇ですな。
そんな中、静寂の泊地内に悲鳴が響き渡る。
「いやあああぁぁぁ!!?」
「!?ど、どうしたでちか?イヨちゃん??」
イヨちゃんが何やら冷蔵庫の中を見て叫んでいる。…あっ潜水艦の休憩室にある小さいやつです。
「わ、私の…モナカがない!!」
「…え?」
ゴーヤちゃんが疑問を口に出すと、イヨちゃんはすかさず続けます。
「わっかんない!?私の”あずきモナカ”だよお!!」
「ああ、間宮さんに作ってもらった…?」
「そう!あの舌触りと濃い甘さが癖になるんだよお…おすすめ!」
これね、史実ネタとかなんでもなくて、ただの作者の好きなモノ。豆知識(?)な。
「そ、それはいいでちけど…無くなったんならまた作ってもらえば?」
「いーや!それは違うよゴーヤ先輩!!…私の愛した”間宮謹製あずきモナカ”はもどってこないんだよ!!」
「えーっそんな大げさな…」
「こうなったら…私、犯人を探す!そしてぇ、イヨちゃんのものをかっぱらったことを後悔させてやるんだから!!」
???「なるほど…話は聞かせてもらった」
「だ、誰!?」
(これもうナレーションいらないんじゃ…)…え!?仕事?ご、ごほん
たった一つのドヤ顔貫く、見た目はドヤ顔、頭脳は”割と”大人!その名は
―ドヤ顔探偵磯風!!(CV高山み〇み)
「い、磯風!?」
「フッ…この磯風が、この難事件を解決してみせよう」ドヤァ
おやおや、面白いことになりましたねぇ…ってこれ展開的にどうなるんでしょうか??
知らぬを告げる不知火「知らぬ。」
・・・・・
「まず、状況を整理するぞ」ドヤァ
「うん」
「では、お前たちが出撃している間に、犯行が行われたと?」
「そう、オリョクルの帰りにこの休憩室に立ち寄って…」
「イヨちゃんが冷蔵庫を開けて、悲鳴が聞こえたんでち。」
「私のあずきモナカが無くなってるんだもん!そりゃ声も上がるってもんよ!!」
「まあ落ち着け…ふむ?」
磯風ちゃんは、冷蔵庫に視線を走らせる。すると…?
「ほう…?」
冷蔵庫の前の床に、モナカの食べかすであろう粉が散らばっていた。
「うわあ~汚いでち…」
「ふうむ」
不意に冷蔵庫を開ける磯風ちゃん。中には上にモナカが乗っているはずの空の受け皿。
「なるほどな」
「分かったの?犯人が!」
「いや、がおおよそ絞ることができる。」
「犯人をでちか?これだけで??」
「ああ…人間の心理、というやつだ。」
おお~、意外とそれっぽいです。名探偵誕生となるでしょうか?
「まずモナカを食べるとどうなるか、だ」
「えーとぉ、床とかが、かすで汚くなる?」
「そうだ、心理的に人間は汚いことを良しとしない…そうでない人間もいるが。」
「じゃあどうすれば…」
「それは、この受け皿だ…そういった神経質な者は、こう口元に皿を移動させてモナカを食べる。」
「なるほど!じゃあ受け皿に”かす”が無いとおかしいってこと?」
「そういうことだ、つまり導き出される結論は…」
「「…(ごくり)」」
「犯人は…”大雑把な人間”ということだ!」ドヤァ
「え?」
「えぇ…?」
ええぇー??
「…という訳で、事前に青葉に頼んでおいたこの”宿毛泊地大雑把3人衆”の情報を元に…」
「ちょちょ、ちょっと待って!…展開が早すぎるから!?」
「まずその推理が大雑把じゃないでちか!?」
「いかんのか?」ドヤァァ
いや、いかんでしょ!?
「もしかしてドヤ顔で曖昧にしようとしてる!!?」
「なんというパワープレイでち!!」
「褒めるな…早速事情聴取だ。尺がないから急ぐぞ。」
「「尺って何!?」」
やれやれ…では3人の事情聴取を、ダイジェストでどうぞ。
容疑者A「天龍」
「え?俺??ここでチビどもとゲームしてたけど?…そうだよ動いてnって!こら誰だ亀投げつけやがったの!?こうなりゃ奥の手ぇ!スターでぶっちぎり一位だぁ!!!」
マ〇カーかな?
容疑者B「瑞鶴」
「アタシぃ?ここでポテチ食べながらマンガ読んでた。いーじゃん暇だし?…ねえ面白そうなことしてるわね?今度はアタシも誘ってね!」
宿毛泊地的イメージでは、瑞鶴さんってトラブルメーカーなんですよねぇ…今回は違うようですが。
容疑者C「ポーラ」
「にぇへへ~えぇ、何もやってませんよーぉ?お酒も飲んでませんしぃ、ここでお話してただけ~うぇへ~」
「ってここ居酒屋なんだけど?(鳳翔さんのお店)」
「そんなこといわずぅいけずぅ?イヨちゃんも飲みます~?体が熱くなりマシュよぉ~ぽかぽか。」
「えーどしよっかな~?」
「おいのん兵衛さっさと行くでちよ。」
「あ”ぁ!?ま、また今度ねえー…(ずるずる」
・・・・・
事情聴取が一通り終わり、部屋に戻ってきた一行。
「結局全員にアリバイあり…か」
「うーん…じゃあ一体誰が?」
「「「う~ん…」」」
「…アンタら何しゆうが?」
「あ!」
イヨちゃんが声の方へ振り向く。…皆さんは土佐弁だからって提督だと思ってます?
いいえ、違います。彼女には気品があります!
見た目は加賀さん、口調は土佐弁!その名は…!
―宿毛泊地の加賀さん!!(たかみな)
「そのネタまだ引っ張るんでちか!?」
「加賀さん、どうして此処に?」
「瑞鶴が面白そうやち話すき、心配になったがよ。」
「ふむ、では加賀さん事情はかくかくしかじか、だ。」
…これで通じるんですから凄いですねぇ?
「…それやったら、防犯カメラには何か映ってないが?」
IYO「え?」
イソッチダヨー「防犯…」
でち「カメラぁ?」
「あるやろ普通。…待ちよりや、今持ってくるき。」
そういって部屋を後にする加賀さん…いやあ、盲点でしたねぇ?
「…絶対気づいてたでち。」
ナンノコトカナ? …っと、加賀さんの持ってきた防犯カメラの映像を覗いていると?
「あ!これ!?」
「見覚えのある後ろ姿だな?」
「…ああ。」
「そうやろとは思いよった。」
そこには、冷蔵庫を漁る「提督」の姿が…。
「提督!?」
「お?呼んだかよ??」
後ろを振り返ると、あくびをしながら提督が一行の前にいた。
「司令、眠そうだな?」
「おお、昨日は徹夜しよってにゃぁ…」
瞼をこすりながら言う提督。
「…お仕事、そんなに大変だったの?」
「うんにゃ、ノッブをしばき周りよった(エフジー○ー)」
「「「「おい!!!」」」」
「やから寝むうてにゃぁ…ふぁ~あ!」
大きなあくびをかました提督は、懐から何かを取り出す。
「あ!あずきモナカ!?」
「市販のやつで悪いけんど、これで勘弁しちょいて?」
そういうとイヨちゃんにあずもな(アイス)を手渡す。
「…あ、ありがと?」
「どういうことでち?」
「ん~? えっとな」
提督はこうなったあらましを簡単に説明する。
◇
―おぉ~い!イヨ~?運営さんが何か書類だせ言うがやけんど?なんか…せーしき配備のなんちゃらって…ふぁー!ねむ…
…ん?冷蔵庫開けっ放しやん。いかんやろこれ…お?アイスが…あ~溶けちゅう!これはしかし、間宮さんの…え~もったいな!
うーん…えいか!これはオレがもらってっと…後で代わりを買ってくればえいやろ!…うん!うまい!!
◆
「…つまり冷蔵庫が開いていて、アイスは溶けていた…と?」
「そうながよ」
「…確かに開いちょったみたいやね。」
映像を確認しながら加賀さんが言う。…それってそういうことですよね?
「…イヨちゃん?」
「えとぉ…アイス食べるの楽しみ過ぎて、冷蔵庫閉めること忘れてた…?」
………。
「何か…ごめんなさい;」
「いやぁ、俺も勝手に食べてしもうて、すまんかったにゃぁ」
「いいよ、溶けてたし…それに代わりも買ってきてくれたし?」
「ほうか?それよりはよぉ食べよぉ? 溶けんうちに」
「う、うん…ありがと、提督」
「あ~あのにゃ、また間宮さんに頼んでみるき? 今はそれで…にゃ?」
「…うん!」
「これにて一件落着!!」ドヤアアア!!!
「磯風は何もしてないでち」
「辛辣な。」
カガーリン「あほクサ」
こうして、宿毛泊地の一日は流れていくのであった…。
……あの、こんなオチで大丈夫ですか?
シラ不知火「知らぬ。」