閻魔様、現代入りで社会勉強   作:神おむつ

8 / 9
申し訳ございません、かなり投稿遅れました。
そして皆様お久しぶりでございます( ̄^ ̄゜)
プライベートと仕事が忙しく、中々こちらに手をつける事ができずにいました。
さて話は変わりまして、
今回は映姫様と十神くんのデートですね!
現代入りでは定番の展開となっております。
それでは8話どうぞ(≧Д≦)


【8話〜閻魔、ショッピングモールへ行く】

太陽が照らす光を浴びた雪達は、キラキラと言う表現をするのに相応しい輝きを放っていた。

 

現在は冬。

 

俺が住む田舎街は都道府県でもダントツで北に位置するので、勿論この時期は物凄く寒い。

それは少し離れた都会の街でも決して変わる事ではないのだ。

 

「うぐっ……寒いぞ…」

 

その証拠に俺は今、寒さに震えている。

 

「あの、車から降りてまだ一分も経っていませんが…」

 

俺の愛車の助っ席から降りた四季映姫は、ジト目でこちらを見ながら無慈悲な一言を放つ。

いや、君は僕の暖かいコート着てるから寒くないだろうけどさ。

 

俺のコートはどう見ても真冬に着るようなコートではない。

秋の終わりくらいから本格的に冬に入る前までの間、その間に着るような物だと俺は勝手に思っている紺のロングコートだ。

一方四季映姫の着ている俺のもう一つのコートは、黄土色っぽいフード付きのコートである。

真冬でも充分に寒さを凌げる一品だ。

 

「…何で立駐空いてねーんだよ」

 

ここは俺の住む街から車で一時間ちょっとで来る事ができる、田舎とは正反対の都会の街。

今日はその中の、大型ショッピングモールに四季映姫と買い物に来ている。

 

まぁ先程も思った事だが、都会だろーが田舎だろーがここら辺は何処も彼処も寒い。

 

よってもう一度言おう。

 

寒くて震えてます。

 

あぁ、しばれるしばれる。

 

「四季映姫、早く中に入ろうぞ」

 

「全く…康一はだらしないですねぇ」

 

腰に両手を当て、またもやジト目で呆れる四季映姫。

その仕草がちょっと可愛かったので、だらしない自分に少し感謝してます。

 

…そんな事言ったら説教されそうだな。

 

こんな寒空で説教されたら五分ともたないので、邪念は捨て去る事にしよう。

 

「それでは中に入るとしましょうか。康一に寒さで死なれても困りますからね」

 

悪戯っぽく、人をからかうようにそう言った四季映姫は、一足先にショッピングモールの入口へと歩き出す。

 

待ってくだせぇ四季映姫さん。

ぼかぁ、そんなに軟弱じゃありゃせんぞい。

 

その台詞自体が既に軟弱な気がするのは置いといて、ショッピングモールの中へ入ると相変わらず人で溢れていた。

流石は全国展開していて、誰でも一度は行った事のある有名店だ。

 

「凄い人の数ですねぇ、広さもかなりありそうなので迷子にならないように気を付けなくてはですね」

 

「四季映姫でも迷子になる心配とかするんだね」

 

「むっ、貴方は私を何だと思っているのですか?」

 

可愛らしい閻魔様。

 

なんて恥ずかしくて言える訳がない。

 

俺そんなに度胸ありません。

 

…だからヘタレなんですね分かります。

 

「んー、美少女閻魔?」

 

「び、美少女って……そ、それに閻魔だって道に迷う事くらいあります!」

 

美少女。その単語に反応したのか、少し恥ずかしそうに言う四季映姫。

 

やったね十神くん!

ヘタレなりに頑張ったよ!

 

「じゃあしっかりと俺に付いてきてね」

 

「全く…分かりましたよ」

 

ここで手を繋げたらどれだけラッキーイベントであっただろうか。

んま、ヘタレには無理な話しなのデース。

 

…自分で言うとなんか、倍悲しい……

 

「まずは衣類ですかね」

 

「私服、本当にそれしかないんだね」

 

上は白っぽいワイシャツ。

首元には可愛らしいシンプルなリボンがついており、下は紺色のコルセットスカートってやつかな?

靴は冬物のレースアップシューズで、色合いはブラウンを主体としている。

 

うん、何これドストライク。

 

妖怪の賢者様とやらは俺の好みをよくご存知のようで。

 

「正確にはゆか…妖怪の賢者が用意した服なので私のではありませんけどね」

 

それに家にいる時は仕事着しか着る物がないので家着も欲しいです、と四季映姫は続け様に言った。

 

え? あの服仕事着なの?

 

(仕事着めっちゃ可愛いやんっ!)

 

「康一、大丈夫ですか、変な顔してますよ?」

 

「ん、あ、あぁ、大丈夫だ問題ない」

 

某有名キャラの名台詞を言い放つものの、中々落ち着けない俺氏。

いや、あれ仕事着って何事。

俺今の仕事辞めて閻魔補佐とかになろうかな。

 

そんなアホな事を考えながらも、ショッピングモール内にある女性用の洋服店をいくつか回り、四季映姫の気になった所へと入る。

よく分からんが最初に入ったのは、カジュアルな洋服店?

そんな表現で大体合っているだろうと思われる店だった。

 

「お店の種類が結構あって店選びから迷ってしまいましたね」

 

「洋服店だけでもかなり数があるからねぇ。まぁ時間はたっぷりあるわけだし、ゆっくり見ようよ」

 

「あ、あの…」

 

四季映姫が急に口ごもる。

何かもじもじし出したぞ。

 

んー、トイレ?

 

流石にデリカシーなさすぎだぞボケ。

 

「どうされた四季映姫殿」

 

「実は…ふ、服とか…自分であまり選んだ事が無くて…そ、その…一緒に選んで…くれますか?」

 

ぐっはっ。

 

俺にしか見えない幻想の血が口から飛び出た。

 

萌え力2800!

この娘の萌え力が激しく変化しやがるぞ!

右手で俺にしか見えない謎のスカウターを押さえつつ、俺はどこぞの惑星の王子みたいな台詞を吐いていた。

勿論、心の中でだ。

 

「き、聞いているのですか?」

 

「勿論だ、さぁ行こう」

 

らしくもないイケボ(だと思っているもの)を放ちつつ、早速店の中を回る事に。

 

と言っても俺、女性の洋服選ぶの人生で初かも。

 

いや……

 

……初だわ。

 

「…やっぱ待つんだ、俺も…女性の洋服なんて選んだ事ないけどそれでも大丈夫?」

 

「一人で選ぶよりは他人の意見があった方がいいと思いますので」

 

確かに、言われてみればそりゃそうだわな。

俺も服買う時は友達とか、仕事仲間と行ったりするのが大半だし。

 

コラそこ。

 

友達居たの?とか思わない。

 

「それでその…康一はお付き合いしていた女性とかは?」

 

「どしたの急に…あ、もしかして十神くん、馬鹿にされてる?」

 

「ち、違いますよ! ただ女性の服を選んだ事がないと仰っていたので…その、もし女性とお付き合いしていたのなら、そういった事を経験していたのではないかと思いまして」

 

四季映姫は焦ったように弁解をする。

 

お付き合いしていた女性……ねぇ…

 

一瞬…

 

一瞬だけ、その言葉を聞いて思い出す…いや、そんな表現じゃないな。

 

…浮かび上がる カオ がある。

 

そしてすぐに消え、再び視界には四季映姫の顔だけが映り込んでいた。

 

「康一…?」

 

「…さぁな、居たか居なかったか……そんな事より服見ようぜ」

 

俺は歩き出す。

 

「えっ、こっ、康一! 待ってください!」

 

急に歩き出した俺に驚きながらも、四季映姫も慌ただしく歩き出した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

一瞬…

 

一瞬だけですが、康一の様子が変でした。

 

聞いてはいけない事を聞いてしまったのかもしれない。

これまで異性とこの様な形で関わる事が少なかった私にとって、どの様に接したら良いのかが少ししか分からないでいる。

 

それでも彼は優しいから…

 

今はいつもの様に、笑って接してくれている。

 

先程の "居たか居なかったか" という彼の言葉。

 

あれは…嘘でした。

 

居たか居なかったかまでは私にも分からない。

 

しかし、居たか居なかったか覚えてない、そんな意味合いを含む彼の発言、あれは間違いなく嘘だ。

過去にお付き合いしていた女性の事で、何かあったのでしょうか。

でもこれ以上の詮索はこの場の雰囲気を悪くし兼ねない。

そもそも、私にそこまで詮索する権利もない。

 

(となればする事は一つ。…私もいつも通りでいればいい)

 

気持ちを切り替えて、自分の洋服を選ぶ事にする。

 

(とは言ったものの、こちらの世界の服はどれも見るのは初めてですし…よく分かりませんねぇ)

 

悩んでいると、彼が何着か持って私のもとへとやって来る。

 

「この白いセーターとか似合うと思うんだけど、どーかな?」

 

彼が持ってきてくれた、白のセーター。

網目がオシャレで素敵なセーターだ。

確かにこれなら私に似合いそうだ。

 

「確かにこれなら私にでも着れそうですね」

 

「他にもこのパーカーとかなら家でも着れるし、少し外出る時とかさ」

 

なんだ。

 

ちゃんと選べてるじゃないですか。

 

自信無さそうにしていた割にはテキパキ動いています。

 

先程の心配はいつの間にやら空の彼方へと。

今ではお互い笑を零しながら、洋服選びを楽しんでいた。

 

それからと言うもの、たっぷりと一時間程使い、買い物カゴがいっぱいになるまで洋服を選んだ。

彼は他の店でも選ばなくていいのかと聞いてくれましたが、こんなに買ってしまったのだ。

これ以上お金を出させるわけにはいきません。

これで十分満足してますと一言、彼にそう伝えます。

 

「そっか……まぁ、四季映姫が満足してるな良かったよ」

 

彼はそう言って微笑んでいた。

うん、やはり彼には笑顔が似合いますね。

 

(何とか場の雰囲気は持ち直したみたいですね)

 

購入した衣類が沢山入った紙袋を両手に持ちながらも、彼に勘づかれないように安堵する。

今は先程の洋服店を出て、ショッピングモール内を移動中です。

 

「他に必要なものがあったら言ってね。あんまり頻繁に来る場所でもないからさ」

 

「そうですね、あとは……あっ…」

 

大事なものをまだ購入してないです。

そして…それはとても…い、言い難いものでした…

 

「その、えっとですね…」

 

「ん?……あ、あぁ、そう言う事か」

 

いや、今ので理解するって割と凄いですよ!?

あと "そう言う事か" ってどう言う事ですか!

何だか…と、とても恥ずかしいです…

 

「すまん、気が利かなかった。お金渡すから見ておいで」

 

彼もまた恥ずかしそうにしながら、ある程度の現金を私に差し出した。

謝る程のものではないですが、それもまた彼の優しさとして受け取っておきましょう。

 

彼は少し離れた休憩用の椅子に座って待っていると言ってくれた。

 

さて、それでは見に行くとしますか。

 

……下着を。

 

 




最後の何行かは久しぶりに書いたので、少し変な感じかもしれません。
また誤字脱字等あれば、ご指摘お願いします。

次もそこまで投稿は早くないです。
すみません“〇| ̄|_
あとこれからは、ただ日々を過ごしていくのではなく、イベントなんかも盛り込んで内容を濃くしていきたいですね(願望

ちなみに今回は初のセリフから始まらない書き出しになっているんですよ?
気づきました?(どうでもいいですね
それでは次回も気長にお待ちください( ˇωˇ )

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。