ダンジョンに鉄の華を咲かせるのは間違っているだろうか 作:軍勢
ホント感想いただいている方々には申し訳ないです…
まだまだコロナで大変な時期ではありますが、この作品が暇つぶしの一助となれたら幸いです。
オルガが冒険者になってひと月が経った。
幸いなことに初回の様な怪物の宴が発生する様な事もなく
上層の4、5階層のモンスター相手にではあるが比較的安定して魔物を倒せるようになっていた。
まぁ、ステイタスを上げるために態とモンスターに袋叩きに遭うなんて事を繰り返した事がバレて
ヘスティア曰く、流石に他のステイタスに比べて耐久だけ三倍位の数値で伸びていたらバレるに決まっているとの事。
流石にそれだけ差があれば何かしらやらかしているのは一目瞭然であろう。
因みにダンジョン禁止令は三日に短縮され、その間はバイト三昧となり人手不足の現場や商店なんかからは感謝されていたのだが…そのあまりの
ヘスティアとしてはこの機に休んで欲しかったらしい。
そんなオルガではあるが、現在ある事に頭を悩ませていた。
眉間に皺を寄せ、苦悶に満ちた表情をしながらオルガは言葉を吐き出す。
「金が…足りねぇ…ッ!」
目の前にある用紙に書かれた金額は、今のオルガには到底払えるものではなかった。
さて、ここだけ見れば借金に首が回らなくなった経営者にしかみえないだろうが、オルガを悩ませている用紙は借用書ではない。
いつもバイトでお世話になっている土方のおやっさんに教会の修繕費を見積もって貰ったものである。
流石にいつまでもこのボロ教会を本拠地にするのはどうかと思ったが、意外とこの辺りは治安も悪くなく、更に土地代やら何やらが掛からない事をヘスティアから教えてもらったオルガが移転よりも修繕に方針転換するのはある種当然であった。
実際、中央の通りやら何やらとは離れてはいるが車が必要になる様な長距離ではないし、教会の敷地面積自体は広めな上に作りはしっかりしているので修繕すればホームとして問題なく機能できるという利点があった。
そして、その修繕費用を見積もってもらったら予想外に高かった事にオルガは頭を悩ませる事になったわけである。
「大体一日の稼ぎがこれぐらいで?それをひと月分に合計してからギルドに上納する金額と生活費の他に、武器や防具の修繕費にポーション類の費用を差っ引くと…」
残った金額に思わずため息が出る。
このままではこの廃教会を立て直すのには軽く10年は掛かるだろう計算だ。
「もっと下層で稼いだほうがいいか…?いや、流石にそれは無謀だな」
今の階層でもようやく狩れるようになってきただけで、まだまだステイタス的にも実力的にも素人に毛が生えたようなものに変わりはない。
これ以上先には新米殺しのウォーシャドウも出現してくるのを考えると、これ以上階層を下げるのは自殺行為となる。
リスク以上のリターンがあるならば無理もするだろうが、明らかにハイリスクローリターンの手段を選ぶ程オルガの危機管理意識は甘くはない。
それに――
「あんま無理して、またダンジョン禁止にされたら元も子もねぇか…」
今の階層でも若干責めるような目で見てくる担当受付の顔を思い出す。
オルガは冒険者は冒険してはいけないを事あるごとに口酸っぱく言ってくる彼女の事が若干苦手だった…それは純粋に彼女がオルガの事を心配して言っているからである。
オルガはそういう人の言葉を蔑ろには出来なかった。
前の世界でオルガのそういう所を気にかけてくれていたのが兄貴分の名瀬達位だったため、余計にそう思うのかもしれない。
「暫くはこのままやるしかねぇか…今の実力じゃサポーター雇うのもリスクがあるしな」
サポーターは冒険者のサポートを行い、冒険者はサポーターを守る
実力が足らず、危険な状況になれば見捨てるなんて事はオルガは許さない。
筋を通せないなら最初からサポーターを雇うなんて真似はできないと言うのがオルガの考えである。
「後は自分で出来るトコは修繕すりゃあ、ちったぁ修繕費も削れるか?」
今度親方達にそこんところの作業を教えてもらうべきかと考える
現場仕事を通して段々と冒険者には似つかわしくない技術を習得しつつあるオルガである。
「ま、やるだけやってみるか」
そう言って部屋の壁に飾られたファミリアのエンブレムを見ながらオルガは決意を新たにした。
オルガ・イツカの貴重な休日より
見てくださってありがとうございます!
全然話自体は進展してない事に発狂しそうだァ
次回こそ考えてたネタをカタチにしたい…