今月は帰省もろもろの事情で不定期更新となります。
―前回のあらすじ―
「・・・お前ら、苦労してたんだな・・・」
「・・・涙ふけよ」
「明日はダンジョンに行きます」
「いやです」
「行きます!」
「いーやーでーすー!」
冒険者ギルドは今日も賑やか。どうやらカズマとめぐみんが言い争っているようです。
「ダンジョンとか爆裂魔法使えないじゃないですか!どうせならゴーレムとか出てくるようなクエストに行きましょうよ、・・・あの重厚感、洗練されたフォルム、豪快な外見とは裏腹に緻密に設計された内部機構、ああ、やっぱりロボットは最高です・・・!」
「めぐみん?今のめぐみんてホントにめぐみん?」
―ナイt・・・このすばー―
「最初に言っておくがダンジョンに入るのはオレと三日月の2人だけだ。2人
皆にはダンジョンに着くまでの護衛を頼みたい」
「『キールのダンジョン』か。あそこなら対したモンスターも現れないし、ミカヅキを連れでいけば万が一の事態にも対処できるか」
「そういうこった。ダンジョン経験者って点としても三日月は緊急時の保険って訳だ」
「そういうことなら大丈夫だよ。・・・それにしても『潜伏』に『罠感知』に『敵感知』って、ホントに便利だよね、盗賊スキル」
―キングクリムゾン!道程を消し飛ばしダンジョンに潜ったという結果を得る!―
キールのダンジョンにたどり着き、(私も行くと駄々をこねた)アクアも連れてダンジョンに入ったカズマたちだったが、
「・・・なんか、やたらとアンデッドに絡まれた気がするな」
「潜伏スキルも効果がなかったし、アクアがいなかったらきつかったかもね」
初心者向けのダンジョンと聞いていたのに、中にいたのはプリーストなしでは全滅しかねない程の数のアンデッドだった。
罠を避け、アンデッドを浄化しながら奥へ進んで行くと、アクアがアンデッドの気配を感じ取った。
「・・・待って、この向こうにアンデッドの臭いがぷんぷんするわ」
一番奥、最後と思われる部屋にいたのは、
「おや、プリーストかい?」
アンデッドの王、リッチーとなったダンジョンの主、キールだった。
―このすば!―
「―そして私はそのお姫様と愛の逃避行の後、このダンジョンに立て籠ったというわけさ」
ダンジョンの主であるキール本人から聞いた彼の身の上話は、街で耳にした噂とは全く異なるものだった。
「アークプリーストである君に頼みがある、私を成仏させてくれないか?」
愛する者の為に人の道を外れたキール。しかしその選択は彼に長きにわたる苦しみを強いたのだった。
不死者の運命、強い絆で結ばれた二人を隔てたのは、皮肉にも彼が乗り越えた『死』そのものだった。
全てを失い、暗闇の中で1人朽ちるのを待ち続けた。
――1人のアークプリーストが現れるまでは。
「人の理を捨てリッチーとなったアークウィザード、キール。水の女神アクアの名において貴方を許します」
アクアは、今まで見せたこともない慈愛に溢れた顔でキールに告げる。
「次に目が覚めた時、エリスという不自然に胸を盛った女神がいるでしょう。次の生でも彼女と共にいたいなら、その娘に祈りなさい。きっと力になってくれるでしょう」
キールの体が光の粒となって消えて行く。
「これでようやく彼女の元に行ける・・・。ありがとう、女神のようなプリースト・・・」
感謝の言葉を最後に残して、キールは愛する者の元へ旅立った。
婚礼の誓いに、『死が2人を別つまで』というフレーズがある。
けれど、あの2人なら、死んでも、転生して何もかも忘れてしまったとしても、きっとどこかもう一度めぐりあうだろう。
何の根拠もないが、なぜだかカズマはそう確信していた。
Q.これは何ですか
A.このすば×鉄血のクロスオーバーです。
―次回予告―
以前会ったリッチーのウィズの所へ会いに行くカズマたち。
そこで頼まれたのは、『屋敷に現れる幽霊を退治してほしい 』という依頼だした。
泊まり込みで依頼に臨むカズマたちに、幽霊は恐ろしい手段で襲いかかってきます。
次回、「この素晴らしい世界で本当の居場所を!」
『ゴースト・パニック』
見てください!