家出神喰〜探さないで下さい。いやマジで〜 作:トイレの紙が無い時の絶望を司る神
とある移動要塞の中......。
豪華な装飾の施された部屋で、車椅子に乗り機器を操作している女性が1人......。
「あぁ、今日も、やはり動いていたんですね........」
黒いベールに隠された妖美な表情が、赤みを帯びて更に扇情的に映る。
機器の画面にはアラガミとゴッドイーターとの戦闘が写っていた。
ラーヴァナを砲塔ごと切り砕き、1人別ゲーの様な無双を行うゴッドイーター。
名を、デシュア。ゴッドイーター最強の名を欲しいままにする鬼神である。
「今だけ、この不自由な体が忌々しい......。すぐにでも追いかけて、貴方を抱きしめて、そのまま眠りたい」
女性はその映像を一旦端に小さくし、別のフォルダを開く。
『ブラッド隊』
最近になって現れた、『赤い雨』による自己進化により周囲のアラガミを操れるようになった特殊な個体『感応種』。感応種は通常の神機であれば機能を止めてしまい、太刀打ちができなくなってしまう。
ブラッド隊はそれに対抗するために作られた隊である。
がしかし、現状はまだ1人しか存在していない。
『ジュリウス・ヴィスコンティ』
どんな因子も受け入れる『奇跡の子』。現ブラッド隊の隊長である。
「でも、もうすぐ。もうすぐですよ」
女性は、妖美な表情を蕩けたような表情に変える。
男性が見れば生唾を飲み込む程の色気。
それを彼女は、1人のゴッドイーターに向けていた。
「あぁ、愛しい貴方。もうすぐで、貴方と私だけの世界が完成します........」
世界は、若干おかしな方向に進んでいた。
きっかけは些細なものだった。
地球の意思として覚醒した彼女......『ラケル・クラウディウス』は、噂になっているゴッドイーターの様子を見て、計画の妨げにならないか確認をすることにした。
一瞬、一瞬で心を奪われた。
まるで意思そのものが彼を求めているかのように.......。
その後はもう早かった。
まず、彼と自分用のアラガミ防護壁シェルターを作り、感応波を応用したアラガミ避けの様なものを作り出した。あとはもう、地球からアラガミも人類も滅ぶのを待つだけ。
結構杜撰な計画だが、これで大丈夫という謎の自信があった。
ツッコミたい所は多々あるが、これだけ言っておく。
その技術を人類に渡せ(迫真)
その日から、彼の映像を見るのが日課になっていた。
これには姉のレア博士も、「なんだかラケルの笑顔が増えた」とコメントしていた。
だが最近、彼の姿が見受けられない。
彼が心配で少し元気が無くなったせいか、ジュリウスにも心配を掛けてしまった。
だが一月もすればまた彼が映った。
ほっとすると同時に、うっとりするラケル博士。
がしかし、次の瞬間目から光が消え失せた。
「......この女は..........?」
現在私は胃痛に侵されていた。
「リッカくん.....胃薬はないかい?」
「そんな贅沢な物あるわけないでしょ」
原因は当然彼だ。
逃げ出さないように監視を付けたのに、まさか監視ごと逃げるとは思わなかった。
日に日に酷くなる胃痛と、彼の影響で確実に少なくなっているミッション量でストレスも溜まってきていた。
(このままもう放置しても......いやダメだ。カノンくんが.....うぅ、い、胃がァ........)
所長の苦難は終わらない......。
デシュア「てい☆」ザシュ
アラガミ「ありがとうございます!!」