バディファイトLoveLive!サンシャイン!! 作:ヤギリ
朗報
正月を過ぎた1月のある日、Aqoursのリーダーである高海千歌のスマホに、ピロンと間抜けな音が鳴り、千歌はスマホを手に取る。
スマホには1件のLINEが届いていた。千歌は送信者の名前を呟く「善子ちゃん?」 LINEの送信者はAqoursの仲間である津島善子からだった。内容は簡潔に言うと"今から部室に集合"と言う事だった。
今は正月明けでしかもまだ冬休みである。けど暇を持て余した文化部なんかは部室を集合の場として活用する為、冬休み中でも学校に活動申請さえすれば自由に出入りができる。
バディ部も文化部に含まれる為、普段は部室に集まってダラダラしてる事が多いのだ。もちろん、暇ならとりあえず部室に行く。と言う頭なので、来るメンバーは毎日バラバラだったりする。昨日も千歌は部室に行ったが、少なくとも千歌を入れて4人くらいしか部室に居なかった。
だが今回は善子からの急な呼び出しだ。千歌だけではなくAqoursのメンバー全員が集まるかもしれない。そう思うと千歌は急いで制服に着替え、防寒コートを着て学校へ向かった。
途中で同じく善子からLINEをもらった曜と梨子とバス停で合流し、共に学校へと向かった。
◆
浦ノ星女学園:バディ部室
千歌「おっはよー!」
曜「おはヨーソロー!」
梨子「おはよう。みんな」
っと千歌、曜、梨子は部室に入る。 部室にはすでに千歌達以外に6人、Aqoursのメンバー全員が揃っていた。
ダイヤ「おはようございます。皆さん」
果南「おはよう。千歌は今日も元気だね。」
鞠莉「グッモーニン! 千歌、曜、梨子!」
花丸「おはようズラ」
ルビィ「おはよう!」
みんな一同に挨拶を終える。 そして、みんなを呼び出した等の本人は挨拶をするでもなく、部室のパソコンに向かっている。
花丸「みんな来たよ。善子ちゃん」
自分の名前を善子と呼ぶ花丸に善子は「ヨハネよ!」と見慣れたお決まりのやりとりをする。もはや恒例のノルマとなっている。 そして善子はコホンとわざとらしい咳払いをする。
善子「みんな揃ったわね。」
千歌「急に呼び出してどうしたの?善子ちゃん」
善子「ヨハネだってば! まぁいいわ。今日はみんなにとんでもない重要な情報を持って来たのよ。」
梨子「とんでもない重要な情報?いったい何なの?」
善子「昨日ね、なんか面白い情報が無いかとネットサーフィンをしてたの。 そしたら偶然見つけたのよ。」
ルビィ「見つけたって何を?」
善子は実際に部室のノートパソコンで見つけた情報を検索する。そしてあるサイトを開いて皆んなに見せる。
善子「なんと! 近々、バディファイトの大きな大会が開かれるみたいよ! その名も………"超バディファイター対抗 グランドバディカップ"!」
そのサイトには"超バディファイター対抗 グランドバディカップ"とデカデカと目立つ豪勢な金色のロゴが映っていた。
ダイヤ「超バディファイター対抗………?」
鞠莉「グランドバディカップ⁉︎」
果南「なんか名前からして凄そうな大会だね。」
善子「"凄そう"じゃなくて、ほんとに"凄い"大会らしいのよ。」
曜「どんな大会なの?」
曜の問いかけに、善子はカーソルを動かしてサイトに書いてある事をかいつまんで説明する。
善子「名前の通り、だいぶ大きな大会みたいよ。」
"超バディファイター対抗 グランドバディカップ"この大会には2つの形式で開催される。
まず1つは、チーム対抗バディファイトカップ。
名前の通り、バディチームで競うトーナメント戦である。
そしてバディチームによるトーナメント大会が終わった後は、バディファイター同士の個人戦によるトーナメント大会が行われるのだ。
大会の開催日時は1月20日から。場所はツバサ杯でも使われた会場、第4バディファイト専用ドーム。正式名称:フェザードーム穂ノ華(ほのか) 開催時間は朝10時より開始する。
善子「らしいわ。それと、この大会にはもう一つの呼び名があるのよ。」
梨子「もう一つの呼び名?」
善子「ええ、この大会のもう一つの呼び名、それは………"冬のラブライブ!バディ杯"よ!」
"冬のラブライブ!"そう聞いた瞬間、全員の反応が変わる。
果南「冬のラブライブ!か、へ〜〜、燃えて来るじゃん。」
鞠莉「イェス! ラブライブ!なんて聞いたら黙ってなんていられないわ!」
ダイヤ「ええ、ラブライブ!と言えばスクールバディチームの祭典。出場しないわけには行きませんわね。 何より、チーム戦の後に個人戦が開かれるとは、なかなか面白そうではありませんか。」
千歌「うん。出よう!グランドバディカップ! "冬のラブライブ!"に!」
みんなの腹は決まった。いや、最初からAqoursは参加する気満々だった。多分、この大会はかなり大きな大会になる。Aqoursにとっても久しぶりのバディファイトの大会である。 だからこそ、みんな内心燃えているのだ。
果南「とにかく、今後の目標は決まったね。」
曜「そうだね。じゃあ、どうする?千歌ちゃん」
千歌「よーし!じゃあ今からバディファイトの特訓だぁ!!」
千歌の号令にみんなが『おーーー!』って応える。だが………
千歌「特訓って何するんだっけ………?」
そんな千歌の大ボケにみんなも「やっぱりか………」と目を細める。自分で指揮を上げておいて何も考えてないってのはよくある事だ。それが千歌ならなおさら。
ダイヤ「まずは特訓内容を考えますか。」
鞠莉「だったら久しぶりに、あそこ行かない?」
鞠莉の言う"あそこ"とは、2〜3ヶ月前に沼津にできたバディファイト専用施設「バディファイト・アミューズ」だ。
「バディファイトアミューズ」は3回建の大きなショップ施設であり、リアルバディファイトヴィジョン内蔵の特設ファイトステージが4ヶ所、デッキ編成やテーブルファイトができる長テーブルが数ヶ所、様々なバディファイトのグッズやカードショップが設置されている。因みに、ゲームセンターや服、雑貨屋、食堂(フードコート)も完備されている。
以前の魔星龍との戦いでも、曜と梨子のドラゴンフォースの修行にも使われた施設でもある。
梨子「たしかに、バディファイトアミューズなら、特訓に使えそうな機能は揃ってるかもね。」
千歌「よし!じゃあ今からバディファイトアミューズへ行こう!」
◆
鞠莉の提案で、バディファイトアミューズにやって来たAqoursだが、ここでどんな特訓をするかはまだ決めてはいなかった。
梨子「とりあえず来てはみたけど、いったいどんな特訓をするの?」
曜「うーん………、とりあえずガンガンファイトする。とか?」
善子「それしか無いわよね。」
たしかに、バディファイトの特訓っと言っても対して特別にやる事は無い。ただひたすらファイトしてお互いのデッキの弱点を確認しあったり、戦略の再確認をするくらいだ。
鞠莉「せっかく来たんだし、とりあえずファイトしましょう!」
ダイヤ「ならばここは、ランダム戦にしましょうか。」
ルビィ「ランダム戦?」
ダイヤ「はい。簡単に言えば、くじ引きで対戦相手を決めるんです。」
Aqoursメンバーの名前を書いた紙を折り畳んで箱に入れてシャッフル。箱から2枚を引き、紙に書かれているメンバー同士でファイトする。といった形式だ。
花丸「それは面白そうずら!」
果南「対戦相手が誰になるか分からない、ね〜。たしかに今までの大会でも対戦カードはランダムに決めてたもんね。」
梨子「たしかに。」
ダイヤ「では、やりましょうか。」
みんな紙に自分の名前を書く。箱は持ってないため、誰かの鞄を空にし、紙を入れてシェイクする。 紙を引くのはダイヤだ。
ダイヤ「では、引きます。」
ダイヤは目を瞑り、紙をランダムに2枚引く。そして折り畳んだ紙を開いてファイトする2人の名を呼ぶ。
ダイヤ「では1戦目は、鞠莉さんvs千歌さんです!」
◆
函館の市街地にあるとある和風喫茶店に、着物のような和風ウェイトレスの服を着ている2人の姉妹がいた。 その和風喫茶店はその姉妹の実家でもある。
ポニーテールの姉の鹿角聖良と、ツインテールの妹の鹿角理亞である。彼女たちはスクールバディチーム"Saint Snow"を姉妹2人だけで組んでいる。
今、喫茶店には常連のおじさんやおばさんが談笑して過ごしている。それ以外は客足が少なく、2人はただ暇を持て余していた。
理亞「………………」
聖良「理亞、仮にも今はまだ営業中ですよ。スマホをいじるのはやめなさい。」
理亞「分かってます。姉さま」
理亞は暇が講じてスマホをいじっていた。しかもまだ営業中にも関わらず、カウンター席に座って。 そんな理亞を聖良はため息混じりに注意する。
すると「姉さま! これ!!」と理亞が身を乗り出して聖良にスマホの画面を向ける。 突然の理亞の大声に談笑していたお客も驚いた様子で2人を見る。
聖良「あ、すみません。理亞も謝ってください!」
理亞「す、すみませんでした………。」
聖良「ちょっと来てください。」
聖良は理亞の手を引っ張って店の奥へ連れ出す。
聖良「いきなり大声なんて出して、いったいどうしたんです?」
理亞「すみません。姉さま………、でもこれ!見てください!」
理亞は若干興奮気味に再び聖良にスマホの画面を見せる。 画面には金色のロゴでデカデカと"超バディファイター対抗!グランドバディカップ"と書かれた画面が映っていた。
聖良「グランドバディカップ………? 理亞、これはまさか……」
理亞「はい。久しぶりの大規模なバディファイトの大会らしいですよ!」
聖良は理亞のスマホの画面をスライドして内容を確認する。
聖良「なるほど、1つの大会でチーム戦と個人戦が両方行われると。 なかなか面白そうな大会ですね。」
理亞「ですよね!」
聖良「それにもし、この大会で優勝できたら、商店街も人足が増えるかもしれませんし、家もお客さんが増えるかもですね。」
理亞「じゃあ、参加するんですね!」
聖良「もちろんです。それに、こんな大規模な大会なら、彼女達も出てくるでしょう。」
聖良達にとって、このグランドバディカップ開催は朗報であり吉報だった。地元の商店街を盛り上げる目的もあるが、それは二の次に過ぎない。聖良にとってこの大会に参加する目的はただ一つ、現最強のスクールバディチーム"Aqours"そのリーダーである高海千歌とのファイト、それに勝った上での優勝………
理亞「Aqours………出るかな?」
聖良「出場しますよ。彼女達は、必ずね。」
理亞「そうですね。」
聖良と理亞、Saint Snowの2人は、グランドバディカップへの参加を決意する。
◆
とある県にある、とある女子校………
聖・ヴァルキレート女子学院。日本の中でも大きく優書あるこの女学院にも、バディ部室が存在する。そしてこの部室にはかつてラブライブ!バディカップの予選決勝でAqoursとファイトした事でも知られる名のあるバディチーム「エスカトロジー」が所属している。
今、その学園のバディ部室のドアが勢いよく開けられる。
部室のドアを勢いよく開けたのは、"エスカトロジー"のメンバーであり、濃い緑髪のショートヘアで両側の髪がピョンっと跳ねている少女、浅加レムだった。
レム「琴奈!」
ドアを勢いよく開けて入ってきたレムに驚いて「ひゃうっ!」と普段は出さないような声を出したのは、白みの強い灰髪で端整な顔立ち、キリリとした目が印象的な美少女、"エスカトロジー"のリーダーでもある彩條 琴奈だ。 普段は清楚でクールな感じの彼女だが、今は驚いて目を大きく見開いている。
そんな琴奈の不意に出た声に「可愛い」と少しときめいたレムだった。
琴奈「ど、どうしたのレム………、そんなに取り乱して」
レム「あ、悪い。驚かせてしまって………」
「あははは!琴奈ちゃん今の声かわいい〜〜!!」と普段出さない琴奈の声に爆笑しているのはエスカトロジーのメンバーであり、小柄で明るい黄色の髪で腰あたりまであるロングツインテールの少女、東坂ユノだ。
琴奈「ユノ!恥ずかしいからそんなに笑わないで!」
ユノ「あははは………!ごめん琴奈ちゃん!」
琴奈「もう………、それで?何かあったの、レム。」
レム「あ、ああ。 実は朗報がありまして」
ユノ「ろーほう?」
レム「実は近々、東京で大規模なバディファイトの大会が開かれるらしいんだ。」
ユノ「バディファイトの大会⁉︎ ほんとーーー!」
バディファイトの大会と聞いてユノは目を輝かせる。 エスカトロジーはラブライブ!での敗戦後も、いくつか中名程度の大会に参加したりして一応は名をあげている。 だが依然としてラブライブ!バディカップのような大きな大会は開かれていない為、ちょっとした物足りなさも感じていた。 その矢先に舞い込んだ今回の話しだ。
琴奈「それで、その大会はどれだけの規模で開催されるの?」
レム「ああ。家の者が関係者から聞いたところ、開催期間は1月20日から長くて3週間は開催されるそうだ。予選は街中を舞台にし、行動範囲はまだあまり定まってはいないが、それなりに広いようだ。」
琴奈「3週間………結構長いわね。」
レム「大会は2つの形式で行われ、最初はチーム対抗トーナメント戦、それが終われば、バディファイター同士の個人戦だ。」
ユノ「へ〜〜!面白そう!」
琴奈「チーム戦の後に個人戦をね………。なるほど、たしかにそれなら、参加人数によっては3週間はかかりそうね。 それに、チーム戦があるって事は"Aqours"や"Saint Snow"のみなさんもこの大会に参加する可能性もあるわね。」
ユノ「あははは! それだったらユノは、ルビィちゃんとまたファイトしたいな〜〜!あと、花丸ちゃんとか善子ちゃん、理亞ちゃんともファイトしてみたい!」
レム「私も、渡辺 曜にもう一度挑んでみたいな。それと黒澤ダイヤ、彼女の日本刀の腕前もなかなかのモノ。そして琴奈を破った高海千歌ともカードを交えたいものだ。」
琴奈「そうね。私も、もう一度千歌さんとファイトしてみたいわ。それと、聖良さんともね。」
ラブライブ!の敗者復活戦で、琴奈はSaint Snowの鹿角聖良と本戦をかけてファイトするはずだった。その時は邪魔が入ってファイトするどころか共闘する羽目になったが、悪い思い出ではない。
今度こそは聖良とのファイトを実現させたいと思っている。
琴奈「とにかく、私達の目標は決まったわ。」
レム「Aqoursへのリベンジ、そしてグランドバディカップの優勝だな。」
ユノ「楽しみだね〜〜!早く開催日にならないかな〜〜!!」
エスカトロジーも"グランドバディカップ"への参加を決めた。
◆
東京・お台場に「逆三角形」というか、正確に言うと底面が四角形なので"四角錐"が4つ逆さまになって刺さっている形の巨大な建造物があった。その名も"虹ヶ咲学園"自由な校風と専攻の多様さで人気のこの学校にも出来てまだ間もないバディ部が存在する。
その名も"虹ヶ咲学園スクールバディファイト同好会"である。
「ねえ!みんな聞いて!大ニュースだよーー!」
と、なかば興奮気味に同好会に飛び込んで来たのは、黒髪のツインテールで髪先が薄い緑色に染まっている少女、高咲 侑だ。
廊下を走って来たのか、侑は「はぁ………はぁ………」と息を切らしている。
「ど、どうしたの?侑ちゃん、そんなに慌てて」
と、驚きつつも若干慣れた感じの反応をしたのは、薄紅色の髪で右側のお団子が印象的な少女、上原 歩夢だ。
「先輩!大丈夫ですか⁉︎お水飲みます?」
侑「あ、ありがとう………しずくちゃん、はぁ………はぁ………」
「良かったら、可愛いかすみんのコッペパンもどうぞ!」
侑に優しくお水をくれたのは、明るい黒茶色の長髪で後ろ髪を赤いリボンでまとめている少女、桜坂しずく、そしてコッペパンをくれたのは、薄クリーム色の髪でアシンメトリーカットのショートボブの少女、中須かすみだ。
「ふぁ〜〜あ………、んふふふ〜〜今日も賑やかだね〜〜」
「あ、彼方ちゃん起きた? ふふふ………そうだね〜〜」
「ほんと、見てて飽きないわよね。あの子たち」
たった今目を覚まして眠そうにあくびをしているのは、オレンジブラウンの明るい髪色でロングヘアーの少し幼さの残る少女、近江彼方。
そして、ソファに座って彼方を膝枕してしていた赤茶色の髪で三つ編みおさげ、鼻の上に薄く目立たないそばかすがある少女、エマ・ヴェルデ。
エマに近い位置に椅子を置いて座り、微笑ましくみんなを見ているのは、青みがかかった黒髪のウルフカットが特徴で、大人びた印象の少女、朝香 果林だ。
侑「んぐ……んぐ……んぐ………ぷはぁぁ〜〜! 生き返る〜〜」
歩夢「落ち着いた?」
侑「うん。」
「ところで侑さん、大ニュースとはなんですか?」
水を飲んで侑が少し落ち着いたところで慌てて部室に入ってきた理由を聞いたのは、艶やかな黒髪のロングヘアーで右側の髪を羽や薔薇の髪飾りで纏めている。小柄に合わずスタイルがいい少女、優木せつ菜だ。
侑「あ、そうだ! みんな大ニュースがあるんだよ!」
歩夢「大ニュース?」
侑「うん! それは、今月の20日ごろに"超バディファイター対抗 グランドバディカップ"って大規模な大会が開かれるらしいんだよ!」
かすみ「超バディファイター対抗………?」
しずく「グランドバディカップ?」
侑「うん!」
「えっ!何それ、凄い豪華な名前じゃん!」
「うん。凄そう………璃奈ちゃんボード『ワクワク』」
"グランドバディカップ"と聞いて、テンション高めに反応したのは、金髪のポニーテールで、キリッとした顔つきの少女、宮下 愛と、無表情ながらも今の気持ちを表す表情を描いたスケッチブックを顔にかざしている少女、天王寺 璃奈だ。
果南「大層な名前ね。どんな大会なの?」
侑「うん。この大会の会場は第4バディファイト専用ドームの"フェザードーム 穂ノ華"ってところらしいよ。」
せつ菜「そこは確か、先日に日本一決定戦が開催された会場ではないですか! ツバサさんと穂乃果さんのファイトは凄く熱い戦いでしたね! 逆転に次ぐ逆転! 減らすほどに増えるライフ! ぶつかり合うモンスター達! アイテム同士の肉弾戦! 一瞬も目を離せないほど手に汗握る………………」
かすみ「せつ菜先輩そこまでです! お話しは後で聞きますから、今は侑先輩の話しを聞きましょう!」
先日開かれた"ツバサ杯日本一決定戦"穂乃果とツバサのファイトを思い出してその時のファイトの様子を熱く語ろうとするせつ菜をかすみが静止する。 せつ菜は好きなアニメ、漫画、ラノベ、バディファイトの事になると周りが見えなくなるほど熱く語る事がよくあるのだ。
せつ菜「あ、すみません!私ったらまた………」
侑「大丈夫だよ。せつ菜ちゃんがバディファイトが大好きなのはみんな分かってるから。」
せつ菜「ありがとうございます。侑さん」
侑「それで大会の概要なんだけど、この大会は二つの形式で行われるみたいなんだ。」
歩夢「二つの形式?」
侑「うん。まず一つはバディチーム対抗による"チームカップ"それと、バディファイター同士の個人戦による"バディファイターカップ"この二つだよ。」
果林「チーム戦と個人戦、一つの大会でどっちもやるのね。」
愛「へ〜〜!面白そう!」
エマ「そうだね。でもそうなると、1日じゃ終わらない大会になるね。」
侑「そうなんだよ。期間はまだ未定なんだけど、1日だけじゃ絶対に終わらない大きな大会になるんだと思う!」
しずく「それで大規模な大会って事なんですね。」
侑「ねえ皆んな、この大会に参加してみない⁉︎」
侑はひと通り大会について説明した後に皆んなに参加を持ちかける。 虹ヶ咲学園スクールバディファイト同好会はできてまだ10ヶ月も行かない新しい同好会だ。 しかも他とは違い、1人1人の目指すものはバラバラで、チームとしてはやや不安定なところもある。
だからチームで動くと言うより、個人個人で動く方が楽なのだ。同好会のみんなは親友と呼んでもいいくらい仲良しで仲間だ。けどお互いをライバルとも思っている。"仲間でライバル、ライバルだけど仲間"が彼女達のコンセプトなのだ。
侑「チーム戦で出なくても、個人戦だけ出場することもできるよ。」
果林「私達、チームとしてはてんでバラバラで、あまり纏まりが無いのよね。私は個人戦だけの出場でいいと思うわ。」
かすみん「かすみんは、チームでの参加も良いと思います!」
しずく「私もチームで出場したいところはありますが、やはり私達の個性にあっているのは個人戦だと思います。」
愛「愛さんはどっちでもいいよ!」
璃奈「私はチームがいいかな、璃奈ちゃんボード『うずうず』」
エマ「私もみんなと一緒に戦いたいな。」
彼方「彼方ちゃんは〜〜〜チームでもいいがなぁ〜〜」
せつ菜「私はやはり、この大きな舞台で是非皆さんと手合わせしてみたいと思っています。私は個人戦での参加を希望します!」
歩夢「侑ちゃんはどう思う?」
侑「うーーん、私は………」
みんなの意見はバラバラではあるが、チームで出たいと希望する声が多く感じる。たしかにチームで活躍する同好会を見てみたい気もするが、やはり、彼女達のコンセプトは大事にしたいところだ。
侑「じゃあこうしよう! チーム戦はチームで出たい子達で組んで出る。そして個人戦はみんなで出る。」
今同好会はチーム戦で出たい子達と個人戦だけ出たい子達で分かれている。ならば、個人戦は全員参加するのは当然として、チームで戦いたい子達をチームにしてチーム戦に参加させるのだ。
そうなると
チーム戦に出たい
・中須 かすみ
・エマ・ヴェルデ
・近江 彼方
・天王寺 璃奈
この4人で組む事になる。
「これでいいかな?」と侑の提案にみんな頷く。
侑「よし、じゃあこれで行こう! グランドバディカップ、目指すは優勝だよ! みんな頑張って行こう!」
侑の気合いが入った号令に『おーーーーー!!』とみんなの指揮が上がる。
◆
こうして、4つのチームが、それぞれの思いを胸に"グランドバディカップ"への参加を決めた。だが後に、この4つのチームが、この"グランドバディカップ"に大きな旋風を巻き起こす事になるなど、誰も知るよしはない。
今回も感想を是非‼︎
今回から新章『グランドバディカップ 編』突入!
一応、この章で
「バディファイトLoveLive!サンシャイン‼︎」の最終章(仮)になります。あくまで(仮)です。