バディファイトLoveLive!サンシャイン!! 作:ヤギリ
星野 流は星空を眺めるのが好きだ。
別に星座とか宇宙に詳しいわけではない。
ただ単純に星空を眺めているのが好きなのだ。
夜、流は自分の家の前で幼馴染みで親友である少女、響 天音を待っていた。いつもは待ち合わせ無しで現地集合なのだが、今回は珍しく待ち合わせして出かける事になった。
ーーー回想ーーー
放課後、通学路………
天音「流君、今日も星を見に行くの?」
流「ああ。」
天音「ちゃんと宿題とかやってるの?」
流「ちゃんとやってるよ。」
天音「ならいいけど。あ、お夜食持って行くね!」
流「ありがとう。あ、そうだ、今日はいつもとは別の場所に行こうと思うんだ。」
天音「え、いつもと別の場所?」
流「うん。いい星空スポットを見つけたんだ。」
天音「へ〜〜!」
流「今日は一緒に行こうか、天音を案内するよ。」
天音「うん!じゃあ流君の家の前で待ち合わせだね!」
流「ああ、夜8時頃に行くから。」
ーーー回想 了ーーー
そうこうしていると天音が手を振って向かって来た。時間はもう8時を少し過ぎていた。
天音「ごめんね〜、さっきマネージャーから電話があって、スケジュールの調整を見直してたの………」
天音は地元では少し売れているアイドルだ。夢はギターと歌声だけで地元の枠を超えて、全国に進出することらしい。
流「そっか、なら仕方ないよ。それよりも行こうか。」
天音「うん!」
流が見つけた星空スポットは、いつものスポットからは少し遠くなるが、山道を少し歩いた場所にある。
そこは、山道を少し歩いた先にある広い草原だった。これほど拓けた草原であるにもかかわらず、誰も来ないし、あまり知られていない場所らしい、星空を眺めるにはもってこいの場所だ。しかも街の夜景の光もちらほら見えるくらいでがっつり明るいわけでもなく、星空を集中して眺めるにはいい場所である。
天音「凄い………」
流「だろ?いろいろ探し回ってたら見つけんだ。」
天音「一面星だらけだよー! 本当に流君しか知らない場所なんだね〜〜」
流「ああ。」
それから、2人は星空を眺める。天音が持って来た夜食を食べながら。
流「最近のアイドル活動は順調か?」
天音「う〜ん………、まぁボチボチかなぁ〜〜、最近は30分のミニライブとかやってるけど、テレビ関係の仕事は少なくなってきたかも………。これじゃ全国進出なんてできないよ〜〜………」
流「ははは………、でもデビューして2年だっけ?」
天音「うん。」
流「デビューしてたった2年でテレビ関係の仕事とかCD出してるなんて、それだけでも凄いと思うけどな。まだまだ先はこれからだ、頑張れよ、天音。」
天音「ふふふっ………ありがとう流君!」
流の励ましで、天音は少し元気になれた。
流「………………」
流は星空を眺めているといつも思う。初めてグリムに出会った時の事を、一緒に切り抜けて来た戦いを、そしてグリムとの別れも………そしてぽつりと呟いてしまう………
流「………………また空が赤く光って、目の前にグリムが居たらな………」
天音「流君………」
グリムの言葉通り、流は強く生きる事を決めた。だが、どれだけ気丈に振る舞っても、心の何処かにはまだグリムを求める自分がいる。また会いたい、還って来てほしい………短い間だったが、それでも流とグリムには確かな絆が芽生えていたのだ。
流がぽつりと呟いた言葉に、天音も堪え切れない気持ちが溢れる。
かつて流とグリムは、Aqoursと協力してモンスター型人工兵器「情報演算人工神 IA」をファイトで倒した。だがIAは、自身に搭載されている時限自爆プログラムを起動した。その爆発は静岡県全域を消滅させるほどの威力を誇っていたのだ。グリムは流達を守ろうと自らの意思でIAとともに宇宙へ飛び………そして宇宙空間でIAは大爆発を起こし、その後、グリムは二度と戻ってくる事はなかった………
ただ一言「強く生きろ……流……さらばだ……」と言葉を残して………
しばらく2人が感慨に浸っていると、望遠鏡を除いていた流が1つの星を見つける。
流「ん?なんだ………?」
天音「どうしたの?流君?」
流「見てみろよ。」
流は望遠鏡を天音に借して星を見るように促した。そして天音が望遠鏡を除くと、他の星より強い光を放つ星が1つあった。
天音「わあ〜綺麗〜………でも、なんか大きくない?っていうか、なってる………?」
流「やっぱりそう思う?」
流が見つけた強い光を放つ星は、少しづつ大きくなっているように感じる。というか、近づいて来ている感じがする………その光景に2人は同時にデジャヴを感じる。前にもこんな事があった………
光を放つ星はそのまま大きくなる、やはり近づいて来ているようだ。
だが、その星は流達に近づいて来るに連れ光が弱まり、星にしてはかなり小さい………多分、強すぎる光がそれを大きく見せていたのだろう。
それは落下速度を落としてゆっくりと、流達がいる草原に落ちた。
天音「な、何?」
流「隕石………じゃあないよな?勿論………」
流と天音が落下したソレに近づく………すると、落ちて来たソレは、真っ白い狼に似た姿で、額には赤い墨汁で書かれたかのような「
天音「………犬?」
流「犬………だな。」
『わふっ………はっ、はっ、はっ、はっ』
その犬はゆっくり流達に近づいて座り、流と天音が食べている夜食のサンドイッチを見つめて、舌を出して尻尾を振っている。その様子を見て流は、この犬は腹が減ってるのだと気づく。
流「これ………食べたいのか?」
『ワン!』
天音「ちょっと待ってね………はい!」
天音はランチボックスの中からサンドイッチを取り出し、その犬に与える。すると犬は勢いよくサンドイッチを頬張る。
流「なんだお前、結構腹減ってるんだな。」
天音「でも変わったワンちゃんだね?赤い模様みたいなのがあるし、腰に刀挿して、なんか円盤みたいなのが燃えて浮いてるし………」
流「だな、額に書いてある字は………
天音「
流「
『ワン、ワフッ!(もう一つくれ!)』
流「もう一つ欲しいみたいだぞ?」
天音「え?あ、うん。お食べ。」
『ワン!(ありがとう。)』
流「ありがとう。だってさ」
天音「え?流君、言葉分かるの?」
流「ああ、なんとなくっていうか………分かんないけど、何を伝えたいか理解できるって言うか………やっぱり言葉が分かるって事なのかな。」
天音「そうなんだ………じゃあ、なんか聞いてみたら?」
流「え?」
天音「だって言葉分かるんでしょう?」
流「いや、僕は理解できてもこいつは人間の言葉を理解できるのか?」
天音「だから、聞いてみたら分かるんじゃない?」
流「………分かった。見た目からして普通の犬じゃないよな?空から来たし………お前、モンスターなのか?」
『ワフッ、ワンワン!(いかにも、私はモンスターだ。)』
流の質問におかわりを食べ終わった犬が答える。どうやら人間の言葉が理解できるようだ。
流「やっぱりモンスターだって。」
天音「この子も、こっちの言葉を理解できるんだね。」
流「らしいな。」
『クゥーーン……(眠い)』
天音「それで、この子どうする?」
流「うーん、モンスターである以上ほっとけないしな〜〜、ってか、名前を知らないと不便だな。お前、名前とかあるのか?」
『ワゥン………(自分の名は分からん。)』
流「名前は分からないって………、そうか」
天音「じゃあ名前を付けてあげないとね!」
流「うーん………あ!」
流と天音は名前を決めるのに迷う。その時、流は犬の額に書いてある「煌」の文字を見て、ソレを名前にしようと思い立つ。
流「額に文字があるんだ。ソレを名前にしよう。」
天音「そうだね!」
流「じゃあ、お前の名前は『スメラギ』だ。」
『ワン!ワンワン!』
スメラギは尻尾を激しく振って、はしゃいで流にすり寄って来る。どうやら名前が気に入ったようだ。
そして名前が決まった事で、スメラギが背負っている青銅鏡の青い炎が流のデッキケースを包む。そしてデッキケースが光を放つ。
流「何だ?」
流がデッキを見ると、デッキには知らないカードが数枚と、バディカードがスメラギのカードに変わっていた。
スメラギ『ワフッ、ワォーーン!(これは私の感謝の気持ち、私が君のバディとなろう。)』
流「お前が僕の新しいバディ………、はははっ!ありがとな、よろしく、スメラギ。」
スメラギ『クゥーーン………』
流はそう言ってスメラギの頭を優しく撫でる。
天音「良かったね、流君!」
流「ああ。………そろそろ帰るか。」
天音「うん、そうだね。」
流と天音がレジャーシートやランチボックス、望遠鏡などを片付けていると、スメラギが何かに気づいて突然吠え始める。
それに驚いた流と天音はスメラギに振り向く。
スメラギ『ガゥ!ワンワン!グルルル………!』
流「どうした?スメラギ!」
スメラギ『ワン!ワン!!(流、何か来る!)』
流「何か………来る?」
すると、夜空から黄色いオーラを纏う黒い何かが流達の前に降り立つ………!それは、人の形をしていた。ちゃんとした四肢があり二足で立っている。
見た目はガタイのいい肉体に、身体には岩や石のような骸殻、骨骼のようなモノが左半身を覆うように突き出ている。そして左腕は右腕の2倍はあるかのように鎧化して大きくなっている。
流「何だ?アレは………モンスターか?」
スメラギ『ワン!』
『ま………魔星龍の名………のもとに、この星を………支配、する………。』
流「何を言ってるんだ………?」
スメラギ『ワゥ!ワンワンッ!(嫌な感じがする、逃げよう!)』
流「そうだな!天音、逃げよう!」
天音「う、うん!」
流達が逃げようとした時、謎のモンスターは地面を思い切り踏みつける………、すると、地面を伝う衝撃と共に、辺り一帯が青い空間に包まれる。
そして謎のモンスターは、デッキを構える。
『バ………バディ……ファイトせよ………!』
流「何?」
『バディ………ファイトだ………、た、頼む!ファイトしてくれ!ファ………ファイトで、俺を倒し………て………』
謎のモンスターは一瞬、口調が変わったが、すぐにさっきまでの途切れ途切れの苦しんでいるような喋り方に戻る。その様子に流はかなりの異常さを感じる………
スメラギ『ワゥ!ワンッ、ワンッ!(仕方ない、今は奴の望み通りファイトしよう。)』
流「スメラギ………、そうだな、それにファイトで勝たなきゃこの空間から出られない………とか言うんだろ? やるさ!」
『ファイト………だぁ………!』
すると、スメラギの青い炎が赤い炎に変わる。これがスメラギの臨戦態勢である。
流「純白なる犬神よ………その身に宿す太陽の光を解き放て!ルミナイズ!〈太陽の犬神〉」
謎のモンスター『魔星龍………の、
オープンTHEフラッグ
流「スタードラゴンワールド」
◼️手札6/ゲージ2/LP10
謎のモンスター『デ………デンジャー……ワールド………』
◼️手札6/ゲージ2/LP10
流が使うフラッグは〈スタードラゴンワールド〉だが、スメラギはそのワールドのモンスターではない。だが、スメラギは自身の能力で、全てのフラッグで使える特別なモンスターだ。そしてスメラギがバディになった事で、流のデッキの中身も今までとはかなり違うモノになっている。
流「謎のモンスターじゃ呼びにくい、意識があるなら名前を教えてくれ!」
謎のモンスター「お、お………俺は……、ア、アーマナイト………リザードマン………」
流「………⁉︎」
流は謎のモンスターの名前を聞いて驚愕、困惑した。なぜなら、アーマナイトリザードマンにしては見た目が変わりすぎている。よく見ると右半身は確かにアーマナイトリザードマンに酷似しているが、左半身は岩のような骨のようなモノが突き出ていて、左半身だけ全く別のモンスターのように見えるからだ………!
だが、今はとにかくファイトしなければ………
流「僕の先攻、ドロー!チャージ&ドロー」
◼️手札6→7/ゲージ2→3
流「いきなり行くぞ!手札2枚をソウルとし、僕のライフ+3して、バディコール(LP13→14)!」LP10→13
◼️手札7→6→4
流「大地に注ぐ日輪の煌めきよ、人々の祈り、願いより顕現せよ!〈煌々たる犬神 スメラギ〉」
煌々たる犬神 スメラギ
スタードラゴンW
太陽神
サイズ1/攻6000/防1000/打撃1
◼️【コールコスト】君の手札2枚をこのカードのソウルに入れ、ライフ+3!
◼️このカードは全てのフラッグで使え、バディなら君は《太陽神》を使えるかわりに〈太陽神〉以外のモンスターをコールできない。さらに同じ名前のモンスターは場に1枚までしかコールできない。
◼️【対抗】ライフ1払い、君のデッキから〈太陽神〉1枚をドロップに置く。置いたら、そのカードの『神業』を発動する。この能力は1ターンに1回だけ使える。
「ソウルガード」/ソウル2
スメラギ『アオーーーーーン!』
流「さらに〈日輪ノ剣〉を装備!」
◼️手札3→2/ゲージ3→2
スタードラゴンW
太陽神/日本刀
攻5000/打撃1
◼️【装備コスト】ゲージ1払う。
◼️【起動】君の手札か場の〈太陽神〉1枚を君のデッキの下に戻す。戻したら、君の場のカード1枚の打撃力+1!
◼️『神業』(この能力は、「スメラギ」の効果でのみ使える。)
君のデッキの上からカードを1枚引いて、君の場のカード1枚の打撃力+1!
流は陽の光を模した短い刀を装備する。
流「分かる………初めて見る、初めて使うカードなのに使い方が分かる………!いくぞ、スメラギ!」
スメラギ「アオーーーーーン!!(やってやるぞ、流!!)」
今回も感想を是非!!
今年も4月から農業が本格的になって来ますね〜〜。
僕の家ではお米を作っているので、いろいろと忙しくなります。
なので、投稿ペースがさらに遅くなる可能性があります。
まぁ、ゆっくり待っていただけると嬉しいです。
ーーー次回予告ーーー
「犬神・スメラギ」
地上に降りそそぐ太陽の陽射しに、かつての人々が祈りと信仰を捧げた事で誕生した神様、"太陽の陽射しを地上へと導く"という使命を帯びた〈太陽神〉………八百万の神の1体である。
次回『煌々たる犬神 スメラギ』