バディファイトLoveLive!サンシャイン!!   作:ヤギリ

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グリスと冥府龍

曜が〈冥府龍〉とファイトしている同時刻………

 

バディポリス 沼津支部………ファイトルーム

 

 

サツキ「アポカドラシオンで攻撃!」

 

「うぁぁぁぁ!」LP0

 

 

サツキ「よし、今日の特訓はここまで。」

 

「ありがとうございました!やっぱりサツキ先輩は強いですね。」

 

サツキ「君だって強くなってるよ。」

 

「そうですかね?ありがとうござます。」

 

 

サツキは毎日、別々の訓練生であり後輩の1人にバディファイトの特訓をつけていた。

 

 

サツキ「じゃあ、そろそろパトロールに………」

 

 

『サツキさん!至急、司令室に来てください!』

 

 

後輩「あ、呼び出しですね………」

 

サツキ「うん。パトロールはまた今度だ。ごめんね」

 

後輩「いえ、頑張ってください!」

 

サツキ「ありがとう。」

 

ーーー

 

司令室

 

 

サツキ「失礼します。」

 

局長「サツキ君、突然すまない。」

 

サツキ「いえ、何かあったので?」

 

局長「ああ、イツミ君」

 

イツミ「はい。第14地区に、昨日現れたモノと似た高いエネルギーを感知しました。」

 

サツキ「第14地区?千歌ちゃん家の近くか!」

 

局長「みたいだな。昨日は現れてすぐ消えたが………」

 

サツキ「………すぐに出動します!」

 

 

サツキは司令室を飛び出し、パトカーで現場に向かった。

 

 

サツキ(昨日今日で現れた高いエネルギーのモンスター………、空に見えるあの黒い穴と関係があるのか?)

 

 

サツキには、千歌達のようにドラゴンフォースのような力も無ければ、真柴のように死を経験した事は無いが、彼は彼だけの特別なフラッグ『ギャラクシードラゴン ワールド』を創造した。そういう経緯では、特別な力を持っている。と言えるだろう。

 

故に、上空の黒い穴を見る事ができる。

 

ーーー

 

十千万 前………

 

砂浜

 

 

曜「必殺モンスターは、相手のドロップが6枚以上なら打撃力5になり、相手のドロップが12枚以上なら攻撃は無効化されない!あなたのドロップゾーンは数えるまでもない!必殺モンスターで攻撃!打撃5!アビゲール"バニシング・デスホール"!!」

 

ファーズ「ぐぉぉぉぉぉ!!」LP4→0

 

ーーー

ーーー

 

曜「ふぅ………勝った………!」

 

ファーズ『………………』

 

 

『まさか、ファーズが人間相手に敗北するとはな………』

 

『全くだ、それとも、お前も運動程度だったのか?』

 

 

Aqours/真柴「⁉︎」

 

ファーズ『お前達………』

 

 

突然聞こえた声に皆反応する。

すると、上空の黒い穴から2体のモンスターが現れる。

 

 

アルカー『よぉ、昨日ぶりだなぁ〜、グリス』

 

『俺とは久しぶりか、グリス。』

 

グリス『アルカー、ヴレン………』

 

ヴレン『ふむ………、ファーズを降すか………人間と思って侮っていましたか。』

 

真柴「見ない奴だな………」

 

グリス『奴はヴレン、冥府四天龍の一体だ。』

 

真柴「そうか、じゃあ今この場には、冥府四天龍が3体いる訳だ………」

 

千歌「………⁉︎まだ来るみたいだよ?」

 

真柴「え?………………っ⁉︎」

 

 

千歌の直感通り、上空の黒い穴がさらに大きく広がる………その時、周りの空気が一気に重くなる………!

 

 

曜「な、何⁉︎」

 

梨子「空気が………重くなった………⁉︎」

 

果南「私達にも分かる………」

 

鞠莉「とてもクレイジーな感じね………」

 

ルビィ「うぅ………ちょっと怖い………」

 

ダイヤ「いったい………何が⁉︎」

 

花丸「ずら………」

 

善子「これこそが、闇の力………!」

 

グリス『この、途轍もないプレッシャーは………まさか⁉︎』

 

 

大きく広がった黒い穴から、他の冥府龍より二周りくらい大きな人型の龍が現れる。そして、包まっていた翼を大きく広げて降り立つ。

 

 

善子「何なのよ………あいつ………」

 

果南「他の3体より………威圧感がヤバいね………」

 

鞠莉「さしずめ、あれが冥府龍のボスって感じね。」

 

 

 

『久しいな、グリスよ………』

 

グリス『冥府龍王………ギラ………!』

 

ヴレン『無礼者!ギラ様を呼び捨てにするなどと………!』

 

ギラ『よい、ヴレン………奴はもう、こちら側のモンスターではないのだ。』

 

ヴレン『失礼しました。』

 

真柴「?」

 

グリス『こちら側のモンスターではない………?どう言う事だ!』

 

アルカー『マジかよ、お前覚えてねーのか?』

 

ファーズ『他人行儀なわけだ。』

 

グリス『答えろ!』

 

ギラ『良かろう。グリス………、死した影響で記憶が曖昧なのだろう。………お前は元々、こちら側のモンスター、〈冥府龍〉だったのだ。』

 

Aqours「え⁉︎」

 

真柴「何⁉︎」

 

グリス『何………だと………?』

 

ヴレン『さらに言えば、グリス、お前は我ら〈冥府四天龍〉の1体だったのだ。』

 

アルカー『気に食わねーー事に、力は俺たちより上だった。』

 

ファーズ『頭脳もキレていたな。』

 

ギラ『グリス………、お前は、我の力を分けた子であり、自慢の下僕(しもべ)だった。』

 

グリス『………………』

 

ギラ『私の元へ、戻って来い………グリス。』

 

グリス『俺の目的は、お前達〈冥府龍〉を消滅させる事だ。戻る訳ないだろ………』

 

真柴「お前らは、何でグリスを殺したんだ!」

 

ギラ『なぜ?簡単な事だ。奴は、私を裏切った、だからこその制裁をしたまでだ。』

 

真柴「制裁だと………」

 

ヴレン『我ら冥府龍にとって、裏切り者への制裁は絶対のルールだ。我らはそれに従ったまでだ。』

 

グリス『そうだ、記憶が少し冴えてきたぞ………………俺は、確かに冥府四天龍の一体だった………、そして俺は、ギラの命令で動いて来た………』

 

真柴「グリス………? 何言ってんだ!」

 

ーーー

ーーー

 

一方、サツキはバディポリス専用のパトカーで千歌達の元へ急行していた。

 

そんな時だった………

 

 

サツキ「なんだ?穴が広がって………あれは………、ドラゴンなのか?」

 

 

音声通信がかかる。

 

 

イツミ『サツキさん!他3つよりさらに大きなエネルギーを感知!』

 

サツキ「すでに視認してます。」

 

局長『注意してくれよ。サツキ君』

 

サツキ「はい。」

 

 

そして音声通話が切れた。

 

 

サツキ「いったい何が起きてるんだ?」

 

ーーー

ーーー

 

グリス『俺は、ギラの命令に従い………何度も戦って来た。『冥府の世界』を築くために………だが俺は、その全貌を知らなかった。ただ命令に従い、戦うのみだった。』

 

千歌「冥府の世界?」

 

真柴「何なんだ?それ?」

 

グリス『すまない、そこはまだ思い出せない………、だが、俺は冥府龍として、取り返しのつかない事をしてしまった………』

 

ギラ『気に病む事はない。あれも、我が望む世界を創る為の、尊い犠牲に過ぎぬ。』

 

グリス『っ!………お前には!犠牲になるモンスター達の阿鼻叫喚が聞こえなかったのか!!自分も加担していたとはいえ、俺は………あの声に耐えられなかった………だからこそ、俺はお前を見限ったのだ!お前の望む世界は、俺が望む世界ではなかったのだ!』

 

 

グリスの脳裏には、今まで自分が殺めたモンスター達が、叫びや悲鳴がよぎる。

 

 

ギラ『笑止!グリスよ………、今更正義を振りかざしても、貴様のやった事は変わらぬ、貴様の過去は変えられぬ事実なのだ!』

 

グリス『………!』

 

ギラ『貴様の復讐など無意味だ。今さら我らを消し去ったとしても、貴様が犯した罪も、奪った命も………消し去って来た全ては、永遠に帰って来る事はないのだ!!!』

 

グリス『う………、ぐおぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 

真柴「グリス!」

 

ギラ『グリスよ、我らと共に来い。お前の過去は永遠に消える事は無い。もう一度、冥府龍として、我が子となれ。』

 

グリス『ふざけるな!俺はお前達とは………!』

 

ギラ『ふふふ、分かっておらぬか?我らを消滅させる事など、人間を巻き込んでまで成すことなのか?人間を巻き込んで、また新たな罪を犯すのか?繰り返すのか?』

 

グリス『っ………!』

 

ギラ『貴様は所詮、我らの同胞………冥府龍なのだ。それ以上でも以下でもない。貴様が帰るべきは冥府の世界………、帰って来いグリス………我が子よ………』

 

 

グリスにとって、なぜか冥府龍王 ギラの言葉が心地良く、安心感を覚える。

 

 

真柴「惑わされるな、グリス!お前の倒す相手はアイツらだろ⁉︎」

 

グリス『分かっている………だが………忘れていたとはいえ、俺の過去の過ちは消えない。』

 

真柴「グリス………?」

 

グリス『悪い、真柴………、俺は行く。』

 

真柴「は?」

 

グリス『すまない。俺から巻き込んでおいて………自分勝手なのは分かっている。だが、これで別れだ。』

 

真柴「グリス、馬鹿言ってんじゃねーーーー!!」

 

ギラ『よく決断したグリスよ!では、共に来い。』

 

 

グリスはギラに導かれ、黒い穴に吸い込まれる………

 

 

真柴「グリス!」

 

グリス『真柴、俺は信じている………、絶対に助けに来るなよ。』

 

真柴「グリスーーーーーー!!!」

 

 

グリスはギラと冥府四天龍と共に黒い穴に消えてしまった………

 

 

梨子「そんな………」

 

曜「どうして………」

 

千歌「真柴………君?」

 

真柴「………………くそーーーっ!!!」

 

 

皆が沈んでいると、少し遅れてサツキが到着した。

 

 

サツキ「みんな!大丈夫かい?」

 

果南「サツキさん!」

 

鞠莉「どうしてここに?」

 

サツキ「ああ、今までに無い強いエネルギーを感知したから来たんだけど………、どうなったんだ?」

 

ダイヤ「ちょうどいいですわ。この機に、サツキさんにも話しを聞いてもらいましょう。」

 

ーーー

ーーー

 

十千万………

 

 

真柴や千歌達は今日まであった事、起こった事を全てサツキに説明した。

 

 

サツキ「なるほど、真柴君はダークネスドラゴンワールドの『死龍島』で、バディのグリスだっけ?と出会ったんだね。そして、〈冥府龍〉を消滅させる為に〈冥府龍〉の封印を解いた。」

 

真柴「………」

 

 

真柴は無言で頷く。

 

 

サツキ「だがグリスは元々〈冥府龍〉のモンスターで、今回、冥府龍王 ギラというモンスターに連れて行かれた。」

 

ダイヤ「だだしくは"付いて行った"ですわね。」

 

サツキ「そうか………」

 

真柴「俺、さっきからずっと気になっていたんだ。」

 

千歌「何を?」

 

真柴「グリス、アイツ黒い穴に消えて行く時、『信じている。絶対に助けに来るなよ。』って言っただろ?アイツはどうして、"信じている"なんて言ったんだろ?」

 

梨子「それはただ、追って来ない事を信じてるって事なんじゃ………」

 

真柴「そうなのかな………」

 

サツキ「いや、違うんじゃないかな?」

 

梨子「違うって?」

 

サツキ「多分それは、敵に悟られないように、逆の意味でメッセージを伝えたんだと思う。"信じてる"なんて言葉を残すって事もそうだが、気になるのは、何で"助けには来るなよ。"なのか、普通なら、"追って来るなよ"って方が自然だろ………?」

 

曜「確かに………」

 

真柴「逆に………助けに来いって事か………?」

 

サツキ「可能性はある。」

 

千歌「グリスは、キッカケをくれたんじゃないかな?」

 

真柴「キッカケ?」

 

千歌「うん。あの黒い穴に攻め込むキッカケ!」

 

ダイヤ「なるほど、確かに、私達は冥府龍の方から攻めて来るのを待つばかりでしたが、自分達から攻めようとは思っていませんでしたわね。」

 

真柴「キッカケがあろうと無かろうと、俺はグリスを連れ戻しに行くつもりだった。俺にとって、グリスは初めてできたバディだ。だから、行こう。あの穴の向こうへ!」

 

サツキ「なら、僕も同行しよう。」

 

曜「ほんとに⁉︎」

 

サツキ「ああ、バディポリスとして、この案件は放ってはおけない。あの黒い穴が、今後どんな影響を与えるか分からないからね。」

 

千歌「やっぱりサツキさんにも見えてたんだ。あの黒い穴………」

 

サツキ「うん。けど、周りの様子からしたら、何も見えてない感じだったけど………」

 

千歌「私と曜ちゃんと梨子ちゃんも見えてますよ!」

 

ダイヤ「ですが、真柴さんと3人以外の私達には見えてませんわ。」

 

サツキ「そうか。なら、それが見える僕達だけで行った方が良いかもしれないな。」

 

真柴「それがいいかもしれないな。」

 

千歌「じゃあ、行こう!」

 

ダイヤ「お待ちなさい。」

 

千歌「ダイヤさん?」

 

ダイヤ「あなた方が向かう黒い穴の中では何があるか分かりません。今日の所は休んで、明日にしてはどうでしょう。」

 

サツキ「そうだね。穴の向こうで何が起こるか分からない。少しでも準備をして、明日行こう。」

 

ーーー

ーーー

 

真柴「あの、バディポリスのエース、盛谷サツキさんですよね?」

 

サツキ「うん、そうだよ。えっと、真柴君だっけ?」

 

真柴「はい。あの、どうしてこんな事に協力してくれるんですか?」

 

サツキ「ん?まぁ、目に見えている異常現象が気になっているのもそうだけど、Aqoursには色々お世話になっているからね。ほんと言うと、僕がエースでいられるのも彼女達のおかげだからね。」

 

真柴「それって、どういう………」

 

サツキ「それに、なるべく彼女達に関わっている人達の助けになってあげたいんだ。君も例外じゃない。絶対に君のバディを助けよう。」

 

真柴「ありがとうございます、サツキさん。」

 

サツキ「あ、そうだ真柴君、僕とファイトしてみないか?」

 

真柴「え?サツキさんとファイトですか?」

 

サツキ「うん。君のファイトを見てみたいんだ。どうかな?」

 

真柴「………分かりました。ファイトしましょう!」

 




今回も感想を是非‼︎

なんか展開が無理やりでしたかね………?

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