フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

8 / 75

はい!!無事、第4話投稿出来ました!!


正直、私の思った以上に読んでくださる方や感想を送ってくださる方が沢山おり驚いています……

こんな駄作者ですが、今後も宜しくお願いします!!

では、第4話…最後までお付き合い、お願いします!


4話 死神現る

 

 

「シクル!!」

 

「あたしもいるよぉー」

 

「あなた…鉄の森の奴ね?こんな所で何しているの?」

 

嬉しそうな声を上げるナツを一瞬視界に入れ、ルージュがナツの近くにいることを確認すると、すぐに目の前の男へと顔を向けるシクル。

 

「ぐっ…お前………歌姫か?」

男はシクルの問いかけに答えることなく、逆に質問を返してくる。

 

「さぁ?それは他の誰かがつけた通り名…私がつけたわけじゃないけど………多分、それで合ってるとは思うわよ?」

そう言い、余裕な表情で男を見据えるシクル。

 

「くっ…ヒャハ………こりゃあいい…アンタが噂に聞く歌姫なら…俺が貰っちゃおうか…」

男の発言にシクルは嫌そうに眉をしかめる。

「え…何それ、どこからどう取ったらそうなる訳?」

 

「アンタに拒否権はないよ?じゃあ、一緒に来てもらおうかな?」

シクルの言葉を無視し、シクルの腕を掴み、連れていこうとする男………すると

 

 

「シクルに………

 

触んじゃねぇっ!!!」

 

ドゴォン!!!

 

「ぐはっ!!!」

 

シクルの腕を掴んだ男を見た瞬間なかった力が湧き上がり、男を拳で殴り飛ばすナツ。

そのまま、男から離れたシクルを腕の中に抱き寄せる。

 

「シクルは俺んだ!!勝手に触ってんじゃねぇぞ、このやろぉ!!」

 

「ナツ…」

ナツの行動と言葉に驚くシクルだが、ふっと柔らかい笑みを浮かべ、ほんの少し、無意識にナツへと擦り寄る。

 

「……でぇきてぇるぅ…」

 

その光景を後ろから見ていたルージュはハッピーの真似をし、口に手を当てにやける様な笑みを浮かべ言う。

(シクルとナツには聞こえていない…)

 

「ぐ、こ、この………!」

男が立ち上がり、ナツを睨みつけた時…

 

 

ガタンッ!!

 

 

列車が、止まる。

 

 

「お?と…止まった?」

「なんで………止まって………ん?」

ナツとシクルが突然止まった列車に不思議に思っていると止まった衝撃で男の懐から何かが落ちた。

 

男の懐から転がったのは三つ目の髑髏の笛だった。

 

男は笛を慌てて拾い、懐へとしまうとナツとシクルをきっと睨む。

 

「み、見たなっ…!?」

 

「うるせぇよっ!さっきはよくもやってくれたなぁ…!!」

 

ナツはシクルから離れ、男を殴るため拳を握り、「お返しだ、このやろぉ!!」と怒鳴り、殴り飛ばす。

「ぐぁ!!ぐ、この………!!!」

ナツが反撃を開始しようとした時だった…

 

 

『たいへんお待たせいたしました

 

先ほどの警報は誤作動によるものと判明いたしました

 

 

まもなく、運転を再開いたします』

 

 

運転再開の案内が流れた。

 

「え?運転再開?」

「何っ!?また動くのか!?」

 

列車運転再開のアナウンスを聞いたナツは男など既に脳裏には無く、シクルとルージュの側へ駆け寄ると抱える。

 

「ちょ!?ナツ!?」

「わわぁ…どーしたのぉ!?」

「逃げんだよ!!これ動きだす前に脱出すんぞ!!」

驚くシクルとルージュにそう言い切るナツはシクルが蹴破った窓から脱出を試みる。

 

そして、丁度窓枠に足をかけようとした時列車が動き出す。

 

「うぷ………!!」

 

「ちょ、ナツ…ぅ…っ!?(あ…酔い止め切れた!?)」

 

「あいやぁー!!シクルぅ、お薬切れちゃったァ?」

 

列車がゆっくりと動き出すとナツだけでなく、シクルも口元を抑える。

 

実はシクルも乗り物に極端に弱いのだ…

ナツは足に力を入れ、窓枠から体を乗り出す。

 

ダッー!!

 

列車の外へ飛び出したナツ。

だが、飛び出した瞬間………

 

ツルッーー!

 

「ふぇ?」

「「あっ!」」

 

ナツがシクルを離してしまった。

 

 

「ちょおおおっと!?なんで離すのよナツのばかぁああああっ!!!」

 

「だぁあああっ!!しまったァ!!」

慌ててナツがシクルの手を掴もうとするが…

 

 

「おい、くそ炎!!よけっ…!!!」

 

「あ゛!?」

 

 

ゴチィイイイインッ!!!!

 

 

「「いってぇえええええええっ!!!!」」

 

 

ナツの救出に来たエルザ達が丁度列車の横に到着した瞬間で、魔導四輪車の上に乗っていたグレイと脱出をしたナツの頭が激突した。

 

 

結果、ナツはグレイと共に地面へ落ち、シクルはナツの手から離れたルージュが助けることで事なきを得た。

 

 

「ふぁああ…し、死ぬかと思った…ありがとう、ルージュ」

「あい!」

 

 

「いってぇええ!!てめ、いきなり何しやがる!!」

強打した箇所を抑え、ナツに怒鳴るグレイ。

「今のショックで記憶喪失になっちまった!!!誰だおめぇ、くせぇ」

そう言いナツは鼻をつまみ、顔をしかめる。

 

「んなにぃ!?」

 

「ナツーごめんねー」

 

ハッピーがナツに駆け寄る。シクルはルーシィの隣に下ろしてもらっている。

 

「ハッピーにエルザ!ルーシィひでぇじゃねぇか!!俺置いていくなんてよぉ!!」

ガルルッ!と声が聞こえそうなほど忘れられたことに怒っているナツにエルザが

 

「すまない」

と、いいルーシィが

 

「ごめーん」

と謝った。

 

 

「おい…随分都合のいい記憶喪失だなぁ…」

グレイ以外の名は綺麗に覚えているナツに眉間のシワをピクピクとさせ、苛ついているグレイ。そんな彼の肩を叩き、

 

「ドンマイ…頑張れグレイ」

と励ましているのか少し微妙なところのシクルの言葉。

 

「兎に角、無事で何よりだ、良かった」

 

ガンッ!

 

「硬ーーー!!」

エルザの手により胸元へ頭を抱き寄せられるナツだが、エルザは生憎と鎧を着ている為、柔らかい感触はなく…鈍い音がナツの頭から響いたのである。

 

「うわいたそぉ…」

シクルが哀れみの目でナツを見る。

 

「いって…無事なんかじゃねぇよ!!列車で変なやつに絡まれるしよー!」

 

「変なやつ?」

エルザの問いにナツは先ほどの一悶着の中で聞いた言葉を思い出す。

 

「何つったっけか………確か…アイゼン………バルン?」

「ナツ、アイゼン“ヴァルト”ね、バルンって何さ…」

 

「アイゼンヴァルト………はっ!!この、ばかものぉ!!!」

ナツの言ったギルドの名は今、まさにシクル達が追っている闇ギルドの名だった。

 

エルザはその事に気付き、易々と逃がしてしまったナツへ、怒りの鉄拳を加える。

 

ドゴォーーー!!

 

「ごぱっ!?」

 

エルザにより、殴り飛ばされるナツ。

 

エルザは再び地に沈んだナツの胸倉を掴み起こす。

 

「貴様!!鉄の森は私達の追っている者だと話しただろう!?」

「はぁ!?俺んなこと聞いてねぇよ!?」

「何っ!?なぜ聞いていない!!さっき列車の中で話しただろう!!!」

 

列車での話を聞いていなかったナツを叱るエルザ。だが…

 

 

(…ナツが話聞いてなかったのはエルが気絶させたからだと思うんだけど…

 

言ったら面倒くさそうだから黙っとこ)

 

先ほどまでの経緯を脳裏で思い浮かべながら深いため息をつくシクル。

 

「まったく…で、そいつに何か特徴はあったか?」

一通り、説教をし終えたのかエルザはナツを離しシクルやルージュを見て問う。

 

「特徴………ねぇ…あ、確かあいつ三つ目の髑髏をした笛を持ってたと思うよ?」

「持ってたねぇ…ちょっと不気味だったよぉ」

 

シクルとルージュの言った笛というものに今まで黙っていた(唖然とし、会話に入れなかった)ルーシィがはっとした表情をし、ぶつぶつと何かを呟く。

 

「笛………三つ目の髑髏………ララバイ………子守唄?…………呪歌……死?………そうか!!」

 

ルーシィは何かを確信づいた様子でシクル達を見て叫ぶ。

 

「それだ!!!その笛がララバイよ!!

 

呪歌………“死”の魔法!!」

 

「なに?どういう事だ、ルーシィ」

エルザからの質問にルーシィは頷き、自身の記憶に基づいた情報を話し始める。

 

 

ララバイ………

 

それは大昔にいたと言われている黒魔導士

 

“ゼレフ”が作り出し魔笛へと進化させた

 

元は“呪殺”の為の道具の一つ…

 

笛の音を聴いた者全てを呪殺する道具…

 

 

“集団呪殺魔法 ララバイ”

 

 

「集団呪殺魔法だと!?」

 

「マジかよ!?」

 

「なんということだ…」

 

ルーシィの話を聞き、グレイ、ナツ、エルザが驚愕の表情を浮かべる。

シクルやルージュ、ハッピーも深刻な表情を浮かべる。

 

「兎に角、今はあの列車を追おう!」

エルザはそう言うと、魔導四輪車へ乗り込み、「お前達も早く乗れ!!」と、シクル達に喝を入れる。

 

エルザの言葉に慌てて乗り込むシクル達。

乗り込む前にシクルは酔い止めを飲み込む。

 

 

オニバス駅の隣の駅、オシバナ駅へ魔導四輪車を飛ばし、急ぐエルザ達。

 

ギャギャギャギャッ!!!

 

キィイイイイッ!!!

 

「「「わぁっ!!」」」

「っ…!ちょ、エル!!」

「エルザ!!飛ばしすぎだ!!」

 

魔導四輪車は、操縦者の魔力を使い走る物。

今、操縦しているのはエルザであり、先を急いでいるエルザは大量の魔力を消費しながらオシバナ駅へと急いでいた。

 

「こうでもしなければあの列車には追いつけない!!」

 

「でもエル!!そんなに魔力を使ったら後でいざと言う時に戦えなくなるよ!?」

「しかもSEプラグが膨張してんじゃねぇか!!」

 

 

「うっぷ……誰、か…おろ…して、くれぇ…」

想像だけで酔ってしまえるナツにとって今の現状は地獄のような状況…最早、正常な考えは浮かばない様で、体を魔導四輪車の外へと出し、飛び降りようとする。

 

「ちょ!!ナツ!!落ちるよ!?」

「ナツ!!やめなさいって!!」

慌ててシクルとルーシィで抑える。

 

「降ろしてぇ〜…うぷ…」

 

「ね、ねぇ!シクル、酔い止め持ってるんでしょ!?ナツに1つあげれないの!?」

魔導四輪車に乗る前にシクルが薬を飲んでいたことを思い出したルーシィが、シクルに聞くが…

 

「あー………あれ、私以外の人が飲むと逆に体調悪くしちゃうっていうか…だから、私しか飲めないんだよね…」

 

「そ、そう………」

飲んで効果があるのなら飲ませてあげたかったが、逆に体調を壊してしまうのなら仕方ない…と、ルーシィは諦め、ナツが落ちないよう抑える事に専念する事にした。

 

 

そして、約5分後ーーー

 

 

目的の、オシバナ駅へと到着。

 

 

到着すると駅では入場を規制する線が張られており、聞いてみると駅を闇ギルドに占拠されたとの事だった。

 

外で入場規制をしていた駅員の1人をつかまえるエルザ。

「君!!中の様子は!?」

 

「な、なんだね!?君は!」

突然の事で駅員は戸惑う。すると…

 

 

ゴスッ!

「ぐは!?」

 

「「「えぇ!!?」」」

「おいおい…」

「エル………」

 

答えに戸惑っていた駅員に頭突きを食らわせたエルザ。

そのまま、他の駅員に聞き回り、その度に答えられない駅員に頭突きし、気絶させていた。

 

「あ、あれって………」

「あい…即答できる人しかいらないってことかな…」

ルーシィとハッピーがその光景に震え上がりながら話す。

その後、駅員は全員倒れてしまい、結果、エルザ達は規制線を乗り越え、駅構内へ乗り込むこととなった。

 

乗り込む際、まだ酔いの冷めないナツを誰かが背負うことになるのだが…

 

「ちょ、ちょっと!?これあたしの役なの!?」

何故かルーシィがその役に…

他のメンバーは既に乗り込んでいる。

 

「あーもー!!何であたしなのよぉ!!」

文句を言いながらも力を振り絞り、ナツを背負いシクル達の後を追う。

 

 

 

そして、シクル達が乗り込んだ先には………

 

 

「なっ…!!」

 

「これは……」

 

「「え…?」」

 

「………軍が、全滅してる…」

 

「ひぃ!?何これ…!?」

 

「…ぅぷ……」

 

シクル達の目の前には軍隊の小隊が全員傷つき倒れ、呻き声を上げている光景だった。

 

シクルは小隊の人達に近寄り、傷の具合を見る。

 

「………大丈夫、命に関わる程の傷はないみたい…」

そう言ったシクルの言葉に一同はほっと胸を撫で下ろす。

 

「闇ギルドと言え、魔導士だ…魔法を使わない小隊では、話にならなかったということだろう…」

エルザの言葉にシクルとグレイは頷き、シクルは腰を上げ、駅の奥を睨む。

 

「多分…この先にいる……」

 

「あぁ………行くぞ!」

エルザの声と共に駅のホームへと走る。

 

 

そして、ホームには………

 

 

「「「…!!」」」

「ほぅ…」

「こいつら……」

 

数十人の闇ギルド、鉄の森の魔導士が集まっていた。

 

 

その中央…空中に浮かんでいる一つの影…

 

 

「クククッ…やはり来たな…待ってたぜぇ…

 

 

妖精の尻尾………」

 

 

ニヤリと笑い、シクル達を見下ろす大きな鎌を持った男…

 

 

「………エリゴール」

 

 

彼こそ………今回の騒動の黒幕………

 

 

鉄の森 エース………“死神 エリゴール”





はい、如何だったでしょうか………

次回から戦闘パートに入ります………!


戦闘シーンは私としては苦手な部類なのですが………頑張ります!!
では、最後までお付き合い、ありがとうございます!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。