フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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おはこんばんにちわ! お久しぶりです

年末にはもう1話……と思っていたのですが前回投稿から3ヶ月が経ってしまいました

構成が抜け落ちてる分納得いかず何度も作成し直していたらこんなに遅くなってしまいました……ごめんなさい!!


あまり長くないですが第71話、よろしくお願いします。




71話 黒いシクル

 

 

 

 

……暗い……暗い……私……

 

 

 

北の塔へとルージュが向かう頃……シクルは自分の意識が暗く落ち混濁している感覚を感じていた。

 

 

何をしていたのか……考える。

そんなシクルに……激痛が走った。

 

 

「!?ゔぅぁああああああァァァァ!!?」

身体に走る電流と高熱の痛みに悲鳴を上げる。

そして……

 

 

「ぅぁあああっ……(あ……思い……出し、た)」

 

ーー 私……あいつに捕まって……

 

 

「……っっ!!はっ……はぁ!」

 

痛みが止んだシクルは乱れた呼吸を繰り返す。

そんなシクルの身体にはいくつもの管と頭にはよく分からない機械が被せられていた。

 

 

被せられている機械でシクルの視界は遮られ何も見えていない状態だった。

そんなシクルが今頼りになるのは……嗅覚と聴覚

 

 

 

「フェッフェッ……アナタも馬鹿な人ですねぇ……あのまま牢獄にいればまだこれほどまでの苦痛を味わうこともなかったであろうに……」

 

「っ……(この声……)何……が、目的?もう一人の……私は、どこ……?」

シクルは聞こえてきた声に途切れ途切れの声で問う。

 

 

「はて……もう一人……アァ、彼女なら別の部屋で罰を受けとるよ……まったく……同じ人間は同じ思考なのですかねぇ……」

 

年老いた老人の声……シクル達を捕えた男が言ったことにシクルはギリッと歯ぎしりを鳴らす。

 

「なんで……なんで、私達に……そこまで拘るの……?お願い……私は、どうなってもいいから……こっちの世界の私を、解放してっ!」

 

「それはなりませんなぁ……あなたがたの他者を癒しそして力を高めるその力、その力を手放すなど……」

 

シクルの願いは聞き入れられず男……フォンゼはそう言い嗤う。

その言葉にシクルは悔しそうに表情を歪め

 

「どうして……なんで……いつも……こっちの、お前も……なんでいつも……!

 

私の力を利用しようとするんだっ……!」

 

シクルの悲痛な声を聞いても何も感じないのかそれどころか可笑しそうに更に嗤うフォンゼは

 

「フェッフェ……うるさい小娘ですな……その口がいつまで続くでしょうかねぇ……」

と言うと再びシクルに繋げた機械に手を伸ばし……

 

「次与える苦痛に……貴方は耐えられるか?耐えられぬか……見物ですな」

 

「!?ま……待って!やめ……!」

 

先程までの力が次流れては……流石に回復も間に合わずどうなるか分からない……

シクルは必死に止めるよう訴える。

 

だが、その言葉は届かず……

 

 

シクルの身体に再び電流が流れる。

 

「うぁああああアアああぁぁアッ!!!?」

 

「更に出力を上げた物です……これに耐えられる力を持っているか……」

 

悲鳴をあげるシクルを見て愉しそうに嗤うフォンゼ……その姿が薄れゆく意識の中嫌に鮮明に見えた……

 

 

 

……なんで……どうして……

 

私は……私の力は……こんな……

 

 

こんな事の為に……あるんじゃない……

 

 

私の力……私の力は……!

 

 

 

 

ワタシ……ダケノモノ……ワタサナイ

 

 

 

「ゔぁ゙ぁ゙ァアアぁ゙ぁ゙アアァ!!!!」

 

シクルの悲鳴が変化し始め……突然、シクルの体から強大な力が溢れ始める。

それを見てフォンゼは目を見開き

 

「な……なんじゃ!?何が……!?」

驚きの声を上げるがシクルへの攻撃は止めずそれどころか……さらに出力を上げ始める。

 

 

バチバチバチッーーー!!

 

「ゔぁあア゙ア゙あァあぁアッア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァアッ」

 

 

 

怖い……私……私は……何、か……

 

 

助けて……怖い……助けて……ナツっ!!!

 

 

 

 

皮膚が焼け焦げたような臭いが漂い始める……そしてシクルにも更なる変化を与え……

 

 

一瞬……シクルから溢れ出ていた力がふっと静まる。

それを見てフォンゼはニヤッと笑みを深めた……だが

 

 

カッーーーー

 

シクルの体から今まで以上の力が放出された瞬間、シクルを拘束していた機械は一瞬で吹き飛ぶ。

 

その力は近くにいたフォンゼをも吹き飛ばす。

 

「ぬぉおおおあっ!?な、なん……!?」

突然の衝撃に驚き顔を上げる。

その目には……

 

 

「…………カえ、セ……」

 

黒髪へと変化し目は虚ろな少女……そして更に……

 

「なん……じゃ?その顔のアザは……」

 

シクルの顔には左目を中心に黒い何かが模様のように広がっていた。

 

フォンゼの問いにシクルは全く反応した様子を見せず、ただ一点を虚ろな瞳で見つめ続ける。

 

そして……ゆっくり……フォンゼへとその目を向ける。

 

 

「……カエ、せ……」

 

ゾクッーーー

 

「ヒッ……!」

 

 

 

 

 

シクルに異変が起きる少し前……シクルを助けに向かったルージュは

 

 

「うぅー……見張りが多いよぉ……」

 

小さな身体を使い警備兵の目を掻い潜り北の塔の地下に繋ぐ階段であろう所までは近づいていた。

が……

 

 

「むぅ……(さっきより兵が多い……やっぱりこの下にシクルがいるのかも……)」

 

兵隊の数は増えておりまた異様な空気をルージュも感じていた。

 

 

どうすれば進めるか……考えていると

 

 

 

ゾワッーーー

 

「な……なに……」

突然感じる、巨大な魔力の放出……ふと、その発生場所とその感覚に覚えを感じる。

 

「……シクル?」

 

 

 

暴走した時に……似てる?

 

 

「怖い、けど……うん!迷ってる暇はないねぇ!」

 

自分を奮い立たせるように頬を1度バチッ!と叩くとルージュは(エーラ)をめいっぱい使いトップスピードを出す。

 

「なんだ!?」

「侵入者だ!捕らえろ!」

 

飛び出したことにより見張りの兵に気づかれるが……

 

「強行突破ァーーー!!!」

 

「「「うわぁ!!」」」

MAXスピードのルージュに見張りはついていけず……ルージュは勢いのまま地下深くへと飛ぶ。

 

そして、見つけた……

 

 

大きく少し古びた扉を。

「シクルーーーー!!」

 

バーン!と扉を体当たりで突破する。

ルージュの視界に入った光景それは……

 

 

「…………シ、クル……?」

 

ボロボロで壁に埋まる男、フォンゼの姿と少し俯き顔は見えないが様子が普段と違うシクルだった。

 

ルージュは様子のおかしいシクルを見て一瞬息を呑む。

だがやっと会えた事が嬉しく小さく笑みを浮かべ声をかける。

 

「シクル……アタシ、ルージュだよォ?助けに来たんだ……大丈夫?……シクル?」

 

そう言いシクルに近づくルージュはシクルの手に触れようと手を伸ばす。

 

その時ーーー

 

 

ドンッーーー!!!

 

「きゃあっ!?」

 

シクルに触れようとしたルージュはシクルから放たれた衝撃で身体が吹き飛ぶ。

壁に身体を打ち付け痛む身体を起こしシクルを見ると

 

 

「シ……クル?」

 

顔の左半分に黒い模様が浮かび普段とは全く違う表情で自分を見つめるシクルがいた。

 

「ど……どうしたのォ?それ……顔、何があったの……シクル?……アタシの事……分かる?」

 

ルージュが話しかけるがシクルは全く表情を変えずただルージュを冷たく見つめていた。

 

そして

 

ゆっくりとシクルは左手を上げルージュに向ける。

 

 

黒い光がシクルの手に集まり……

 

 

 

「……カえ、セ…………に、ゲて……」

 

「え……」

 

シクルの手から放たれた黒い光は真っ直ぐルージュへと向けられ……爆発した……。

 

 

 

爆発の煙が晴れるとルージュがいた所はボロボロに崩れていた。

シクルは冷たい瞳で崩れた壁を見つめる。

 

そんなシクルの耳に小さな呻き声が届く。

声のした方にゆっくりと顔を向けると……

 

「………………ぅ……」

 

「……大丈夫か?」

 

 

「……え?」

 

 

消し飛んだと思われたルージュを抱え助けたのは……ニッと笑みを浮かべる桜髪の男……ナツだった。

 

 




はい、71話、いかがだったでしょうか?

遅くなった割に内容も薄く短く申し訳ないです……

一応この後の流れはおおよそ考えているので次話はもう少し早く投稿できるかと思うのですが……

エドラス編を終えた後はS級試験の前にオリジナルストーリーを組み込む予定です

今年中にはエドラス編終えたい!頑張ります!!

それでは、最後までありがとうございました
次話もよろしくお願いします!!

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