フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

72 / 75

はい……また日にちが空いてしまいました……

ほんっとーーーに、すいません!!!

はっきり言いますと、現在ちょっぴりスランプです。

シクルの立ち位置や拘束される理由を決めていたのですが文に表そうとするとまぁそれはもう……なかなか上手くまとめられず!

それに加えこの時期、少し体調にも波があるので……もしかしましたら8月頃まで週1回の投稿になるかもしれません。


すいません……また色々と持ち直しましたら1日1回の投稿が可能になるかなと思います。


では、前書きはここまでにしまして……68話、最後までお付き合い、お願いします!!


68話 エクスタリアからの逃走

 

 

 

前回から、時を少し遡り……ナツたちが、ヒューズからシャルルたちの任務の内容を聞かされていた頃……

 

 

ルージュ、ハッピー、シャルル side

 

 

 

ルージュたちは、シクルたちとは違う場所へと移され、現在大きなベッドの上で横たわっていた。

 

「……っ、ん……? あ、れ……ここ、は?」

かすれた声を小さくもらし、体を起こすのはハッピーだ。

 

ハッピーは少しの間ぼうっと辺りを見渡し、ここがどこかの部屋であることを認識すると、隣で未だに意識の戻らないルージュとシャルルに気が付く。

 

「! シャルル! ルージュ! ねぇ、起きて、起きてよ!!」

 

「……んっ……、ハッピー?」

 

「……オス、ネコ」

 

ハッピーがユサユサと体を揺するとシャルルとルージュの意識も戻り、ほっとハッピーは息をつく。

 

「良かった! 気がついたんだね」

 

「ハッピー……あたし達、一体……」

 

「……眠らされてここに連れてこられたのは確かね」

 

「ここどこだろぉ……?」

 

「……」

 

ハッピーとルージュが部屋を見渡していると顔を伏せるシャルル。

 

「……シャルル?」

 

「どうしたのぉ……?」

 

シャルルの様子に心配になり、ハッピーとルージュが声をかけると……シャルルは悲しげに、そして悔しそうに苦い笑みを浮かべる。

 

「ごめん……私の “情報” が罠だった……」

 

「そ、それは……オイラたちはたまたま見つかっただけだよ! シャルルのせいじゃないよ!!」

 

「シャルル……」

 

「私……誓ったのに……ウェンディを、絶対に……守るって……」

 

ぽつりぽつりと呟き、拳を硬く握るシャルルの表情は辛く、ハッピーやルージュも苦しい気持ちになった。

 

そこへ……ガチャっと音を立て、開かれる扉

 

「「「!!」」」

 

驚き、扉の方をルージュたちが振り返ると……そこにいたのは

 

「お前達がアースランドで任務を完遂した者達か? ……うむ、いい香り(パルファム)だね」

 

「え……」

 

「い……」

 

「「「一夜っ!?」」」

 

扉を開け、入ってきたのはルージュたちもよく知っているアースランド、青い天馬のエースの1人、一夜そっくりな人(猫)物だった。

 

 

「……てか、猫?」

 

「何を驚く? 同じエクシードではないか!!」

 

「エクシード……(そっかぁ……こっちの一夜は……)」

何のことか分からない、と首を傾げるハッピーとシャルルの隣で唯一その言葉の意味を理解し、目の前の一夜を見つめるルージュ。

 

すると、猫の一夜の後ろからもう1匹、黒く少し背の高い猫が現れた。

 

「ニチヤさん、彼らは初めてエドラスに来たんですよ? きっと、エクシードを見るのも初めてなんでしょう」

 

「おお! そうであったか……私はここ、エクスタリアの近衛師団隊長を務めるニチヤだ」

 

一夜だと思っていた猫、エクシードの名前は “ニチヤ” というようだ。

 

そして、後に入ってきた黒いエクシードは

「ぼきゅはナディ、任務お疲れ様」

 

と、名乗り、目の前のルージュたちを誇らしげに見つめた。

 

「任務?」

 

「……」

 

「あたしは……」

 

首を傾げるハッピーと、顔を俯けるシャルル……そして、何かを言いたげそうなルージュ

 

「早速であるが、女王様がお待ちである……ついて来たまえ」

 

「女王様だって!?」

 

そう言いニチヤは外へ出る。

ナディは扉の前でハッピー達が来るのを少し待っていた。

 

「シャルル、オイラに任せて」

 

「シャルル……とりあえず、ここにいても何も情報もないしさぁ……彼らについていこぉ?」

 

「……」

 

なおも俯くシャルル……

 

「オイラが絶対に守るからね!」

 

「あたしも……だから、そんな顔しないでぇ?」

 

「……そうね」

 

ハッピーとルージュの言葉を聞き、やっと顔を上げ少し気持ちの落ち着いた様子のシャルル。

 

3匹は顔を見合わせ、頷くとナディとニチヤの後を追い、部屋を出ると案内されるがままに女王の元へと向かう。

 

 

女王の元へと向かう最中、ルージュたちの目に入ったその光景は……たくさんの猫が歩き、会話をし生活をしている姿だった。

 

「猫の国だ……」

 

ぽそっと呟いたハッピーの声を聞き取ったナディが前を歩きながら少し、後ろのルージュたちを振り返り口を開く。

 

「ぼきゅ達は猫じゃない……エクシードさ

人間の上に立ち、人間を導くエクシードだよ」

 

「エクシード……」

 

「そしてここはエドラスの王国、エクスタリア」

 

ナディの話を聞きながらも、歩く足は止めず、そのままルージュ達は城の中へ入って行く。

 

「人間は酷く愚かで劣等種だからね……ぼきゅ達がきちんと管理してあげないと」

 

「っ……(そんなこと……)」

 

「その上、人間共は酷い香りだ」

 

ナディに続き、顔を歪めニチヤはそう言う。

 

「そして、女王様はここで人間の管理をしているんだ」

 

「女王様は素敵な香りさ」

 

先程までの嫌な表情が消え、誇らしげな表情を浮かべたニチヤがまたそう続く。

 

「勝手に増え過ぎると厄介だからねいらない……人間を女王様が決めて殺しちゃうんだ」

 

「!!」

 

「……」

ナディの言葉に驚くハッピーとただじっとナディを見つめるルージュ。

 

「な……何でそんな事……」

 

ハッピーは気になり、ナディに問いかける。

すると、ナディはどこか誇らしげに……語り出す。

 

「失われつつある魔力を正常化する為だ……と、女王様は仰った

 

女王様はこの世界だけではなく、アースランドの人間も管理しておられるのだよ」

 

「なら……その女王様はどうして人間の死を決めれるのぉ?」

 

ハッピーに続き、どこか怪訝そうな表情を浮かべ、ルージュがナディに問いかける。だが、その問いにはナディではなく、ニチヤが答えた。

 

「女王様にはその権限がある……なぜなら、あの方は神なのだから」

 

ナディの代わりにニチヤが説明をした。

 

「神!?」

 

「神って……」

 

ニチヤの言葉に驚くハッピーとルージュ。

 

「私達の任務って何?」

 

「!」

 

「私には生まれた時から任務がすり込まれていた……女王の人間管理によって選ばれた、滅竜魔導士 ウェンディの抹殺……」

 

「え……?」

 

「シャルル……それはっ」

 

シャルルのその言葉にハッピーは驚き、ルージュはまさかと目を見張る。

 

「ど……どういう事なの? シャルル!

ウェンディの抹殺って一体どういう事……な、の……っ!?」

 

 

シャルルに問いかけながら、ハッピーはある事に気が付く……

 

シャルルにはウェンディの抹殺という任務がある……なら、自分は……? と……

 

「あれ……それ、じゃ……オイラの、任務……て」

 

そして気がついてしまう……

 

ガクッと座り込むハッピーを横目に、シャルルは悲しそうに見つめる。

 

「……アンタは知らなくって幸せだったわね……ルージュも」

 

「ナツを……抹殺する任務に……!」

 

「ちがっ……!」

 

あまりのショックで体が震えるハッピーと何かを言いたげなルージュ。

 

「落ちつきなさい、オスネコ!! メスネコも……私達は任務を遂行してないし、遂行するつもりもなかった!!

 

……なのに、どうして完遂した事になっている訳!?」

 

このシャルルの言葉に目の前のニチヤとナディは驚いた表情を浮かべ、顔を見合わせた。

 

「記憶障害か?」

 

ニチヤはナディに問いかけ、ナディも首を傾げる。そして、ふぅとため息をつくと苦笑を浮かべる。

 

「仕方ありませんよ……“上書き”による副作用は未知数なのですから」

 

 

「っ……答えなさい!!」

 

ちゃんとした返答が戻ってこず、我慢の効かなかったシャルルがさらに声を張り上げ、疑念を投げかけると、ナディがシャルルたちを見やう。

 

「ぼきゅが説明するよ……

女王様の人間管理に従い、6年前に100人のエクシードをアースランドへ送ったんだ……卵から孵ると滅竜魔導士を捜索し、抹殺するように“情報”を持たせてね

 

しかし状況が変わったんだ……

人間の作り出した“アニマ”が別の可能性を導き出したからね……それは、アースランドの人間を殺すのではなく……魔力として利用するというものだったんだ

 

中でも滅竜魔導士は別格の魔力になるみたいなんだよ

 

なので急遽、君達の任務を変更したんだ……

『滅竜魔導士を……連行せよ』と、ね」

 

「「っ……!?」」

 

「……う、そ……そんな」

 

ナディの語る話によるあまりのショックに目を見開き、放心するハッピーとシャルル。

そして、嘘だそんな訳ない、本当は……とぶつぶつと呟き、俯くルージュ……。

 

そんな3匹を前に、やれやれと言った様子でため息をつくとナディ。

 

「やはり、遠隔での命令上書きはうまく伝わらなかったようですね」

 

「しかし、お前達は滅竜魔導士を連れて来たのだからな……魔力化は人間共に任せてある

そういうのは人間どもの方が得意だからな

 

そして、君たちは1番重要な任務も遂行したのさ」

 

「1番……重、要……な?」

 

「なに……それ」

 

 

「君たちは……彼女しか持ちえない歌魔法を使う、最強の滅竜魔導士を連行してきたのさ」

 

「「っーーー!?」」

 

「……え、っ?」

 

身体を大きく震わせ、驚愕の表情を顕にするルージュたちの様子に気づかないのか、ニチヤはさらに話を続ける。

 

 

「女王様の命令でもある……歌魔法を使いし最強の滅竜魔導士……その魔力は他の滅竜魔導士の何倍もの魔力を持つ……それを我々は人間共の持つ魔力化の力で半永久的な魔力供給源とするのさ!」

 

「そん、なっ! それじゃあ……シクルは、シクルはっ!」

 

その力さえあれば他の魔導士に興味はない……そう言う、ニチヤを前に……震えが止まらないシャルルとハッピー、ルージュ。

 

 

「違う……私、は……自分の意志で……エドラ、スに……」

 

 

「ううん……君たちは命令を実行しただけだよ」

 

俯き呟くシャルルの言葉にナディはそう言い放つ。

 

「皆を、助ける……為に、坑道へ……」

 

「気づいていなかったのかい? ぼきゅ達は誘導したんだよ……」

 

「私は……私はっ……ウェンディが大好きだから……だから、守りたいって……」

 

「それは一種の錯覚だね、命令が“抹殺”から“連行”に……すなわち『殺してはいけない』と変更された事による……」

 

「うそだぁあああああああああっ!!!!!!」

 

ナディの言葉にシャルルは大粒の涙を流し泣きながら大きな声で叫ぶ。

 

そんなシャルルを見て、ハッピーとルージュの目からも涙が……だが、ルージュは身体の震えを抑えながらキッと目の前のニチヤとナディを睨むと……

 

「嘘だ!! あたしたちに……ううん、ハッピーたちにそんな任務、与えてなんかいないでしょぉ!? ほんとは……!!」

 

本当の……目的はっ……!

 

「何を言っているんだい? お前達の行動全ては私達の命令によるものだ……それは嘘偽りのない事実だ」

 

ニチヤはシャルルとルージュを見て、そう言う。だが、ルージュはさらに声を上げる。

 

「命令なんてないよぉ! だって……だって、本当はっ! ここの女王様にだって……そんな力、ない……(だって……ハッピーたちが向こうに送られた理由は……)」

 

「まったく……何度言ったら分かるんだい? 君たちは女王様の命令により任務を……」

 

「そんなの……あたしは、信じないよぉ!」

 

ニチヤの言葉を遮り、声を張り上げたルージュ。そして、ここまで一言も声を出さなかったハッピーが……立ち上がる。

 

 

「オイラ達は……オイラ達は、操り人形なんかじゃないぞっ!!!」

 

「っ……」

 

「オ……オス……」

 

 

「オイラ達は……妖精の尻尾の魔導士だぁああああっ!!!」

 

雄叫びを叫ぶハッピー見つめ、シャルルはただただ涙を流し……そして、ルージュはグッと拳を握ると……ハッピー同様立ち上がる。

 

「そうだよねぇ……あたしたちは、妖精の尻尾の魔導士……お前達の命令には従わないよ!!」

 

「ハッピー……ルージュ……」

 

 

ハッピーとルージュは顔を見合わせ、頷くと片手ずつシャルルの手を握る。

 

「「行くよ、シャルルっ!!」」

 

「え……」

 

「「!?」」

 

ハッピーとルージュはシャルルを立ち上がらせると、走り出す。

 

「ちょ……!?」

 

「およよよよ……!!」

 

突然のハッピーとルージュの行動に驚くナディとニチヤ。

 

「絶対に……助けるんだ!!」

 

ハッピーは大声でそう言った。

 

「うん……絶対、今度こそ、離れたりなんかしないんだぁ!!」

 

ルージュも力強い瞳をし、そう叫ぶ。

 

「こ……これは……」

 

「堕天……地上の汚れに毒されてしまったエクシードは、堕天となる……っ!」

 

「おぉおおおおっ!!

メェーーーーーーーーーーーン!!!!

 

堕天が3匹脱走!! 近衛師団!! 出撃ぃいいいいい!!」

 

 

逃げ出し、堕天となったルージュとハッピー、シャルル……シクルたちの救出を胸に誓うルージュたちだが……その心は、まだ……

 

 






んんんん……シクルが狙われるその理由のところなんですが……まぁ、歌で治癒や防御など出来る事でその魔力の特異さと多さがエドラスでは重要な魔力となり力になる……と言ったような感じ……です、かね?

何それな感じですいませんorz

とりあえず、例の夫婦は次回登場すると思います。

次はいつ投稿できるか、まだ分かりません……投稿の期間が決まりましたらまた報告させていただきたいと思います!

では、最後までお付き合い、ありがとうございます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。