フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい! こんにちわこんばんわ、thikuruです!!

今回はあの、お久しぶり、雷竜様が登場です!

雷竜様もカッコイイですよね! イケメンになって……兄貴って感じに!

とても好きなキャラなので少しフライングの登場なのですが出ていただきます!

では、最後までお付き合い、お願いします!!


57話 雷竜との再会

 

 

 

妖精の尻尾 ギルドにてーーー

 

 

今日も今日とて、騒ぎ賑わっているギルド……その中でも一際騒いでいるナツたちのところへと向かい、走ってくる女の影……

 

「みんなー!!」

ルーシィの姿があった。

 

「んァ?」

 

「ルーシィ?」

 

「どーした?」

 

ナツたちの傍に駆け寄ってくると乱れた息を整え……

 

「あのねっ! さっき福引でリゾートのチケット当たったの!! 2泊3日のチケットよ!」

 

みんなで行きましょう! と笑顔で言ったルーシィにナツたちも興奮し、目を輝かせる。

 

「リゾートかぁ! いーなそれ!」

 

「あい! 最近忙しかったもんね!」

 

「まぁ、いい気分転換にはなるかもな」

 

「何人まで行けるんですか?」

 

ルーシィの持つチケットを見て、ウェンディが問いかけると、

「6人よ!」

と、答えるルーシィ。

 

「最強チームのみんなとウェンディも! 一緒に行きましょう!」

 

「えぇ!? わ、私もですか?」

ルーシィの言葉に驚くウェンディ。

 

「い、いいのでしょうか……」

 

「良いではないか、1人での初仕事、成功祝いも含めてな」

ふっと、ウェンディの肩を持ち微笑み言うエルザ。

 

「そう言えばウェンディは一昨日まで1人で仕事行ってたんだっけ?」

 

首を傾げ問うルーシィ。

 

「1人じゃないわ、私もいってたわよ」

 

「はい! 妖精の尻尾に来て初めてシャルルと2人での仕事だったんですが、ちゃんと出来ましたよ!」

 

「ウェンディとシャルルはしっかりしてるもんねぇ、安心できるよぉ」

 

ホットミルクを飲みながら、のほほんとナツや、ルーシィたちの会話を聞いているルージュ。

 

 

「……なぁ、そーいやシクルは?」

ふと、この場にいないシクルのことが気になったナツ。

 

「そーいや見てねぇな」

 

「また家で籠ってるの?」

 

ナツのその言葉でシクルがまだ来ていないことに気づいたグレイとハッピー……ルージュに視線をやり、問いかける。

 

と、ルージュはほんの少し不安そうな表情を浮かべる。

 

 

「シクルは……今朝評議院に呼ばれて……」

 

「え……それって」

目を見開くルーシィ……その後ろではぁとため息をつくグレイ。

 

「またか……」

 

「俺なんも聞いてねぇーぞ!?」

 

「朝突然来たから……いう暇がなかったんだよぉ」

ナツの言葉に尻尾を垂らしながら答えるルージュを慰めようとその頭を撫でるハッピー。

 

「何なんですか? 評議院が……シクルさんはどこへ?」

 

「シクルは……」

 

唯一何も知らないウェンディとシャルルが首を傾げるとウェンディの肩に手を置いていたエルザが答えた。

 

「えぇ!? そんな、危ない仕事を評議院から頼まれて1人で行ってるんですか!?」

 

「大丈夫なの?」

 

不安そうに声を上げるウェンディと、素っ気なくも気にしているシャルル。

 

「大丈夫さ、あいつはここの最強魔導士だ……問題ねぇよ」

 

「うむ、シクルがいないのは残念だが……ルーシィからのせっかくの誘いなのだ。リゾートを満喫しようではないか」

 

グレイとエルザの言葉にナツたちは笑顔を浮かべ、頷いた。

 

 

「では、準備が出来次第、出発しよう!」

 

「「「「「「「おー!!」」」」」」」

 

 

 

ナツたちが旅行の為、準備を進めていた頃……

 

評議院からの依頼を受けたシクルは、ある街に位置する、深い森の中を歩いていた。

 

「はぁー……こんな森の奥深くで魔物退治って……足場悪すぎるっての」

グチグチと文句を言いながらも歩を進めるシクル。

 

その足元はぬかるんでおり、急斜面がさらにシクルの足元を不安定にしていた。

 

ふと……ピクッと何かに反応し、シクルはその足を止めた。

 

そして、はぁ……と長いため息をつく。

 

「ここってリゾート地もあるから……早めの対策をお願いされたはいいけど……」

 

そう呟きながら、十六夜刀を換装する。

 

 

シクルが刀を手にした瞬間……ザァアッ!!! と音を立て、上空から舞い降りる多くの影……それは、シクルの目の前へと降り立ち……

 

「……はぁ、ほんと……評議院の奴らは私を殺したいのか……?」

 

シクルは苦笑を浮かべ、毒を吐く。

 

 

 

シクルの目の前に降り立った影の正体……それは、S級モンスターに指定されている、 “ワイバーン” だ。

 

しかも数は目視だけでも800はいた……

 

その数に再び深いため息をつくシクルは、戦闘態勢に入る。

 

そして、シクルの殺気に気づくと、シクルよりも先にワイバーンが動き出した。

 

 

「んもぉー……何でこんないるの……こんな集団行動するヤツらだった? てか……情報と違いすぎるってーのッ!!!」

 

何が500匹だばかぁー!!! と、怒声を叫びながらシクルは襲い来るワイバーンを斬り裂いていく。

 

「絶対……報酬上乗せさせてやるんだからっ!

 

伍ノ太刀 鳴雷月!!!」

 

刀から発した雷で数十のワイバーンの動きを止めるとその瞬間に、動きの止まったワイバーンを斬り捨てていく。

 

それを幾度も繰り返し……800近くいたワイバーンは100程に数を減らしていた……。

 

「はぁ……はぁ……もぉ! ほんっと……数だけ多いんだから……」

 

傷はないが疲労が溜まっていくシクル……。

 

そして、最後の100匹を倒そうと……足を踏み出した時ーーー

 

グキッ!

 

「ふぉっ!?」

 

ぬかるみに足を取られ、転んでしまう。

 

 

『ガァアアアッ!!』

 

そこを狙い、ワイバーンが一斉にシクルに襲いかかる。

はっと、シクルは目の前を見据え……十六夜刀をしまうと両手に魔力を込め……

 

「滅竜奥義 月華炎乱舞!!!」

 

振り切った両手から放たれたその炎はワイバーンを残らず襲い、消した……。

 

 

 

炎が晴れ、最後に残ったのは息を荒らげるシクル……。

 

「っ……はぁ! あ、危なかった……」

 

まさかあそこで転けるなんて……と、詰めた息を吐き出し肩の力を抜く。

 

 

そして、呼吸も整い、帰りますか……と、立ち上がろうとした時だ……

 

 

ズキッ!!!

 

「つっーーー!!」

右足に鋭い痛みが走った。思わずあげた腰を下ろし、右足を抑える。

 

そして、靴を脱ぎ右足の具合を見てみると……

 

「うっわ……青」

 

見事に青く腫れ上がり、熱をもっていた。

 

 

所謂、捻挫を起こしてしまったのだ。

 

痛みで立ち上がれず、落ち込んでいた気持ちがさらに沈むシクル。

 

 

「うっそでしょぉ……絶対あの転んだ時じゃない……はぁ」

 

捻挫も歌魔法の、治癒で治すことは出来るのだが……

 

 

「……魔法使うのめんどくさ……」

 

足以外はどこも怪我をしていない事で、シクルに歌魔法を使う意欲がないようだ……。

 

シクルは近くの大木に寄りかかり、空を見上げる。

 

今日の空模様は生憎の曇りで太陽の光はなかった。

 

「はぁ……失敗したなぁ、まさかあそこで転ぶなんて……」

 

ドジだなぁと、呟き下を向く。そして、暫く目を瞑り、休んでいると……

 

ぽつり、と水滴が頭に落ちてくる。

 

「え……」

ふっと、シクルが顔を上げると……パラパラと雨が降り始めていた。

 

ほんの少し目を見張り、降り出した雨を見つめるシクル。

 

「……雨……(そういえば……あの時も……)」

 

 

 

雨が降ってたなぁ……

 

 

 

 

“ シクル!! 早く逃げろっ! ”

 

“ で、でも……ーーは!? ”

 

 

“ 僕のことはいいから!! 早く! シクルだけでもっ! ”

 

“ いや……嫌だよ!! 1人なんて……ーーも一緒に!! ”

 

 

 

“ いたぞ! 脱走者だぁ! ”

 

“ やばっ……早く! 行け、シクルっ!!”

 

 

ドンッーーー

 

“ っーー!! いや……ーー!!……

 

シロォオオオオオッ!!! ”

 

 

「っーーー!!! はっ……はぁ……はぁ……

 

……夢、か……」

 

シクルの脳裏に浮かんだのはまだ幼き頃の記憶……追っ手から自分を逃がすために、笑顔で囮になった彼……

 

「……シロ……(あの後……シロは現れなかった……シロ……)」

 

 

……今、あなたはどこに……

 

 

震える瞳から次第に涙が溢れ始める……

 

シクルは膝を抱え、嗚咽を堪える。

 

 

「っ……ぅ……ダメ、だなぁ……(ここが……あまりにも、似ているから……)」

 

 

思い出してしまう……

 

 

溢れる涙は止まらず、堪えていた嗚咽が漏れそうになる……その時……

 

 

 

ザッーーー

 

「……シクル?」

 

 

 

「っ……え?」

 

自身を呼ぶその声……暫く聞いていない、よく知ったその声に、シクルはバッと顔を上げた。

 

その目に映ったのは、予想と違わず……金の髪に背にはガウンのマントを羽織った大柄な男……

 

暫く前にギルドを破門された、マカロフの実孫……

 

 

 

「……え……ラク、サ……ス?」

 

 

“ ラクサス・ドレアー ” その人が、目の前に立っていた。

 

 

「え……何でここに、いるの? ……ラクサス」

 

 

「俺がここにいるのはたまたまだ……」

 

少し視線を泳がせそう告げるラクサス……そんな彼を見て、シクルはふっと笑みを浮かべる。その表情に涙はなかった。

 

「もしかして……迷ったの?」

ニシシと笑うシクル。そんなシクルにプチンとキレるラクサス……拳を握り、その頭に振り下ろす。

 

「うるせぇ、このチビ」

 

ガンっ!

 

「いっっったぁあ!!」

 

暴力反対だァ! と、叫ぶシクル。だが、ラクサスに気にした様子はない。

 

 

「ところでお前、いつからそこにいんだよ?」

 

「ふぇ?」

 

ラクサスの言葉に、コテンと首を傾げるシクル。

意味が分からない、と言った様子のシクルにはぁとため息をつくラクサス。

 

「だから……いつからそこにいりゃあ、そんなにずぶ濡れになるんだってきーてんだよ」

 

ラクサスのその言葉にシクルはやっと自身の体を見下ろし……

 

「うっわぁ!? すっごい濡れてたっ!」

と、叫んだ。

 

「気づいてなかったのか……アホだな」

ふっと小馬鹿にした笑みを見せるラクサスに頬を膨らませ、怒るシクル。

 

「アホって言うな!」

気づかなかったんだからしょうがないでしょー! と、声を上げ、雨宿りのできそうな所を探そう……と、立ち上がった時……

 

 

忘れていた、右足の痛みが再び走る。

 

「つっ!」

 

「おいっ!」

ガクッと右足を抑え、崩れるシクルを咄嗟に支えるラクサス。そして、やっとシクルが足に怪我を負っていることに気づいたラクサス……

 

彼は、怪訝そうな表情を浮かべる。

 

「シクル、お前……足怪我したのか?」

 

「あー……ちょっと、捻っちゃって」

 

苦笑を浮かべ、先程起きたことを説明するシクル。

 

 

「はぁ……治癒の魔法はどうしたんだよてめぇ」

呆れた様子で問いかけるラクサス。

 

「めんどいからやってない」

真顔でラクサスの質問に返すシクルにさらに呆れたため息を吐くラクサス。

 

 

「こんな時まで面倒くさがるなアホ……」

 

「またアホって言ったー!! 私はアホじゃないってば……て、きゃあ!?」

 

 

うがー! と、ラクサスに吠えていると突然、ラクサスがシクルの肩と膝裏に手を添えた。

そして、そのままシクルを横抱きに抱える。

 

 

「な、ななな……何すんの!?」

おーろーしーてー!! と、抗議するシクル。

 

「うるせぇ、黙っとけアホ。そんなんじゃ歩けねぇだろ……だからってここにいても冷えるだけだからな……場所移すぞ」

 

 

少し真剣な眼差しのラクサスを見上げ、シクルはふっと抗議の声を止め……はぁ、とため息をひとつ吐き出すとラクサスに体を預けた。

 

抗議を止めたシクルにふっと、満足そうな笑みを浮かべるとラクサスは雨宿りできそうな所を探し、歩き出す。

 

その際、シクルに雨が直接当たらぬようマントをシクルにかけた。

 

 

 

 

シクルとラクサスが暫く久りの再会を果たしていた頃……リゾート地の、ホテルにて……

 

 

「リゾートだぁ!!」

 

「海だァ!!」

 

「ご馳走だァ!!」

 

「遊ぶぞぉ!!」

 

「思い出作るわよぉ!!」

うぉおおー!! と、声を上げるナツ、ハッピー、グレイ、エルザ、ルーシィ。

だが、その背後から……

 

 

「でも皆さん? お外は生憎の雨ですけどね」

と、ウェンディの苦笑を浮かべ、告げたその一言に……

 

ガーン! と固まる一同。

 

 

「……馬鹿ね」

 

「ここ……」

呆れた様子のシャルルと、はっと雨模様の外の景色を見渡すルージュ。

 

「どうかしたの? ルージュ」

辺りを見渡すルージュに声をかけるウェンディだが、ルージュは首を横に振り、「何でもないよぉ」と、答えた。

 

ウェンディはあまり深く問いかけることはなく、「そっか」と笑みを浮かべると……

 

 

「雨が止むまでホテル内を探検するのはどうでしょうか?」

と、ナツたちに提案した。その案に、シャルルも乗る。

 

「そうね、ここにいろんな施設が完備されているみたいし……退屈はしないと思うわよ」

 

 

「おっしゃー!! じゃあ早速行ってみようぜ!」

「あいー!」

先ほどの落ち込みはどこへやら……ナツとハッピーは先にホテル内を駆け回り始める。

 

「おい、待てクソ炎!!」

 

「ちょ、ナツ!? ハッピーも! 待って!!」

 

「全く……世話の焼けるやつだ」

 

グレイと、ルーシィ、エルザもその後を追いかける。

 

 

「私たちも行こう!」

 

「そうね、あのメンバーだけじゃ何しでかすか心配だものね」

 

ため息をつき、そう言ったシャルルに頷くウェンディ。

2人は同時に駆け出し、エルザたちを追う。

そして最後に……

 

「オイラ達も行こう! ルージュ!」

 

「あ、あい!(……この島、シクルの受けた依頼と同じ場所……)」

 

 

どこかでシクルに会えるかなぁ……

 

 

 

ナツたちを追いながら、心の中でシクルの事を考えていたルージュ……

 

シクルと合流するのか……そして、

 

ラクサスと再会したシクル……

 

 

続きのお話は次回へと、続きます

 

 





はい! 如何だったでしょうか……
ちなみにラクサスはシクルの事を恋愛として見ている訳では無いのですがまぁ……女の中では気になる方、と言った位置づけでしょうか……

恋愛に発展することはありません!

そして、回想で出てきた新キャラですが、後に詳しいキャラ設定を公開します!
現在は “シロ” という、名前のみで……では

次回も明日になるかと思われます!
最後までお付き合い、ありがとうございます!!

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