フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

59 / 75
はい! 最初に……


アトスごめんねぇええええええ!!!!
ほんっとに救われず……orz


では、本編……最後までお付き合い、お願いします。


55話 アトスの告白そして…

「わぁ!! すごぉい……本がいっぱい!!」

 

「喜んで頂けているようで良かったです」

 

 

シクルの手を引き、アトスがやって来たのはマグノリアの中では恐らく2番目に大きい図書館だった。

 

「凄いね! 私こんな大きな図書館がマグノリア図書館以外にあったなんて知らなかったよ!」

 

「ここはそれなりに穴場の図書館ですから……僕も、最近ここを知ったんです

 

シクルさんは読書がお好きですよね? 気に入っていただけるかと思ったのですが……」

 

少し照れた様子でそう話すアトスを見つめ……ふっと笑みを浮かべると目を細め

「ありがとね、アトス!」

と言った。

 

「い、いえ……///」

 

シクルのその笑みに鼻を抑えるアトス。そんなアトスを不思議そうに見つめるシクル。

 

そして……鼻を抑えたのは他にも……

 

 

「っ〜〜〜!!! ンだありゃ……反則だろぉ!?」

 

「しっ! 声が大きいわよ、ナツ!」

 

図書館に取り付けられている複数の窓の内の一ヶ所の外から中を覗く人影……それは、シクルを追いギルドを飛び出したナツとミラの命令でナツを抑えるためについてきたルーシィだった。

 

「つか、今のをあいつにしたんだろ……くそぉ! 腹立つっ!」

 

「もぅ! だからってそんなに殺気立たないでよ!(シクルに気づかれるでしょうよ!)」

 

ルーシィはシクルに尾行していることを気づかれるのを恐れているが……

 

 

「……(何やってるんだろ……あの2人)」

 

既にバレてます。

 

「どうか致しましたか……?」

 

「ん? ううん! 何でもない何でもない! じゃあ、ちょっと色んなの見てみよっか」

 

あははと笑いながらアトスにそう言い、図書館の奥へと入っていくシクル。

 

奥へと入る前にもう一度ナツとルーシィのいる窓の方をすっと見やる。

 

そこではナツとルーシィがワタワタとじゃれ合うかのように少し騒いでいた。

その姿にクスッと笑みが溢れる。

 

……ズキッ

 

「……ん?」

笑みが溢れた瞬間、胸に違和感を覚えるシクル。だがそれはすぐに治まり……

 

「……気のせい、かな?」

気にしないことにしたシクル。

そして、少し先を歩くアトスを追い足音を立てぬよう、駆け出す。

 

「あ! シクルが奥に行っちゃった!!」

 

「んなにィ!? おいルーシィ! 俺達も行くぞ!!」

 

ルーシィの言葉に立ち上がり、図書館の中へと駆け込むナツ。

 

「あ! ちょっと!! 待ってよナツ!!」

バレても知らないわよ!? と声を上げながらルーシィも、ナツを追い図書館へと入っていった。

 

 

 

「んー……あ、これ解毒の本だ……(覚えておいた方がいいかな? あんまりアレは使えないし……)」

いくつか解毒についての魔法(応用編)などの本を手に取るシクル。

 

「何か気に入る本はありましたか?」

 

本棚の間からひょっこりと顔を出すアトス。

 

「うん! いっぱいあるわ」

にっこりと微笑むシクルを見て「それは良かった」と笑うアトス。

 

「この図書館、併設のカフェテリアもあるんですよ。そこで少し休憩しませんか?」

 

読書も兼ねて……と、アトスが提案するとパァッと笑顔が輝き、

「えぇ、行きましょ!」

と答えたシクル。

 

 

カフェテリアにてーーー

 

 

「んー……結構複雑な魔法……(出来なくはなさそうだけど……)めんどくさそう……」

 

カフェラテを飲みながら先程選んだ魔法書や応用編の記された本を読み進めるシクル。

 

その姿を目の前で静かに見つめるアトス……彼は、真剣に読書をするシクルを見てフッと笑みを浮かべた。

 

「ん? 今、笑った? アトス……」

 

「あぁ、すいません……読書に夢中なあなたがあまりにも可愛くてつい……」

 

「か、可愛いって……もぅ、そーいうのは本当に可愛い子に言わなきゃ!」

 

私に言ってももったいないよーと、カラカラと笑い言うシクルに苦笑が浮かぶアトス。

 

 

シクルのその言葉は備考を続けているナツとルーシィの耳にも入った。

 

「……シクルの奴、ほんとにあんなこと言ってんのか? シクルが可愛いなんてとうぜ……」

 

「あーはいはい、あんたの惚気はいいから……でも確かに、シクルってちょっと鈍感すぎよねぇ……警戒心もないし」

 

あたし少し心配だわ……と、言うルーシィ。そんな彼女を少し呆れた目で、ちらりと横目に映しナツはシクルへと視線をやる。

 

 

静かに読書の時間が過ぎていくシクルとアトス……

 

「静かだね……すごく」

 

「そうですね」

 

ふっと笑みを浮かべ、シクルの言葉に返すアトスを見つめ、ふとシクルは違和感を覚える。

 

 

……何でだろう……読書してる時に静かなのは凄く良いんだけど……

 

 

 

…………物足りない……

 

どうして……ーーー

 

「シクルさん……?」

 

「っ! あ、アトス……なに?」

アトスに呼ばれ、はっと我に返るシクル。

 

「ぼーっとしてましたよ? どこか体調でも……」

悪いですか? と問いてくるアトスに首を振り否定するシクル。

 

「そんな事ないよ。 大丈夫……何でもない」

クスッと笑みを浮かべるシクルに「そうですか……」と、微笑み頷くアトス。

 

 

「そう言えば、アトス……今日何か大事な話があるんじゃなかったの?」

 

「あ……え、ぇえ……そう、ですね……」

シクルからの突然のその言葉にフッと頬を赤らめ、シクルから目を離すアトス。

 

「どうかした……?」

コテンと首を傾げ、アトスを見つめるシクル。アトスは「い、いえ……」とだけ答え暫く無言となり……

 

「……ふぅ……シクルさん、大事なお話が……あるのですが……あの……」

 

「なに?」

 

「……あの、ここでは……少し話しにくいので……場所を……移してもよろしいですか?」

 

「ん? うん……いいけど……(ここじゃ話せないことって……なんだろ)」

 

頭の中でははてなマークが徐々に増えていくシクルだが、それを感じさせないような様子でアトスに答えるシクル。

 

「ありがとうございます……では、そろそろ行きましょうか」

そう言い、ガタッと立ち上がるアトス。

 

「あ、うん!」

アトスに続き席を立ったシクルは、図書館を出る前に読んでいた本を元のところへと戻していく。

 

借りてもいいのだが、シクル曰く、また戻しに来るのがめんどくさい……という事のようだ。

 

「お待たせ! じゃあ、行こっか? アトス」

 

入口前で待っていたアトスに、ごめんねーと謝りながら駆け寄るシクル。

 

「大丈夫ですよ。 それでは……案内しますね」

にっこりと微笑み、シクルの手を取り歩き出すアトス。

 

図書館を去る2人……その背後でコソコソと隠れているようで隠れていないナツとルーシィ。

 

「おい! あいつどこいく気なんだよ!?」

 

「あたしが知るわけないでしょ!? でもこの先は確か……」

ルーシィの脳裏に浮かぶのはある場所……

 

「んー……とにかく、追いかけるわよナツ!」

 

「おうっ!!」

 

 

「……(あれで尾行してるつもりなのかな……)バレバレ……フフッ」

 

尾行しているはずなのにそれが全くできていない似た者同士のナツとルーシィをチラリと見つめ、笑みが再び溢れるシクル。その時……

 

ズキッ……と、再び胸に痛みが走る。

 

「っ……(なに? 胸が……また?)」

 

どうして……? と少し考えながら、前を歩くアトスに遅れないよう、少し足取りの重くなっていたそれを早めた。

 

 

 

 

「わぁ!! すご……きれぇ!!」

 

アトスに連れられ、やって来たのは大きく、広く続く、花畑だった。

シクルの目の前には、赤、青、黄と色とりどりの花々が咲きほこっている。

 

「すごい……綺麗だね、アトス!!」

 

「そうですね……喜んで頂けているようで良かったです!」

頬を赤らめ、花々を見つめるシクルにふっと微笑み、愛おしそうに見つめるアトス。

 

「ありがとう、アトス!」

花々に囲まれ、アトスを振り返るシクル……その姿、光景にアトスは目を奪われる……

 

そして……

 

 

「そういえば……アトス、話ってな、に……」

 

ギュッ……

 

シクルの問いかけが終わる前に……ゆっくりと、アトスがシクルを抱きしめた。

 

 

 

その光景を見ていた彼、ナツは……

 

「ンがぁああああっ!!!」

 

……暴れていた。

 

「やめなさいっての!! 花畑が荒れるでしょ!?」

必死にナツを抑えるルーシィ……。

 

 

 

「……アト、ス?」

 

「……すいません……シクルさん、僕……僕は……」

 

ぎゅぅっとシクルを抱きしめるアトス。シクルはそんなアトスに困惑気味……。

 

「……初めてあなたを見た時から……僕は、あなたが好きでした」

 

 

「…………え」

 

目を見開き、アトスを見つめるシクル。

 

 

「すいません……どうしても、今のあなたが美しすぎて……思わず抱きしめてしまいました……ですが、僕の想いは本物です……シクルさん……」

 

「アト、ス……」

 

 

「……僕と、付き合って頂けませんか……?」

 

 

 

 

その場にアトスの告白が静かに響いた……その時……

 

 

 

 

「うぉおおおおおおお!!!! やっぱ許せねぇぇえええええ!!!!!」

 

 

「ちょ!! ばっ、ナツっ!!!!」

 

「「っ!?」」

 

 

茂みの影からルーシィに抑えられていたナツがそのルーシィの腕を振り払い、シクルとアトスの間に突っ走った。そして、ガバッ! とシクルをアトスの腕から引き剥がす。

 

「な、あなたは……!」

 

「ナ、ナツ……!」

 

 

「シクルは渡さねぇ!俺……俺だって……

 

 

シクルが好きなんだっ!! 誰にも譲らねぇぞこのやろぉっ!!!」

 

 

「えっ……」

 

ナツの口から出たその言葉に……シクルは目を見開き、アトスからの告白よりも驚愕の表情を浮かべた。

 

「あなたは……火竜の……」

 

ナツとアトスの間で静かな睨み合いが続く……そんな中で、ナツとアトスを交互に見やり、混乱が収まらないシクル。

 

 

え……え? アトスが……私を、好きで……

 

ナツも? え……冗談じゃなく? ……私……

 

 

 

どうしたら…………

 

 

ギュッと目を瞑りナツとアトスの言葉が脳裏でリピートされる……

 

 

そして……

 

 

 

 

ーーー……シクル!

 

「っーーー!」

 

 

 

閉じた瞼の裏に浮かんだその顔……

 

 

……私…………

 

 

「…………ナツ……離して」

 

「え……」

 

ナツとアトスの間で睨み合いが続いていた中、落ち着いた声音のシクルの声がナツに届いた。

 

その言葉に唖然とし、ナツはシクルを離し……シクルはアトスの前へと歩み寄る。

 

 

「ちょ……まさか、シクル」

その光景を離れたところから見ていたルーシィも焦り、困惑の表情が浮かぶ。

 

 

 

そして……

 

「……シクルさん」

 

見つめ合うシクルとアトス……

 

 

すぅっとシクルはゆっくりと深呼吸をし……

 

 

「……アトス…………ごめん」

 

 

「っ!」

 

 

シクルは悲しい笑みを浮かべ……

 

「私ね……妖精の尻尾に行くまで……

 

友達とか……仲間とか、家族とか……信じてなかったの……」

 

「シク、ル……」

 

 

「でも……妖精の尻尾に入って、皆と過ごして……色んなこと、教わった……与えてくれた……それでも、私はまだ……好きとか恋とか……よく、分からないの……」

 

そこで一度言葉を切り、目を伏せるシクル。

 

 

そして……

 

 

「だから……好きってどういうものかは分からない……でも、……アトスの事をそういう目で……見れないんだ……ごめんなさい

 

 

私にとって……あなたは、信頼のおける友人なの」

 

 

 

だから……あなたとは、付き合えません

 

 

 

そう、はっきりと断ったシクル……

その言葉を聞き、アトスはふっと目を閉じ……

 

 

「そうですか……分かりました……」

と、いいシクルに背を向ける……。

 

「アトス……」

シクルがその背を呼び止める……が

 

「……また、会いましょうシクルさん」

 

にっこりとと笑みをシクルに見せると、ナツに目をやり……

 

「……いつか、必ず」

と、だけ呟くと……アトスは去っていった。

 

 

 

「アトス……」

 

……ごめんね……アトス……

 

 

目を伏せ、俯くシクル……そこに……

 

 

 

「シクル……」

と、ナツの声が聞こえ……

 

「俺……」

 

口ごもるナツ……ふっと目を開け、ナツを振り返るシクル……そして、少しアタフタとしているナツを見て……

 

「……フフッ」

 

笑った。

 

 

「ナツ……さっきの言葉……」

 

「あ? さっき……さっき?」

 

さっきを思い返すナツ……そして……

 

 

「あっ! あ、いあ、あれは……その!」

 

 

勢いで告白していたことに気づくナツ。

だが、今のシクルの言葉を聞いた限りだと……

 

 

(俺フラれるじゃねぇかぁー!!!)

 

顔色が徐々に青くなるナツ……

 

 

「……あのね、ナツ……」

 

「……あぃ」

 

 

 

「……少し、待ってほしいんだ」

 

 

「……え」

 

シクルのその言葉に目を見開くナツ……。

 

 

「まだ、恋とか分からないけど……でも、ナツの近くにいたい気持ちはあるんだ……

 

だから、少し待って? ……必ず、答えを出すから……その時は、私の想いを、聞いて?」

 

 

 

少し頬を赤らめ、上目遣いでそう言うシクルに……ゴクッと喉を鳴らすナツ。

 

 

 

 

「……おぅ、分かった」

 

 

「……ありがとう」

 

 

 

その場には暫く、甘い空間が流れ……

 

「あーぁあ……やっぱりこうなるのね……」

 

やだやだ、妬けちゃうわと呟きナツとシクルを置いて去るルーシィ……

 

 

 

そんな事気づきもせず、ナツとシクルは互いを見つめ……小さくふっと笑い合った。

 

 




……アトスごめんよ……嫌いではないんだないんだが……!!


今日の投稿はこれ以降ないと思われます。
次はまた明日になるかと

今回文章の確認が甘いと思うので結構誤字などあるかと思います。
誤字ありましたら報告お願いします。

では、最後までお付き合い、ありがとうございます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。