フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい! すいません前話からの投稿に少し時間が空いてしまいましたね……


フェアリーテイルの映画、2回目!見てきました笑

そしてまさかの特典ナツさんが出ました笑笑


飛び跳ねちゃいました……恥ずかしいっ!


……こほん……前置きはこの辺にしまして、54話……
最後までお付き合い、お願いします!


54話 約束の日

 

 

数年久りに昔の友人、エマと再会してから3日後……

 

 

「んー……ふぁあ……」

 

カーテンの隙間から入り込む陽の光に目が覚める……。

 

少し寝癖のついた髪がぴょんぴょんと跳ねる頭を重く持ち上げ、ぼぉっと一点を見つめるシクル。

 

そして、ふいっと顔を横へ向けカレンダーが目に入る。

 

「……あ(今日……アトスと会う日だ……)」

 

危ない……少し忘れてた……

 

 

ふぅ……と、一息つくと、隣で寝ているルージュへと視線をやる。

ルージュはシクルに気づかず、「んー……むにゃ」と小さくいびきをかき寝ていた。

 

そんなルージュを見てふっと、笑みを浮かべると起こさないように立ち上がり、カーテンを開ける。

 

朝日を浴び、ぐっと背伸びをするシクル。

「んっ……んー! はぁ……アトス……話ってなんだろ?」

 

最後に会ったのは確か聖十の称号を貰った時だった……気がする。

 

「……何かやっちゃったっけ?」

やってないと思うけどなぁと呟きながら、普段着に着替えると髪を結び、寝室を出ると台所へと向かう。

 

 

「さて……朝は何にしよっかなぁ……」

 

冷蔵庫を開け、朝の献立を考え……

「お手軽なのでいっか?」

と、呟き調理が始まる。

 

まずスクランブルエッグを作り、お皿に盛ると、味付けには胡椒とケチャップをかけ、その横にソーセージを2本ずつ添える。

 

最後に豆腐とほうれん草を使ったお味噌汁を作り、ロールパンを用意。

 

それらをテーブルへと運び、一通り朝食の準備が出来た頃……

 

「ふぁああ……おはよぉ、シクルゥ」

目を擦り、ふよふよと飛びながらルージュが起きてきた。

 

「おはよ、ルージュ。ご飯、出来てるよ?」

 

シクルのその一声にルージュはもう一度大きく欠伸をすると、次の瞬間にはぱっちりと目が開き

「朝ごはんだァ!」

と、お気に入りの席へと座った。

 

「はい、ホットミルク」

ルージュは朝決まってホットミルクを飲むのが習慣となっている。

 

少し熱めのホットミルクをルージュの前に出すと「ありがとぉ!」とシクルに言い、一口ゴクッと飲む。

 

「ふぁ……おいしぃー」

 

「フフッ、良かった……じゃあご飯、食べよっか」

 

「あい!」とルージュが答えると同時に手を合わせ……

 

「「いただきます!」」

と、朝食を食べ始める。

 

食べ始めてから数分……

 

 

「あ、そーだ。ルージュ、今日の午後はちょっとギルドでお留守番お願いしてもいい?」

 

「えぇ……? いーけどぉ……どうしたのぉ?」

唐突なシクルからのお願いにルージュはコテンと首を傾げ、問いかける。

 

「ちょっと人と会う約束があってね……人って言ってもアトスなんだけど……」

 

「アトスって……評議院の?」

 

「そーそ。 大事な話があるってこの前手紙に書いてあってね? 会って欲しいって……だから今日会うんだ」

 

その間だけお留守番……よろしくね?

と言ったシクルにルージュは目を見開く。

 

「えぇ!? 大事な話って……シクルゥ、何のことか分かってるのぉ?」

 

「……さぁ? よく分からないけど……大事な話って言うからまぁ、重要な話なんじゃない?」

ルージュからの問いかけに少し考えながら、んーと答えるシクルに……

 

「そ、そっか……(絶対告白だぁ……それに気づかないシクルって……)」

 

鈍感というより……無知?

 

ため息をつくルージュであった……。

 

 

「ほら、早くご飯食べてギルド行こ?」

シクルのその言葉に、「あ……うん」と頷き、朝食を食べ進めるルージュ。

 

そして、朝食を食べ終え、洗い物が終わるとシクルとルージュは妖精の尻尾へと向かった。

 

「あ、ナツたちに今日は一緒に仕事行けないこと言わないとね」

ギルドにつくほんの少し前にそう呟いたシクル。

 

「え……あぁ、うんそうだねぇ……(アトスに会うことはナツに伝えない方がいいと思うけどぉ……)」

苦笑を浮かべ、その事を知った時のナツがどうなるか少し恐ろしく感じるルージュの目の前にはすでにギルドが見えていた。

 

 

ガチャーーー

 

「おはよー!」

 

「おはよぉ!」

 

シクルとルージュの声に気づいたメンバーが一斉にそちらへと目を向け、笑みを浮かべる。

 

「おはよう、シクル! ルージュ!」

 

「おはよう、ミラ! いつものちょーだい!」

 

カウンターへと一直線に駆け寄り、椅子に座るとミラに注文をするシクル。

「はいはい」と、笑いながら答えすぐに飲み物を持ってくるミラ。

 

「はい、甘めのココアよ」

シクルは暖かいココアに砂糖を入れた超甘いそれが大好きなのだ。

 

「わぁ! ありがと、ミラ」

にっこりと笑い、一口ココアを飲むと……

 

「ふぁあ……やっぱりミラのいれるのは美味しいねぇ」

と、のほほんとした表情で呟く。

 

そこに……

 

「おーす! シクル! ルージュ!はよぉ!!」

 

「きゃあ!?」

ガバッ! と突然現れ、腕を回し肩を組んできたナツに驚くシクル。

 

「おはよぉ、ナツ!」

 

「び、びっくりした……もぉ、ナツ……いきなり飛びついてこないでよ?」

 

「なっははっ! わりぃわりぃ!」

カラカラと笑い謝るナツを見て反省してないな……と感じるシクル。

 

「と、そーだ……シクル、今日一緒に仕事行かねーか? 丁度いい仕事があんだよ!」

 

「ん? あー……ごめん今日は無理なんだ」

 

ナツからの誘いをやんわりと断ったシクル。すると、ナツはぶすっと膨れ面になり……

 

「んだよぉ……まためんどくせぇかよ?」

つれねぇなぁと不貞腐れるナツにため息を吐くシクル。

 

「違うって……今日は本当に用事があるの」

 

「用事ぃ? なんだよそりゃ」

 

シクルとナツの会話にまずいっ! と予感するルージュがシクルを止めに入ろうと口を開くが……

 

「まっ! シク……」

 

「アトスからね、大事な話があるって言われて……今日会う約束してたのよ」

 

「……は……な、何だとぉおおおっ!?」

 

シクルの言葉にナツは叫び、ルージュははぁとため息をついた。

 

「え?なに? どーしたの?」

きょとんと首を傾げるシクルの肩をガシッ! と掴むナツ。

 

「おい……アトスってまさか……あの評議院の……あいつか!? 茶毛の!」

 

「そーだけど……」

 

「つか大事な話って……おい、シクル! 行くんじゃねーよ! 」

まさか受けるのか……!? と騒ぎながら大声を上げるナツ。

 

「えぇ!? なんでよ……もう約束しちゃったもん……行かなきゃダメでしょ?」

 

そこからナツとシクルの「行くな!」と「行きます」の言い合いが始まった。

丁度その時ハッピーとルーシィがギルドに来た。

 

「おはよー! て、どうしたのあの2人」

 

「ナツー置いてくなんてひどいよー……何やってるの?」

 

ギルドについて早々、言い合いをしているシクルとナツを見て不思議そうな表情を浮かべるルーシィとハッピー。

 

「実はねぇ……」

ルーシィとハッピーに今までのことを説明するルージュ。その話を聞くと……

 

「えぇ!? それでシクルは気づいてないの?」

 

「みたいだよぉ?」

 

「うわぁ……なんかアトスが少し哀れだね……」

 

ハッピーのその言葉に頷くルージュとルーシィ。

すると、ふとシクルを見つめていたルーシィが怪訝そうな表情を浮かべた。

 

「……てか……シクル!!」

 

「ふぇ? あ、ルーシィ……どうしたの?」

 

笑みを浮かべるシクルに駆け寄るルーシィ。

 

「ちょっとシクル! あなたもしかしてその格好で会うの?」

 

「……え? 格好って……変かな? 普段通りなんだけど……」

首を傾げ、自身の服装を見るシクルにルーシィはため息をつき、カウンターにいたミラも苦笑を浮かべる。

 

「そうねぇ……流石にそれじゃあちょっとまずいかもねぇ?」

 

「えぇ……ミラまで」

 

「デートなんでしょ!? デート! もっとお洒落しなきゃ!!」

 

ルーシィの言葉に一瞬目を見開くシクル。

 

「え……デートって……恋人とか好きな人同士がするあのお出かけのことだよね? 違うよ? アトスとはそんなんじゃないし……向こうもその気はないよぉ」

 

ケラケラと笑い言うシクルに、ポカーンとするルーシィとハッピー。

 

ちなみにナツはルーシィがシクルにお洒落を勧めた辺りでミラに抑えられていた。

 

「それでも久しぶりに会うんでしょ? 髪型くらいは変えてもいいと思うわよ? ルーシィ、頼めるかしら」

 

ミラのその言葉にルーシィは「ラジャー!」と答え、シクルの後ろに回る。

 

「じゃあ、ちょっと大人しくしててねー」

 

「別にいいのになぁ……」

 

ルーシィが髪をいじり始めても渋々と言った様子で納得のいかない様子。

 

 

それでも、数分でシクルの髪は普段とは変わり、三つ編みで、頭の上でお団子を結ったものになった。

 

「はい! かんせー!!」

じゃーん! とシクルに鏡でその姿を見せる。

 

「おぉー……さすがルーシィ……綺麗だね」

 

「わぁ、髪型だけで印象すごく変わるねぇ……」

 

「あい……」

 

最初は乗り気ではなかったシクルだが、いざ髪型が変わるとふっと笑みを浮かべ……

 

「ありがと! ルーシィ!」

と、言った。

 

そして、まだ少し残っていたココアを飲み干すと……

 

「じゃあそろそろ時間だから……行ってきます!」

と、ギルドを出て行った。

 

「いってらっしゃーい」

シクルが出ていくとやっと解放されるナツ。

 

「ぶはっ! ンにすんだよミラ!! シクルのやつ行っちまったじゃねェか!!」

 

「あらあら、いいじゃないの? 別にナツはシクルの彼氏じゃないでしょ?」

 

ミラのその言葉にうっと気まずい表情を浮かべるナツ。

 

「た、しかに……ちげぇけど俺は……!」

 

グッと拳を握りアトスと会うシクルを想像する……

 

 

“シクルさん……僕……あなたが好きです……

 

付き合ってくれませんか……? ”

 

“嬉しい……私も、アトスが好き……”

 

そう応え、頬を赤らめ顔が近づく2人……

 

 

「っ! うぁああああっ!!! やっぱ納得いかねぇええええええ!!!!」

 

うぉおおおお!!! と叫び、ギルドを飛び出していったナツ……。

その姿が見えなくなると……ルージュはふとミラを見上げる。

 

「……策士だねぇ」

 

「ウフフ、何のことかしら?」

 

普段と変わらない笑みを浮かべるミラを見てブルッと震えるルージュ……

 

ミラだけは敵に回したくない……そう思った瞬間であった。

 

 

ナツが叫び、ギルドを飛び出した頃……

 

 

シクルは待ち合わせのマグノリアの広場に位置する噴水前でアトスを待っていた。

 

「んー……ちょっと早かったかなぁ?(それにしても……やっぱり少し後ろがすぅすぅする……)」

 

髪上げてるからかなぁと、髪型を気にするシクル。

 

そこへ……

 

「おや、もう来ていたんですか……早いですね」

 

「アトス!!」

 

アトスが現れた……シクルはその声に振り返る。

振り返ったシクルを見てアトスは少し頬を赤らめる。

「……今日は、髪型……違うんですね」

 

「あ、うん……ルーシィにいじられたんだぁ……似合わないよね?」

コテリと首を傾げ聞いてくるシクルに……

 

ふっと笑みを浮かべるアトス。

「いいえ……とてもお似合いです」

 

アトスの言葉に「そう?」と問うシクルに、「はい」と答えるアトス。

 

「では……行きましょうか?」

 

そっと、シクルの手を取るアトス。

 

「え……い、行くって……どこに?」

 

戸惑いのシクルを振り返り、ふっと笑みを見せるアトス。

 

 

「秘密です、着いてからのお楽しみです」

 

「えぇ!? ちょ……わ、待ってよ!」

 

クイッとシクルを引っ張り、隣に立たせ並んで歩く2人。

 

 

アトスとシクルの向かう先は…………

 

 

 

次回! に、続きます。

 

 

 





はい!! 本当は1話でアトス回を終えるつもりだったのですが……

気になる告白は……次回!! となります……


すいません、変なところで終わらせてしまい!
その分次回は早めに投稿します!

では、最後までお付き合い、ありがとうございます!

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