フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい!! やっと向かえました日常篇!!

そして始まったばかりなのにエドラス篇ほぼ内容出来上がったという意味の無い尺稼ぎ……

まぁ、載せたいお話もあったのでお付き合い頂ければ光栄です。

では、52話……最後までお付き合い、お願いします!


第7章 日常篇
52話 ようこそ! 妖精の尻尾へ!


 

 

「あ〜…… 船って潮風が気持ちいぃんだなぁ」

 

「良かったねー、ナツ」

 

「何その間の抜けた声……」

 

現在、シクルたち妖精の尻尾メンバーは、新たな仲間、ウェンディとシャルルと共に、船でマグノリアへと帰還中だ。

 

ナツは船に乗る前にウェンディからトロイアの魔法をかけてもらっていたため、乗り物酔いを起こすことなく、潮風を感じのんびりしていた。

 

「乗り物っていいもんだなぁー!!」

 

……のんびりではなく、船の上を走り回っていた。

 

そんな時……

 

「あ」

と、ウェンディの声が聞こえ……

 

「そろそろ、トロイアの効果が切れますよ」

と、ナツを見て告げた瞬間……

 

「おっふっ! うぷぅ……」

バタリ、と崩れ落ち一瞬で乗り物酔いを起こすナツ。

 

ナツは床を這いながらウェンディに近づき……

「も、もうい、っかい……かけ……て、うぷ」

と、懇願するが……

 

「そんなに掛けたら効くものも効かなくなるでしょ? あと少しなんだから我慢しなさい」

ピシャリとシクルにとめられ、ウェンディも「すみません……」と、苦笑を浮かべ断った。

 

「は、はくじょぉ……ものぉ……うっぅぷ」

 

「放っとけよ、そんな奴」

 

「あっははははは!」

 

吐き気に耐えるナツを見て、グレイは呆れた様子でルーシィは笑いが止まらない様子……

 

「それにしても、本当にシャルルたちも妖精の尻尾に来るんだね」

 

「私はウェンディが行くって言うからついて行くだけよ」

 

「よろしくぅ、シャルル」

 

ぷいっとそっぽを向くシャルルに二ヘラと微笑みながら声をかけるルージュ。

 

少し愛想が悪い印象を与えてる様子のシャルルに苦笑を浮かべながら、ウェンディが少し哀れそうに、ナツを見ると……

 

 

「もぅっ! ほら、おいでナツ」

 

「ぉ、ぉぅ……」

 

シクルがナツを呼び、ナツは身体を這いながら、シクルに近寄り……床に腰掛けたシクルの膝の上に頭を乗せ、寝始めた。

 

その様子に、いつも見ているグレイやエルザ、ハッピーにルーシィは何とも言わないが……ウェンディは、少し頬を赤らめる。

 

「あ、あの……もしかして、ナツさんとシクルさんは……付き合っていたり、するんですか……?」

 

「……へ?」

 

首を傾げ、ウェンディを見つめるシクル。

 

「膝枕って……好きな人同士でやるものなのかな……と、思っていたんですが……」

 

「……好、き……」

 

ウェンディの告げたその単語が脳裏でリプレイされ……次第にその意味を理解すると、ナツを見下ろし、見つめる。

 

 

ナツを……好き……私……好……き……

 

「っーーーー///!!!」

 

ゴッ!! と、ナツの頭を落とす。

「ぐぴゃっ!?」

 

そして、顔を真っ赤にしウェンディを見ると……

 

「な、ななな……何いってんの、ウェンディちゃん ///!? わ、私がナ、ナナ……ナツを……す、好きって……なわけないでしょ!? 付き合ってもないよ ///!? うん!! 勘違いしないでね!? ね!!」

言葉を何度も噛みながら言った。

 

「そ、そうですか……? お似合いだと思うんですが……」

 

「そーです! そんなことありません!!」

 

顔を真っ赤にするシクルを見てルーシィやグレイ、ハッピーにルージュもニヤニヤと含み笑いを浮かべ、エルザもそうなのかと勝手に思い込んでいた。

 

「そこぉ!! ニヤニヤしないで! あとエルは勘違いだからね!? お願いだからその幸せにオーラやめて!!」

 

そしてこの後……シクルがナツへ、膝枕をすることは無く……船はハルジオン港へ到着、そこから馬車でマグノリアへと帰り、無事妖精の尻尾へと帰還を果たした。

 

 

「と、言うわけで……ウェンディとシャルルを妖精の尻尾へ招待した」

 

連合軍であった事などをマカロフに報告し、最後にウェンディたちを紹介したエルザ。

その影からひょっこりと姿を現し、マカロフやギルドメンバーと対面するウェンディとシャルル。

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

「ふん……」

 

少し恥ずかしそうに一礼するウェンディとぷいっとそっぽを向くシャルル。

 

そんな新たな仲間に、ぞろぞろと集まる人だかり。

「かわいー!」

 

「ハッピーのメスがいるぞ!」

 

「お嬢ちゃんいくつ?」

 

「ルーちゃーん!! おかえりー!!」

 

「レビィちゃん!!」

ルーシィに抱きつくレビィ。

 

「グレイ様……ジュビアは心配で心配で……目から大雨がっ!!」

 

ダバー! とジュビアの目から涙が流れる。

 

「ぎゃー!! グレイ止めろぉ!」

 

「おぼぼぼっ!溺れるぅ!!」

 

「ンで俺がっ!?」

 

「あら、シクル……また無茶したの?」

グレイとジュビアのやりとりに苦笑を浮かべていたシクルの頬を掴み、しかめっ面を浮かべるミラ。

 

「ふえ? あぁ……そんなに無茶はしてないよ?」

 

「嘘……またこんなにやつれて……あまり魔力を使いすぎちゃダメよ?」

 

めっ! と言うミラに「はーい……」と返事を返すシクル。

 

「わぁ! 見てシャルル! 本物のミラジェーンさんだよ!! 綺麗だね!」

 

「こんにちわ、ウェンディ、シャルル……これからよろしくね?」

シクルから離れ、ウェンディとシャルルににっこりと笑みを向けるミラ。

 

「そういえば、シャルルの魔法は多分ハッピーやルージュと同じだと思うけど……」

 

「何ですって!? ちょっと、オスネコとメスネコと同じ扱い!?」

 

「でも実際同じだよねぇ」

二ヘラと微笑みを絶やさず、シャルルに告げるルージュ。シャルルは納得いかないようだ。

 

「わ、私……天空魔法使います。天空の滅竜魔導士です!」

 

ウェンディがそう少し大きな声で言うとギルド内はしぃん……と、静まり返った。

 

誰も声を発さず、目を見開く一同を見てウェンディはふっと暗い表情を浮かべる。

 

「っ……(信じて貰えない……かな)」

 

珍しい魔法だから……仕方ないか、と目を伏せるウェンディ。

そんな彼女の肩をポンッと叩く人物が……

 

 

「ふぇ……」

顔を上げるとウェンディの隣にはシクルが立っており、ウェンディと目が合うとにっこりと微笑んだ。

 

「大丈夫だよ……ほら」

そう、シクルが呟いた次の瞬間……

 

「「「うぉおおおおお!!! すげぇ!」」」

 

ギルド内から歓声が上がった。

 

ビクッ! 「ふ、ふぇ!?」

 

「滅竜魔導士だぁー!!」

 

「すげぇ!! こんな可愛い子があんなすげぇ魔法使うなんて!!」

 

「ガジルやシクルもいるからこのギルドに4人も滅竜魔導士がいることになるぞ!!」

 

「すげぇすげぇ!! 本当に珍しい魔法なのにな!」

 

ワラワラとウェンディに群がるギルドメンバーたちにオドオドするウェンディ。

そこへ……

 

「はいはい、そんなに大勢で群がったらウェンディが潰れちゃうでしょー?」

はい離れた離れたーっとウェンディを押し潰さんとする勢いで迫るメンバーを押しやるシクル。

 

それに1人の男がブスっとした顔で……

「えー、いーじゃんかよちょっとくら……」

と、反論をすると……

 

「なにか文句でもあるかなぁ? ウェンディが潰れちゃってもいいと?」

ニッコーリ……とした、笑みで凄むシクルを見て首を横へと勢いよく振り否定する。

 

「シ、シクルさん……怖い」

 

「そーかしら? 私はまともなほうだと思うけどね」

少し苦笑を浮かべ、シクルから無意識に距離が離れるウェンディにシャルルが首を傾げ告げる。

 

 

「よっしゃー!! 今日は飲むぞー!!」

 

「今日は宴だー!!!!」

 

「「「おぉおおおおおおっ!!!!」」」

 

宴の一声とメンバーからの歓声から始まった宴。既に出来上がっていたメンバーも新しく酒を飲み始める。

 

「ミラちゃーん!! こっちにもビール!」

 

「はいはーい!」

次々に飛び交う注文をせっせと受けるミラ。

 

「シャルルー、オイラのお魚いる?」

 

「いらないわよ!」

 

「好き嫌いダメだよぉ? シャルル」

ハッピーとルージュがシャルルに声かけるもシャルルからの反応は薄い……。

 

「うぉおおおおおっ!! 燃えてきたァ!」

 

「きゃー!? あたしの服ー!!」

 

「ありゃ、ナツー……ルーシィが燃えちゃうからやめなさい」

服が燃え始めたルーシィにカラカラと笑いながらナツを静めるシクル……

 

「笑ってないでこの火どうにかしてぇ!?」

 

 

「グレイ様……浮気とかしてませんよね?」

 

「何だよそれ……」

 

「大丈夫だよ、ジュビア。 グレイはずっとジュビアのことを考えてたよー」

 

「おいシクル!? 何言って……「本当ですか!?」おいっ!」

シクルの言葉を聞き、ジュビアはキラキラとした瞳でシクルに迫る。

 

「はっはっはー、ほんとだよジュビア。いいねぇ……愛されて」

 

「グレイ様……ジュビア感激っ!!!」

そう叫び、グレイに抱きつくジュビア。

 

「シクルのバカヤロぉおおおおおっ!!」

 

最後に聞こえたのはグレイの絶叫だが……シクルは気にもせずケラケラと笑いながら1人質問攻めから解放され椅子に座っていたウェンディの元へと向かう。

 

「どう? ウェンディ……ここは」

ウェンディの隣に腰掛け、目の前を通ったミラに飲み物を注文しながら声かける。

 

「はい! 楽しいところですね! ここは……凄く、楽しいです!」

にっこりと笑い、そう言ったウェンディの答えに「そっか」と満足げに微笑むシクル。

 

「私、ここに来て良かったです!!」

 

「ふふっ、そう言ってもらえて何よりよ」

 

ウェンディとシクル、2人で話をしていると……

 

ピクッーーー 「あれ……?」

シクルの嗅覚が珍しい匂いを嗅ぎとる。

 

「どうしました?」

 

「ん? ううん、何でもないよ……ちょっとここ離れるね?」

ウェンディにそう告げ、シクルは暴れ回るメンバーたちの間を通り、ギルドの外へと出た。

 

 

コツッーーー

 

「やっぱり……帰ってたんだ、ミストガン」

 

「……シクルか」

 

 

シクルの嗅覚が感じた匂い……それは、ミストガンだった。

シクルの声に、背を向けていたミストガンは振り返る。

 

「顔出してかないの? ……7年久りなんでしょ?」

首を傾げ、そう言ったシクルの言葉に目を見開くミストガン。

 

「何故……それを」

ミストガンからの問いかけにふっと目を伏せ、語り出す。

「そりゃあ……あのジェラールは7年前と言えばまだ楽園の塔を造り上げることにしか執着していなかった……だから、そんな彼がウェンディと数ヶ月ともにするとは考えられない……」

 

シクルはそこで一度言葉を切り、目を開け……

 

「と、なると……同じ顔を持った貴方何じゃないかなと……思ってね? ミストガン……ううん、ジェラール」

と告げた。

 

 

「……はぁ、まったく……君のその勘の良さにはいつも参ってしまうな……その通りだよ、シクル」

 

ミストガンのその言葉を聞き、少し眉を下げ悲しい表情を浮かべる。

「……言って、あげない……の?」

 

 

「……私は彼女を、7年間も放ってしまった……そしてまだ、私の任務は終わっていない……彼女と話をするのは、せめて……全てが終わってからだ」

 

ミストガンはそれだけ言うと、シクルに背を向け……去っていった。

 

 

「……待ってるよ? ウェンディは……」

 

姿の見えなくなったその場所をずっと見つめるシクル……そこへ

 

 

「おーい! シクルー!!」

 

シクルを呼ぶ……ナツの声が響いた。

 

「ナツ……」

声の方を振り返ると……

 

少し息を切らして駆け寄ってくるナツがいた。

「こんなとこにいたのかよ! すげぇ探したのにいねぇから……てかこんな所で何して……」

 

ナツはそう言い、シクルの顔を見ると目を見開いた。

 

「……どうした? シクル……」

 

「……え?」

 

ナツのその言葉の意味がわからなかったシクルに……ナツの伸ばした手が頬に触れた。

 

「なにか……あったのか? すげぇ……悲しそうな顔してる」

ナツのその言葉に少し目を見開き……

 

ふっと、微笑むと

「……ううん、何でもないよ? 大丈夫」

言った。

 

ナツは少し納得のいかない様子だったがはぁとため息をつき諦めると……

 

「まぁいいけどよ……なんかあったらちゃんと言えよ? 俺に……隠し事なんか、すんなよ」

 

「……うん、分かった」

 

シクルの返事に満足したナツはニカッ! と笑みを浮かべるとシクルの手を取り、「早く皆で騒ごうぜ!」と言い、ギルドへと戻っていった。

 

 

 

新たな仲間、ウェンディとシャルル。

妖精の尻尾はまた、賑やかとなった。

 

 

そして、宴の最中……シクルはふと、懐のポーチの中身を確認し……

 

「あ……薬切れそう……そろそろ、補充に行かないとな」

と、ひとりでに呟いた。

 

 

元気かなぁ………… “ジル婆”

 

宴で騒ぐメンバーを見つめながら、懐かしいある人物を思い浮かべ、ふふっと微笑んだ。

 

 




はい! 如何だったでしょうか……

次回はオリキャラが2人ほど登場します!
そのうち1人はある方から頂いたキャラクターになります!!

では、最後までお付き合い、ありがとうございます!!
次回はまた明日になるかと思われます!

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