フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい!! 今回は戦闘まで行きませんでした……

ラスボスの所をシクルはどうしようか……と、少し悩む今日この頃ですww

では、最後までお付き合い、お願いします!!


44話 解き放たれる ニルヴァーナ

 

棺桶の蓋が溶け、現れたのは……死んでいるかのように眠っている、ジェラールだった……。

 

「この男はジェラール……かつて、評議院に潜入していた。つまり……ニルヴァーナの場所を知る者」

 

一方的に語るブレインだが、ウェンディやシクル、ハッピーにその声はしっかりと届いておらず……今はただ……、目の前の光景を目を見張っていた。

 

「ジェ……ラー、ル」

 

「なんで……なんで、ジェラールがっ!?」

 

「こ、こいつが……ジェラール……? え?

でも……ジェラールって……生きてたの!?」

 

「エーテルナノを大量に浴びてこのような姿になってしまったのだ……そこで、此奴を元に戻せるのはうぬだけだ。恩人……なのだろう?」

 

ブレインの言葉にぐっと唇を噛み、俯くウェンディ。

 

「ジェラール……て、あのジェラール?」

 

「ハッピー……知ってるの?」

ウェンディの問いかけにハッピーはジェラールから目を離すことなく、口を開く。

 

「知ってるも何も……こいつは、エルザを殺そうとした奴で……評議会を使ってエーテリオンを落とした張本人なんだ!」

 

「そう……みたい、だね」

 

でも……とウェンディはジェラールを見つめる。そんなウェンディを見つめ、シクルは眉を顰める。

「ウェンディ……(なにか……訳ありみたいだけど)」

 

「この男は亡霊に取り憑かれた亡霊……哀れな理想論者。しかし、うぬにとっては恩人だ……そうだろう?」

 

「っ……」

 

「恩人……?」

 

「ウェンディ……どういう事? 恩人って」

 

「そ、それ……は」

 

シクルの問いかけに言葉を濁しながら、答えようとするウェンディ。

だが、その言葉を遮るように響くブレインの声。

 

「さぁ、この男を復活させろ……」

 

「ダメだよ! こんな奴、復活させちゃダメだ!!」

顔を俯き、震えるウェンディに力を貸すなと声を荒らげるハッピー。そんな彼を……

 

「黙れ……」 ドカーーー!

ブレインが蹴り飛ばし、岩肌へとハッピーの小さな身体をぶつける。

 

「うぎゃっ!?」

 

「「ハッピー!!!」」

 

痛みに呻き、倒れるハッピーに駆け寄ろうとするシクルとウェンディ。そこに……

 

「天空の巫女よ……この男を復活させぬというのなら……」

ブレインがそう言い、まだ動きの鈍っていたシクルを捕らえ、首筋にナイフを突き立てた。

 

「っ!!」

 

「この女を殺すぞ」

 

「え……」

 

「シ、シクル……!!」

 

「さぁ……どうした? うぬなら治すことくらい……簡単だろう?」

ニヤリと笑うブレイン。

 

「ウ、ウェンディ! ダメだよ! ジェラールは復活させちゃ……!」

 

ハッピーがウェンディの手を掴み、言うもウェンディはジェラールとシクルを交互に見つめ落ち着きがなくなり始めていた。

 

「で、でも……それじゃあ、ジェラールも……シクルさんもっ」

 

「私の事はいいから!! ジェラールは復活させちゃダメっ!」

 

「黙ってろと言っただろう? 」

体を動かし、抜け出そうとするシクルの首筋にクイッと刃先がくい込む。

 

「何が目的かは知らないけど……私はあんた達の標的何でしょう? 殺したら……価値がないんじゃないの?」

 

シクルの睨みを受け尚、笑みを崩さないブレイン。

「ふん……貴様の身体は死しても高い価値がある……これは脅しじゃあないぞ」

 

「っ……このっ」

ブレインの言葉に嘘偽りがないと悟ったシクル。そして……

 

「ま、待ってください!!! お、願いします……少し、時間を……下さい」

震えるウェンディの声が響いた……。

 

「ウェンディ……!!」

 

「……良かろう、5分だ」

 

 

 

「くっ……(どうしよう……どうしたら!? このままじゃあ……)」

シクルの背を冷たい汗が伝う……その時

 

「シクル!! ハッピー!! ウェンディ!!」

 

「っ!! この声……」

 

「ナツだっ!!」

 

洞窟の中にナツの声が響き始める。

 

ナツ……お願い…………ナツっ!!!!

 

 

「……レーサー、近付かせるな」

ブレインの指示に、「OK」と答え、足止めに向かうレーサー。

 

「……さぁ、そろそろ時間だぞ?」

 

「っ……」

ブレインの言葉に目を瞑るウェンディ。

「ダメだよ!! ウェンディっ!」

ハッピーが声を荒らげ、止めるが……

 

「煩わしい……沈め」

ハッピーに、ブレインの魔法が飛ぶ。

 

「ハッピーっ!!」

 

「ぬっ!」

 

ハッピーに魔法が飛んだ瞬間、ブレインの腕を振り切り、拘束から抜け出すシクル。

 

ドォン!!

 

そして、ハッピーを庇い、ブレインの魔法をくらうシクル。

 

「うぁっ!!」

 

「シ、シクルっ!!」

 

シクルは身体に襲い来る衝撃に耐えながら、ハッピーに微笑むと……

 

「大丈夫だから……ナツを、呼んできてっ」

と告げた。

ハッピーは涙を堪え、頷き翼を作り出す。

 

「すぐに連れてくるから!! 待っててね!」

そう叫び、ナツを呼びに飛び立った。

 

「貴様っ……!」

 

ブレインは反抗された事に苛つき、シクルを地面へとドゴォ! と音を立て、殴り倒す。

 

「うぐっ!」

 

「シクルさんっ!!」

ブレインはシクルの髪を乱暴に掴み、引っ張り上げる。

「いっ……!」

「さぁ! 失われた魔法……治癒魔法を、今使わずしていつ使うのだ?」

 

「シ、クル……さんっ……ジェラ、ール……」

「ウェンディ……だ、め」

シクルが止めるように訴えるも……ウェンディは首を小さく横にふると……立ち上がり、ジェラールへと歩き出す。

 

 

 

あぁ……ごめん……ナツ……私、止められなかった……

 

ごめん……みんな

 

ゆっくりとジェラールに手を伸ばすウェンディを見つめ……シクルは苦々しく唇を噛みしめる。

 

そして……

 

 

眠りについていた男が……目覚める。

 

 

ジェラールの眠りが解け、目を開けるのを確認すると、ブレインはもう必要の無いかのようにシクルをその場に落とす。

 

「わっ」

シクルは突然解放されたことにより、地面に手をつくが、目の前でガクリと膝をつくウェンディが目に入ると、ウェンディへと駆け寄る。

 

「ウェンディ!! ウェンディ? 大丈夫? しっかりして!!」

シクルが声をかけるもウェンディは反応せず……

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさいっ……!!」

ただじっと……それだけを呟いていた。

 

「ウェンディ……」

シクルは悲しくなり、表情を歪める。そして……

 

ギュッとウェンディを抱きしめた。

「大丈夫……大丈夫だから……ね? 落ち着いて、ウェンディ……」

震え、涙を流すウェンディの背を撫でる。そこへ……

 

「シクル!! ウェンディ!!」

ナツが到着した……。

 

「ナツ……」

ナツは額から血を流すシクルを見て、目を見開き……そして、静かに立っているジェラールを見て、更に驚愕の表情を浮かべる。

 

「な……ジェラール!? てめぇ……!!」

 

驚愕の表情から怒りの表情に変わり、ジェラールへと突っ込むナツ。

 

だが、ジェラールは静かにナツを、魔法で弾き飛ばした。

その様子を見て、シクルは何か違和感を感じる。

 

「……ジェラール? (この感じ……何? なにか……違う)」

 

ジェラールはブレインも魔法で吹き飛ばすと静かに歩き始め、消えて行った……。

ジェラールと入れ違いに現れ、シクルの胸に飛び込んでくる小さな影があった。

 

「シクルゥー!! 大丈夫だったぁ!? 心配したよぉ!」

胸に飛び込んできたのはルージュだった。

 

「ルージュ! うん、大丈夫……大丈夫だよ」

 

にっこりと微笑むシクルを見て、安心するルージュ。そこに、ゴォ!! と音を立てナツが立ち上がる。

 

「いってぇ……くそ、あんにゃろぉ!!」

 

ジェラールを追いかけようとするが……

 

「待ちなさいよ!!」

 

グイッ! とシャルルにマフラーを引っ張られるナツ。

「うぐぇ!? ンだよ!?」

 

「今はあいつよりもやらなきゃいけない事があるでしょう!?」

 

シャルルからの言葉にう……と言葉が詰まり、ぷいっと顔を逸らすナツ。

「わぁってるよ……」

 

そう言うとナツはふっと気絶してしまったウェンディを抱え、立ち上がるシクルを見つめる。

 

「よっし……大体は分かったから、早くエルのところ行こっ! ……て、どしたの?」

 

現状をルージュから説明してもらったシクルは早くウェンディを連れてエルザの元に戻ろうと言うがナツが動かない。

 

ウェンディをシャルルに預け、ナツの前に駆け寄る。

 

「ナーツー? どうしたの……早く行かないと……」

 

シクルの言葉は最後まで続かなかった……

 

ナツがシクルの額を優しく撫で始めたのだ。

 

「……え? な、何……ナツ?」

突然の行動に困惑し、次第に頬が赤くなるのを感じるシクル……すると

 

「……わりぃ、俺……間に合わなくて……シクルに怪我、させちまった……さっきも……俺、守られて……」

 

悔しそうにシクルに触れていない手をぐっと握る。

 

「ナツ……」

 

「ごめんな……痛かったろ?」

シクルの額の傷を優しく撫で、心配するナツを見上げ……

 

クスリと微笑むシクル。そして……ナツの、強く握りすぎて血が流れ出していた手を優しく包み込み、握るシクル。

 

「大丈夫……信じてたから、来てくれるって……それにまだ、終わってないよ? 今はエルを助けて……そして、ジェラールと六魔将軍を止めよう? ね!」

 

シクルの言葉にナツは目を見開き始め……そして、次に瞬きをすると普段の眩しい笑顔が戻る。

 

「あぁ!! そーだな!」

 

「よし! じゃあ行こう! ハッピーやルージュ、シャルルたちを待たせちゃってるよ」

 

ハッピーたちは先に洞窟の外に行っていたのだ。追いかけるように2人が外に出ると……

 

「遅いわよ! あんたたち!!」

 

「ご、ごめんねシャルル……」

 

「まぁまぁ……再会の愛の抱擁でもしてたんだよぉ、きっと」

 

「してないわよ!? 何言ってるのルージュ!?」

 

「でぇきてるぅ」

 

「出来てないから!! 巻き舌風に言うな!」

 

「おい、早くエルザんとこ行くんだろ? 行こーぜ」

 

ナツの指摘にはぁとシクルはため息をつきながら、「行こう……」と言い、ナツをハッピーがシクルをルージュが、そしてウェンディがシャルルに抱えられエルザの元へと急ぐ。

 

 

途中レーサーの妨害があったがグレイが現れ、先に行かせてくれた。

 

その時……グレイは殆どの魔力を使い切ってしまい……

 

「グレイっ!? 私も一緒に戦うよ……!?」

とシクルが言ったが……グレイは氷の鉄壁の向こうでフッと笑うと……

 

「心配すんな……ここは俺に任せて、シクルは……早く、エルザの所行ってやれ! エルザも……シクルのこと心配してたからなぁ」

と言った。

 

「……ごめん、グレイ……死なないで」

 

シクルはそう最後に呟き、レーサーの攻撃で気絶してしまったルージュを抱え、先に走り出したナツを追い、走り出す。

 

 

「……死なねぇよ」

 

最後に、グレイはそう呟き……

 

「さぁ……ここは通さねぇぞ!!!」

グレイとレーサーの戦いが、始まる。

 

 

エルザの元へは途中、ヒビキの古文書の能力で脳に直接地図が送られ、迷わず戻れた。

 

エルザの近くにはヒビキの他にルーシィも待機していた。

 

「シクルっ!! 無事だったんだ! よかった……」

 

「ルーシィっ!! ごめん、心配かけて」

 

シクルを見て安堵するルーシィににっこりと微笑むシクル。

 

エルザは毒が広がっており、苦しそうに呻いていた。

「エル……!」

 

「ウェンディ!! 起きてくれぇー!!」

 

気絶するウェンディをガクガクと振り、起こそうとするナツ。

すると、ウェンディはゆっくりと意識を覚醒していく……。

 

「ん……っ! ひゃっ!? あ……ご、ごめ……ごめんなさい! わた、し……私!」

 

完全に意識が戻ると気絶する前の事が蘇り……涙を流しながら震え、謝り続けた。

 

だが、そんなウェンディに……

 

「頼むっ!! 今はそんなのどうでもいい!! エルザが毒にやられたんだ!! 力を貸してくれ……!!」

頭をゴッ!と地面に叩きつけ、下げながら頼み込むナツを見つめ……

 

「……毒?」

 

エルザを振り返るウェンディ。その先には確かに毒に苦しむエルザの姿が……。

 

「あ、わ……分かりましたっ!」

 

「ウェンディ、貴女は解毒に集中して? 他の傷は私が治すわ」

 

エルザの隣に膝をついたウェンディの隣に腰を下ろし、エルザに手をかざすシクル。

 

「はいっ!」

 

ウェンディの力強い頷きににっこりと微笑むと……

 

「【我、月の加護の名の下に

 

愛する者の身を包み その身、回復させん】

 

歌魔法(ソングマジック)治癒 (ヒール) 」

 

エルザの身体を光が包み込む……そして、毒以外の傷を全て回復することに成功。

 

その後、ウェンディの魔法でエルザの毒は完全に無くなった。

 

「ふぅ……これでもう大丈夫です……」

 

「もう少ししたら、目が覚めると思うわ」

 

「おぉ!!」

 

「良かった……」

 

ウェンディとシクルの言葉に安堵する一同。

 

「よし! ハイタッチだ!!」

ナツの言葉でその場にいる一同が順番にハイタッチをしていき、ウェンディも……ナツに声を掛けられ、照れながらハイタッチをした。

 

 

「良い事? 見ての通り天空魔法は魔力の消耗が激しいの……だから、これ以上ウェンディに魔法を使わせないで頂戴……」

 

シャルルの言葉に、「大丈夫!!」と声を上げるウェンディだが確かにその表情には疲労が見られ、魔力も消費している様子が伺えた。

 

「大丈夫! 回復なら私も使えるから……ウェンディはここぞっていう時以外はしっかり休んで! ね?」

 

シクルからの言葉に「あ…はい!」と頷いたウェンディ。

 

「おっしゃー!! エルザが目覚めたら反撃開始だァ!!」

ナツがそう叫び、ハッピーもそれにつられ

 

「ニルヴァーナは渡さないぞー!!」

と、声を上げる。

 

が……

 

次の瞬間、天高く伸びる黒い光の柱が辺りを照らす……。

 

「……遅かったみたい」

 

その光を見つめ、静かに……シクルの声が響いた……。

 

「え……?」

 

「何……あの、光……黒い」

 

「なんか……嫌な感じが、するよぉ……」

 

ハッピーとルージュが震えながらその光を見上げる。

 

「あれが……ニルヴァーナ……」

 

静かに告げたシクルの言葉に驚くナツたち。

 

「まさか……まさか、六魔将軍に先を越されちゃったの!?」

ルーシィが慌てて、立ち上がり、その光を見上げる。

 

「は……あの光……あの光のところに、ジェラールがいるっ!!!」

 

「「「「っ!?」」」」

 

「あ……私の、せい……だ!」

 

「会わせるわけにはいかねぇ!! エルザには……あいつは、俺が潰す!!」

 

そう言うとナツは「うぉおおおおお!!」と雄叫びを上げ、光の元へと走り出す……。

 

「ちょ!? ナツー!!! (あのバカっ!! また突っ走って……)」

シクルが手を伸ばすも、それはナツに届かず……

 

そして、問題はナツだけではなかった……。

 

「あ、あれ!? ちょっと……エルザがいない!!」

ルーシィの言葉に全員がエルザが寝ていたはずのところに、視線をやる。

 

だが、確かにそこにエルザの姿はなかった……。

 

「あ……あぁ」

 

「っ! ウェンディ……!」

頭を抱え、ふらつくウェンディを支えるシクル。

 

「何なのよ、あの女!! ウェンディにお礼も言わず……!」

 

「まさか……エルザ、ジェラールって言葉を聞いて……」

 

「あんな身体で!? 無茶しすぎよ……」

 

「どうしよう……私の、せいだ……私が、ジェラールを……治したせいで……ニルヴァーナが見つかっちゃって……エルザさんや……ナツさんが……」

 

頭を抱え、自責の念に苛まれるウェンディ……その姿を見て、シクルはまずい……と感じ、ウェンディに駆け寄ると……

 

ギュッ……と、抱き締めた。

 

「ウェンディ……落ち着いて……

大丈夫、大丈夫……貴女は、悪くない……

 

貴女は、恩人のジェラールを助けたかっただけなんだよ……ね? なら……いいじゃない

 

それで……貴女は、悪いことなんか何もしてない……

 

人を助けたんだよ? 目覚めぬ眠りについていた人を……貴女は貴女の恩人を助けた……

 

凄いじゃない……ね? だから……

自分を責めないで、ウェンディ……」

 

シクルの言葉に涙を流しながら次第に落ち着くウェンディ。

 

そして、ウェンディは「シクル……さん」と呟き、気を失ってしまった。

 

「ウェンディ!!」

 

「大丈夫……ちょっと疲れて、気を失っちゃっただけだよ」

心配するシャルルににっこりと微笑み告げたシクルの言葉にシャルルは、「そう……」と安堵する。

 

「シクルちゃん……君、アレのことを……」

 

シクルを驚きの目で見つめるヒビキ。

 

「それは……移動しながら説明するわ」

 

今はナツを……と、シクルの言葉で一同は頷きウェンディをシクルが背負い、走り出した。

 

 

 

その道中、ニルヴァーナについて語るシクルとヒビキ。

 

「じゃあ怒りは!?怒りはどうなの……」

ルーシィの脳裏には怒りに走り去ったナツが過ぎる。

 

「多分あれは大丈夫だと思う……誰かを思う怒りなら、それは闇とは言えないと思うから……」

安心して、というシクルの言葉に不安が消えるルーシィ。

 

「それにしても……僕はマスターから聞いてそのことを知っていたけど……シクルちゃんはどこで?」

 

ヒビキの言葉にシクルは、ふっとヒビキに一度視線をやり……再び前を向くと

 

「昔……ちょっとね、本で読んだことがあってね」

とだけ言い、その後口を開こうとはしなかった。

 

 

もう少しで光の元へと到着する……そう、一同が思った時……

 

 

た……すけ……うぷ

 

何かに酔う声が聞こえる。

 

「……ナツ?」

 

「え?」

 

道を外れ、小さな崖を下っていくシクルを追い、ルーシィたちもそちらへ行くと……

 

 

「っ!? ナツ!!」

筏の上で酔っているナツと……

 

「グレイ……何を!?」

ナツにトドメを刺そうとしているグレイの姿があった……。

 

「あばよ……」

 

 

振り上げられる氷の剣……それは、ナツへと振り下ろされ……

 

「やめてぇーーー!!!」

 

「ナツー!!!」

ルーシィとハッピーの叫びが響く。

そして……

 

ザンッ!!

 

「…………やらせると思う?」

 

グレイの振り下ろした剣は、間に割り込んだシクルが刀で受け止め、止めた。

 

グレイを睨むシクルの目は静かに怒りに燃えていた……。

 

 

「邪魔をするのか? ……シクル」

 

「何度だって、邪魔してやるわ……ジェミニ」

 

 

シクルの言葉にグレイ……否、ジェミニは表情を少し、歪ませた……。

 

 




はい!!如何だったでしょうか……

次回はエンジェルとの戦いですね!!

では、最後までお付き合い、ありがとうございます!!

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