フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい、こんにちわこんばんわ!thikuruです!!!

徐々にお気に入りに登録して頂ける方も増え、日々感激しています!


では、早速42話、最後までお付き合い、お願いします!


42話 作戦開始!そして……

 

 

「「ウェンディ……?」」

 

ウェンディを見て、驚愕する一同。そんな中……

 

「……これで全てのギルドが揃った」

と、話を進めるジュラ。

「話進めんのかよ!?」

 

 

「それにしても……、この大がかりな作戦にこんなか弱そうな女の子1人をよこすなんて……化猫の宿はどういうおつもりですの?」

ウェンディを見て、怪訝そうに表情を歪め言うシェリーにウェンディはビクッと体を揺らす。

 

「え、えっと……あ、あの……!」

「あら、1人じゃないわよ? ケバいお姉さん」

ウェンディの声を遮り聞こえた声に、一同が扉の方を見つめると……そこには、白い猫が立っていた。

 

「シャ、シャルル!? 着いてきてたの!?」

猫の名前は “シャルル” といい、その姿を見た時ウェンディは驚き、目を見開く。

 

「当たり前じゃない。あなただけじゃあ不安でしょうがないもの」

 

ほんの少し口調のキツめなシャルルを見て、苦笑を浮かべるシクル。

「(多分……ハッピーとルージュたちと同じだとは思うけど……それより)ウェンディ……もしかして……?」

 

うーん?と脳裏に浮かぶ子と目の前のウェンディを見比べる。

 

「あ……あの、私……戦闘は全然出来ませんけど……皆さんの役に立つサポートの魔法なら、いっぱい使えます……だから、仲間はずれにしないでくださいぃ……!」

 

ウェンディはやや涙声でそう声を上げた。

 

「そんな弱気だから貴女は舐められるのよ!」

辛口な言葉を発するシャルルに「だって……」と俯くウェンディ。

 

「すまんな…少々驚いたがそんなつもりは毛頭ない。よろしく頼む」

 

フッと微笑みながら、ウェンディの頭を撫でるエルザを見上げ、ウェンディは頬を赤らめる。

 

そして、シャルルを腕に抱き上げ

「わぁ! 見て、シャルル!! 本物のエルザさんだよっ!!カッコイイなぁ」

と、感激の声を上げる。

 

「ふぅん……思ってたよりいい女ね」

ウェンディの腕の中に抱かれているシャルルも頷きながらエルザを見つめている。

 

そんな様子を見つめ、シクルは「エルは人気者だなぁ……」と、ひとりでに呟いてぼぅっと眺めていると……

 

「お、オイラのことも知ってる……?オイラ、ネコマンダーのハッピー!」

頬を赤らめながらシャルルに自己紹介を始めたハッピーの姿が目に入る。

 

見上げてくるハッピーを見下ろし、暫くじっと見つめるも……

「ふんっ!」

と、顔を逸らすシャルル。

 

そんなシャルルの反応を見て……

 

「照れてる!!かわいいー」

と、前向きな考えのハッピーであった。

 

「……なにあれ」

「何かねぇ?一目惚れしちゃったみたいだよぉ?ハッピー……」

シクルの頭に乗り、苦笑を浮かべハッピーを見つめそう言ったルージュにへぇ……とシクルはハッピーとシャルル、そしてウェンディを見つめる。

 

 

「うーん? ……ウェンディ……ウェンディ?」

 

シクルが立っている後方で、やっと乗り物酔いから覚めたナツの「んー?」という声が聞こえ、振り返る。

「どうしたの? ナツ」

 

シクルが問いかけると……「いあ……」と言葉を濁し、

「……ウェンディ……どっかで聞いたこと……あるようなないようなぁ……」

と、言いながら再び考え込む。

 

「うーーん! 分かんねぇ! シクル、思い出してくれ」

結果、思い出せずシクルに投げやるナツ。

「無理だよっ!?」

流石に無理だってと言いながらはぁとため息をつくシクル。

 

この間にウェンディとシャルルはトライメンズに連れてかれ、もてなされていた。

 

シャルルは群がるトライメンズに怪訝そうな表情を浮かべ、ウェンディもオロオロと戸惑い……そんな中、ナツとシクルの姿を見つけたウェンディ。

 

ウェンディは2人を見つけるとニコッと微笑んだ。

「「ん?」」

微笑まれたナツとシクルははて?と首を傾げ、少しの疑問を抱く。が……

 

「お前達!! 遊びに来た訳では無いんだぞ! 早く片付けろ!!」

と、疑問が解かれる前に一夜の声が響き、思考は止まった。

 

「「「はい! お師匠様!!」」」

一夜の怒声にすぐさま用意していたソファや飲み物、茶菓子を片付ける。

片付け終わると天上のライトが消え……一夜にのみ、スポットライトが当てられた。

 

「さて……全員揃ったようなので、私の方から今回の作戦を説明しよう」

メェーン! と決めポーズを取りながら話を始める一夜。

 

「そのポーズって必要なのかしら……」

もうツッコミ疲れた……と言った様子のルーシィ。

「必要ないわね、あんなの」

相手をするのも疲れた様子のシクル。

 

 

「まず、六魔将軍の奴らが集結している場所だが…………と、その前にトイレの香り(パルファム)を!」

 

「「そこにパルファムつけるな!!」」

ルーシィとシクルからのツッコミをスルーし、一夜は奥の部屋へと一度消えていく。

 

そして一夜が戻ってくると作戦の説明が再開された。

 

「さて……まず、集結の場所だが……ここから北に行くと “ワース樹海” が広がっている。古代人たちはその樹海にある、協力な魔法を封印した。その名も、 “ニルヴァーナ”」

 

一夜の言葉から発せられたその魔法というものに一同はざわつく。

 

「ニルヴァーナ……?」

 

「聞かぬ魔法だな」

 

「ジュラ様は?」

 

「……いや、わしも知らんな」

 

「ニルヴァーナ……」

 

「なんか知ってんのか? シクル……」

 

「……ううん、私も聞いたことないよ」

 

「なんか知ってるー? てか、お魚いる?」

 

「結構よ!」

 

「懲りないねぇ……ハッピーてば」

 

一夜やトライメンズの3人も眉をしかめ、語る。

「僕たちも、古代人たちが封印するほどの破壊魔法……ということまでは把握しているんだが」

 

「どんな魔法かまでは分かっていないんだ」

 

「でもきっと、六魔将軍が樹海に集結したのはきっとこの “ニルヴァーナ” を手に入れるためなんだ」

 

 

「そして我々は、それを阻止するため…」

 

「「「「六魔将軍を討つ!!」」」」

 

キラーン! と青い天馬の全員で決めポーズをし、告げた。

 

「やっぱりポーズ……」

 

「俺はもうツッコまねぇぞ」

 

「私は初めから諦めてた」

ルーシィ、グレイ、シクルが諦めたため息をつく。

 

次に説明が始まったのはその六魔将軍のメンバーについてだった。

 

「こっちは13人敵は6人」

 

「だけどあなどっちゃいけないよ」

 

「この6人がまたとんでもなく強い」

 

そして、ヒビキの魔法、 “古文書(アーカイブ)” で六魔将軍のメンバーについての説明が始まる。

 

毒蛇を使う魔導士 “コブラ” ……

名前からして恐らくスピード系の魔法を使うと思われる “レーサー” ……

大金を積めば一人でも軍の一部隊を全滅させると言われる天眼の “ホットアイ” ……

心を覗けるという女 “エンジェル” ……

情報は少ないが彼らからは “ミッドナイト” と呼ばれる男……

 

そして彼らの司令塔 “ブレイン” ……

 

「彼らはたった1人でギルドの1つくらいは潰せるほどの魔力を持つ。そこで、我々は数的有利を利用するんだ」

 

今回の作戦の大まかな部分が説明されると……そろぉりとルーシィが手を上げる。

「あ、あのぉ……あたしは頭数に入れないで欲しいんですけど……」

 

「何言ってんの? ルーシィも大事な戦力よ」

ニコニコと笑いながら言うシクルに「絶対楽しんでるよね!?」と涙目で叫ぶルーシィ。

 

「わ、私も……! 戦うのは苦手なんです」

「ウェンディ!! 弱音吐かないの!」

ウェンディも涙声でそういい、シャルルに叱られる。

 

 

「安心したまえ……我々の作戦は戦闘だけにあらず! 奴らの拠点を見つけてくれればいい」

一夜が震えるルーシィとウェンディに決めポーズをしながら告げる。

 

「拠点……?」

 

「あぁ、そうだ……今はまだ奴等を補足していないが……恐らく、樹海には奴らの仮説拠点があると推測される」

 

「そこで、君たちには出来ればその仮説拠点に奴らを全員集めてほしい」

 

「どうやって?」

 

「殴ってに決まってんだろ!!」

 

「殴るだけじゃダメでしょ……でも結局戦闘は避けられないみたいね」

 

「集めてどうするのだ?」

 

一斉に質問を受けるが慌てる様子はなく冷静に説明を進めるトライメンズの3人と一夜。

 

「我がギルドが大陸に誇る天馬……その名も “クリスティーナ” で拠点もろとも葬り去るのだ!!」

キラーン!とポーズを取り、宣言する一夜。

 

「それって…… “魔導爆撃艇” の事?」

首を傾げ、問いかけるシクルに頷く一夜。

 

「てか、人間相手にそこまでやる?」

ルーシィが大げさな……と呟きながらそう言うと……ゴォ! と音を立てジュラから気が溢れる。

 

「そういう相手なのだ!!」

「ひっ!?」

「あー……ジュラ? あんまりうちの新人怖がらせないでね?」

 

ジュラの気に竦むルーシィを見て、はぁとため息をつきながらジュラに一言言うとジュラもそれに気づき、「すまん……」と素直に謝る。

 

「だが……よいか? 戦闘になっても決して1人で戦ってはいかん。敵1人に対して必ず2人以上でやるのだ」

強めの言葉で忠告するジュラにシクルたちは、コクリと頷く。

 

そして……

 

「おっしゃぁー!! 燃えてきたァ!!」

雄叫びを上げ、建物の壁を壊し飛び出していくナツ。

 

「6人まとめて俺が相手してやらぁ!!」

 

「あ、ちょ!? ナツ!!」

「全く……あいつは」

「てかあいつ話聞いてねーだろ!?」

「それがナツです」

 

飛び出していったナツを追い、妖精の尻尾のメンバーを中心に建物を飛び出していく面々。

 

最後に残ったのは……ジュラと一夜、そしてシクルとルージュだった。

 

「……はぁ全く(ほんと……後先考えないんだから)」

「シクルゥ、あたしたちも早く行こぉ?」

シクルの頭に乗りながら額を叩きそう言うルージュ。

 

「あ、うん。……いや、その前に……」

シクルはそう言葉を発し、1歩前に進めた足を戻すと……後方にいた一夜を振り返る。

 

「一夜……」

 

「ん? なんだい? マイハニー!」

キラーン!と決めポーズをする一夜……普段なら勢いに任せ、殴り飛ばすが……シクルは冷静に一夜を見つめ……いや、睨みつけると……

 

 

フッーーー

 

 

「……それで、変装したつもり?」

 

「「っ!?」」

 

「な!? シクル殿!? なにを……」

 

シクルが一夜の背後を取り、その頭をわし掴んだ。

その行動にルージュとジュラは目を見開き、驚くが……一夜は別段驚く様子もなく……

 

 

「……やっぱり、君にはバレちゃうか?」

と、一夜の姿で、一夜の声じゃないものが響いた。

 

「なに?」

「あれ……この声」

 

はぁとため息をシクルはつき……

 

「当たり前でしょ……私を誰だと思ってるの?……ジェミニ」

「…………歌姫……そして、星霊姫の証を持つもの」

 

そう、 “ジェミニ” と呼ばれた一夜が呟くと……シクルはその頭を掴む手から光を出す。そして……

 

 

「正解……双子宮の扉 強制閉門」

 

一夜は身体が光り、消えた。そして、その姿が消えるとシクルは両手に魔力を纏い、サッと振り返り……

 

「月竜の翼撃っ!!」

 

魔法を放つ。

 

「おっと……これはびっくりだゾ。まさか気づかれるなんてナ……歌姫さん」

攻撃を避けられるが、シクルはもとより当てる気は無かったため動揺はしていない。

 

「貴様は……」

 

「……六魔将軍の1人……エンジェルね?」

 

ニヤッと笑うエンジェル。

「そうだゾ! まぁ、今頃気づいても遅いんだゾ。今頃お前達のお仲間さんは……「黙れ……」っ!」

 

笑顔から一変、エンジェルの目の前にシクルが突然現れ……刃が襲いかかる。

 

ブシューーー!

 

エンジェルの肩から血が吹き出る。

 

「くっ!」

 

「掠っただけ……か」

肩を抑えるエンジェルを冷たく見つめるシクル。

「ちっ……舐めんじゃないヨ、ザコが……

 

お前に私達は倒せないゾ!」

 

エンジェルはそう吐き捨て、姿を消した。

 

 

「まさか紛れ込んでいたとは……!」

「ど、どーするのシクルぅ!?」

 

「くっ……ジュラは一夜を見つけて! きっとどこかで眠らされてるか縛られてるか……この建物からは出てないはず!!」

シクルの言葉に「承知した」と言い、奥へと消えていくジュラ。

 

「皆……!!」

シクルはルージュにしっかり掴まっている様に言うと、身体に光を纏い光の速さで、ナツたちの元へと急ぐ……。

 

 

お願い……間に合って!!! 皆……!!

 

拳を握りしめ、願うシクル……だが、そんなシクルの思いも叶わず……

 

シクルの視界に入ったのは爆破し、破壊されたクリスティーナと、地面に伏す仲間達……それを嘲笑うように立っている5人の人影……

 

 

「っ! それ以上……あたしの!

 

あたしの仲間に! 手ェ出すなぁっ!!!」

 

怒声を叫び……速度を上げる。

 

そして……

 

「月竜の……鉄拳!!!!」

 

ドォオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!

 

 

地面を……割り、仲間と敵の間に壁を作り出した……。

 

「っ!! シ、ク……!」

 

「シクルっ……」

 

ナツとルーシィの己を呼ぶ声が聞こえ、後ろを1度振り返るシクル。

 

 

「ごめん……遅れて……後は、任せて」

そう、にっこりと微笑み呟くと……

 

ギロッと目の前の敵……六魔将軍を睨み、殺気が湧き上がる。

 

 

「月の歌姫……か……面白いっ」

 

六魔将軍もニヤニヤと不敵な笑みを見せ、余裕を崩さない……

 

 

ここに……月の歌姫VS六魔将軍の戦いが……始まろうとしていた。

 

 

「お前達は……あたしが……あたしの光が、滅する!!」

 

 




はい!如何だったでしょうか?次回は主人公VS六魔将軍の面々です。

なんだか今回の章は無駄に話数が増える予感が……

そして明日は映画公開ですね!!
ワクワク止まりません……では、42話最後までお付き合い、ありがとうございます!!

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