フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい!!遂に楽園の塔終わりました!!


………少し早く番外に入りたく、急ピッチになりました…すいません、グダグダでorz


どうか広いお心でお付き合い下さいませ!
では、最後までお付き合い、お願いします!


33話 暗闇の中で掴んだ光

楽園の塔消滅の、数分前ーーー

 

 

シクルの魔法により、塔の外へと転送されたナツとエルザは偶然にも、転送先がグレイやルーシィたちの元だった。

 

シュンーーー

 

「うぉ!?ナツ!?」

「エルザっ!!無事だったのね!!」

突然現れた2人に驚くグレイとルーシィ。

 

「っ!!ここは…!シクルは!?」

「シクルっ!!シクルがっ!!!」

グレイとルーシィの声が聞こえないのか、ナツとエルザは少し慌てていた。

 

「おいちょ…落ち着けって…」

「シクルがどうしたの…?」

グレイとルーシィが2人を宥めながらどうしたのか問いかける。

 

「シクルがまだあの塔の中にいるのだ!」

エルザの告げた言葉に、グレイたちは目を見張り、驚き塔を見上げる。

 

「はぁ!?」

 

「シクルがまだあの中にって!」

 

「そんな…それじゃあシクルは……」

 

「シクルゥ…どうなっちゃうのぉ……?」

 

グレイ、ルーシィ、ハッピー、ルージュと続き、言葉を発する。

 

ルージュの涙声を聞き、ナツが口を開こうとした時………

 

 

ドォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!

 

 

「「「「「「「「「っーーーー!?」」」」」」」」」

 

 

少し離れた位置に建っていた楽園の塔が…大きな爆発音と共に、光の柱となり…天へと登っていった…。

 

「楽園の塔が…!」

グレイは驚き、光の柱を見上げる。

 

「そんな…シクルはっ!?」

大きな爆発を起こしたソレを見て、ルーシィは悲痛な声を上げる。

 

「うそ……だよ、ね…ぇ?」

涙をたくさん流し、光の柱を見上げるルージュ。

そんなルージュと同じく涙を流し、顔を両手で覆っているハッピーを抱きしめ、自身も涙を流すルーシィ。

 

「くそ…くそ………クソォオオオオッ!!!!」

雄叫びを上げ、涙で頬を濡らし、悔しさと悲しみにくれるナツ…

 

エルザやグレイも涙を流し、ショウやミリアーナ、ウォーリーも目の前で涙を流すナツたちを見つめ、悲痛な表情で俯く。

 

その場の全員が顔を俯き、悲しみにくれている時………

 

「………あれ、なんです…か?」

ジュビアの一声が静かに響いた。

 

全員がジュビアを見るとある一点を見上げ、目を見開いていた。

ジュビアの見つめる方を見上げると………

 

 

「…なんだ、あれ…」

その先にあったもの………それは…

 

「光………?」

塔の魔力が天へと登る光の柱が消えた、その上空………

 

「いや…あれは………魔法陣…?」

円形の光が創り出されていた…それは、月の下に現れた謎の魔法陣………

 

「なんで…いきなり…?」

その魔法陣を見上げ、全員が驚きと戸惑いに揺れている時………

 

「……………シクル?」

ピクッと、ナツの嗅覚………いや、五感が反応を見せた…。

 

「え?」

「間違いねぇ………あそこからシクルの匂いがするっ!!!」

ナツはそう叫ぶと、バッ!と立ち上がり、ルージュに視線をやる。

 

「行くぞ!!ルージュ!!!」

「え…えぇ?どこにっ?」

話についていけず困惑中のルージュを抱え、ナツは飛翔し、ルージュに翼を出させる。

 

「決まってんだろ!!!シクルを連れ戻しにだ!!!」

ルージュの見たナツの瞳は諦めを知らない、ギンギンに輝く光を持っていた…

 

「シクルを………あいっ!行くよぉ、ナツ!!」

連れ戻す、その言葉を聞きルージュも飛ぶ速度を上げ、遥か上空へと飛び上がる。

 

 

なんで、シクルの匂いがするのか…ナツには分からなかった…。

 

だが、今ナツの脳裏を占めている思いはただ一つ………

 

 

「ぜってぇ…死なせねぇぞ!!シクル!!!」

 

 

 

 

 

 

………………ん………こ、こは……?

 

 

誰かに呼ばれた感覚がし、目が覚めるシクル。

 

目が覚めると少し暗い空間にぽつんと1人、漂っていた。

 

 

………そっか…………私、魔力の暴走を止める為に…………じゃあ、ここは天国?

 

 

………否、地獄かな………

皆との約束、守れなかったんだもんね………

 

 

 

魔力の暴走を止める為とはいえナツたちを置いて死んでしまったことに今更ながら、少しの後悔が襲いかかってくるシクル。

 

 

………でも、エルザや皆が死んじゃうよりは………良かった…よね?

 

 

あの時、確かに守ることに成功したと…それだけは感じ取っていたシクル。

そう思い至ると、満足気に目を瞑り、意識を手放そうとするシクル。

 

 

 

そんな時ーーー

 

 

《バカね………この娘は…》

 

 

 

っっ!!!!………え?

 

シクルの脳裏に響いた女の声………その声を聞いた瞬間、シクルは目を見開く。

 

 

 

………え………ま、さか…うそ………

 

 

《やだわ………まさか、私の声を忘れた訳じゃあないでしょう?………シクル》

 

 

 

……………セ…レー、ネ?

 

 

シクルの言葉に、クスッと笑う、その声の主

 

 

 

《なんだ…分かるじゃない………そうよ》

 

 

ほんと……?セ、セレーネ………どこ…どこにいるのっ!?私…お母さんに会いたくて………

 

 

その声………シクルの探し人(竜)…“セレーネソフィア”のものであった。

 

 

《だめよ………分かっているでしょう?その時が来るまで………私たちは会えない………

 

今回は特別なの………あなた、今自分がどんな状況だか分かってる?》

 

 

 

…どんな…状況って…私、死んだんじゃ…?

 

シクルの答えにセレーネはいいえ…と答え

 

 

 

《あなたはまだ…死んでなんかいないわ……

 

まぁ、ほぼ仮死状態に近いのだけどね………》

 

 

………仮死…?

 

セレーネの言葉に首を傾げ、疑問を持った時だ…シクルは背後から少しずつ照らされる光に気づき振り返る。

 

そして………

 

 

うっ………!?な、に…?

 

 

眩い光が辺りを照らし…光から映し出された光景は………

 

 

 

雨の降る中………ギルドの皆が…ルーシィやハッピー…グレイやルージュ………そして、マスターやエルザも…一つの墓の前で泣いている光景だった…。

 

 

墓には“シクル・セレーネ”と名が彫られており、これは自分の葬式なのだと…理解するシクル。

 

 

………どうして…どうして、皆………泣いてるの?どうして…………笑ってないの?

 

笑っていて欲しいと願ったギルドの仲間…家族全員が涙を流し、悲しみにくれていた…

 

 

そんな時、よく見知った桜髪の男…ナツが葬式に現れ、暴れ始めた………。

 

『シクルは死んでねぇ!!!死んでなんかいねぇんだァ!!!』

 

そう怒声をあげ、墓に備えられている花を蹴散らすナツを取り押さえる家族たち…

 

 

『やめろナツ!!!』

 

『離せぇ!!シクルは死んでねぇ!!俺は諦めてねぇぞ!!シクルゥウウ!!!』

 

『もう…やめて、ナツ…!現実を見なさいよぉおおっ!!!』

 

『うぁあああっ…シクルゥ…会いたいよぉ…会いたいよぉぉおおおっ!!!!』

 

 

 

皆の涙する姿とシクルの死を悲しむ声………

 

シクルは耐えきれず、ホロホロと涙を流す。

 

 

どうして………私はただ…みんなに…!!

 

 

《………ほんと、バカな娘ね………

 

家族が死んで笑える人がいるかしら?

 

…さぁ………シクル………決めなさい

 

 

あなたはこのまま…死を選ぶの?

 

それとも………みんなの元へ帰りたい?》

 

 

セレーネの声が響く………シクルは涙を流し、顔を俯き…今見た光景を思い出す。

 

そして………

 

 

嫌だ………死にたくない………あんな…

 

あんな、悲しみにくれる皆を私は………見たくないっ!!!私は…皆の笑った顔が…大好きなんだ………!!!帰りたい…帰りたいッ!!

 

 

シクルの切なる願いが暗闇に木霊する。

 

その時…

 

 

シクルゥウウウウウウウウウッ!!!!!!

 

 

っ!!!!!

 

 

シクルの耳に届いたその声に…はっと目を見開き、顔を上げるシクル。

その視界の先に………暖かい光が見える…。

 

その光を見た時………シクルは迷うことなく、その手を伸ばした………ゆっくりと…だが、確実に………

 

 

あぁ………その暖かい光………私は、知っている…

 

 

そして、シクルの手が光に届こうとした時…

 

シクルは伸ばした手を何かにしっかりと、握られる感覚がし、引っ張られ…抱き寄せられる感覚を覚えた。

 

 

それは、よく知る熱………

 

心休まる、暖かな熱………

 

気合で瞼を上げると、視界に広がるのは涙に濡れる桜髪のよく見知った彼と自身の大切な小さき相棒………その姿を見た時、シクルは小さく微笑みを浮かべる。

 

「……………ナツ………ありが…とぅ」

 

「シクル………もう、こんな事…2度と、するなっ………!」

 

涙声で告げるその言葉にシクルはあぁ…悲しませてしまった…と、後悔が湧き上がる。

 

「ナ、ツ………ごめ、ん…ね…ただいま………」

 

「………おぅ…おかえり………」

 

それを最後に、ここでのシクルの意識は完全に途絶えた………。

 

 

 

 

 

「………………ん………」

 

ゆっくり…ゆっくりと、意識が浮上する感覚が訪れ、シクルはゆっくりと瞼を上げる。

 

そして、やや眩しい光に一瞬目を細め、ゆっくりと確実に眼をあけると…目の前に広がるのは木材で出来た天上だった………。

 

「………こ…こは?」

だるい身体を起こし、辺りを見るとそこはどこかの一室のベッドの上だった。

 

シクルは自身の手を見下ろす。

「…私………生きてる?…セレーネ………」

 

 

私を………助けて、くれた?

 

あの暗闇の中…響いた懐かしき母の声に今でも胸が熱くなる感覚がし、ぎゅっと胸を抑える。

ふと、足元にほんの僅かに感じる重みに目を向けると………

 

「………………ナツ…ルージュ…」

ベッドに寄りかかるように眠っているナツがいた。その反対側にはルージュもいた。

 

ナツとルージュを見つめていると、部屋の扉がキィと音を立て、開かれる。

 

「あ………」

「おや…起きてたのかい、あんた」

部屋に入ってきたのは、ポーリュシカだった。そこでやっと、ここがポーリュシカの自宅であることに気づく。

 

「全く………また無茶をしたんだってね…お前さんは」

しかめっ面でシクルにグチグチと説教が始まるポーリュシカの言葉に、シクルは肩をすぼめ、俯く。

 

「ご………ごめんなさい」

「………はぁ…全く………今回、あんたは5日間は眠っていたんだよ…」

ポーリュシカの告白に、「そんなにっ!?」と驚くシクル。

 

その声に、ナツとルージュがん…と声を上げ、目を開ける………。

 

「あ…………」

身体を起こし、シクルと目が合ったナツとルージュ………

 

「あーっと…お、おはよ?ナツ…ルージュ…」

 

「っ………シクルーーーーー!!!!!」

「わぁあああ!!!シクルだぁあああ!!!」

 

叫び声を上げ、シクルに飛びつく1人と1匹。

「きゃあ!?ちょ…ちょっと………」

「シクルっ!良かった…目が、覚めて………」

 

まだ身体が痛むシクルはナツとルージュに抗議の声を上げようとするが、ナツのその言葉と、回される腕が震えていることに気がつくと、ナツとルージュにシクルも腕を回し、抱きしめた。

 

「………ありがとう…ごめんね…もう、しないよ………」

「………おぅ」

「あいぃ……」

 

その後、診察をしたポーリュシカから、帰宅の許可の出たシクルをナツがおぶり、ギルドへと戻った。

 

そして、その日はギルドに戻るとお祭り騒ぎ…(いつもお祭り騒ぎよろしく賑やかなギルドだが………)

 

エルザやグレイからはお叱りを受け、ルーシィやハッピーからは泣きながら抱きつかれ、「心配かけてごめん…ありがとっ!」と笑みを浮かべ、告げるシクル。

 

 

こうして…シクルたちと楽園の塔を中心にした事件は幕を閉じた………。

 

 

 

 

 

 

………全く…ほんと、誰に似たのかしらね…

 

 

 

………ふん…そんなの、貴様に似たに決まっているだろう……

 

 

 

あらやだ………失礼しちゃうわ…そういうあなたの子こそ………あんな無茶して…一体、誰に似たのかしらね………クスクス

 

 

 

むぅ…黙らんか………結局のところ、お互い様ということだろう………なぁ…セレーネ………

 

 

 

フフフ…ええ………そうね………イグニール…

 

 

 

 

まだ…………その時ではない………だが、その時が来た時は……………

 

 

 

………必ず、真実を………

 

 

 

 

楽園の塔篇 完結〜

 

 

 

next.story 収穫祭 B・O・F篇 開幕

 

 

 

 

〜予告〜

 

 

 

収穫祭だー!!!ファンタジアだぁああ!!!

 

 

 

 

えぇえええ!!!シクルもでるのぉー!?や、家賃がぁ………

 

 

 

 

エバーグリーン……皆を元に戻してっ!!!!

 

 

 

 

バトル・オブ・フェアリーテイル《B・O・F》…開幕だ!!!

 

 

 

 

ラクサス……私があなたの目を覚まさせる!!!

 

 

 

 

ルール変更………?神鳴殿って………ふざけんなよ…糞ガキ…

 

 

 

 

出来るかじゃねぇぞ!お前らの……無事をだ!!ぜってぇ…死ぬなよ!!

 

 

 

 

ラクサス………………“俺”を………怒らすなよ………

 

 

 

 

ラクサス………………またね………

 

 

 




はい!!!遂に楽園の塔篇終わりました!!!

次は2.3話番外篇を投稿してからのB・O・Fに入りたいと思います!!!

番外篇お昼には投稿したいな…(切実………)
では、また明日…投稿致します!!

最後までお付き合い、ありがとうございます!!

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