フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい!!やっと出来ました…やはり楽園の塔篇は難航してます…

ですが途中で終わるなどはありません!!

しっかりと最後まで、やらせて頂きます!!


では、最後までお付き合い、お願いします!


31話 エーテリオン投下

 

十六夜刀をしまい、第二の刀、“龍鱗刀”を換装したシクル。

 

風に揺らめくその髪が時折、銀色に変化するのをラディティは面白そうに笑みを浮かべ、眺めている。

 

 

「刀を変えたところで…おいちゃんの刀には勝てねぇよ!」

そう叫び、シクル目掛け、刀身を伸ばすラディティ。

 

それは軌道違わず、シクルの喉元目掛け伸びる…だが、シクルは目を瞑っている。

 

そして…ふっとゆっくりと目を開き……

 

 

「“龍鱗 龍牙”」

静かに振り上げたシクルの刀は…ラディティの刀身を砕き割った。

 

「…なんっ…ちっ!」

 

砕かれた刀の破片を見つめ、目を見開き、舌打ちをすると背にある刀身を操る。

 

そして…

 

ニッ…ーーー

 

シクルの背後から心の臓を狙い、床から突き出る刀…

 

「“龍鱗 龍風迅”」

背後に向け、刀を振ると刀身から風の刃が飛び、再びラディティの刀を叩き折った。

 

 

「なんだそれ…何なんだその力は!?」

二対の刀を壊されたラディティは憤怒する。

 

「これは滅竜魔導士…それも、刀に選ばれたものが扱える妖刀………“龍鱗刀”」

 

“龍鱗刀”………それは、竜の魔水晶が柄の部分に装飾され、尚且つ刀身部分に龍の鱗粉が練り込まれた妖刀………それ故………

 

竜の力を持つ、滅竜魔導士にのみ持つことが可能で持ち主を刀自体が選ぶと言われており、持った者の能力値を底上げする。

選ばれし者以外が持つと罰が下るという説もある。

 

 

「言ったでしょう?この刀を持った時、私は負けないって………さぁ…もう、終わりよ…」

 

そう告げ、腰を低くし、刀を構えるシクル。

 

「ふざ…ふざけるな!!おいちゃんは負けねぇぞ!」

ラディティも迎え撃とうと、構えをとる…

 

が………

 

「…な………うご…け、ない?」

 

ラディティは体を動かすことは愚か、指1本、動かせなかった。

 

「んだコレ!?どうなってんだぃ!?」

 

「…“龍鱗 龍縛針”

 

………龍の力を込めた針を相手に飛ばし、その力で針に刺されたものの動きを封じる………

極細の針だから、刺されたことにすら気づかない……最初の時に、既に仕込ませてもらったわ」

解説が終わると…シクルからは膨大な魔力が溢れる。

 

 

「…あなたは私と遊びたかったみたいだけど………生憎と、時間が無いみたいだから…残念だけど………これで、終わりよ…

 

 

“龍鱗 龍翔牙”ッ!+ “龍鱗 龍炎風”ッ!」

 

シクルの振り下ろした刀からは銀色に輝く竜の気が放たれ、それは寸分狂わず、ラディティを襲い左腕が龍に噛みちぎられたかのように吹っ飛ぶ。

 

その後、激痛に呻くラディティに炎を纏った龍が襲いかかり………

 

 

ドガァアアアアアンッ!!!!

 

大きな爆発が起き、煙が晴れた時…そこにラディティの姿はなかった…。

 

 

数秒…呼吸が止まったかのような感覚がシクルを襲う。

 

「………っ…はぁ………うー…もう疲れた…(早く終わらせて休もう…それで甘いデザート食べるんだ………)」

ラディティの気配がなくなり、一気に気の抜けたシクルはその場に座り込み息をつく。

 

「あーもう…また傷作っちゃった…(あまり魔力は消費したくないけど…まだあいつとのことが残ってるし…仕方ない、か)

 

歌魔法(ソングマジック) 治癒(ヒール)

 

傷を歌魔法で治すシクル。そして、治し終わるとよし…と気合を入れ直し、立ち上がる。

 

「…てゆうか…結局、この魔水晶は何だったんだろ………」

うーんと、目の前の魔水晶について、考え込むシクル。

 

数秒考え込み、「んー…分からない…」と1人呟くとぐっと拳を握り…

 

「あいつに聞くか…手っ取り早いし」

と、意気込んだ。

 

 

「誰に聞くんだ?歌姫」

 

突然耳元で聞こえる男の声…

 

「っ!?ジェ…!!」

髪を撫で、背後に立っていたのは笑顔を絶やさないジェラールだった。

シクルは慌てて飛び退く。

 

「ククク…やはり神速では歌姫には勝てないか………」

笑いながらそう呟き、ゆっくりとシクルに近づく。

 

「それ以上近づくなっ!」

シクルはジェラールの表情とその瞳に宿る何かを見た時、僅かに恐怖が背筋を通る感覚に陥っていた。

 

 

なに…何を考えているの………怖い…

 

 

恐怖?私が………そう…これは恐怖………

 

 

あの目を…………私は…知っている………

 

 

あの男と同じ目………やめて……その目で…

 

 

 

私を見ないで…………私は………

 

 

 

シクルの震えが、強くなった時…

 

塔の外………遥か上空に膨大な魔力の塊を感知…シクルははっと上を見上げる。

 

 

「この…魔力………まさか…エーテリオン!?

(馬鹿な…ここまで膨大な魔力の塊………今まで気づかなかった!?)」

 

シクルの意識が、完全にジェラールから離れた…その時………

 

 

カチンーーー

 

「っーーー!!!」

意識を逸らしたその瞬間、ジェラールが目の前へ現れ、シクルのその首に魔水晶の埋め込まれた首輪を装着した。

 

その瞬間ーーー

 

 

ドクンッ…

 

「ぐ………!?ぁ…あぁっ!!!」

シクルは体内の魔力が急速に無くなっていく現象に襲われ、胸と首輪を抑え、膝をつき…倒れ込む。

 

倒れ込み、苦しむシクルを見下ろし、愉快そうな笑みを深めるジェラール。

 

「ククク…どうだ、歌姫………それはお前専用の特注品だ…壊せまい?魔力吸収も備わっている………苦しいか?」

 

「ぐっ…は…!あ、いか…わらず……しゅ、みの…わるい………やつ、ねっ!」

苦しさと痛みに耐えながらジェラールを睨み上げるシクル。

 

「ほぉ…まだそんな目を向けるか…

 

歌姫…いや…………“生贄のお姫様”…か」

 

「っ!!!!だ…まれ………!」

“生贄のお姫様”…その言葉を聞いた瞬間、シクルの身体から膨大な魔力と殺気が滲み出る。だが、それらはすぐに消えてしまう…。

 

ドグンッ!!!

「うぐぁ!!あぁあ…が!」

「魔力抽出力を強めた…もう諦めろ………

 

貴様は…貴様のその魔力は………この、楽園の塔の魔力へと変換されるのだ…月の歌姫……

 

 

生贄のお姫様…シクル・ウィ…「黙れ!!」…」

 

ジェラールの言葉を遮り響く…シクルの怒声………

 

ジェラールを睨みつけるその瞳は…強い怒りと殺意、そして………恐怖に揺れていた。

 

 

「黙れ…!!その名で…その名前で………私を呼ぶなっ!!」

 

バキンッ!!!

 

シクルの魔力が大量に噴出した瞬間、首輪が壊れる音が響き、カラン…と床に転がった。

 

「ほぉ………それを壊すか…」

 

首輪が壊れたことにジェラールは目を見張り驚き、シクルはゆっくりと身体に力を入れ、立ち上がりジェラールを睨みつける。

 

「はぁ…はぁっ…わ、たしの…魔力…だ!

 

勝手に………奪って、利用されて……たまるもんかっ!!!」

ギッ…と、睨むシクルの瞳は強い輝きを放っている。

 

「ククク…!そうだな…そうじゃないとつまらないもんな………だがな?歌姫よ…

 

 

少々遅かったな……GAME OVER…だ」

 

「………え…」

 

ジェラールがそう告げたその瞬間………

 

 

シクルの視界が眩い光に包まれた…

 

 

「っ!!!(これは…エーテリオンっ!?)」

 

ほんとに…落とすなんて………

 

これじゃあ…みんなが………

 

意識の遠のく中、そう脳裏で考え…そして、最後に見えたジェラールの顔………

 

その顔に浮かぶ笑みを見てシクルは思う。

 

 

これは始まりであり………まだ終わりではない…と………

 

それを最後にシクルの意識は完全に途絶えてしまった。

 

 

エーテリオンが投下された直後………

 

ジェラールと共に死を選んだエルザだが、それらは全てジェラールの芝居であり、嘘偽りであったこと………

 

 

そして、ジェラールと評議会のジークレインは同一人物であることが発覚した直後………

 

 

「貴様は……貴様は一体!どれだけの者を欺けば気が済むんだっ!?」

評議会さえも欺いていたジェラールに怒りを覚え、声を荒らげるエルザ。

 

そんなエルザを見て、笑みを深めるジェラール…。

「力が…魔力が戻ってきたぞ!」

 

そして………

 

「だが…流石にこれほどまでの魔力を一箇所に留めるのは確かにリスクが高い……だからこそ………」

 

そう言い、ジェラールは銀色に輝く光の球を召喚し、手に持つ。

「これを使う………」

 

「そ、それは…一体…」

その球を見て、エルザは何かを感じ取る…

 

よく知っている気のするそれを…

 

 

「これは魔力………歌姫の魔力を凝縮したもの…」

「なんだとっ!?」

 

ジェラールの告白に驚愕するエルザ。

 

「これを使えば………この塔全体の魔力も安定する………」

ジェラールはそう言い、エルザが動き出す前にその球を楽園の塔の壁に埋め込んだ。

 

 

その瞬間、辺りを荒々しい魔力により吹いていた突風がやんだ…。

 

「フハハハハッ!!これでやっと…遂に…ゼレフを復活できる…!!」

ジェラールの嬉しそうなその奇怪な笑いを見て…エルザの中でぷちっと理性の線が切れる………。

 

 

「っ…!!!ジェラァアアアアルッ!!!!」

そして再び…2人の因縁の戦いがスタートする…。

 

最初で最後の………その、戦いが………

 

 

 

エーテリオンが、投下され…エルザとジェラールの戦闘が再開されてから約十数分後………

 

「………っ…ん………」

シクルはゆっくりと意識を取り戻す。

まだぼぅっとする意識の中、体をゆっくりと起こし、頭を抑え辺りを見回す。

 

「………え…これ…て………?」

 

その視界に映ったのは………壁一面に…否、

 

塔全体が魔水晶となった楽園の塔の姿であった。

 

 

「なにこれ………まさかこれが………楽園の塔の真の姿………?」

シクルは魔水晶の一部に触れる。

「…そうか…これが狙いで…(だからあの時………エーテリオン投下の瞬間…笑って…)」

 

 

唇を噛み、その真の狙いにすぐに気づけなかったことを悔やむシクル。

だが、悔やむ間もなく…シクルの魔力感知があることに気づく。

 

「え…これ………(この魔水晶から感じる…魔力………)わ…たし、の?」

ふと、意識が消える少し前、魔力をジェラールに奪われていたことを思い出す…。

 

ジェラールが何をしたいのか…正確には分からない………でも………

 

「こんな膨大な魔力…一箇所に留めるなんて危険すぎる…早く…早く何とかしないと…!!」

 

膨大な魔力の発信源は塔の上…恐らく最上階から流れている…。

 

 

「行かなきゃ…(きっとそこにジェラールもいる………多分、エルも…)」

 

シクルはぐっと、力の入らない足に喝を入れ、前にと進む。

 

 

お願いだから…間に合って………!

エル………無事でいてっ!

 

 

走り始めてから、暫くたった頃…

漸く塔最上階のほんの少し下までやって来たシクル。

息は上がり、体はふらつき…魔力もほんの僅かにしかない状態だが………

 

「あと…少し………エル…ナツ………」

 

シクルは途中、最上階にジェラールとエルザの他に、ナツがいることにも気がついていた…

 

そんな時………

 

ゾワッ!!!

 

「なに………この、魔力…(これは…この…嫌な魔力は…知っている………)」

 

そうこれは…暗黒の楽園(アルテアリス)!!

 

まずい………!!

 

 

咄嗟にシクルは震える足を無視し、走る速度を上げる。

 

 

お願い…間に合って!!!お願いっ!!!!

 

 

 

そして………最上階………

 

ついた先で見たものは…………

 

 

「………え…」

 

 

倒れるナツと……暗黒の楽園を放ったであろうジェラール………そして………

 

 

 

「イヤァアアアアアアッ!!!!」

 

 

傷だらけ…血まみれで、エルザの腕に抱かれ…息を引き取ったシモンとその姿を見て、涙を流し声を上げる…エルザの姿………

 

 

 

 

「…っ!!!ジェラァアアアアアルゥウウウウウッ!!!!!」

 

 

シクルの怒声が辺りに響き渡った…。

 

 




はい!!

いやぁ…グダグダ感ありすぎてなんかほんと申し訳ないっ!!

もっと上手く表現出来ればいいんですが…面目ないorz


ですが、最後までお付き合い、ありがとうございます!
次回はまた明日の夜になるかと思います!あと2.3話で楽園の塔終わらせるつもりです!!
はやく“B・O・F”をやりたい!!!ウズウズしてます

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