なんだか少し忙しくて…というか、楽園の塔のお話少し難しいorz
でも、めげずに頑張ります!
では、最後までお付き合い、お願いします!!
エルザは目を瞑り、語り始めたーーー。
「ここ…この塔の名は、楽園の塔…別名、“Rシステム”と呼ばれている………今から10年程前だ…黒魔術を信仰する魔法教団が“死者を蘇らす魔法”の塔を建設しようとしていた…」
「死者を…蘇らせる!?」
ルーシィの驚愕する声に頷き、エルザは話を進める。
「この塔は…政府も魔法評議会も非公認の建設だった為に…各地より、攫ってきた人々を奴隷とし、この塔の建設にあたらせたのだ…
そして、幼かった私も………かつて、ここで働かされた奴隷の1人だった…」
「え…」
「何っ!?」
「エルザ…さん、も?」
エルザから語られる話にルーシィやグレイ、ジュビアは目を見張り、声が上がる。
その隣でシクルは静かに目を瞑り…エルザの話を聞いていた。
「…(エル……)」
「ジェラールと私はその時に出会った…奴隷だった私を、ジェラールは助けてくれた…」
そう話すエルザの表情は悲しげに影を指している…
その後語られたのは、脱走を図ったエルザたちの動向が教団の奴らにバレ、エルザはその首謀者とし上げられ、長時間懲罰房へ入れられ、拷問を受けたこと…
それを助けに来てくれたのがジェラールであり、その際にエルザと入れ替わりで拷問を受けることになってしまったジェラールのこと…
そして、捕まったジェラールを助ける為、エルザを筆頭に奴隷として過ごしていた全員が反乱を起こし、多くの犠牲を払うもエルザはジェラールの元へと辿り着き、一緒に逃げられる…そう、思った幼き頃のエルザだったが………
「ジェラールは…その日を境に変わってしまった………まるで別人のように…もしも、人を悪と呼べるのならば…私は、ジェラールをそう呼ぶだろうな………」
反乱に成功し、遂にジェラールの元に辿り着いたエルザだったが…救出に成功した時、すでにジェラールは以前のような面影はなく…
狂気な笑みでエルザに告げる…。
“もう逃げることはないんだ…エルザ………
本当の自由は………ここにある”
そう告げたジェラールの目は狂い、ゼレフの亡霊に取り憑かれてしまっていた。
ジェラールは「“ゼレフ”を蘇らせる」と言い、自分たちを支配していた魔法教団を壊滅させたのだ。
当然エルザはジェラールに反発するも、敵うことはなく………その身を、塔の外へと放り出されてしまった。
もし楽園の塔の事が政府や魔法評議会にバレたり、エルザ自身がこの塔に近づけば………
奴隷仲間のショウたちを殺すと脅され…
“それが………お前の自由だ!
仲間の命を背負って生きろ………
エルザァァアアアア!!!”
涙を流し、塔を離れた…
その後、エルザは妖精の尻尾に加入し、今の生活をし始め、8年の月日が経ち………
今日、偶然にもこの塔へ…再び戻ってきたエルザは覚悟と決意を決め…告げる。
「私は…ジェラールと戦う………そして、この手で………」
拳を握るエルザの左眼からは…涙が零れていた。
「エルザっ………」
エルザの涙につられ、ルーシィの瞳にも涙が溜まる。
そこに………
「ちょ、ちょっと待て………」
と、グレイの震える声が聞こえる。
「エルザ………今の話の中に出てきた…“ゼレフ”って…まさか」
「…あぁ………魔法界の歴史上、最凶最悪と呼ばれた伝説の黒魔導士…」
グレイの言葉に頷き告げたエルザの口から出たその単語に、ルーシィも目を見開く。
「ちょ、まさかそれって…確か、呪歌から出てきた怪物も…“ゼレフ書の悪魔”って…言ってたわよね?」
その言葉に頷き…エルザは更に告げる。
「そうだ…そして恐らく………あのデリオラも………“ゼレフ書の悪魔”の1体だろう」
「っ!!!」
“デリオラ”の一言に険しい表情を浮かべるグレイ。
「では、そのジェラールという男は…そのゼレフを復活させようとしているということですか?」
ジュビアの問いかけに頷くエルザ。
「あぁ…動機までは分からんがな…ショウ………かつての仲間の話では、ゼレフ復活の暁には、“楽園”にて、支配者になれるとか………」
エルザから語られたゼレフの話…それを聞き、シクルはほんの少し瞼を上げ、目を細める。
「ゼレフ………(ゼレフを復活…?蘇らせる…?………不可能だわ…だって彼は……)」
まだこの世を生き、さ迷い続けている…
そして…
「亡霊…(確かに彼なら誰かを操ることも出来ることは出来るだろうけど………)」
もし誰かを操っているのなら…その独特の魔力が感知されてもおかしくない
シクルはため息をつき、俯くエルザに視線を向ける。
「そういえば、あのかつての仲間たちの事って…あたし、どうしても腑に落ちないんだけど……」
ルーシィが怪訝そうな表情を浮かべる
「あいつ等はエルザを裏切り者って言ってたけど……今の話を聞く限り、裏切ったのはジェラールの方じゃないの?」
「………多分、エルが楽園の塔を追い出された後…ジェラールに何かを吹き込まれたってところかしらね?……憶測だけど」
「そんな……」
シクルのその言葉にルーシィは辛そうな表情を浮かべる。
「………しかしそれでも、私は8年もの間…彼等を放置したんだ…裏切った事にかわりはない」
「でも、それはジェラールに仲間の命を脅されてたから近づけなかったんじゃない!!それなのにあいつら……!」
ルーシィの叫びが木霊する。
「もういいんだ、ルーシィ………私がジェラールを倒せば全てが終わる」
エルザは悲しげに微笑みを浮かべながらそう言う。
だがこの時…エルザの言葉を聞き、グレイとシクルは別のことに考えが及んでいた。
「(エルザ…本当にそう思っているのか…!?)」
「(エル………あなた…何をするつもりなの?)」
“この戦い……勝とうが負けようが、私は表の世界から姿を消す事になる…”
グレイとシクルはこの言葉が脳裏から離れなかった…。
2人がじっと、エルザを見つめていると………
「ね、姉さん…それ、なんだよ………どういうことだよ?」
暗闇の奥から困惑した様子のショウが現れた。
「っ!ショウ…」
エルザの顔を見た時、ショウはカッとなり、声を荒らげ始める。
「そ、そんな与太話で仲間の同情を引くつもりかっ!?ふざけるな…真実は全然違う!!」
そう叫び、ショウの口から告げられたのはショウたちを置いて、エルザが1人楽園の塔から逃げ去ったこと………逃亡用の舟に爆弾を仕掛け、ショウたちが逃げられないようにして…
「ジェラールは俺たちに言ったんだ!!
これが…“魔法”を正しい形で習得できなかった者の末路だ…と!姉さんは魔法の力に酔ってしまい、俺たちのような過去を全て捨て去ろうとしてるんだと!!
そう言ったんだ!!」
ショウの言葉にピクッと反応を見せる一同。
「ジェラールが…言った…だァ?」
「あなたの知るエルザは…本当にそんなことをする人だったのかな…?エルザを信じなかったの?」
グレイとルーシィの言葉にショウは悔しげに、顔を歪め叫ぶ。
「お前らに俺達の何がわかるってんだ!?俺たちの事何も知らねぇくせに!!」
ショウのその言葉を聞いた時…ガッ!とシクルがその胸倉を掴みあげる。
「ぐ…」
「………あんたこそ…エルがこの8年間…
どんな思いでいたのか……わかってんの?どんなに…どんなに、あなた達を思っていたか…分かる!?」
シクルのその言葉を聞き、言葉に詰まるショウだったが、再びエルザたちに向かって叫ぶ。
「俺には…俺には!ジェラールの言葉だけが救いだったんだ!!だから…8年もかけてこの塔を完成させた!!ジェラールの為に!!
その全てがウソだって…?正しいのは姉さんで………間違っているのはジェラールだと言うのか!?」
ショウがそう叫び、エルザが顔を俯いた…その時………
「そうだ…」
静かに響いた第三者の声…
それはカジノでグレイとジュビアが相手をした、シモンという男だった。
「シ、シモン!?」
「な…てめぇ…!!」
シモンに気づいたグレイがシモンへと突っかかろうとするも、ジュビアにより止められる。
「待って下さい!!この方はあの時…グレイ様が氷の人形と知ってて攻撃したんです!
暗闇の術者が周りを見えない訳ありません」
「さすがは噂に名高いファントムのエレメント4だな」
シモンの言葉に全員がシモンを見つめる。
「俺は………誰も殺す気はなかった
ショウたちの目を欺くため…気絶させようと思ったが、氷ならもっとハデに死体を演出できると思ったんだ」
悪かったなと、苦笑を浮かべグレイに告げるシモン。
そんなシモンの言葉にショウは混乱が高まる。
「お…俺たちの目を欺く為だと!?」
「あぁ………お前も、ウォーリーやミリアーナも……皆、ジェラールに騙されているんだ…
機が熟すまで俺も騙されているフリをしていたんだ」
「シモン……お前……!」
シモンのその言葉にエルザは目を見開く。
シモンはエルザと向き合うと…
「俺は初めからエルザを信じていた………この8年間、ずっとな」
赤らめた頬を掻き、微笑みながら言う。
そんなシモンの姿が、エルザの目には8年前のような優しい笑顔に見え、エルザはそんなシモンの姿に、歓喜の笑みを浮かべた。
「エルザ…会えて嬉しいよ、心から……」
「シモン……私もだ」
そう呟き、2人は抱き合い共に再会を喜び合う。
そんな光景を見て次第にショウの目に涙が溜まる。
「なんで…なんで、みんな……そこまで姉さんを信じられるんだよ………?
何で俺は……姉さんを信じられなかったんだ」
そして、ショウはその場に泣き崩れた。
「くそぉお…!!うぁああああああ!!!
何が真実なんだ!?俺は…俺は何を信じればいいんだ!?」
そう泣き叫ぶショウを見て、そっとエルザが近づき、しゃがみショウと目線を合わせる。
「今すぐに全てを受け入れるのは難しいだろう…だが、これだけは言わせてくれないか?
ショウ………
私はこの8年間………お前たちの事を忘れた事は一度もない」
そこで一度言葉を途切らせるとショウを抱きしめるエルザ。
「何も…できなかった……私は…とても、弱くて……すまなかった………ほんとうに」
「………だが今ならできる……そうだろ?」
後ろから聞こえたシモンの言葉に振り向き、エルザは静かに頷く。
「ずっと………この時を待っていたんだ………
強大な魔導士がここに集う…この時を」
「…強大な魔導士?」
シモンの言葉にルーシィは首を傾げる。
「ジェラールと…戦うんだ
俺たちの………力を合わせて」
そういったシモンの声には強い決意が込められており、瞳にも…強い覚悟が宿っていた。
その後、シモンとショウも一緒にエルザたちはナツを探し、塔の中を走っていた。
「くっそ!ウォーリーもミリアーナも…通信を遮断してやがる……これじゃどこにいるのかわからねえ!」
「落ち着いて、シモン…とにかく今は冷静に
多分ナツは今そのミリアーナって子のところに行っている可能性が高いわ」
焦りの見えるシモンの隣をシクルが走りながら声をかける。
シクルの言葉に、「あぁ…すまない」と少し落ち着いたのか、微笑みを浮かべ言うシモンに微笑みで返すシクル。
「ショウ………大丈夫か?」
ふと、後ろからエルザの声が聞こえ、全員が振り返ると少し離れたところを顔を俯き、走るショウがいた。
「うん…姉さんがいてくれるから……」
弱々しく声をかけてきたエルザに笑みを浮かべるショウにエルザはほっと笑みを浮かべるも…その様子を見たシクルはほんの少し険しい表情を浮かべる。
(まだ少し…魔力の流れに乱れがある………やっぱり心のどこかでまだ動揺と混乱が収まりきってないんだ………)
注意しないと………
シクルは僅かにショウへの警戒を強める。
「…なぁアイツ……本当に信用していいのか? 確かに…俺たちを殺そうとしなかったのは認めるが、あの時ナツとルーシィは死んでもおかしくねえ状況だったんだぞ?」
シモンを疑惑の目で見つめていたグレイは隣にいるジュビアに話しかける。それに、ジュビアが答える前に前を走るシモンが振り返る。
「言い訳をするつもりはない…だが、あの程度で死んでしまうような魔導士ならば、到底ジェラールとは戦えないと思った」
「うっ…聞いてやがったのか」
「それに俺には確信があった………
ナツは死なない」
グレイの気まずそうな顔を見ながら少し笑みを浮かべ告げるシモン。
「お前たちはあいつの本当の力に気付いてない」
「…本当の力?」
シモンの言葉にルーシィは首を傾げ、シモンは頷く。
「そうだ………ナツに真のドラゴンの力が宿る時…邪悪は滅びゆく…」
シモンの言葉にシクルは目を細める。
真の力………“ドラゴン・フォース”の事か…
心当たりはあるシクルだが…
…本来あの力は………
ある条件をクリアして得られる力………
到底今のままのナツでは………
どうしたものか…と、シクルが考えている時だ………
突然、辺りの壁や天上に不気味な口が幾つも浮き上がった。
「ひぃ!?何気持ち悪い!!」
ルーシィは思わず叫び、シクルに抱きつく。
「これは…!」
全員が驚き、足を止めていると…
『ようこそみなさん………楽園の塔へ』
たくさんの口から響く、その声……それは、この塔のボス…“ジェラール”の声だった。
「し、しゃべりましたよ!?」
「ひぃー!!尚気持ち悪い!!」
「この声は…!!」
「あぁ…ジェラールだ………
塔全体に聞こえるように話している」
シクルたちは気味の悪さを感じるが、ジェラールのその声に耳を傾ける。
『俺はジェラール…この塔の支配者だ。
互いの駒はそろった………そろそろ始めようじゃないか………
楽園ゲームを』
愉快そうに告げるジェラールの声だけが…塔全体に響き渡った………。
あら………本当なら戦闘を入れるつもりだったのですが………
思いのほかエルザの過去語りがやはり長かった!!
次回必ず!!戦闘シーン入れます!
では、最後までお付き合い、ありがとうございます!!