では、長く前書きを進めるつもりはありません…
最後までお付き合い、お願いします!!
楽園の塔を見つけ、近場の岩肌に上陸し、塔入口の様子を伺うシクルたち。
「…結構見張りのやつが多いな…」
入口付近を巡回し、見張りをしている敵陣を見つめ、ため息混じりに告げるグレイにシクルたちも頷き、同意する。
「だね…流石に多いね」
「どうする…?」
ルーシィが首を傾げ、問いかけるとシクルが口を開きかける…そこに
「気にするこたァねェ!!突撃だっ!!」
ナツの大声が響く。
「却下だ」
即座にグレイの反対する声が上がる。
「ンだとっ!?」
「当たり前でしょーが!そんな作戦もなしに突撃なんかしたらまずいでしょ!」
グレイに反発するナツをルーシィが全力で引き止め、シクルもため息をつきながらナツを見つめ、言う。
「それに、突撃なんかして、エルやハッピー、ルージュの身に危険が及んだらどうするの?」
「うぐ…」
シクルの指摘にナツは口を閉ざし、気まずそうに顔を俯く。
「まぁ、多分そろそろジュビアが…」
シクルがナツから視線をそらし海の底を見つめた時、ザバッ!という音と共に海面からジュビアが現れる。
「お、おかえりジュビア。どうだった?」
突然の登場にナツやルーシィは驚きを見せるがシクルは普通に対応し、何かを質問していた。
「はい…シクルさんの言う通りでした…
水中に、塔の地下への抜け道を見つけました」
「マジでか!?でかした!」
「よし!思った通り…ありがとう、ジュビア」
ジュビアはグレイとシクルに褒められると少し照れ臭そうに頬を赤らめてからルーシィを振り返り、何故か敵対心剥き出しで自慢をしていた。
「それでですね、水中を約10分ほど潜って進むのですが…大丈夫ですか?」
「10分くれぇ、問題ねぇよ大丈夫だ」
「だな」
ジュビアの問いかけにナツとグレイは大丈夫と頷く。
「ちょっと!普通無理に決まってんでしょ!?」
10分息を止められるなんてどんだけよ!と叫び、同意を求めシクルを振り返るも………
「ごめんルーシィ…私も…」
めんどくさいからやらないけど…と気まずそうに苦笑を浮かべ告げた。
「シクルもっ!?何、私が変なの!?」
ルーシィの叫びにそんなことないと思うけどなぁと、小さく呟きをするシクルの耳に、「では…」と、ジュビアの声が届き、そちらを振り向く。
「皆さん、これを被ってください」
そう言い、ジュビアの手にあるのは人の頭を覆えるくらいの水球だった。
「…これは?」
シクルが問いかける。
「これは水の中に酸素を閉じ込め作ったものです。これを被れば、水中の中でも呼吸が出来ます」
ジュビアの説明におぉ!と全員が感心し、早速頭に装着。
被り、準備が出来るとジュビアを先頭に地下の抜け道へと向かった。
約10分後、地下の抜け道へと問題なく侵入に成功。
地下の陸地に足をつき、一息つくシクルたち。
「どうやらここが地下入口みてぇだな」
グレイは辺りを見回しながら注意を高める。
「ルーシィさんのだけ少し酸素を少なめにしたのに…よく息が持ちましたね?」
ジュビアのまさかのカミングアウトにルーシィは冷や汗が背を伝う。
「ちょっと!?足りなくなったらどうするつもりだったのよ!?」
「あっはは…(こ、こわ…)」
「とにかく、ここが塔の地下ならとっとと乗り込んじまおうぜ」
ジュビアとルーシィの会話を気にする事はなく、先へ進もうとするグレイ。
「ここのどこかに…エルザやハッピー…ルージュが…」
ルーシィのその呟きにぐっと拳を握るシクル。
「エル…ルージュ、ハッピー…(待っててね…)」
全員がいざ、突入…と言う、その時ーーー
「誰だ貴様らはー!!!」
塔の兵士達に見つかってしまう。
「やばっ!?」
ルーシィの慌てる声が響く。
が、ナツやグレイは早速戦闘態勢へなり、構える。
「ここまで来たら…やるしかねぇだろ!」
「はい!」
グレイに並び、ジュビアも構える。
「あーぁ…これ全部やんの?(流石にこれはめんどくさい…)」
うじゃうじゃと出てくる兵士を冷めた目で見つめ、ため息をつくシクル。
「誰だ貴様らはだァ?ケッ!上等くれた相手の名も知らねぇのかよテメェら!!」
怒声と共に、地下の柱を炎の纏った拳で粉砕するナツ。
そして、その勢いのまま敵陣に突っ込み…
「妖精の尻尾だ、このやろぉ!!!」
爆発音をきっかけに、戦闘が始まる。
ルーシィに攻撃を仕掛ける兵士…ルーシィの頭上目掛け、刀が振り下ろされるもルーシィはほんの少し慌てながらしっかりと刀を回避。
「っ!開け!!巨蟹宮の扉!キャンサー!!」
「久しぶりエビ!!」
両手にハサミを持った星霊が召喚され、そのハサミで兵士達を攻撃、斬り裂いていく…(その頭の髪を)
ジュビアにも攻撃を仕掛け、その体に鋭い槍を突き刺す兵士達…だが………
「なんだこの女!?攻撃が効かねぇぞ!?」
ジュビアの身体に傷はつかず…
「ジュビアの身体は水で出来ている…
くらいなさい!
水の刃で兵士達を倒す。
「アイスメイク “
グレイは氷で作った大きなハンマーで敵を叩き、潰していく。
全員が好調な戦闘を見せる中、シクルもまた…動き出す。
「はぁ…普段の私なら面倒くさがってみんなに任せるんだけど………」
シクルは十六夜刀を手にし、構え…鋭い目つきで相手を睨む。
「今私イラついてんのよ…道を塞がないでくれる?下っ端が………伍の太刀 鳴雷月」
シクルの薙ぎ払った刀から発せられる雷に敵陣はほとんど一掃、吹き飛ばされた。
シクルの攻撃や他のメンバーの攻撃甲斐あって、数分でその場は片付き、いざ先へ進もう…そう、動こうとした時だ…
頭上からハシゴが現れ、その先の岩でできた扉が開く。
「これは…来いってことか?」
ハシゴを見つめ怪訝そうにいうグレイ。
「みたいね…」
「行くぞ!!」
ナツの掛け声と共に、ハシゴを登り、扉の奥へと入っていくシクルたち。
「四角ゥーーーー!!!!!!何処だァ!!」
全員が登り終えた瞬間声を荒らげるナツに慌ててルーシィがその口を塞ぐ。
「こんのばかっ!!「んむっ!?」ここは敵陣なのよ!?そんな大声出したら見つかっちゃうでしょ!?」
「下であれだけ暴れたんだ…もう敵さんも気づいてんだろーよ」
「それに、今の扉とハシゴ…私たちを誘導するかのようでしたし…」
「多分挑発ね…舐めたことしてくれるわね」
会話をしながら慎重に足を進めるシクルたち。
ふと、ルーシィを見てグレイが違和感に気づく。
「そういやルーシィ…お前いつの間に着替えたんだ?」
地下に来る前と服装が違うことに気づいた。
ルーシィはあぁ、これ?とグレイを振り返る。
「星霊界の服よ!キャンサーに持ってきてもらったの!濡れた服を着続けるのは気持ち悪いし…」
ルーシィはそう言うとあんた達よく着てられるわね…とツッコミを入れる。
「こうすりゃすぐ乾く」
ルーシィの質問にグレイはナツへと服をかざし、その瞬間ナツの身体から出る炎で濡れた服を乾かし始めた。
「人間乾燥機っ!?」
そんな手が!と声を上げながら納得するルーシィ。
そんな、シクルたちを映像魔水晶を通じて眺めている青髪の男………今回の黒幕、“ジェラール”と言う男が含み笑いを浮かべていた。
楽しげな表情を浮かべるジェラールの背後にはシクルに傷を負わせた男が立っている。
「いいのかぃ?そんなに呑気にしてて…あいつはお前のこと知ってるんだろ?」
男の指摘にあぁ…と笑いながら答え、魔水晶を見続けるジェラール。
「問題ない………
俺が情報を流さないかわりにあいつも俺のことは他言しない契約だからな………」
その見つめる先は………
「なァ?シクル………」
敵を前に存分に暴れるシクルが映っていた。
「…さて、お前もそろそろ行くんだな…歌姫とやり合えるのは貴様だけだろう…神速のラディティ」
ジェラールの指摘にやる気のない声で返事をしながら、部屋を出ていく男、ラディティ。
「………最後に、警告だ…ラディティ」
ジェラールのその言葉に足を止めるラディティ。
「………シクルを、甘く見るな…」
「…どういう意味だぃ?」
ジェラールを振り返り問いかけるラディティ。
「そのままの意味だ…奴の能力は未知数………
油断していれば…貴様もやられるぞ?」
ジェラールの警告にラディティはふん…と鼻で笑う。
「冗談………あいつは1度おいちゃんに負けてる…あんなすぐに隙を見せるような女………
おいちゃんの敵じゃねぇや」
じゃあな、と出ていくラディティ…その去った後を横目で眺め、ニヤリと笑みを浮かべるジェラール…
「………警告はしたからな…」
場面をシクルたちに戻し…現在、シクルたちは再び塔の兵士達に周りを囲まれていた。
「だぁ!!めんどくせぇ!!どんだけ出てくんだよウザってぇなぁ!!」
「るっせぇよ、クソ炎!!口じゃなくて手を動かせ!」
「ちょっと多すぎなんだけど!?」
「流石にこの人数は堪えますね…」
「あーもうっ!早くエルたちを見つけなきゃなのに…!!(さっき感じた魔力…間違いない、あいつがここにいる………)」
シクルたちが順調に兵士達を薙ぎ払っていると…ほんの少し疲労で気を抜いたルーシィの背後から1人の兵士が刀を振り上げる…
「あ…!」
「っ!ルーシィっ!!」
ルーシィが斬られる…そう思った時………
ドォッ!!
ルーシィを襲った奴が飛ばされる。
兵士を蹴り飛ばした者…それは、シクルたちの探す鎧の女………
「「「エルザっ!!!」」」
「エル…!」
「っ!?お前達!何故ここに…」
シクルたちがいることに驚くエルザ。
「何故もクソもねぇ!!舐められたまま引っ込んでたら妖精の尻尾の名折れだろォが!!!
あんの四角だけは許しておけねェ!!!」
うぉー!!と叫び怒声を上げるナツ。
そんな時、エルザの様子がおかしいことに気づくシクル。
「…エル?(なにを…考えてるの?)」
エルザはジュビアがいることに気づき、見つめ、ジュビアはエルザの視線に気まづくなり俯く…。
「あ、あの…ジュビア……その…」
ジュビアが何かを話そうとした時………
エルザの目つきが鋭くなり…
「帰れ…」
と、告げた。
「「「っ!?」」」
「…エル?」
エルザからの言葉にナツたちは目を見開き、シクルは不思議に首を傾げる。
「ここは…おまえたちの来る場所ではない」
「で、でもね、エルザ……」
エルザに困惑した表情で話しかけるルーシィ。そんな、ルーシィの言葉を遮り、ナツの声が響く。
「ハッピーまで捕まってんだぞ!?このまま戻る訳にはいかねーんだよ」
「ついでにルージュもよ?」
「ハッピーとルージュ…ミリアーナか……」
エルザの呟きを聞き取ったナツがその肩を掴み問いただす。
「そいつはどこだ!!!」
ナツの迫力に少し引きながらも、分からないと答えるエルザ。
「そうか…分かった!!」
だがナツはあまり気にした様子はなく、頷く。
「何が分かったのよ!?」
ルーシィのツッコミにナツは真剣な表情を見せ…
「ハッピーが俺を待ってるってことがだ」
と、告げた。
そして、ナツはまるで突風のように走り、「ハッピィイイイイイイッ!!!!」と雄叫びをあげ消えていった…。
「ちょ…ナツーーー!?」
シクルの叫び声に止まることもなく…
「あのバカまた勝手に!!」
「追いましょう!」
グレイとルーシィもナツを追おうとするが…
「だめだ…帰れ」
と、エルザの静かな声が響く。
「エル………!」
「ミリアーナは無類の愛猫家だ…ハッピーやルージュに危害を加えるとは思えん………
ナツとハッピー、ルージュは私が責任を持って連れ帰る………お前たちは、すぐにここを離れろ」
「そんなの…出来るわけない!!エルザも一緒じゃなきゃイヤよ!!」
ルーシィがほんのりと涙を浮かべながら叫ぶ。そんなルーシィを横目に見ながら、グレイもエルザに告げる。
「もう十分巻き込まれてんだよ…今のナツだって…見ただろ?」
「エルザ……この塔は何?ジェラールって誰なの?」
ルーシィの問いにエルザは答えず、黙ったままでいる。
「エル…あなた…」
シクルが何かを話そうと口を開くも、それをグレイの言葉が遮る…
「らしくねーな、エルザさんよォ………?
いつもみてーに四の五の言わずついて来いって言えばいーじゃんか…
誰が敵だろうと俺たちは力を貸す…エルザにだって怖いと思う時があってもいいじゃねえか?」
グレイの言葉を聞くと…、エルザは目に涙を浮かべながら振り返り………
「この戦い……勝とうが負けようが、私は表の世界から姿を消す事になる………」
涙を拭いながらエルザは話す。
「え!?」
「ど、どういうことだ!!?」
「エル…それは…」
シクルたちの驚きの声を聞きながら、エルザは目を瞑り………
「これは抗う事のできない未来…
だから私が存在しているうちに全てを話しておこう」
覚悟を胸に、語り出す………
エルザと楽園の塔………その繋がりと、秘密…
エルザの過去を………
今、明かされる
はい!!エルザと無事合流出来ました!!
次はエルザの過去が語られたり、色々とあります!
恐らく次回はもう少しちゃんとした戦闘が出せるのでは?と思います
と言うか出したい………
では、最後までお付き合い、ありがとうございます!!