フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい!!予告通り、今回で幽鬼の支配者篇、完結いたします!!


んー!結構やっちゃいました!!感が満載なのですが!!

最後までお付き合い、お願いします!


23話 聖十大魔道の称号

シクルがジョゼを倒した後、そのままシクルは病院へ運ばれ、他の者は崩壊したギルドを前に神妙な表情を各々、浮かべていた。

 

「こりゃまた……派手にやられたのぉ」

 

崩壊したギルドを前に深いため息をつき、呟くマカロフ。

 

その背後にゆっくりと…顔を俯き近づいてくる一つの影が…

 

 

「あ、あのぅ………マスター…」

 

暗い表情で人混みの中から現れたのはルーシィだった。

 

ルーシィは今回の件をやはり自分がいたせいで迷惑をかけてしまった…と考え、謝罪しようとマカロフの前に出た。

 

が、マカロフは…後ろを振り返り、ルーシィを視界に入れると………

 

「んー…おぉ…ルーシィ、お前さんも随分大変な目にあったのぉ…」

 

「…え」

 

ルーシィの視界に映るマカロフの表情はとても優しく、決してルーシィのせいとは思っていなかった…

 

「でも………それはあたしが…」

 

その表情を見ても暗い感情は消えず、拳をギュッと握り、俯くと………

 

 

「そんな顔しないの、ルーちゃん!」

 

「っ!」

 

ルーシィの後ろから声が響き、振り返ると…

 

まだ傷が残っており、服の合間から見える白い包帯が痛々しいがルーシィに笑みを見せるレビィとジェット、ドロイそしてリーダスの4人が立っていた。

 

 

「みんなで力を合わせた大勝利なんだよ!」

 

「ギルドは壊れちまったけどな…」

 

「ンなもん、また立て直せばいいんだよ!」

 

「レビィちゃん………ジェット…ドロイ…」

 

その温かい言葉にルーシィは涙を流す。

 

 

涙を流すルーシィに駆け寄りその涙を拭い優しく微笑むレビィ。

 

「ルーちゃん…心配かけてごめんね?」

 

「違っ…それは、あたしの……!」

ルーシィはレビィの言葉を聞き慌てて、反論しようとするも…

 

「ウィ…オレ、役に立てなくて…あの………ゴメン」

リーダスが謝ることでルーシィの言葉を遮った。

 

リーダスの言葉を聞きルーシィは更に涙を溢れさせ、首を横にフルフルと振る。

そんなルーシィを見つめ、マカロフは再びギルドへと視線をやり…優しく語り始める…。

 

 

「ルーシィ…楽しい事も…悲しい事も…全て…とまではいかないがある程度までは共有できる…それが、ギルドじゃ………

 

一人の幸せは皆の幸せ………一人の怒りは皆の怒り………そして、一人の涙は………皆の、涙…ルーシィ………自責の念にかられる必要は無い…君には………皆の心が、届いている筈じゃ…」

 

マカロフの言葉を聞き次第に堪えていた嗚咽が出始めるルーシィ。

 

 

「顔を上げなさい…ルーシィ………

 

君は妖精の尻尾の一員なのだから………」

 

その言葉を聞き、ルーシィは泣き崩れ大声で泣き叫んだ。

 

 

この後、結局評議会の者が押し寄せ、数日間妖精の尻尾のメンバーは事情聴取を受けることとなった………

 

そして、幽鬼との戦闘から1週間後…やっと普段の生活がスタートし始めていた。

 

 

現在崩壊したギルドの跡地では新しいギルドの建設の為、全員が一丸となって動いていた。

 

「うぉおおらぁああ!!!っーーーがっ!?」

 

角材を約10本程持ち、運ぼうとしたナツがその重さに耐えれず、後方へと倒れる。

 

ゴキッ!と嫌な音をさせ…

 

「わぁ、痛そォ…」

「ちょっとー…大丈夫ー?ナツー」

気の抜けたルージュとシクルの声がナツに届く。

 

「おぉぅ…大丈夫だァ」

痛みに耐えながらも答えるナツに苦笑を浮かべるシクル。

 

「1度にそんなに持つからだバーカ」

ナツの様子を見ていたグレイから喧嘩口調で挑発されると…

 

「んだとコラァ!?誰が馬鹿だこのやろぉ!」

早速挑発に乗ってしまうナツ。

 

「んだやんのか、あぁ!?」

 

「チマチマ運んでんじゃねーよクソ氷が!」

 

普段と変わらない喧嘩を始めた2人を見つめ、ルージュとシクルはため息をつく。

 

「あーぁ…そんな事してると………」

 

 

「そこぉっ!!!」

 

「「グゲッ!?」」

 

喧嘩を始めた2人にエルザからの怒声が響く。

 

「貴様ら、口より身体を動かせ!!一刻も早く妖精の尻尾を再建させるんだ!!」

 

「「あぃ………」」

 

予想を裏切らない光景を見せる3人にため息をつくシクル。

 

「あー…だから言ったのに…んー…やっぱり私もなにか手伝おうか?」

 

「「「「ダメだ!!!!」」」」

「え゛」

 

3人の様子を現場の端の方に用意されていた椅子に座り眺めながら、そう言うとナツ、グレイ、エルザそして隣にいるルージュから反対の声が上がった。

 

 

「な…何で」

 

「何でってシクルゥ…忘れたのぉ?しばらくは絶対安静だってポーリュシカさんに言われたでしょぉ?」

 

そう、シクルはあの幽鬼との戦闘後………

 

実は4日間ほど意識不明が続いており、目が覚めた現在も妖精の尻尾の専属医者“ポーリュシカ”により、絶対安静が言いつけられていた。

 

「とにかく、シクルは動かずそこにいるんだぞ…全く、本当なら寝てなければいけないところなんだがな…それと、お前達は現場に戻れ!」

 

「「あいさー!!」」

エルザの喝により一瞬で解散し、各々の仕事に取り掛かるナツとグレイ。

 

そしてエルザも持ち場に戻る。その姿は…

 

「エルってば…やる気満々だねぇ」

完全に工事現場にいる人の格好をしていた。

 

 

「あの服気に入ってんのかな……」

「さぁ………」

 

遠目から見ていたジェットとドロイの小さい会話がシクルの耳にも届く。

ふと、2人を振り返り、シクルはある方向を指差す。

 

 

「マスターもやる気満々だよ?」

シクルの差した方ではこちらも工事現場の服装をしたマカロフがいた。

 

「「ノリノリじゃねぇか!?」」

ぐもぉ!と効果音が聞こえそうな程顎が外れている2人にルージュと共に笑うシクル。

 

 

「監督!この角材はどちらに?」

 

「んー?おう、あっちじゃ!」

 

「「なんだよ監督って!?」」

「「あっはははははっ!!」」

 

ツッコミを入れるジェットとドロイだがやはり何か物足りない…と感じるシクル。

 

「ぁ…(そっか、ルーシィいないからか…)」

 

ルーシィ………ちゃんと出来てるかなぁ

 

というか、よく良く考えたらあの時ガジルとちゃんと話せてないじゃん私………

 

 

「…ま、いっか………」

 

また次会えるもんね……

「頼むよ、マスター………」

 

マカロフを見つめ、ふぅと小さくため息をつき、黒髪の男を脳裏に思い浮かべているといつの間にか近くに来ていたのか、グレイとナツの声が再び聞こえた。

 

 

「つかよ?」

「なんか…でかすぎねぇか?」

グレイとナツの言葉を聞きつけたのか、飛んでくるように現れるミラ。

 

「ウフフ!折角だからね…改築するのよ!で、これが完成予想図!」

そう言ってミラが出した図をみんなで囲い、見てみるが………

 

 

「…これ(描いたのミラだね…絶対)」

何でもできそうなミラだが画力だけはどうしてか恵まれなかったようで…まるで小さい子の落書きのような図だった。

 

「なん…これ…よくわかんねぇ?」

必死に解読しようとするナツ。

 

「ンだこれ?にしてもヘッタクソな絵だなぁ…どこのバカが描いたんだよ?」

解読に諦めたグレイが悪態つく。

 

すると………

 

「えーーーん」

ミラが泣いた。

 

「あ!あっ!?ミ、ミラちゃんだったんだね、ご、ごめんね!?」

慌てて謝るグレイ。

 

「「「「また泣かせた」」」」

グレイを冷たい目で睨む男達。そして………

 

「あーぁあ…私知らないよぉ?」

 

「グーレーイー………」ゴゴゴゴゴゴッ

殺気立つシクル………

 

「ヒィィィっ!?シ、シクル!!待て!!話せば分かる!!」

 

「2度目はないって…言ったよね?あたし」

ニッコォオオオ…と黒い笑みを見せるシクルにグレイは頭が上げられず、「あい…」と頷く。

 

そして、数秒後、グレイの悲鳴が響くのであった…。

 

 

この後、復活したグレイの膝に見た目不気味な“キャラ弁”なるモノがいつの間にか置かれていたり、それをナツとエルザを初めに、全員でつまみ食べたりとほのぼのとした時間が続いた。

 

 

そんな時…

 

「やぁ…これ、ルーシィに渡しといてくれないか…?」

と、声をかけてきたのは暫く姿を見せなかったロキだった。

 

ロキの手にあるのはルーシィの鍵…

「お前!?暫く見ねぇと思ったら!!」

「ずっとそれを探してたのか!?」

 

ロキは弱々しく笑みを作り、「まぁね…」と答えた。

 

「っ…(…ロキ………)」

 

ナツやグレイからは自分で返せよと言われたが星霊魔導士が苦手を理由に断り、ロキは去っていった…。

 

その後ろ姿をシクルは見つめる…。

 

 

………あなたに残された時間は…あとどれ位なの…ロキ………

 

 

結局この後ナツたちがルーシィの家に赴き、鍵を返すことにしたがシクルは一緒に行かなかった。

 

まだ、身体が本調子でないのも理由だが、ルーシィが今一時帰郷している事を知っていた為、いないことは分かっていた。

 

そして又、ルージュもシクルを心配し、ルーシィの家には行かなかった。

 

 

それから数時間後、ルーシィを連れてナツやハッピーたちが戻ってきた。

 

「聞いてくれよシクル!!ルーシィの奴紛らわしいんだぞぉ!!」

 

飛びかかってきたナツを抑え、話を聞くと…

 

ルーシィの家を訪ねたら机の上に“家に帰る”と書き置きのみ残し、ルーシィの姿がなかったから慌ててルーシィを連れ帰りにルーシィの実家へと向かったが結局はナツたちの早とちりであった…との、事だった。

 

 

その話を聞いて苦笑を浮かべ、ルーシィを見つめるシクル。

 

「ルーシィ…それは確かに勘違いもするわよ…」

「だ、だよね………ごめん」

こちらも苦笑を浮かべ、謝るルーシィ。

 

その後、ギャーギャーとナツの愚痴が続くも、結局戻ってきたんだからいいでしょ?のシクルの言葉で落ち着き、この日は全員解散となった。

 

 

そして、シクルの絶対安静の指示も解けた数日後………シクルは評議会に呼ばれていた。

 

「はぁ…なんかいい気がしない…何だろ…」

 

一緒にマカロフも評議会へ来ていたが彼は今裁判の方へ出ており、一緒にはいなかった。

 

シクルは指定された部屋に入ると…そこには既に体の大きな男がいた。

 

「あれ………?もしかして…ジュラ?」

シクルはその姿に見覚えがあり、首を傾げ声をかけるとあちらもシクルに気づき、振り返りパッと笑みを浮かべた。

 

 

「おぉ!シクル殿!久方ぶりですな…」

「やっぱジュラだったんだ…久しぶりだね、元気してた?」

 

ニッコリと声をかけてくるシクルに一瞬ドキッとしながらもジュラは平然と受け答え、「あぁ」と答えた。

 

「で?なんで私今日ここに呼ばれたの?」

 

「何?もしや何も聞かされておらぬのですか?」

 

ジュラの言葉に首を傾げるとシクルの頭にポンッと大きな手が乗った。

 

「わっぷ!」

 

「えぇ、まだ何も伝えていませんでしたからね…」

「んな…アトス!?何でここにいるの!?」

 

シクルの頭に手を置いてきたのはアトスだった。

彼はシクルを見下ろし悪戯のような笑みを見せると…

 

「また小さくなりましたか?」

と言った。

 

「なってませんーーーー!!!失礼なっ!」

ぷぅ!!と怒るシクルにケラケラと笑うアトス。

「はははっ、すまない…ほんの少しからかいたくなってしまってな」

 

「もぉ!!」

ぷいっとそっぽを向くシクルに眉を下げ、ほんの少し反省をするとアトスは表情を引き締め、シクルを呼んだ。

 

 

「それでは…シクル様、議長がお呼びです…」

「…議長が?」

コクリとアトスは頷くとジュラへと視線を向け、「ジュラ様もご一緒に…ご案内いたします」と、告げ2人を共に議長室へと向かった。

 

 

議長室では既に議長と数人の議員が揃っていた。

そして…ジークレインの姿も………

 

 

「っ…」

シクルは一瞬ジークレインを睨むもすぐに視線を変え、議長へと向ける。

 

「あの…今日はどのようなお話で…?」

 

また特別依頼か…?でも流石に今回はきついなぁ…身体が…と、考えていると………

 

 

「…シクル・セレーネ殿…此度のそなたの活躍の数々は………我々の耳にも届いている」

 

活躍…?活躍って………あぁ?ジョゼを倒しちゃったこととか“妖精の法律”使っちゃったことかな?

 

「あの…もしかして、まずいことしちゃいました?私………」

 

シクルは恐る恐る議長に問いかける。

 

も、議長はきょとん?とした様子でシクルを見つめるとはっはっはっと笑い始める。

 

「…ん?」

 

「はっは…何か勘違いしているようだが…シクル殿…今日は罰や説教のために呼んだ訳では無い………そなたに、これを授けようと、満場一致で決定したのじゃ」

 

 

そう言って議長がシクルに差し出したもの…

 

 

それは………

 

 

 

“聖十大魔道の称号”だった。

 

 

驚くシクルを流れで押しやり、結果、シクルは聖十の称号を受け取ることとなった。

 

 

「うっわぁ………なんで?なんで聖十の称号なんて…(あ、ジョゼ倒しちゃったからか…)」

 

うわぁ、めんどくさぁ…と深いため息をつき、長い廊下を歩いていると…その先にマカロフと議員の1人、“ヤジマ”を見つけた。

 

 

「あ、マスター」

 

「ん?おぉ、シクルか…どうじゃ?何を話しておったのじゃ?」

 

マカロフからの問いかけにシクルはげんなりと肩を落とすと………聖十の称号を見せる。

 

 

「んなにぃいい!?シクル!!!これはっ…」

 

「あー…なんか流れで押し付けられた………」

 

心底めんどくさい…と呟くシクルを他所にマカロフはその栄誉に喜び、その隣ではヤジマもほほぉと感心していた。

 

 

 

その後、ヤジマと幾つか会話をし、ジュラやアトスとも別れの挨拶をし、ギルド建設地へ戻ると………何やら一悶着あったようで…少し騒がしかった………。

 

 

「ラクサスっ!!!」

ミラの怒声が響く。

 

「ん?(…ラクサス…)マスター………」

隣を歩いていたマカロフもはぁとため息をついている。

 

何となくの予想はつく…

 

 

「この際だ!!オレがギルドを継いだら弱ェ奴は全て削除する!!そして歯向かう奴も全てだ!!

最強のギルドを作る!誰にも舐められねェ史上最強のギルドをだ!!!!」

 

そう高らかに言い、高笑いを響かせナツたちの前から去っていくラクサス。

 

そして、建設地を出ると…丁度帰還したシクルとマカロフと遭遇した。

 

 

「シクル…ふん、お前にも負けねぇぞ…俺がマスターになってやるのさ!」

 

「……今のあなたじゃあマスターなんて…なれないよ?いくらマスターの孫でもね…」

 

シクルのその言葉にラクサスはカッとなり、その胸ぐらを掴みあげる。

 

「ラクサスっ!!」

 

「てめぇ…ふざけたこと抜かすなよアマ!」

 

「ふざけてなんかないわ…今のあなたには、誰もついてなんか来ない………マスターにすらなれないわよ?そんなあなたが、私に勝つ?

 

………寝言は寝ていえ糞ガキ………」

 

シクルの殺気にラクサスは舌打ちをすると、その手を離し去っていく。

 

 

………ラクサス…

 

「…1人で最強になったって…それは本当の強さじゃないよ………ラクサス…」

 

 

そう呟き、一つため息をつくとシクルはマカロフと共にナツたちの元へと帰ってきた。

 

そして、シクルが聖十の称号を受け取ったことを聞くとお祭り騒ぎになり、建設もそっちのけで酒を飲み、大騒ぎとなった。

 

 

 

幽鬼の支配者篇 完結〜

 

 

next.story 楽園の塔篇 開幕

 

 

 

〜予告〜

 

 

 

 

 

星霊王を呼ぶんだよね?力、貸してあげる

 

 

 

 

 

あかねリゾート?へぇ…楽しそぉ!!

 

 

 

 

エルを助けなきゃ………絶対、守るんだ…

 

 

 

 

黙れ!!その名で…その名前で………私を呼ぶなっ!!

 

 

 

 

…っ!!!ジェラァアアアアアルゥウウウウウッ!!!!!

 

 

 

 

ごめん………こんな私を…許してね………

 

 

 

ナツ………………

 

 

 

 

やめろ…やめろっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シクルゥウウウウウウウウウウウウウ!!!!!

 




はい!!!これにて、幽鬼の支配者篇、完結です!!

次回は恐らく明日…お昼か遅くてもまた夜には投稿致します!!


では、最後までお付き合い、ありがとうございます!!

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