フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい!今日最後の投稿です!!


では、最後までお付き合い、お願いします!


19話 妖精VS幽鬼 倒れる歌姫

 

幽鬼のギルドから戻り、数時間………

 

 

妖精の尻尾では怪我をした者の治療や次の戦いに向け作戦や魔法具の補充をする者…

 

全員が次に向け動き回っていた………

 

 

 

そんな中、1人ギルドの中で椅子に座り、暗い表情をしているルーシィがいた。

 

 

「…どーした?まだ不安か?」

俯き暗い表情をするルーシィに声をかけるグレイ。

 

グレイの言葉に首を横に振るルーシィ。

「ううん…そうじゃないんだ…なんか、ごめん…」

そう謝り、1度は顔を上げたルーシィだが再び俯いてしまう。

 

「しっかしまさか…ルーシィがお嬢様だったとはなぁ…」

 

「オイラもびっくりしたよ…どうして隠してたの?」

 

ナツとハッピーの言葉にルーシィは苦しげな表情で笑う。

 

「隠してたわけじゃないんだ…けど、家出中だし…言う気になれなくて………ごめん…迷惑かけて…ほんと、ごめんね…」

 

ルーシィはナツに助けられ、ギルドに戻ってからずっと謝り続けていた…。

 

「ルーシィ…」

 

「あたしが…家に戻れば済む話なんだよね…

 

そうすれば皆にも迷惑かけな……」

 

ルーシィが自責の念にかられ、自身を責めていると………ギュッとルーシィを包む腕があった。

 

「っ…シ…クル………」

 

「………それは違うよ?ルーシィ…

 

誰も、あなたが悪いなんて思ってない………

誰も、ルーシィのせいで迷惑かけられてるなんて…思ってないよ?ルーシィ………

 

そんなに自分を責めないで?」

 

ね?とルーシィを見つめるシクルの瞳を見てルーシィは涙を溜める。

 

「シクルゥ…」

 

「ルーシィ…この汚ねぇ酒場で笑ってさ…騒ぎながら冒険してる方が感じだしな!」

 

「ナツ…」

 

シクルに続き、言葉をかけてくるナツを見つめるルーシィ。

 

ナツはルーシィの頭を撫で、ニカッと笑い言う。

 

「ここにいてぇんだろ?ルーシィ…

戻りたくない場所に戻って何があんだよ?

 

お前は………“妖精の尻尾”のルーシィだろ?」

 

 

「………ルーシィ…ルーシィの心はなんて言ってる…?帰りたい…?」

 

シクルの問いかけにルーシィはふるふると弱く首を横に振る。

 

「ううん………帰りたくない……ここに…いたいよぉ………」

 

ルーシィの答えを聞きシクルはふっと柔らかく微笑みを浮かべる。

 

「ルーシィ…なら、迷惑なんて思わないで?

 

 

私は………ううん、私たちは………全力でルーシィを守る………家族を、守るよ…

 

いたくないところにいたって…笑えないよ…」

 

 

そう言うと再びルーシィをギュッと抱き締める。

 

 

守るんだ………絶対………ルーシィも………

 

 

 

みんなも………絶対…

 

「………守るよ」

 

 

シクルがそっと胸の内で誓い、ルーシィが泣き止み、ギルド内の重い空気が少し和らいだ時………

 

 

ズン………ズゥン………ズゥウン…!!

 

 

「…!何っ…!?」

 

「何の音だ…!?」

 

ギルド内がざわつく。

その時………

 

 

 

「外だー!!!!」

ギルドの仲間、“アルザック”の声が響き全員がギルドの外へ出る。

 

すると………

 

外には海を大きなロボットのようなお城のような建造物が歩いて、ギルドに近づいていた。

 

 

 

「な…んだありゃぁあああああ!?」

 

「でっかぁあああああ!?」

 

「あいやぁあああああっ!?」

 

ナツやハッピー、ルージュが叫ぶ。

 

「ファントムかっ!?」

 

「こんな方法で攻めてくるなんて…ど、どうする!?」

 

「つっ……(こんな…想定してなかった…こんな方法で来るなんてっ!)」

ギルドに迫ってくるソレを見上げ、痛いくらい拳を握るシクル。

 

すると…突然、幽鬼のギルドはその動きを止め、建物の中心にある砲の先端に大量の魔力を集め始める…

 

 

「なっ…まさか………あれは!?」

 

「あれは…魔法集束砲(ジュピター)か!?」

 

「な!?ギルドごと吹っ飛ばす気かぁ!?」

 

 

「全員伏せろぉおおお!!!」

 

その場に、エルザの声が響く…

 

 

「!!エル!?」

 

エルザは全員の前に立ち塞がる。

 

「ギルドはやらせん!!」

 

「まさか…エルザ!?あれを受け止める気か!?」

 

「よせエルザ!!いくらお前でも…!」

 

 

全員が止める中…エルザは魔法鎧を換装させようとする。

 

 

その時………

 

 

ガシッーーー

 

「っ!?」

 

エルザの肩を掴む者が………

 

 

「………ダメだよ………あなたがここで倒れちゃ…あなたは、倒れちゃいけない………

 

 

あれは………私が止める!!」

 

 

そう言いエルザを後ろへ押し倒す………

 

 

金の髪を靡かせる少女………

 

 

 

「っ………!?シクルっ!!!」

 

 

 

「まさか……シクル!!!

 

やめろぉおおおおおおおおお!!!!!!」

 

 

ナツの声が響く…

 

 

 

 

「皆は私が…………守ってみせるっ!!!」

 

 

シクルは両手を構え、魔力を高める。

 

「月竜の絶対防御(エターナルシールド)!!」

 

 

シクルの前に大きな丸い、満月の様な壁が創られる。

その中心には銀色に輝く竜が描かれている…

 

 

 

「あれって…シクルの防御魔法…!」

 

「まさかシクル…あれを受け止めるの!?」

 

「そんなことしたら!シクルが死んじゃうよぉ!!!」

ルージュの悲痛な声が響く。

 

 

エルザもシクルを止めようと…動くが……

 

 

「【我、月の守護の名の下に

 

愛する者の身を包み その身を守らん】

 

歌魔法(ソングマジック) 防御(シールド)

 

「こ、これは!?」

 

シクルは後ろにいる仲間たちを守る球体の防御壁 “歌魔法”の“防御”を展開。

 

これでシクルと一定の距離、仲間たちは離されることになる。

 

もし、“絶対防御”の壁を魔法集束砲が貫いても後ろの仲間を守れるようにと創り出す…。

 

「シクルっ…!」

近づけないと分かっても、駆け寄ろうと動くナツ。

 

「ナツ!!今はシクルを信じるしかねぇえ!」

ナツを止めるグレイ…

 

「うぁ…」

 

 

なんで…届かねぇんだ…俺は、守りたいのに…

 

ナツの手が空を掴む………

 

 

そして………

 

「くっ…伏せろぉ!!!」

エルザの声が響く。その瞬間………

 

 

 

魔法集束砲が発射される。

 

 

 

ドッ…ゴォオオオオオオン!!!!

 

 

防御壁と当たる。

 

「ぐぅうううっ!!!ぐっ……!!!」

 

初めは耐えるシクル…だが………

 

 

 

ミシ…ミシミシッ………!

 

 

亀裂が1つ…走ると、そこから徐々に亀裂が広がる。

 

 

「つっ……!!ま、けて………たまるかぁ!!」

 

瞬間的に魔力を上げ、防御壁が修復される。

 

が、それも一瞬………

 

 

再び亀裂が走り、それは全体へと及ぶ………

 

 

そして………

 

 

ミシミシッ!!

 

ドォオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

 

「うあああああああっ!!!」

 

 

「シクルーーーーー!!!!」

 

大きな爆発と共に、シクルの防御壁は崩壊。

シクルの身体が爆発により吹っ飛ぶ。

 

 

歌魔法の防御壁も壊れ、その瞬間ナツがグレイの手を振りきり走り出す。

 

そして、シクルの身体が地面と衝突する寸前でナツが滑り込むように手を出し、しっかりとシクルの身体を抱える。

 

ズサァーー!

 

「っ!シクル!しっかりしろ!シクルっ!!」

 

「ぅ………ぁ…ナ………ツ…」

 

背中で地面を転がり、体勢を直すと腕の中のシクルに必死に声をかけるナツ。

2人の下にエルザたちも駆け寄る。

 

 

「シクルっ!!!しっかりしてっ…!!」

 

「バカ者!!何故前に出たっ!?」

 

「おい!!死ぬなよシクル!!」

 

「無茶し過ぎだよ、シクル!!!」

 

「シクルゥ!!!死んじゃやだぁ!!!」

 

 

ルーシィたちの声にシクルは閉じかけていた瞼に力を入れ、目を開く。

 

 

「あ………ま、もれ…た?」

ルーシィが視界に入ったその時、にっこりと笑ったシクルを見てルーシィは止まっていた涙が溢れ出す。

 

 

こんな…こんなになってまで…守ってくれるなんて………なんで………

 

 

 

『……マスターマカロフ…そして、シクルも戦闘不能』

 

 

幽鬼のギルドから、スピーカー音でジョゼの声が響く。

 

「っ!やろぉ………!!」

 

『もう貴様らに…凱歌は上がらん…

 

ルーシィ・ハートフィリアを渡せ…今すぐだ』

 

 

「誰が渡すかっ!!」

 

「仲間を差し出すギルドがどこにある!?」

 

「っ………!」

 

ジョゼの言葉に反論する妖精の尻尾たちの言葉にルーシィは涙が溢れ、止まらない。

 

 

さっきは帰りたくない…そう言ったが………

 

やはり自分が家に戻ることで解決するのなら…いっそ………

 

 

自分は家に帰った方がいいんじゃないか………

 

 

そう、思っていると………

 

 

ギュッ…

 

 

「…!シクル………」

 

シクルがルーシィの手を握る。

 

 

「………だぃ…じょーぶ………ルー、シィは…

 

 

わた…さない…か、ら…ね?」

 

苦しげに呼吸をしながらも笑い、ルーシィにそう言うシクル。

 

「でも…でもっ!あたし………」

 

 

「仲間を売るくらいなら…死んだ方がマシだァ!!!」

 

「っ!!」

 

ルーシィの言葉を遮るようにエルザの声が響いた。

 

「そーだそーだ!!」

 

「ルーシィは仲間だ!!渡すもんか!!」

 

「みんな………」

 

 

エルザの言葉に続き、叫ぶ仲間達を見てルーシィは何も言えなくなる。

 

 

『チィ…ならば、特大の魔法集束砲をくらわせてやる!!発動までの15分…恐怖の中であがけ!』

 

ジョゼの怒り狂う声が響くと、幽鬼のギルドから浮遊する無数の兵が飛んでくる。

 

 

『地獄を見ろ…妖精の尻尾…

貴様らに残された選択肢は2つだ………

 

 

我が兵に殺されるか、魔法集束砲で死ぬかだ!』

 

その後、ジョゼの声が響くことはなく…

 

「ど、どーすんだよ!?魔法集束砲をどうにかしないと…!」

 

「シクルですらあんな状態になっちまうんだぞ!?」

 

「おまけに幽鬼の兵なんざ…ヤバイだろ!?」

 

どうすればいいか…仲間内で混乱が広がる…

 

 

そんな中、辛うじて意識を保っていたシクルがグッとナツの手を握る。

 

 

「っ…シクル?」

 

「は…はぁ………ナ、ツ……行って………

 

私は…大丈夫…だから………ナツ、は…あれを………止め、て………」

 

「シクル………あぁ、分かった……俺が止めてくる!!」

 

ナツのニカッとした笑みを見てシクルもつられ、ニカッと笑う。

 

「ナツ………頼、んだ…よ………」

 

そう言うとシクルはふっとその瞳を瞼の裏に隠し、気を失ってしまう。

 

 

「っ!…ルーシィ、シクルを頼む………」

ナツは気を失ったシクルを心配するが息をしていることを確認するとルーシィにシクルを預けた。

 

 

「あ…ナツ………」

 

 

「シクルとの約束だ…俺はあれを止める!!」

 

「ナツ…私達も後から追う…先に行ってくれ」

 

エルザの言葉に「おう!」と頷くナツ。

 

「ハッピー行くぞ!!」

 

「あいさー!!」

そして、ハッピーに飛んでもらい、魔法集束砲の砲台へと飛んだ。

 

 

 

「頼むぞ………ナツ」

その後ろ姿をエルザは見つめ呟くと…

 

 

「シクルや負傷者を中へ運ぶぞ!

 

その他の戦闘のできるものは応戦だ!!

 

行くぞぉ!」

 

『おぉ!!!』

 

エルザの号令に動き出す妖精たち…

 

 

 

今、妖精と幽鬼の………本当の全面戦争が…

 

 

始まる………。

 

 




はい!如何だったでしょうか…原作ではエルザが防ぐのですが…ここは主人公に防いでもらいました…


ほんのり、ナツとのからみもできました!本当にほんのりとですが…


では、最後までお付き合い、ありがとうございます!

次回は明日の夜になるかと思います!!よろしくお願いします!

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