フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい!!こんにちはこんばんわー!

今回はリクエストで上がっていました、季節は過ぎてしまったのですが“バレンタイン”のお話をあげたいと思います!!


希望に添えているか物凄く不安なのですが…最後までお付き合い、お願いします!


番外篇 その2 バレンタイン

 

 

2月14日ーーー

 

この日は多くの男性がソワソワし、多くの女性がドキドキを胸に抱く日………

 

 

そう、恋する乙女の一大イベント…今日は、“バレンタインデー”である。

 

 

そして、それはここ、妖精の尻尾でも開催していた。

 

 

「グレイ様ー!!!こ、これ…!!う、うう…受け取ってください!」

大きなハート型のラッピングを施されたチョコレートを頬を赤らめながらグレイに手渡すジュビア。

 

グレイは笑みを向け、「おう!サンキューな」と答え、それを見てジュビアはパターンと幸せな表情で気絶する。

 

「う、うぉぉい!?どうした、ジュビア!?」

 

「わぁー…すっごい幸せそうな顔………」

空中からその表情を見下ろし、苦笑を浮かべるハッピー。

 

「そぉーね」

ハッピーと共に苦笑を浮かべ、少し離れたところから2人のやりとりを見ていたルーシィ。

 

「そう言えば、ルーシィは誰かにあげたの?」

ハッピーがルーシィに問いかける。

「私?私はレビィちゃんとか…ミラさんとか、良くしてもらってる人に今年は配ったわよ?」

 

「あぁ…ルーシィってば、彼氏いないもんね」

ハッピーのその言葉に、「うっさい、ネコ!」と、ルーシィが叫んだ時、ギルド内に大きな音が響く。

 

 

「ミラぁーーーー!!!シクルいるかぁ!?」

 

「ん?」

ギルドの扉を、バーン!!と大きな音を立て開き大声で叫ぶ声に、ルーシィが振り返ると、走りカウンターで仕事しているミラのところに駆け寄ってくるナツの姿があった。

 

ミラは驚く様子もなく、微笑みながらナツの方を向く。

「あら、今日は早かったわね?ナツ。そうね、シクルならもう少しで出てくると思うわよ?」

 

だからもう少し待っててねとミラが言うと「おぅ!!」と、頷きカウンターのイスに陣取るナツ。

 

「わー…相変わらず元気が有り余ってるわねぇ……てか、そういえば…シクルは?」

ふと、ギルド内にあの長い金髪を揺らす彼女、シクルがいない事に気づいたルーシィは誰に聞くでもなく、1人呟いた。

 

それを聞き取ったグレイがニッと笑みを浮かべ、ルーシィを振り返る。

「おールーシィは知らなかったっけか?」

「………何が?」

 

意味が分からず首を傾げるルーシィの肩にハッピーが乗る。

 

「今日はね!シクルが皆にバレンタインのお菓子を作ってくれるんだよ!!」

 

「正確には、こういうイベント事の時は、だけどね」

ハッピーといつの間にか目の前にいたミラの言葉にルーシィは大きく反応を見せた。

 

「え!?シクルって、料理出来るんですか!?」

 

「出来るってレベルじゃないわよ?もうあの腕前なら店を建ててもいいくらい、シクルの料理の腕は凄いのよ」

 

ミラの言葉にルーシィは感嘆のため息をつく。

「凄いなぁ…シクルってば、魔導士としても強いし…歌だって上手で…しかも料理が出来ておまけにスタイル抜群の超可愛い……文句のつけ所が全くないわよねぇ………」

 

「面倒くさがりなのが玉に瑕だけどね」

ハッピーの最もな言葉にルーシィもミラも「確かに…」と、相打ちをついた時ーーー

 

 

 

「おっまたせー!!皆っ!出来たよー!!」

「出来たよぉ!!」

ギルドの裏方から、大きなお盆を持ったシクルとその頭に乗ったルージュが満面の笑みで、出てくる。

 

『うぉぉおおおおおお!!!!待ってましたぁああああああ!!!!!』

 

雄叫びをあげるギルド全体(ほぼ男)

我先にと、群がるメンバー…

「ちょちょちょっ!待って、順番だってば!!はい、並んでねー」

シクルのその一声で、我先にと動いていたメンバーが一斉に一列に並ぶ。

 

最初に受け取ったのはミラだった。

「はい、どーぞ、ミラ!」

「ありがとー、シクル!ルージュ!あら、今年はケーキなの?」

 

貰ったそれを見てミラが問いかけるとシクルは頷く。

「そうだよ!家で採れたアッサムの茶葉で作ったシフォンケーキにミルクチョコレートをかけてみたの!」

 

「アッサムの深みのある味とチョコレートがよく合うよぉ!」

シクルに続いたルージュの言葉に、ミラはフフフと笑う。

「あらあら、それは楽しみね」

 

その言葉にシクルは照れくさそうに笑い、「ゆっくり味わってね!」と告げる。

その後は女性から先に手渡されていく。

 

「うむ!流石だなシクルは!」

「わぁ!美味しそー!」

「ホントだねぇ…」

 

エルザ、レビィ、カナ…と、受け取った子からワイワイと話し始める。

そして、ルーシィの手にもシクルから「はい!」と、シフォンケーキが渡る。

「わぁ!!ありがと、シクル!!ルージュ!!ほんと美味しそー!!」

 

「お口に合えばいいな」

と、笑いかけるシクルに「絶対美味しいわ!」と即答で答えるルーシィに恥ずかしそうに頬を赤らめるシクル。

 

女性メンバーが終わると男性メンバーに手渡され始める。

グレイ、エルフマン、マックス、ナブ、ジェット、ドロイ、マカオ、ワカバ…etc…

 

 

「はい!!ナツとハッピーの分!!」

 

「おぉ!サンキューな、シクル!ルージュ!」

 

「わーい!ありがとー、シクルー!!ルージュ!!」

 

「ゆっくり食べてねぇ、ハッピー!」

 

受け取ったそれを早速頬張るナツにクスクスと笑うシクル。

 

「…あ、そーだ、ナツ!」

目の前で既に口いっぱいに頬張るナツを呼びかけるシクル。

「んァ?」

 

ナツの耳元に近づくように背伸びをするシクル。必然的に顔がグンッと近づき、ドキッ!とするナツ。

「お、おいっ…!」

 

「今日、後で家に来て?」

「………ん?」

シクルの言葉を聞き、ポカーンとするナツから少し離れ、ニッコリと微笑むシクル。

 

「絶対ね?」

「…お、おう………///」

その笑顔に顔を赤くするナツ。

 

 

その後はメンバー全員が綺麗にシフォンケーキを平らげ、多めに作ってあったシフォンケーキの多くはエルザのお腹の中へと消えていった。

 

 

 

そして、その日の夜ーーー

 

 

「んー…なんで俺1人なんだ?」

ナツはシクルの家の前で首を傾げ、立っていた。

実はあの後、シクルから「1人で来てよ?絶対ね!」と言いつけられていたのだ。

 

なので今ハッピーはミラに預けている。

なんで俺だけ…と考え込む。

 

とりあえず…と、扉を3回ほどノックし、「シクルー!!」と呼びかけると…目の前の扉がガチャっと開く。

 

「ナツ!いらっしゃい、待ってたんだー」

「お、おう!!」

 

出てきたシクルは普段ポニーテールの髪を少し頭の上の方でお団子にし、チュニックワンピースの服装は厚手のニット製のロングワンピースに変わっていた。

 

思わず可愛い…と頬を赤らめるナツ。

「ん?どしたの?顔赤いけど…もしかして、冷えちゃったかな?早く入って入って!温まろ」

 

ほら早く、と背中を押されナツは「お、押すなよっ…!?」と言いながらシクルの家へと入る。

 

シクルに案内され、リビングに行くとソファへと座らされる。

「ちょっと此処で待ってて!すぐ来るから」

と言い残し、キッチンの方へ消えて行くシクル。

 

そして、言葉の通り、すぐに戻ってきたシクルの手にあるものから甘い香りがナツの嗅覚を刺激する。

「シクル…それ………」

 

「これはガトーショコラ!最近ナツに助けられてばっかりだったから…」

お礼で…と、呟くシクル。

 

「これ………俺、だけ…か?」

目の前に置かれたそれを見て首を傾げながらシクルに問いかけるナツ。

 

その仕草にトクン…と少し鼓動が早くなる感覚にシクルは内心不思議に思いながら「そうだよ!」と答える。

 

 

 

なんだ……これ…すっげぇ………嬉しい…

 

 

胸の高鳴りに僅かに困惑しながらもシクルに急かされるようにガトーショコラを食べ始める。

 

「っ!うっめぇ!!」

1口口に入れると今まで考えていたことを忘れ、バクバクと頬張り始めるナツ。

「口に合ったみたいで良かったァ!」

 

ホッと一安心するシクルの目の前でガトーショコラを頬張り続けるナツ。

そして、あっという間にそれはナツのお腹の中へと消えていった。

 

「だー!うまかったァ!!」

「お粗末様です!やっぱり作ってよかった!」

シクルの浮かべる笑顔を見つめ再びドキ…と胸が高鳴るナツ。

 

俺…今なら…

 

そう感じ、ナツは「お皿片付けちゃうね」と、言い立ち上がろうとするシクルの腕をパシッ…と、ナツは咄嗟に掴む。

 

「ナツ?」

「………あ、いあ…え、っと………」

位置的に見下ろす形となっているシクルにナツはドギマギとし…そして、シクルをグイッと引っ張り隣へと座らせる。

 

「わ…ナ、ナツ?どーしたの…?」

「シ、シクル…!あ、あのよ…」

ナツの言葉を待ち、「なぁに?」と首を傾げるシクル。

 

今度は見上げる形となったシクルを見つめ、徐々に頬が熱くなるのを感じながら…ナツはゴクッと息を呑み………口を開く。

 

「シ、シクル…お、俺…さ!」

「うん?」

 

 

「シ、シクルのこと………俺、す…!!」

 

 

 

 

 

ピピピピッーーー

 

 

 

その時、丁度ナツの言葉を遮るように響いたアラーム音。

「あっ!いっけない!!紅茶作ってたんだ!」

アラーム音を聞き、はっと立ち上がるシクル。

 

「え、あ…お、おい!?シクル………」

キッチンへと駆けてくシクルに手を伸ばすも…「ちょっと待ってねー!」と消えていくその背中に………

 

 

 

チーーーーーン……………

 

 

呆然とするナツと微妙な形で伸ばされた右手が印象強かった…。

 

 

ここだ!と告白しようとしたナツだった…が、呆気に取られたのと虚しさとで…シクルが紅茶を入れ戻ってきた時は背中にズーーーーンと、影を背負って沈んでいた。

 

 

「お待たせー!て、あれ?どしたの、ナツ?」

「いあ………何でもねぇ…」

戻ってくると沈んでいたナツに首を傾げるシクル。

 

ナツの隣によっと、と腰掛けナツの顔色を伺うシクル。

「どうしたの…どっか具合悪い?さっきのでお腹壊しちゃったかな………大丈夫?」

 

ふっと、心配気な声にシクルを見つめるとやはり、眉が少し下がり、不安そうなシクルの顔がナツの視界に入る。

 

そんなシクルを見て、ふっ…と、笑みを浮かべ顔を上げるナツ。

そして、ぐしゃぐしゃと頭を撫でる。

「わっぷ!?ちょ、ナツ…」

 

「何でもねぇーよ!腹も壊してねぇ…心配すんな」

ニカッ!と笑うナツにほっと安心しながらも「髪がー!」と叫ぶシクルにおっとと、頭から手を離すナツ。

 

手が離れた瞬間…ほんの少し寂しさを胸の奥で感じたシクル。

 

「(あれ…なんで…?)さて…じゃあ、締めのティータイムといこっか!」

胸の奥で感じたそれを無視し、ニッとナツに言うと「おう!!」と元気な返事が戻ってくる。

 

 

この後、2人でゆっくりと紅茶を味わいながら、結局ナツがそのままシクルの家に泊まる!!と言い出し、最終的にはシクルを抱きしめたまま眠ってしまったナツ。

 

 

シクルは「しょうがないなぁ…」と、呟きながらもその暖かな胸に顔を寄せ、一緒に眠った。

 

 

 

2人が想いを告げ、気持ちが通じ合うのはもう少し先のお話ーーー………。

 

 




はい!番外篇はひとまずここで1度区切りたいと思います!!


如何だったでしょうか…ナツ落ちということもあり、大分ナツとの絡みを入れてみました。

ほんのりと気持ちに気付いているナツとまだ自覚のない主人公ちゃん…想いが通じ合うのはいつでしょうね………


では、最後までお付き合い、ありがとうございます!!

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