フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい!オリジナルストーリーはこのお話で一度終わりです!!


んんん…ちょっと急ピッチ過ぎてよく分からない状況かも知れません…


訳分からないよ!!って方がおりましたらすいません…

では、最後までお付き合い、お願いします!


12話 特別依頼 終了

 

 

 

ザンッーーー

 

 

 

ディアの剣がシクルの身体に突き刺さり、シクルの真っ赤な血が辺りを汚した…。

 

 

「ククッ!クハハハハッ!!

弱い!噂に聞く月の歌姫だからどんなものかと思ったが………この程度か!

 

所詮ガキか………たった一言で動揺し、隙が生まれる…噂は偽物だったと言う訳か…」

 

ディアは何も出来ず息絶えたシクルを嘲笑い、剣を引き抜いた。

 

 

「さて………ともかく歌姫が来たということはここはもうダメだな…上の奴らにバレているだろう…移転するしか………「どこに?」!?」

 

 

ディアの耳に息絶えた筈のシクルの声が響く。そしてーーー

 

 

「六ノ太刀 十字斬!!」

 

ザンッ!!ズバッ!!

 

ディアの胸に十字の切り傷が出来る。

 

「ぐぉおおおおおっ!!?

 

な…何故………貴様…が!?死んだ筈…!」

 

傷つけられた胸元を抑え、驚愕の表情で睨み上げてくるディア。

 

シクルはふぅと一息つき、小さく笑みをディアに向ける。

 

 

「あぁ、アレね?危なかったわぁ………ほんとギリギリだった…お陰でお腹の一撃はくらったしね」

 

そう言ったシクルの腹部は確かに血に濡れており、未だに血は流れていた。

 

 

「な…何故………」

 

 

「答えはあれ………」

ディアの疑問にシクルは自身の倒れていた場所を指差した。

 

ディアがそれにならい、振り返ると…

 

「…な、に?」

 

そこには確かに、倒れているシクルの姿が…

 

ディアの表情には驚愕の色が隠せずにいた。

 

倒れているシクルを見つめると…

 

ピシッー

 

倒れているシクルの身体に小さく亀裂が走る。

そして徐々にそれは広がり………

 

 

パァアアン!!

 

キラキラと光る結晶のように弾け、消し飛んだ。

 

 

「………八ノ太刀 鏡花水月…

 

月の魔力を刀に宿して、有幻覚の自分を作り出し、相手を混乱させたところで攻撃、斬る………身代わりとして使えるものでもあるからね…

 

つまり、あなたがやったのは有幻覚の私………残念ね?本物を仕留められなくて…」

 

 

動揺したその時に…確実に殺せば勝機はあったのに………

 

 

「教えてもらうわよ………何故“あの事”を知っている?」

 

刀をディアの首筋に突き立て、問いただすシクル。

 

 

「ふん………誰が言うものか…」

刀を突き立てられるも情報を吐こうとはしないディアを見下ろし目を細めるシクル。

 

 

「ふぅん………まぁいいけど…大体の予想は付くわ…“あの人”でしょ?あの人しかいないわ………(そう…あの…悪魔の様な男………)」

 

 

シクルの脳裏には嫌な笑みを浮かべ、手を伸ばしてくる男の姿がーーー

 

 

 

ーーーさぁ………来い………よこせ…

 

 

 

ーーーいや…いや!!たっ……助けてっ!!

 

 

 

「っー!!……はぁ…さて、なら…悪魔実験について吐いてもらおうかしら………吐きなさい…誰の命令でこんな事を?」

 

シクルは脳裏に過ぎったものを振り払うように頭を振り、ディアを見下ろし、問いただす。

 

「ふ…言うと思うか?小娘が…!」

ディアはそう叫ぶと一瞬でシクルの背後に回り、剣をシクルに振り下ろす。

 

「ククッ…!(もらった…!)」

 

振り下ろされる剣がシクルの背を切り裂く…

 

そう、ディアが余裕の笑みを浮かべ思った時………

 

 

ギィイイインッ!!!

 

「な…!」

 

ディアの剣を後ろ手でシクルの刀が防いだ。

 

 

「な、何…!?」

 

シクルはディアの驚きに満ちた声を聞き、視線だけ後ろに向ける。

 

「………ふぅ あなたの魔法はもう見切ったわ…私にはもう効かない」

そう言い、後ろ手でディアの剣を押しきり払うと振り向き際にディアの腹部を斬りつける。

 

 

「ぐあっ!!!な…見切っただと…?」

 

「ええ、あなたさっき私に黒いものをぶつけた時も…そして今も………私を見ていなかったでしょう?

 

あなたは、見つめたところに時空の裂け目を作り出せる…

そして自分の立っているところにも時空の裂け目を作り出す事が出来…その中を通りあたかも超速度で移動したかのように見せる………

 

そりゃ気配も感じ取れないわけよね………

なんせ、その場にいないんですもの…でも、もう私にはその魔法は効かない………終わりよ?ディア………」

 

シクルの余裕な笑みが気に入らなかったのか、ディアは突っ込んでくる。

 

もはや、冷静な考えは消え失せているように…

 

「貴様を殺す!!そして!!

 

イブリス様を復活させるのだ!!

我は聞いた!!!イブリス様のお声を!!!

 

復活させれば本当の力を与えると!!

言ってくれたんだァアアアア!!!」

 

逆上したディアはそう叫び、シクルに向け剣を振り回すがシクルはその動きを見て下がり、しゃがみ、バク転をし避ける。

 

 

「なるほどね………どうやらなにかに言葉巧みに操られているようね………可哀想」

シクルの哀れむような眼差しにディアは声を荒らげる。

 

 

「その目で我を見るなぁああああっ!!!

 

消えろぉぉおおおおっ!!!!」

 

ディアが叫び、剣を振り上げた時………

 

 

 

ドスッーーー

 

「あ…が………」

「………え?」

 

ディアの心臓を白い光が貫いた…。

 

 

「もういい………ディアよ…失せろ」

 

「な…何故………ァ………」

ディアはそう呟き、倒れ絶命した…。

 

シクルは声のした方を見つめる。

 

そして見えてきたのは、白銀髪の長く、赤い瞳をした男が立っていた。

 

「あなた誰?何故彼を?」

 

 

「ふん………不要になったものをずっと手元に置くと思うか?こいつはもう用無し…死して当然だろう………」

 

その言葉にシクルは殺気を込める。

 

「あなた………命をなんだと思っているの?

用無しな命なんかない………

死して当然な命なんか…ないわ!!!」

 

叫ぶシクル。その様子に男は笑う。

 

「ふん…何を怒る?こいつは貴様の敵だった男だ…むしろ、敵がいなくなって清々するだろう」

なぁ?と呟いた男は右手をシクルに向けると白い焔のような玉を飛ばしてくる。

 

 

「っ!四ノ太刀 逆さ月!!!」

飛んできた玉を咄嗟に刀で打ち返すシクル。

 

打ち返した玉は男に当たらず、横を通り過ぎ後ろの壁を粉々に砕いた。

 

 

「今のを弾くか…なかなか…」

男は不敵な笑みを浮かべ、シクルは頬を汗が伝う。

 

「…チッ(こいつ相手に刀じゃ通用しないな……)」

 

シクルは刀をしまった。

「ん?刀を使わねぇのか?」

「まぁね…あなたには私の魔法を御見舞してあげるわ!!」

そう叫んだ瞬間魔力を瞬時に高める。

 

「月竜の咆哮!!!」

 

「っ!ほぅ…滅竜魔法か………面白い、少し遊ぶか…」

 

シクルの咆哮は男の払った右手により、分散される。

が、それは想定内だったシクル。

 

「月竜の鉄拳!!」

ずどぉおおおんっ!!!

 

男の真上から拳を振り下ろすが男は避け、シクルの拳は床に大きなクレーターを作るのみ。

 

「ほい…」

避け際に左足でシクルを蹴り上げる。

 

「っ!ぐっ!!!」

迫ってくる足を咄嗟に顔の目の前で両腕を交差し防御する。が…

 

 

「甘い…下がガラ空きだ」

どむっ!!

 

「ぐふっ!!!」

腹に1発拳をくらい、身体が曲がるシクルだが気力で跳ね上がり、男と距離を取る。

 

 

「かっ…はっ!うぇ…つっ!!」

殴られた時、変な場所に入ったのか胃液がせり上がって来る。更にディアにつけられた傷が痛むシクル。

 

 

「くっ…(まずい………血が足りなくなってきた…)」

目が霞むシクル。ふらつきながらも立ち上がり、男を見つめる。

 

 

早いとここの男をなんとかして…あのカプセルを、破壊しないと………

 

 

「………よし」

 

あまり体力も残ってないけど…

 

あれで終わらせよう…

 

 

シクルは魔力を全身に行き渡らせ、立ち上がる。

 

「ほう…まだ立つか………」

立ち上がったシクルを見て面白そうに笑う男。

 

「当たり前…そう簡単に私を倒せると思わないで………私は…妖精の尻尾の魔導士だ!!」

シクルはそう啖呵を切るとダッ!と駆け出す。

 

「は!正面から来るか小娘…甘いなぁ!」

突っ込んでくるシクルに男は魔法を放つ。

 

が、シクルは瞬時に反応。

 

しゃがみ避けると淡い光を纏った右手を床につける。

「………壱」

 

魔法を避けると再び駆け出す。次は男の方ではなく、男の右手側に向け、走り出す。

 

「ん?どこに向かう?血迷ったか?」

男は尚、走るシクルに魔法を次々と放つ。

 

魔法が飛んでくる度に飛び、しゃがみ、バク転、右へ左へと体を動かし避ける。

 

その際何度か床に手をつきながら………

 

「………弐………参………四………伍………六」

 

そして、6回目、手を床につき終えるとシクルは再び男との距離を取る。

 

「よっし…!準備オーケー………

 

あなたが誰かは知らない…でも…

 

命をなんとも思わないあなたを野放しになんかしない!!」

 

そう叫んだシクルは両手を構える。

すると、男を中心に銀色の光が輝く。

 

 

「なんだこれは?」

「私が何も考えずに動いていたとでも…?

あまり舐めないでよ………

 

 

【滅竜奥義 六花月光】」

 

その声と共に男を包み込む銀色の柱…

 

 

「ぐ!これは………」

「………昇華」

最後の言葉を唱えた瞬間、柱は弾け飛び、男を巻き込み…カプセルと共に爆発した。

 

爆発する瞬間…一瞬、シクルの髪は金色から銀色へと変化していた………。

 

それはシクルですら気づかない一瞬であった…。

 

 

 

一時、辺りは煙に包まれた…。

 

そして煙が晴れると………カプセルはすべて砕け散っていたが…そこに男の姿はなかった…。

 

「…逃げた………」

シクルは男の立っていた場所を見つめ、次の瞬間座り込む。

 

 

「つ…はぁー!!!つ、疲れた………」

シクルは大きく長い深いため息をつき、肩の力を抜くと次の瞬間には激痛が身体に走る。

 

「っ!!いったぁ……ぁーあ………久々に傷作っちゃったなぁ…」

 

 

………ディア…あいつの言葉に一瞬でも動揺した………

 

「はぁ…私もまだまだだなぁ………」

 

もっと…強くならないと………

 

 

「………約束の日が来る前に…力を、つけないと………」

 

シクルはそう呟き、暫く天上を見上げ再びため息をつくと重い腰を上げ、地下室を出て、建物の外へと向かう。

 

 

外に出ると連絡を入れていたお陰か、既に評議会の者達が到着していた。

 

外に出てきたシクルに気づいた評議会の者達はその姿を見て、一瞬喜び、次の瞬間はその傷ついた姿に驚愕の表情を浮かべた。

 

「お、やっぱ早いねーお疲れー」

「シ、シクル殿!!そのお怪我は!?」

赤茶色の髪と緑の瞳をした男が呑気に二ヘラと笑うシクルに詰め寄り、問う。

 

「ん?これ?あー………ちょっとヘマしちゃった」

そう言い、テヘッと笑うシクル。

 

「あなたは…全く!治癒の魔法を持っているでしょう!?ちゃんと治してから行動してください!血だって止血もちゃんと出来てないじゃないですか!!」

 

「おおぉ………ちょ、アトス…怖い…その顔怖いから止めて………」

物凄い迫力で迫ってくる男、部隊の一つの部隊長をしている、“アトス”という者。

 

シクルはその顔を押しのけてから溜息をつき言う。

 

「しょーがないでしょ…魔力使い切っちゃって、回復する力も残ってなかったんだもん…それに、回復ならそっちでやってくれるんでしょ?」

 

首を傾げ、言うシクルに溜息をつきたくなるアトス。

 

だが気を持ち直し、シクルに近寄るとその体を抱える。

 

 

「ちょ!?ちょっと!?何すんの!?」

 

「静かにして下さい…あなたは怪我人なのですよ?怪我人を歩かせると思いますか?私が」

 

「そ、そりゃあ………思わないけど…ちょっと…この格好は………恥ずかしぃ」

 

 

そう言ったシクルは少し頬を赤くした。

シクルは、今…アトスに横抱き…所謂、“お姫様抱っこ”されていた。

 

「なにか文句でもありますか?嫌なら歩いてもらいますが?」

アトスの反論を言わせないと言った雰囲気に「…何でもないです」と、シクルが答える。

 

アトスは満足したかのように少し笑みを見せるとシクルをしっかりと抱き直す。

 

その後、アトスはその場にいた部下にその場を任せ、シクルを抱え、評議会本部へと戻った。

 

その間にシクルは疲労が溜まり、眠ってしまい次に目が覚めた時は闇ギルドを潰した次の日になっていた。

 

さらに目が覚めたその日は1日、事情聴取などがあり、解放されたのは依頼を受けてから3日後の事であった。

 

 

「あー…疲れた………」

肩を落とし、疲労が溜まってますと言った様子のシクルを見てフフと笑うアトス。

 

笑ったアトスをじぃっと睨み、むぅと頬を膨らませるシクル。

「なにー?なんで笑ったの?今…私今回すっっっごい!!頑張ったんですけどー?」

 

「ああ、すまない…そうですね、お疲れ様です」

アトスはそう言い、シクルの頭を撫でる。

 

「子供扱いしないでよ!?」

頭を撫でられ少し怒った様子のシクルを見てきょとんとした表情をするアトス。

 

「え?そんなことしてませんよー…私はただ撫でやすい高さにあるなと思い………」

 

「それって小さいってことぉー!!?」

うがー!と唸るシクルを見てケラケラと笑うアトス。

 

睨み上げても笑みを絶やすことのないアトスを見てはぁと溜息をつくシクル。

 

「じゃあ…私はそろそろギルドに戻るわ」

「はい…今回もありがとうございました………その、お体に気をつけてください…」

 

アトスの言葉に「はーい!」と手を上げ、去っていくシクル。

 

 

そんなシクルの後ろ姿を見つめ続けるアトス。

 

 

その目は、どこか愛おしげに見えた…。

 

 

 

3日ぶりにギルドへと戻ったシクル。

 

「はー疲れた………ただいまァー」

 

シクルがギルドの扉を開けるとしーんとその場は静まり返っていた…。

 

「…ん?………どうしたの?みんな…」

 

「おお…シクルか………おかえり、どうじゃった?」

シクルの帰還に気づいたマカロフがそう声をかける。

 

その声に他のギルドメンバーもシクルの帰還に気付く。

 

 

「んー?んー…まぁなんとか完遂したよぉ…めんどくさかったけど」

 

シクルのその言葉を聞くと「そうか…」と呟き、どこか険しい表情を浮かべるマカロフ。

 

「………マスター?どーかしたの?」

「う、うむ…実はのぉ………」

 

 

なにか言うことを渋っているマカロフに眉を顰めるシクル。

 

ふと…この依頼から帰ってくるといつもは胸に飛び込んでくる小さき相棒がいないことに気づく。

 

 

「そう言えば…ルージュは?それによく見たらナツとハッピー…ルーシィにグレイもいないみたいだけど?」

その言葉にギクッと肩を揺らすマカロフ。

 

 

………あれ?なんか…嫌な予感が………

 

 

シクルの脳裏に嫌な予感が走る。

すると………

 

ガシッとシクルの肩を掴む手………エルザが真横にいた。

 

 

それも………物凄い殺気を纏い…

 

「ヒッ!?ど…どうし…たの?…エル…?」

「シクル………帰って早々悪いが…力を貸してくれないか?」

 

「な、何?」とシクルがエルザの表情を伺いながら問うとエルザは深い溜息をつき…

 

 

「ナツとハッピー、ルーシィとルージュがS級クエストに行った」

と、言った。

 

 

「………はぁあああああああああっ!!??」

 

 

その瞬間、マグノリア全体にシクルの叫び声が響くのであった…。

 

 





はい!如何だったでしょうか…不安いっぱいです……

と、ここで少し…新オリキャラのアトス君について少し紹介をいれます!

アトス・リヴァイアス 男 19歳
評議会の一部隊の隊長をしている。実力は相当。
赤茶色の髪を後ろで緩く一つに括り、緑色の優しげな瞳をしている。
初めて評議会でシクルを見た時に一目惚れ。

それから機会があればシクルと話をしたり、贈り物を贈ったりする。
デートには未だ誘えず。
魔法等はお話の中で………


はい!!こんなところですかね…はい、出てきました…主人公に恋する男性………オリキャラですいません!

もちろん原作キャラとも恋愛系を絡めるつもりなのですが!

今後このキャラがほんの少し重要キャラとなるので………覚えて頂けると光栄です。


では、最後までお付き合い、ありがとうございます!

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