フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい!こんにちは!thikuruです!

んんん…お昼投稿となってしまった………すいません


今回から2.3話ほどオリジナルを加え、悪魔の島篇…開始したいと思います!!


では、最後までお付き合い、お願いします!


第2章 悪魔の島篇
10話 S級魔導士とSS級魔導士


 

 

牢屋に入れられてから一夜が明け、エルザとナツ、そしてシクルの3人は無事ギルドへと帰ってきた。

 

 

「かぁー!やっぱシャバの空気はうめぇ!!」

 

 

「自由って素晴らしいー!!フリーダム!!」

そう叫び、ギルド内をドタバタと走り回るナツ。

 

「やかましいわ!!」

「大人しくしてろよ…」

 

周りのメンバーはその騒ぎ様に疲れたような表情を浮かべる。

 

 

「結局形式だけの逮捕だったなんて…心配して損したァ」

そう嘆き、ガクッとテーブルに突っ伏すルーシィ。

 

 

「そうか!カエルの使いだけにすぐ“帰る”」

 

何を思ったのか突然ダジャレを言うグレイ。するとギルド内が一瞬シーンと静まる。

 

「…さっむ…」

 

「さ、流石氷の魔導士………ハンパなくさみぃ」

 

 

「そ、それよりナツ!お前、エルザとの漢の勝負はどうなったんだよ?」

 

「だからエルは女だってば…」

 

場の空気を変えようとしたのか、エルフマンの言葉にナツは走り回るのをピタッと止める。

「忘れてた!エルザ、この前の続きだー!!」

 

「よせ…疲れてるんだ…」

ナツの叫び声を聞くもエルザはカウンターの席に座り、紅茶を飲み続けている。

 

が、ナツはお構い無しにエルザに走り突っ込む。

 

「行くぞーーー!!!」

その様子を見て、エルザは「はぁ…」とため息をつくと…

 

 

ゆっくり立ち上がり、右手の拳を握り振り上げ…

 

 

ドスッ!

「ゔっ!?」

 

ナツの鳩尾へと寸分の狂いもなくエルザの拳が入り、呻き声を上げナツは倒れた。

 

「…さて、始めるか」

 

 

「しゅーーーりょーーーー!!!!」

「エルザの勝ちぃ!!!」

一撃で沈んだナツを見てハッピーとルージュが声を上げる。

 

「ぎゃはははは!!だっせーぞ、ナツ!」

 

「やっぱエルザはつえぇ!!」

 

「あぁ…だからまだ無理だって言ったのに…」

 

 

「うっ…ぐ、くそ!なら…次ぃ!!シクル!俺と勝負だァああっ!!」

何を思ったのか気合を入れ立ち上がったナツは次にシクルへと勝負を持ち込んだ。

 

「え?私?えぇ………やだよめんどくさい」

「ぉおおおっ!!!」

シクルの拒否の言葉をナツが聞き入れるわけもなく…

 

ナツはシクルへと突っ込む。

シクルははぁ…と溜息をつくと…

 

「だーかーらー…めんどくさいって言ってんでしょー…よ!」

と、座った状態で右足をナツへ振り上げ言う。

 

振り上げられた右足はナツの脇腹へと入った。

 

ドムッ!!

「ぐふっ!?」

再び床に転がるナツを見てギルド内からは笑い声が響いた。

 

笑い声の耐えないギルドを見て、シクルはクスッと楽しげな笑みを浮かべる。

 

 

「あら?どうしたんですか?マスター」

「ん?」

ふと、隣からミラのマカロフに掛ける声が聞こえ、隣を見ると…

 

少し眠たげな表情をしたマカロフがいた。

「…マスター?」

 

「いや………眠い…」

マカロフがそう呟くとギルド内のメンバーが次々に眠り、倒れる。

 

パチッーーー

 

自身にも襲ってきた眠気を魔力を高め、解除するシクル。

「これは…ミストガン?」

 

シクルの呟きと共にギルドの扉が開き、顔を布で覆い、マントを羽織り背にいくつもの杖を背負った男が入ってくる。

 

男はクエストボードの前へ立つと、1枚の依頼書を手にしマカロフへと提示する。

 

「この仕事を受ける」

 

「ミストガン…相変わらずだね」

 

「シクルか………久しぶりだな…元気か?」

そう言いミストガンはシクルの頭を撫でる。

 

シクルはこのギルド内では大分小柄な方で、年長者にはよく妹のような扱いを受けることがある。

 

頭を撫でてくるミストガンを見上げ、むぅっと頬を膨らすシクル。

 

「またそーやって子供扱いするんだから…はぁ、私は元気だよ…ミストガンは?」

「俺もだ、相変わらずな」

 

ミストガンがそう言うとクスクスと笑い、「そうだね」と言うシクル。

 

「では、行ってくる」

「いってらっしゃい」

 

シクルの言葉を聞き、歩を扉の方へと向けるミストガン。

 

「これ!眠りの魔法を解かんかっ!!」

マカロフの声が上がる。

 

 

伍………四………参………弐………壱………零

 

ミストガンがギルドを出た瞬間、ナツ以外のメンバーが目を覚ます。

 

「今の魔法…ミストガンか!?」

 

「相変わらずすげぇ眠りの魔法だな…」

 

ミストガンが現れるといつも起こる眠りの現象にギルドが騒めく。

 

シクルはまだ眠そうにしているルーシィ、ハッピー、ルージュの下へと近寄る。

 

 

「んぅー…なにぃ?今の…」

「ミストガンですぅ………」

 

「…ミストガン?」

 

眠そうに目を擦るルーシィに答えるルージュはまだ弧をえがき、眠りそうな様子。

 

そんなルージュをシクルがひょいっと抱き上げ、ルーシィの疑問に答え始める。

 

「ミストガン…彼はこのギルドで最強候補の1人だよ」

「そ、そうなの!?」

シクルの言葉に驚き、眠気が消し飛ぶルーシィ。

 

「でも誰も顔を見たことがないのよ…」

ミラが苦笑を浮かべ、ルーシィに言う。

 

その時ーーー

 

 

「いんや、俺は見たことあるぜ」

 

突然、ギルドの2階から男の声が響く。

 

全員が驚き、顔を上げるとそこには金髪のヘッドフォンをした男が立っていた。

 

「ラクサス!?」

「い、いたのか…珍しい…」

 

 

「俺やじじぃだけじゃねぇ…シクルもミストガンを知っている。なぁ?シクル…」

そう言いこちらを睨んでくるシクルに不敵な笑みを見せるラクサス。

 

「ラクサス………」

 

 

いつから………

 

あなたの笑顔は歪んでしまったの?

 

何があなたをそこまで………

 

 

「ミストガンに撫でられ、嬉しそうにしてよォ?そんなにミストガンが好きか?シクル…」

 

「久しぶりに懐かしの仲間と会ったのよ?そりゃあ嬉しいに決まってるでしょ?ラクサス…それに、仲間はみんな好きよ?」

 

シクルの答えにはっ!と嘲笑う様な様子のラクサス。

「は…仲間?誰にも素顔を見せないあいつが?あんな怪しいヤツを仲間だと…言うのか、シクル………相変わらずだなぁ?」

 

「ギルドマークを印してる人はみんな仲間だよ…ラクサス」

 

「ククッ!随分甘ちゃんになったなぁ?てめぇが最強?…は、俺はてめぇを最強だなんて認めねぇぞ…」

 

ラクサスの言葉に肩をすくめるシクル。

「最強なんて肩書き、欲しいなら譲るわ…私はそんなの興味無いのよ………めんどくさいし」

 

「へっ…そのめんどくさがり…本当は強くなんかねぇから言ってんじゃねぇのか?なぁ?エセ最強さんよぉ」

 

その言葉にピクッと眉を動かすシクル。

にっこりと影の差す笑みを浮かべるシクル。

 

「ヘェ?そんな事言っていいの?ラクサス………あたしにまだ1度も勝てたことのないあなたが………調子にのんなよ反抗期野郎が………」

 

シクルのその言葉を聞き、黙って言い合いを見ていたグレイとルージュ、ハッピーが震える。

 

「や、やべぇぞ…」

「え?」

 

「シ、シクルがキレてる………」

「キレたシクルは怖いですぅ…」

震える3人を見て訳の分からないルーシィ。

 

「シクルは…普段余程のことがないと怒りを見せない…その代わり、怒りを露わにした時、シクルは自分の事を“私”ではなく、“あたし”と呼ぶのだ…」

 

訳の分からないルーシィに説明を入れたエルザを見てから、ルーシィは再びシクルへと目を向ける。

 

 

魔力を徐々に高め合う両者………すると

 

「これ、よさんか…」

と、マカロフの声が響く。

 

「全くお主らは…ギルドを壊す気か?」

 

「へ、いいなぁ?一度ぶっ壊して新しく立て直すかぁ?」

 

「そーね…それに、壊れたとしても私の魔法で直せるし…問題ないわよねぇ?」

 

「止めんかバカタレ!!」

 

全く冗談に聞こえな2人の言葉に怒鳴り声を上げるマカロフ。

 

「フフッ 冗談よ、マスター…」

笑みを見せ、言うとシクルは高めた魔力を消す。

 

「全く…お主らの言葉は冗談に聞こえん時がある………心臓に悪いわい…」

マカロフの言葉に苦笑を浮かべるシクルの耳に、突然「ラクサスーーー!!!」と、叫ぶ声が届く。

 

 

叫び声の発信源は今まで眠りこけてたナツだった。

 

「ラクサスー!俺と勝負しろやぁ!!」

 

「また………?」

ナツの言葉に呆れを見せるシクル。

 

「はっ…やりたきゃここまで上がってこいよ…なぁ?ナツ」

「上等だァァ!!行ってやらァ!!」

と、ラクサスの挑発にのり2階へ飛び上がるナツ。

 

「あ…ばか…」

 

ドゴォン!!

「キュー…」

 

飛び上がったナツをマカロフの巨大な拳が止める。

「2階に行ってはいかん、まだな」

 

「ははっ!止められてやんの!!」

 

「ラクサス!お主も挑発は止めんか!!」

 

「はっ!いいか………これだけは言っておくぜ…妖精の尻尾最強候補だがなんだが知らねぇが、最強の座は誰にも渡さねぇよ……

 

エルザにも、ミストガンにも、あのオヤジにも…… シクル…お前にもな!

 

 

俺が最強だ!!」

 

ラクサスはそう言い、高笑いを響かせ2階の奥へと姿を消す。

 

 

 

ラクサスとの一悶着でざわついていたギルドだが徐々にいつもの様子を取り戻し始めていた。

 

ふと、先ほどのマカロフの言葉が気になったルーシィはミラに声をかける。

 

「あの…ミラさん…さっきマスターが2階に行ってはダメだって………あれは一体?」

 

「あぁ、あれね?

二階には一階に貼られてある依頼とは比べものにならないくらい難しい依頼書があるのよ

 

それをS級クエストって私たちは呼んでいるのだけど…その依頼に行けるのはギルドの中でもマスターに認められた実力のある人しか行けないのよ

 

マスターに認められた人たちはS級魔導士と呼ばれているのよ?

その中にはエルザやミストガン、ラクサスそれにシクルも入ってるわ」

 

「え!そーなんですか…?シクルも…」

そういい、驚いた表情でシクルを見つめるルーシィ。

 

その視線に気づいたシクルはふっとルーシィへ顔を向け微笑む。

 

「あぁまぁ…確かに私も2階に行けるよ…あまり行かないけどね」

 

「それに私は…」と、シクルが話している時…

 

 

シクルの肩に1羽の白い鳩が止まった。

白い鳩の足には1通の文書が付けられていた。

 

「ありがとね」

シクルは文書を受け取り、鳩を撫でお礼を言うと満足したように飛び去っていく鳩。

 

シクルは文書を開け、読み進めはぁとため息をつくと腰を上げる。

 

「マスター………行ってくるわ」

「あぁ……気をつけるのじゃぞ…」

マカロフは悲しそうな、心配そうな表情でシクルに言う。

 

マカロフの表情を見て、フッと安心させるような微笑みを見せると「分かってる…」と、答える。

 

 

シクルはそのまま小さな荷物を持ちギルドを出ようとすると…

 

「待てよシクル!!」

 

「………ナツ」

シクルを呼び止めるナツ。

 

「それ…アレだろ?俺も行く!!」

ナツの表情は少し険しかったがシクルは首を横に振り断る。

 

 

「ダメよ…これは危険なんだから…」

「危険なら尚更!!」

 

「大丈夫よ…私の実力知ってるでしょ?大丈夫…すぐ帰ってくるから…ルージュをお願いね?」

 

諭す様な言葉をかけるシクルに渋々と「おう…」と頷き引き下がるナツにシクルは困ったような表情をしてから、ナツの頬を撫でる。

 

「………ごめんね?行ってきます」

「…おう」

 

ナツの返事を聞き、シクルはギルドを出て行った。

 

 

「…シクル………どこに行ったんですか?」

2人の会話を見て聞いていたルーシィは隣で少し悲しそうな表情のミラに問う。

 

「うん………シクルはね、S級の更に上………SS級魔導士なのよ…」

「え…SS級魔導士…?」

聞いたこともない単語に疑問が増えるルーシィ。

 

「そう…SS級魔導士になると評議会から直接依頼が届くようになるの………それも、S級クエストでは収まらない危険な依頼…」

 

「え………そ、それにシクルは行ったんですか!?」

驚愕を隠せないルーシィの言葉に頷くミラ。

 

「…シクルはこういう時あたしを連れていってはくれないんですぅ…」

ルーシィの隣からはか細いルージュの声が聞こえる。

 

「…ルージュ」

 

「分かってるですぅ…シクルがあたしを心配して連れていかないのはぁ…でもぉ…でも…

 

 

あたしはシクルの相棒なんだ…もっと頼ってほしいです…」

 

ルージュの言葉はルーシィの心に深く突き刺さる様な感覚がした。

 

普段の語尾を伸ばすような声は最後聞こえず…シクルの出て行った扉を涙を浮かべ見つめるルージュをルーシィはそっと抱き寄せ、頭を撫でることしか出来なかった…。

 

 

「…シクル………」

 

 

 

「………今度は、闇ギルド“デーモン・リバイブ”の殲滅と…謎の実験の阻止………か」

 

“デーモン・リバイブ”…悪魔の復活をギルド名にするくらいなのだからきっと実験は悪魔復活が狙いなのだろうが………

 

 

「悪魔………か」

 

 

シクルの脳裏に過ぎるは暗い感情………

 

シクルの心を揺らがすものとは…一体………

 

 





はい、第10話投稿にこぎつけました!


オリジナルストーリー…正直不安しかありません!!



暖かい目と心で見ていただけたらな…と、思います………

では、最後までお付き合い、ありがとうございます!!

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