フェアリーテイル 月の歌姫   作:thikuru

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はい!!予告通り投稿できました!!

感想で指摘されたのですが主人公の魔法、月竜の眼光なのですが……


た、たしかに…効果など似ていますね…

ですが、私はそちらの方は読んだことがなく、本当にただの偶然で似ただけなのですが………正直考え出した本人が一番驚いています…


ともかく、第6話、最後までお付き合い、お願いします!


6話 死神、歌姫攫う

オシバナ駅 外ーーー

 

 

シクルが駅の外へ出るとそこには何が起きたのか気になる様で、野次馬が沢山いた。

 

「うっひゃぁ…何したらこんなに集まるのかなぁ…」

シクルが頭を掻き、野次馬達を見下ろしていると…一人の街人がシクルに気づく。

 

「あ、お、おい!!誰か出てきてるぞ!!」

 

「君は…さっき強引に中へ入った人だね?中はどうなっているんだい?状況は!?」

街人の声にシクルの存在に気づいた駅員がシクルへ駆け寄る。

シクルはめんどくさい…と言った面持ちで駅員を見てからその手に持っている拡声器を掻っ攫う。

 

「あ、ちょ君………!」

「ちょっと借りるよ?(エルの感じで……)

 

 

すぅ………お前らぁあああっ!!!命の惜しい奴は今すぐここから逃げろぉ!!!

駅は闇ギルドの魔導士達に占拠されている!!奴らはここにいる全ての人間を殺すだけの強力な魔法を持っている!!

 

 

早く逃げるんだ!!!」

 

 

シクルの叫びに恐怖した野次馬達は一目散に散り散りに逃げ去った。

 

「き、君!!?何故そんなパニックになるようなことを…!!」

突然、辺りが混乱するような話を叫んだシクルに詰め寄る駅員だが、シクルは真剣な眼差しで駅員を見据える。

 

 

「今の話は嘘じゃありません…あなた達も、命が惜しければ早く逃げてください…ここは、私達が何とかしますので…」

 

シクルの話を聞いて「ひぃ…」と悲鳴を上げ、駅員達も逃げていく…。

 

「ふぅ…(これでこの辺の避難は何とかなったはず…あとは…)エリゴールがどう動くか…」

 

………でも………

 

「…本当にララバイを放送するのが目的なの…?(駅には他の仲間がいるのに…?他に目的が………)…んー…なんか面倒くさくなってきた…とりあえず、エルのところに戻ろっと…」

 

そう呟き、くるっとシクルが駅の方へ振り返った時…

 

 

ゴウッと音と共に駅が大きな竜巻に包まれていた。

「なっ………!?風の結界…?なんで………」

 

まるで…誰も近寄せない様にするみたいに吹く竜巻………否、これは………

 

 

「…中の人を外に出ないようにする為?」

そう考え、ある事に気づきかけた時

 

 

「シクルっ!!」

 

竜巻の向こうからエルザの声が聞こえた。

 

「エル!そこにいるの?休んでてって言ったのに…」

「もう充分休んださ…それで、お前が遅いので少し気になってな…様子を見に来てみたら………これは何だ?一体…」

 

丁度エルザも外に出ようとした瞬間に駅が竜巻に包まれ、出れなかった…という事のようだ。

 

「エル!兎に角この風には触れないで!恐らくこれを突破するにはこれ自体を解除するかあるいは………」

 

そう、シクルが風の結界の突破口をエルザに指示している時だった…シクルの背後に影が現る。

 

 

そしてーーー

 

 

ガシッーーー

 

「へ?」

「これはこれは………妖精の姫…月の歌姫様ではありませんか………何故ここに?あぁ…外の野次馬共を逃がしたのは貴様か…」

 

 

「っ!?エリゴールっ!!!」

 

シクルは突然背後に現れたエリゴールの腕により、脇に抱えられる様な状態で持ち上げられる。

 

「エリゴールだと!?シクル!!」

シクルの声が聞こえたのか、エルザに焦りが見られる。

 

「クククッこりゃあいい………歌姫の歌声は特別と聞く…いいか、歌姫は俺がもらう…」

「はァ!?何勝手な事言ってるのよ!?私があなたのものになる訳ないでしょ!?」

エリゴールの言葉に抗議するシクルに鎌の刃を向け、睨みつけるエリゴール。

 

「黙れ小娘………貴様に拒否権などない…

 

いいか、ハエ共………歌姫は俺が貰う…

 

 

貴様らはその魔風壁の中で何も出来ずにただ指をくわえ見ておけ…クククッ」

 

「っ!!待て、エリゴールっ!!!」

エリゴールの言葉に慌てて魔風壁の外に出ようとしたエルザだが…

 

バチィイイイ!!

 

「っ!!ぐっ…!」

魔風壁に遮られ、出ることが出来ず魔風壁に当たった腕が傷だらけになった。

 

「エルっ!!」

 

「クククッ…鳥籠ならぬ、ハエ籠…か?あぁ、にしてはちっとでけぇか?まぁいい…少々時間も押しているからな…俺はこれで失礼させていただくぜぇ………あばよ、妖精女王…」

「はーなーしーてぇえええ!!!」

 

エルザの耳に最後に聞こえたのはエリゴールの高笑いとシクルの大きな叫び声だった。

 

エリゴールの高笑いが聞こえなくなると完全に魔風壁の外から2人の気配が消えてしまった。

 

エルザはゴッ!と地面を殴る。

 

「クソッ!!なんという事だ…シクルがっ!…否、まずはここを抜け出すことを考えるか………しかし、奴らの目的は…狙いはこの駅ではないということか…?…エリゴールの狙いは…一体………」

 

自身に言い聞かせるように呟き、落ち着きを取り戻したエルザはエリゴールの狙いを考える。

そして、エリゴールの気配が消えていった方を見つめ、ある事実に気づく。

 

 

「…待て………この先は…クローバーの街………

奴らは6年前正規ギルドから追放されている…恨むのなら正規ギルドだ………まさか、奴らの狙いは…!」

 

 

ギルドマスター………

 

「奴らの狙いはマスターかっ!!!」

 

「エルザ!!」

エリゴールの狙いに気付いたエルザの耳にグレイの声が聞こえる。

声のする方を振り返ると傷はないも少しホコリのついた顔を見て戦闘があったのだな、とエルザは思う。

 

「グレイか…どうやらそちらも無事のようだな」

「あぁ、けどこりゃあ一体なんだ?」

グレイはエルザに魔風壁について聞き、エルザはここまでの経緯を説明する。

 

 

「はァ!?シクルがあの野郎に連れてかれた!?」

「あぁ…私がいながら…情けない!しかも奴はギルドマスターの命を狙っているはずだ…急いでこの結界から抜け出さんと………」

そう言い、グレイを見たエルザはその近くに桜髪がいないことに気づく。

 

「そう言えばグレイ…ナツはどうした?」

 

「あ?あぁ…あいつとは途中ではぐれたんだよ多分あいつも今頃他の誰かと戦ってるかもしれねぇが…」

 

グレイの言葉に頷くエルザ。

「そうか…恐らくナツの事だ…大丈夫だと思うが…」

「あ!そう言えば、鉄の森のヤツらの中に解除魔導士(ディスペラー)がいた筈だ!!確か名前は…“カゲヤマ”とか言ったか?」

 

カゲヤマ…その名に、ナツを追った敵の1人がエルザの脳裏に過ぎる。

 

 

「ララバイを1人で解除したというやつか!

ならば急ぐぞ、ナツと戦闘しているやもしれん!!」

エルザの言葉にグレイは頷き、2人でナツの捜索をを始めた。

 

 

その背後で2つの影が動いていたことを2人は気づきはしなかった…。

 

 

一方、エリゴールに連れてかれたシクルは…

 

 

「ねぇー…ちょっとー…もちょっとゆっくり飛べないのぉ…?(てかゆっくり飛んでお願いだから…酔ってきた…ぅぷ)」

「黙れ………小娘貴様は今や人質と言っても過言ではないんだぞ…」

小脇に抱えられているシクル。

 

彼女的には乗り物酔いと同じ症状が徐々に出始めているため速度を落としてもらいたい様子だが…もちろんエリゴールが聞き入れるわけもなく………

 

がっくりと肩を落とすシクル。

が、その裏ではエリゴールの狙いを考えていた。

 

「………(この先は…クローバーの街…確か今日はあの街でマスターたちの定例会があったはず………そうか、エリゴールの狙いは…)

 

あなた、マスターの命が狙いね?

オシバナ駅でのあれは私達に悟らせない為のフェイクって事ね…」

シクルの指摘にほぅと感心した様子のエリゴール。

 

「流石…歌姫と言ったところか?ますます魅力的だなぁ…」

 

ゾワワッ

 

「あ、あなたに気に入られたってなんとも思わないわよ!?(と言うより気持ち悪いぃ!!お願い早く解放してこいつから今すぐにでも離れたぃいいっ!!)」

 

エリゴールのニヤリとした笑みを見てシクルの背筋を寒い何かが駆け巡る。

 

「だが今のお前には何も出来まい…大人しくマスター共がやられるのを見ているがいい…」

エリゴールはシクルの首に着いている首輪を見てそう言う。

 

「…はぁ」

 

シクルの首につけられているのは魔法を使えなくする道具。だが、シクルにとってはこの魔力石を破壊するのは正直容易いものなのだ。

 

が………

 

「…(壊すのめんどくさい………)」

という理由で破壊せずにいる…。

 

(ヤバくなったら壊そう…それまではこのままでいいや…)

この言葉を聞いたらこんな時まで面倒くさがるな!と誰かさんに叱られそうだな…と思いながらも、行動を起こすことはせず、流れに身を任せることにしたシクルであった…。

 

 

 

オシバナ駅、エルザ達の方へ戻りーーー

 

 

ボガァアン!!!

 

駅の構内から爆発音が響く。その音を聞きとったエルザとグレイははっとお互いに顔を見合わせる。

 

「今の爆発…ナツだな」

グレイの言葉に頷くエルザ。

「あぁ、急ぐぞ!!」

エルザの声と共に爆発音のした場所へと走る2人。

 

 

そして、爆発音のした場所に着くと…

 

丁度ナツが解除の魔法が使えるカゲヤマに1発、鉄拳を食らわせる寸前の場面に出くわした。

 

 

「待てナツ!!それ以上はもういい!そいつの力が必要なんだ!!」

「んァ!?エルザ?グレイ?」

エルザの大声を聞き、拳を止めるナツ。

 

ナツとカゲヤマの所へ駆け寄る際、グレイよりも速く駆けたエルザがその勢いのままカゲヤマの真横へと剣を壁に突き刺す…。

 

キィンッ!!

「「ひぃ!?」」

 

「魔風壁を解除してもらうぞ…拒否権はないと思え………」

エルザに凄まれ、震えるカゲヤマだがプライドは捨てきれず…

「へっ…俺はやらねぇよ………」

と、エルザに反抗する。

 

「………ほぅ?」

カゲヤマの反抗を聞き、エルザは更に目を細めると…

 

 

ザシュッーー

 

「ぇ…」

カゲヤマの右頬を少し、剣で傷つけた。

 

「さぁ………早くしろ…さもなければ、傷が増えるだけだぞ…」

 

「ひぃ!?わ、わかった!いう!言うからっ…!!」

先ほどまでの威勢はどこへやら…完全にエルザの気迫に負けたカゲヤマ。

 

「ひぃ!こぇえ!!やっぱエルザはあぶねぇ!!」

「今更だろ、んなこたぁ…黙ってろ、クソ炎」

 

エルザとカゲヤマのやりとりを見ていたナツとグレイは互いに身体を震わせながらほんの少し、カゲヤマに同情していた。

 

 

カゲヤマの返答を聞き、剣を消すエルザ。

そして、カゲヤマが解除方法を話そうとした時だった………

 

 

「あの魔風壁を解除すればいいんだろ…やるよ…や………っ!?がはっ!!!」

 

突如、ドパッ!とカゲヤマの背から真っ赤な血が吹き出した。

 

「「なっ!?」」

「っ!!カゲ!?」

エルザの叫びに答えることなく、カゲヤマは地に倒れる。

 

その背後には鉄の森の1人…グレイを追い、グレイにやられたレイユールという男が短剣を持ち、手をカゲヤマの血で染め震えていた。

 

「な!あいつ!!さっき倒して気絶させた筈の!!」

「あいつっ!!自分の仲間をっ…!!」

「カゲ!!しっかりしろ!!」

 

レイユールは血で濡れる自身の手を見て震え、仲間に言われた「カゲヤマを殺せ」の指示通り動いてしまい、恐怖していた。

 

 

結果、レイユールは自分の仲間を傷つけたことに激怒したナツが殴り倒し、その音で離れていたルーシィ達も合流。

 

カゲヤマは早急な応急処置のお陰で何とか命に別状はないと言った状態だった…が………

 

「まずい………このままでは魔風壁の解除が…」

壁に寄りかからせ、休ませているカゲヤマを振り返り、エルザは嘆く。

 

 

すでにカゲヤマに魔風壁を解除する力は残ってはいない…

 

「うぉおおおおおっ!!!」

バギギギギギィッ!!!

 

エルザやグレイ達の横ではナツが必死に魔風壁を抜け出そうと体当たりし、その都度吹っ飛び、傷ついている。

 

そんなナツを止めるルーシィ。

「止めなさいって!!ナツ!!」

「止めんな、ルーシィ!!早くあのそよ風野郎を追わねぇと!!シクルもアイツに捕まってんだろ!?助けねぇとだろ!!」

 

「落ち着けナツ!!焦ってもどうにもなんねぇだろ!!」

グレイも怒鳴り、ナツを止める。ナツは唇を噛み、やりきれない表情を浮かべる。

 

「んー…何かこの結界を出れる方法があればなぁ…あ、地下とかはどうなのかなぁ…?」

ルージュがエルザの肩に座り、何気ない一言を発した時だった………

 

 

 

「あぁーーーーー!!!!」

 

「「「「「っっっ!?」」」」」

 

ハッピーの叫び声が響く。

 

「何よ!?こんな時に!!!」

「ル、ル、ルーシィ!!!こ、これ!!これがあったよ!!!」

ハッピーの頬を抓るルーシィにハッピーから差し出されたのは………

 

 

「え…これ………処女宮の鍵!?」

 

 

これが突破口となるか………

 

そして、シクルやマスター達の運命は…

 

 

 

次回、風と火の激突、始まる。

 

 




はい、第6話、終わりです!!如何だったでしょうか…?


もしかしたら誤字脱字があるやも知れません…見つけた際はご指摘のほど、宜しくお願いします。


では、次回は今夜投稿出来るかと思います…

最後までお付き合い、ありがとうございます!!

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