年下に甘いお兄ちゃんと雪の国から来た年下の女の子 作:ボルゾイ
こんばんは、数日ぶりの投稿で、
第二話となります。
長年ボッチ故に視線を敏感に感じ取れる俺は、感じる方へ一瞬視線を向けて見ると――
――チラチラと視線を何度も俺が持っているパンさんに向けてきている。試しに右に少し動かすと少女の視線は右へ、今度は左に動かすとやはり少女の視線は左へ。……何これ、凄く楽しい。ってそんな事をしている場合じゃなかった。
パンさんを左右に動かすのを止めて、改めて目の前で俺の持つパンさんをチラチラと見ている少女を見てみる。
受ける印象は欧米人って言う感じはしない……どちらかと言えば、少女を見ていると雪のイメージが頭に浮かんでくる。雪……ロシア人とかかな? 歳は――小町と同じくらいだろうか?その顔立ちから少し幼い印象を受ける、身長も代わらないくらいのようだし。
緊張はするが、"妹"相手だと思えば行ける、行けるはずだ。
「ちょっといいか?」
俺の呼び掛けを聞いて、一瞬"ビクッ"としたあとにパンさんに向けていた視線を上に上げて少女は俺の顔をじーっと"見て"。
「――――――――パンさん?」
ちょっと待って。え?、いや……本当に待って? この子、俺の顔――って言うよりは"目"を見て"パンさん"って言ったよ!!?
改めて――え? 今まで腐った目とか、濁った目とか言われた事はあるし、「目付き悪い!」と言われたことはいくらでもあるにはあったけれど……、夢の国のキャラクターに例えられたことは今までに一度もないんだが。
――ただパンさんを渡して終わりになるはずだったが、少女の予想外の呟きに俺の頭の中は真っ白になり、動けずにいた。
「あ、あの…………パンさん?」
「……いやいやいや、ちょっと待ってくれ」
「あ、はい……」
再び少女に俺はパンさんと呼ばれ再起動を果たした。何んなの? 遠回しに目付きが悪いと言ってきている……って言うわけではないみたいだ。少女から醸し出される雰囲気はむしろ好意的で、さらに彼女の目は……少しトロンとしているように見受けられる。俺にたいして楽しげに"パンさん"と言う少女。
「あー……その、俺ってパンさんに似てる?」
「はい♪ とっても可愛い目をしています♪」
「……可愛い?」
「はい! 私、パンさ、お兄さんの目――大好きですよ♪」
微笑みながら途中で言い直し、そう言い切る少女。
「――そうか。まあ、それは置いておいて……パンさん、好きなんだよな?」
「はい!大好きです!」
「んじゃ、これやるわ」
そう言いながら俺はUFOキャッチャーで取った、パンさんを少女に差し出した。これを受け取ってもらえれば、俺のここでの目的は達成しさっさと家に帰れるのだ。
「え……でも、このパンさんはお兄さんが折角取ったのに……」
「そこは気にしなくていい。たまたま気紛れでUFOキャッチャーがやりたくなっただけだからな」
欲しいと言う思いはあるが、少女はまだ迷っているようだ……もう一押しか。
「わかった。いらないなら捨て」捨てちゃ駄目です!」
俺の言葉を食い気味に止めながら、俺の手からパンさんを掻き抱くように自分の胸に抱き寄せた。
「……あ、あのっ!…………お兄さん、その……本当にありがとうございます!!」
俺に頭を下げてお礼を言ってきた。
「……おう」
続く。
読んで頂きありがとうございました。