オーバーロード~死の支配者の娘~   作:アークメイツ

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導入部のため、短いです。


11:抹殺計画始動

カッツェ平野の虐殺から3日。

 

ナザリック地下大墳墓・第10階層。

 

玉座の間。

 

「白銀にバレないように王国軍───24万5千人だったか───を皆殺し程度に収めたわけだが・・・」

 

そのまま勢いに任せてエ・ランテルに侵略したほうがよかっただろうか。

 

一瞬そう思うが、すぐに愚策だと切り捨てる。

 

冒険者は国家間の争いに不介入というルールがある。

 

放っておいても帝国がエ・ランテルを盗ってくれるのだから、それを貰い受ければ問題無い。

 

それなのに異形種が攻めてしまえば冒険者が介入する口実を与えてしまう。

 

次に行うべきなのは簡単な事だ。

 

「冒険者の力を削れ。人間の国を拠点とするアダマンタイト級冒険者チーム───白銀を除く───全てを殲滅せよ。ただし依頼先で死亡したことにしろ」

「はっ。既にデミウルゴス主導で進めております」

 

アルベドの報告を聞いてアインズは目を細める。

 

「実行要員を言え」

「はっ。ハンゾウと八肢刀の暗殺蟲などの隠密に長けたシモベで編成した部隊となっております」

「各部隊に死の騎士を一体加えよ」

 

デミウルゴスの編成した部隊に死の騎士を加えるように指示するとデミウルゴスは納得したように頷いた。

 

「先の戦争を利用するのですね。カッツェ平野でのアインズ様とリグレット様の虐殺によって死の騎士が複数生まれたと誤認させ、その対処に唯一残ったアダマンタイト級である白銀を動かし疲弊させるために」

「そうだ」

「ではそれに沿って計画を再度練り直します」

 

デミウルゴスの返事を聞きアインズは頷くと告げた。

 

「最後にお前たちに厳命する」

 

その言葉の直後、空気が張り詰める。

 

その場にいる全員がアインズの言葉の一遍も漏らすまいと気を引き締める。

 

アインズは虚空に手を伸ばすとそのままアイテムボックスを開き数種類のアイテムを取り出した。

 

その全てが守護者だけでなくアインズの身を飾るマジックアイテムすらも遥か凌駕するマジックアイテムだ。

 

唯一、匹敵するのはスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンのみ。

 

それらのアイテムをリグレットに手渡すと、リグレットはそれらを持ってシャルティアの前に立つ。

 

「奪われるな」

 

そして順々にそのアイテムたちを各守護者に渡していった。

 

「それらは世界級アイテム。我がナザリックの最至宝だ」

「「「おぉっ!」」」

 

渡された守護者たちはそれを震えながら眺める。

 

「お前たちの命よりも重い物を貸し出すのは信頼の表れでもあり、そしてこの世界にも世界級アイテムがある事を見越しての対策だ。それらを敵に奪われる事は私への裏切りよりも重い大罪と知れ」

「「「はっ!」」」

「お前たちの働きに期待する」

「「「アインズ様のご期待以上の働きをお約束いたします!」」」

 

全員が顔を伏せ、自分たちの主に更なる忠誠を誓った。

 

「「「アインズ・ウール・ゴウン様万歳!」」」

 

 

 

アインズの私室。

 

「お父さん!いっぱい殺したよ!」

「あぁ。よくやった。スッキリしたか?」

「うん!」

 

リグレットの頭を軽くなでるとアインズは白銀関連の報告書を見る。

 

戦争の直後に───少々だが───傷ついて王都に戻ったのが確認されている。

 

英雄が傷ついて帰ってきたというのもあるのだろうが、今、王国は大混乱のようだ。

 

何せ戦争に参加した貴族全員が死に絶えたのだ。

 

王族も残るは第2王子と第3王女のみ───第1、第2王女は貴族に嫁入りしているので除外───だという。

 

王都の情報も問題なく集まっている。

 

その為にわざわざ自分が戦場に歩いて何人かの貴族───と思わしきゴミ───を殺して死体を回収したのだから。

 

王国は貴族───ほとんどが無能───が指揮官と領主も兼ねていたようだから今や王国は丸裸同然だ。

 

これならばすぐに帝国は王国を攻め滅ぼせるだろう。

 

そしてその後に帝国と王国の混乱に乗じて法国を滅ぼす。

 

法国という───人間の国の中で───周辺最強国家を排除できる。

 

その後は警戒すべき真なる竜王がいる評議国。

 

そして帝国を始めとした弱小でしかない残りの人間の国が残る。

 

白銀は殺せると判断したときに殺そう。

 

後は他にプレイヤーがいないかどうかを警戒しながら行動すれば───。

 

「クハハッ」

 

今のところ思い通りに進んでいる。

 

だからこそ今は。

 

「待つだけだ」

 

アインズはこれから計画を立てるために資料を目を落とすが、すぐにノックが鳴り中断された。

 

返事をして許可を与えるとアルベドが入ってきた。

 

「アインズ様、バハルス帝国皇帝が白銀へコンタクトを取りました」

「防いだか?」

「はい。ご命令どおりに」

 

これで伊邪那美は白銀を恐れていると知っただろう。

 

アルベドからの報告を聞いたアインズは確認をする。

 

「罠はどうだ」

「正常に作動しております」

「そうか」

 

白銀にたどり着くまでもう少しかかると踏んでいたが・・・皇帝は思った以上に優秀なようだ。

 

ならば次の一手だ。

 

「カッツェ平野にナザリックでPOPする現地と同じ種類のアンデッドを送れ。そこから死の螺旋で上位のアンデッドが生まれるだろうか実験しろ。生まれたらそれらのみを使って帝国を襲え」

「畏まりました」

 

精々、伊邪那美という影武者には大暴れしてもらおう。

 

その対応に白銀が奔走し、手の内を晒し尽くして消耗した所で止めをさす。

 

そうすれば最大の敵は消える。

 

「評議国の情報収集にも力を入れろ。だが、白銀と竜王を同時に相手にするのは面倒だ。感づかれないように気をつけろ」

「畏まりました」

 

その後、幾つかの指示を受けてアルベドが退室する。

 

それを見送ってからアインズは呟いた。

 

「罰として何人か殺しておくか」

 

皇帝への制裁を決めると帝国へ向かわせたシモベへと伝言を飛ばした。




今回の魔王(アインズ様)に違和感を感じますが何が違うのがわかりません。

何が違うんでしょうか・・・。

何かお気づきになられたら、教えてくださると嬉しいです。



今回は短かったですが、その代わりに次回は長いです。

楽しみに待っていてくださると幸いです。

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