IS ~義肢義眼の喪失者~   作:魔王タピオカ

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殲滅任務

 『今日はウォックと響介に、軍事施設を襲撃して貰う。誰1人生かしてはいけない。殲滅だ。その施設の軍港に、君が会っていない最後の幹部であるクイーンが居るから、回収を頼むよ』

 「作戦とかは?」

 『まぁそうだね、ウォックの大火力で大方殲滅して、響介の速さで残党を殺す。そして響介が回収。...こんな所だろうね』

 「単純で良いねぇ、旦那。いつもこんな任務だけ寄越してくれれば良いんだけど?」

 『そう簡単にはいかないものだよ、戦いなんてね。【ジャバウォック】、【マッドハッター】、健闘を祈る』

 「「了解」」

 

 ゆっくりと船の甲板に2人は向かう。響介は手首に巻いている、アインから貰ったペンダントを触り、ウォックはただ空中を見据えている。

 これから行うのは『試合』ではなく『戦争』だ。勿論、人だって殺す。それを理解している2人に無駄な話は無く、目は真剣だ。この時の響介は【赤羽響介】ではなく、【御伽の国の破壊者(ワンダーランド・カード)】の幹部である【マッドハッター】なのだ。

 

 「ハッター、行くよ」

 「了解した。襲撃は何時に?」

 「二一〇〇(フタヒトマルマル)でどうだ?」

 「異論は無い。ハンプ!」

 『はいはい、分かってますよ。....機体名と役職名のコールをお願いします』

 「搭乗者【マッドハッター】、【絶月・災禍】。...出る!」

 「搭乗者【ジャバウォック】、機体名【ディキトゥス】。行くよ!!」

 

 漆黒と紫紺の機体が甲板から飛び出す。漆黒の機体はIS墜としの機体【絶月・災禍】、紫紺の機体は現行ISで一番の火力と扱いにくさを誇る機体【ディキトゥス】だ。

 機動性は後付けの腰部バーニアで補い、敏捷の全てを火力に全振りした機体である。因みに完全な停止状態から加速する際には使い捨てのブースターを消費する、大飯喰らいのISだ。

 その代わりに燃費と火力と防御力は【御伽の国の破壊者】内では郡を抜いており、拡張領域(バススロット)もかなり大きい。あらゆる系統の射撃武装を搭載しており、ISの機能を用いても相殺出来ない程の反動があるという事を除けば最強の中~遠距離型機体である。

 

 「二一〇〇まであと2分だ」

 『待つのは少し面倒だね。もう襲撃しちゃ駄目かい?』

 『流石に駄目です。まだクイーンが港まで来ていないそうなので』

 『えぇ....クイーンなら大丈夫さ』

 『万が一を考えて下さいよ』

 「んな事喋ってる間にもうそろそろだ。テンカウントは任せるぞ、ハンプ」

 『えー....面倒なのでスリーカウントで済ませますね。.....3、2、1、任務開始(ミッション・スタート)

 

 ウォックは【ディキトゥス】の拡張領域から多数の射撃武装を取り出し、全て同時に発射する。ビームやミサイル、機銃などの画く赤い火の線が空中に表れると、次の瞬間には軍事施設を爆炎が包み込む。

 

 「あとどれぐらい撃てる?」

 『あと1時間は余裕だね!アタシの単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)、忘れたのかい!?』

 「....【絶対撃滅(ラストダンス)】、か。つくづく恐ろしいな」

 『アンタが言えたもんかい?取り敢えず、少し火力は抑えるから残党を頼んだよ』

 「了解」

 

 これが【ディキトゥス】の単一仕様能力だ。名前は【絶対撃滅】、能力は銃器に限っての遠隔操作、弾薬無限にリロード短縮である。一見してチート能力なのだが、近接には対応出来ない上に身動きも殆ど取れない。しかも大雑把にしか狙いを付けられない事も有って精密性なんて皆無に等しいのだ。全部を防御出来る者なんてそうそう居ないが、響介の様に機体性能にモノを言わせて避ける者は夏蓮の様に止める者、アリスの様に全てを見切れる者には通用しないのだ。

 だが、こんな大規模な戦闘では凄まじい性能を誇る。攻撃可能範囲や持続火力では最も優れているとも言えるだろう。

 

 「い、いや!助け――」

 「....5人目。思ったより漏れは少ないな。次」

 

 助けを求める声を聴くことは無く、ただ冷酷に殺す。ISの巨大な刃に貫かれれば生きる事が出来る動機は無く、呆気なく死んでいく。何の感慨も抱かない。罪悪感も、嫌悪感も。骸骨の仮面から少しだけ見えるその眼は、ただ憎悪にまみれていた。

 

 『其処のIS、攻撃を止めなさい!』

 「.....何だ、あのIS。量産機ではないな」

 『ドイツの第三世代のISですよ。名は【黒い枝(シュヴァルツェア・ツヴァイク)】で、搭乗者はクラリッサ・ハルフォーフだと思われます。』

 「所属部隊は?」

 『【シュヴァルツェア・ハーゼ】です。確か学園に隊長が居たそうですね』

 「ふん....殺しても良いが、IS学園との軋轢を生むのはまだ早いな。気絶させて撃破する」

 『Ready....Contact。どうぞ』

 「此方【マッドハッター】、任務中にシュヴァルツェア・ハーゼのISと遭遇。IS学園に在籍している隊長と軋轢を生むのはまだ早いと判断、気絶させる事を提案」

 『此方【夢兎(ドリーム・ラビット)】、提案を受容。そちらの判断に任せよう』

 「了解」

 『何をゴチャゴチャ言って--』

 

 自分の報告が終わると、響介は左腕の【ジークリンデ】

を展開し、横に一閃する。間一髪で避けたクラリッサは拡張領域から自分の武装を取り出そうとするものの、苛烈な響介の攻撃を捌くのに必死で取り出せない。

 

 「.....結構粘る....胡座をかいて鍛練を怠る者とは違うか...!」

 

 そう認識を改めると、響介は義眼を起動させる。時間が引き延ばされる。思考の加速と体感速度の低下、ドミナントとしての能力が発動している証だ。

 左手の刃にしか注意を向けていないクラリッサに、薬莢を激発させて無理矢理にパンチを当てる。普通なら有り得ないタイミングと角度と速度のパンチには流石に対応しきれなかったのか、マトモに喰らった打撃にクラリッサは嗚咽を漏らす。それでも容赦はせず、思いっきり手刀で後頭部を打ち、無理矢理意識を飛ばす。

 そしてクラリッサが気絶した事を確認すると、視界の隅に表示される軍港へと向かう。其処には、倒れている女性が居た。明らかに頭をぶつけているのが分かる構図だ。血こそ流れてはいないが、たんこぶが出来ている。違う意味で頭痛がする頭を押さえて女性を抱えると、未だに武装を撃ち続けているウォックの元へと向かう。

 

 『ハハッ、まだまだだよぉ!!』

 「ウォック」

 『ほらほら、もっと逃げな!!』

 「ウォック」

 『最後の1発くれてやるよオラァ!』

 「ウォックッ!!」

 『....ん?』

 「任務は終わりだ。ラビットが見逃して良いって言った奴を除けば全員殺した。帰投するぞ」

 『....あぁ、いつの間に。うん、帰ろう帰ろう!』

 「調子良いな、ったく」

 

 任務の時は顔バレを防ぐ為に仮面を着けるのが基本だ。だからこそ、少しくらい無茶をしても声色さえ取り繕えば隠せるのだ。今のウォックの様に、血を履いていたとしても....




 あ、そうだ(唐突)。なんか中途半端ですがランキング的なのをやりたいと思います。
 投票はどのキャラでも自由です。IS学園サイドでも【御伽の国の破壊者】サイドでも構いません。
 投票部門はA、B、C、D、Eと分けたいと思います。
 A 個人的にどのキャラが一番好きか
 B 誰が一番ヒロインらしいか
 C 嫌いなキャラは誰か
 D 一番成長してると思うのは誰か
 E 一番強そうなのは誰か

 個人的には全てに投票して下さるととても嬉しいのですが、こんな事にお時間を取らせてしまうのも申し訳ないのでどれか1つでも良いのでお願いします。
 投票のやり方は感想欄にA 〇〇〇〇 みたいな感じで書いて下さると幸いです。
 遠慮なくドシドシ送ってくれると私は狂喜乱舞します。やる気が凄くなります。もう...凄くなります(語彙力)。では、感想欄にて沢山の投票をお待ちしております。

 追記!!ある読者の方から感想欄だと運営に狩られると指摘を頂いたので、活動報告にお願いします!という訳で、活動報告の返信欄にて沢山の投票をお待ちしております。

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