「おや、確か更識くん...だったね。一緒にご飯を食べないか?」
「お前はカレン・ボーデヴィッヒだったか?お前の隊長とは食べなくて良いのか?」
「はは、確かに隊長は尊敬してるけど、四六時中引っ付いてる訳じゃないよ。私達は結構バラバラに行動するんだよ」
「へぇ、意外だったな。俺はてっきりずっと一緒に居るもんだと....」
「それで?私と一緒にご飯を食べてくれないのかな?」
「別に構わねぇぞ。舞原は?」
「.......別に良いですよ。別に」
「な、なんか怒ってねぇか?」
「いえ、別に」
午前の授業が終わり、昼休み。教室に2人で戻ってきた響弥は黒髪の転校生--カレン・ボーデヴィッヒに昼食に誘われた。響弥本人は快諾したが、いつも連れ添っている雪菜は何故か不機嫌になってしまった。それを見てカレンは笑い、響弥は戸惑った。
「じゃ、屋上に行こう。確か眺めが良いって誰かが言ってたしね」
「おう。....あの、舞原さん?」
「えぇ、行きましょう」
「......不幸だ」
響弥達は基本的に弁当だ。全世界の生徒が集まり、世界各国から投資されるIS学園には高校とは信じがたい程の設備が揃っている。寮の設備もその1つだ。寮の部屋に私物を持ち込む事は許可されており、人によってはとんでもない事になっている(特にセシリア)。寮、自炊が得意な生徒は自分で作る事が出来るのだ。
因みに響弥達は別々に作るのは面倒なので一緒の中身にしている。IS学園のそこかしこで一緒に食べている所が目撃されており、暗黙の了解として『更識響弥に手を出すのはNG』というのが広まっている。
「お、本当に綺麗だね。この庭園も良く手入れされている」
「そうなのか、分かる奴には分かるんだな」
「素人目に見ても普通に綺麗ですよ?」
「まぁな。さて、さっさと食おうぜ。腹減ったんだよ」
「それでは...」
「「「いただきます」」」
3人が声を合わせて命に感謝を捧げる挨拶をした時、響弥は1つの疑問を感じた。雪菜も同じ疑問を抱いた様で、アイコンタクトを交わすと雪菜が話し始めた。
「あの、カレンさんって『いただきます』って分かるんですか?」
「ん?あぁ、私は昔日本で訓練を受けた事が有るからね。その時の教官に教わったんだ。食事の時、神に祈りを捧げるのは知ってたけど、食材になった存在そのものに祈りを捧げるなんて日本独自の文化だよね。私は此方の方が好きだな」
「ふーん、変わってんな」
「そうかな?まぁ私は元々無宗教だからね、神に祈るよりかは食材の命に感謝を捧げた方がしっくり来るのさ」
かなり有意義な昼食の時間だった。いつも響弥は雪菜と昼食を摂っている。つまらないという訳では無いのだが、殆どは絶月の開発に関する進捗や情報の交換しかしないので新鮮なのだ。更に会話を深めようと口を開いた瞬間、屋上のドアが開いて入ってくる集団が現れた。
「--お、響弥達じゃん。一緒に飯、食わないか?」
「そうだね、更識くんも食べようよ」
「.....
「じゃあ私は御一緒させて貰おうかな。織斑くんとはあんまり話してないしね」
「それでは皆さん、ごゆっくり」
「そういう事だ、後でな」
逃げる様に去る響弥が見たのは、シャルルの首だった。既にネックレスをしているのに
「.......