IS ~義肢義眼の喪失者~   作:魔王タピオカ

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 新作です。プロットも見直しましたし、この作品は絶対にやりきります。どうか宜しくお願いします。


序章
家族―1


 フランスの穏やか気候は農業に適している。日本に比べても特に遜色の無い温度に、美味しいフルーツや野菜。不満な点があるか聴いても、響介は「無い」と即答するだろう。そんな国で響介は産まれ育ってきた。

 

 「お兄ちゃーん!かくれんぼしよ!」

 「かくれんぼ?良いよ、他には誰か誘うの?」

 「ううん、今日は皆遊べなくて...」

 「そっかぁ...じゃあ2人でやろう。鬼はじゃんけんで決めるよね?」

 「うん!じゃあ行くよ、じゃーんけーん--」

 「「ポン!!」」

 「じゃあ数えるね。隠れて良いのは林檎の木が終わる所までだからね?」

 「うん、分かった!」

 

 響介(きょうすけ)が出したのはパー、妹の夏蓮(かれん)が出したのはチョキだった。負けたので鬼になった響介は家の壁に腕を付けて目を瞑り、秒数を数え始める。30を数えた所で大きな声で問い掛ける。

 

 「もーいーかい?」

 「まーだーだよ!」

 「もーいーかい?」

 「まーだーだよ!」

 「もーいーかい?」

 「...............」

 

 声かぱたりときこえなくなった所で響介は捜し始める。響介の家の周囲に広がる林檎畑には重機や小屋があるから大分捜しにくいが、鍵は掛かっている上に重機には近付くなと父親から厳命されている。2人は純粋な上に親の言うことを聴く良い子達だ。こんな時に反骨心が生まれない限り近付かないだろう。

 小屋周辺には木が余り無いので木が密集している所へ捜しに行くが、人影どころか気配もしない。若干薄暗いので行くのに躊躇するが、妹を捜す為に響介は進む。あまり行かないというだけで地理はちゃんと響介の頭に入っている。故に進む。途中でお腹が空くと林檎をこっそりもぎ取って丸かじりで食べてまた進む。既に何時間もやっていたおり、日は西に傾きかけていた。

 

 「夏蓮、何処に居るんだ...?」

 

 次に響介は走り出す。そして目を閉じて全神経を耳に注ぎ込むと、微かな啜り泣きが聴こえてくる。響介は1本の木の下に辿り着くと上を見る。

 

 「夏蓮みっけ。遅くなっちゃってゴメンね?」

 「お、お兄ちゃん...」

 「まさか、また降りれなくなったの?全くもう、ネコじゃないんだからさ...」

 「し、仕方無いの!怖いんだもん!」

 「ちゃんと落ちたら受け止めるから、ゆっくり降りてごらん?」

 「ホント?」

 「うん。ゆっくり、ゆっくりね」

 

 夏蓮の後ろに行き、落ちたら受け止める様に腕を広げて降りるのを待つ。ゆっくりと降りてくる夏蓮は結局何もなく無事に降りてくる事が出来た。響介は夏蓮の左手を右手で繋いで言った。

 

 「お母さんもお父さんもそろそろ心配どころかカンカンに怒ってるかも。早く帰んなきゃ!」

 「...それは大変!お兄ちゃん、もっと速く!」

 「あああぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

  ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

  ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 「ハハハハハ!!だからそんなに汗だくなのかい?そんなに怒らないよ、お父さんは...ね」

 「響介、夏蓮?今は何時かしら?」

 「ロクジデス、オカアサン」

 「セイカクニハロクジゴフンデス、オカアサン」

 

 背後に修羅を纏う2人の母親、赤羽蓮菜(れんな)はとても美しい笑顔で2人に問い掛ける。右手に持っているお玉は悪鬼を屠る剣の様に錯覚させられる程の迫力を醸し出している。

 

 「まあまあ蓮菜さん、そんなに怒らないで。門限を少し過ぎるくらいが子供ってもんだよ」

 「麗治(れいじ)さんは甘過ぎるんです。言う時はバシッと言わなきゃ」

 「門限を過ぎたのはこれが初めてなんだろう?1回目なら許してあげる方が良い。2回目は少しきつく、3回目4回目はバシッと言うのさ。それがウチの教育さ」

 「....それもそうですね。響介、夏蓮、次は気を付けてね?」

 「うん」

 「はい!」

 

 そうして4人は食卓を囲み、食事を賑やかに食べ始める。だが、次の瞬間、バラエティーを流していたテレビの画面はいきなりSFに出てくるロボットの様な何かがミサイルを撃ち落としている画面に変化する。そしてニュースキャスターが緊迫した声色で報道を開始する。

 

 「緊急速報です!篠ノ之束と名乗る人物が、世界に新たな兵器であるIS、『インフィニット・ストラトス』を発表しました!これを受け全世界は突如出現したISである『白騎士』の撃滅を試みましたが、失敗し--」

 

 この時から、赤羽家は破滅の道を辿る事となった。


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