血濡れの人形さん、コラボ、どうも有り難う御座いました。
此方、血濡れの人形さんの作品のURLです。是非とも読んでみて下さい。
https://novel.syosetu.org/114021/
一夏嫌いの操縦者
「あー、その、なんだ.....乾杯」
「乾杯」
それは、少しだけ未来の話。たった一夜だけの、小さな小さな奇跡の話。ある年のクリスマス、響弥と雪菜は寮の部屋でささやかなパーティーをしていた。ただ少し豪華な夕飯を食べ、ケーキとジュースで祝うだけの、ささやかなパーティー。其処に、ある一人の少女が迷い込む所から始まる....
「あら?此処、何処?」
「....随分と懐かしい展開だな、雪菜」
「本当にそうですね響弥くん。結構前の出来事ですからね」
「どういう事?」
「まぁ、アンタみたいな迷い人を相手するのは久し振りって事だよ。俺は更識響弥、此方は舞原雪菜。アンタは?」
「私は霧雨涼華よ。...あの、お腹空いてて...その」
「どうぞどうぞ。どうせ2人じゃ食べきれない量なので、大歓迎ですよ。いっぱい食べて下さいね」
「ありがとう。それで、此処は何処なの?」
「世界中の有望なIS操縦者が集う場所、IS学園だ」
「IS学園!?...チッ、アイツが居る場所だったか...」
「アイツ?誰の事ですか?」
「織斑一夏よ。嫌いなのよ、アイツ」
「まぁ確かに嫌われやすいかもですよね、あの人」
「確かに好き嫌いは分かれるな。ま、安心しろよ。アイツは今頃世界の何処かで仕事かパーティーだからな」
「へー、そんなに偉くなったんだ」
「さぁな。世界最強の弟って環境だから、そんぐらいは付いて回るんだろうよ」
「さぁ?興味ないから。それより、貴方達って付き合ってるの?」
「ま、まぁ、そうなります...よね?」
「なんで其処で確認するかなぁ....付き合ってるよ、ちゃんと」
「馴れ初めって聴いても良い?」
「馴れ初め、ですか。どうしてですかね?」
「分からん。いつの間にか惹かれてたって所かな?出会いは覚えてるけど」
「へぇ~、どんなの?」
「ちょ、響弥くん!恥ずかしいです!」
「良いじゃない、教えてよ」
「別に良いぜ。コイツ、俺と出会った時は借金取りしてたんだよ」
「え゛っ」
「細かい事情は置いとくけど、殺されかけた事も有ったな」
「ちょ、それは....」
「まぁ効かなかったけどな。それで俺の専属開発者になって貰って、色んな敵と戦ったなぁ...」
「サイコガンダムとかいう凄く大きい敵は本当にヤバかったですよね」
「あぁ、あれなぁ~。もう死ぬかと思ったわ。雪菜のお陰だな、今生きてるのは」
「なんか凄い事してきてるのね...あとしれっと惚気話もありがとう。...っていうか、どうして専属にしようって思ったの?雪菜ちゃんも、引け目とか感じなかったの?」
「私は引け目を感じてましたよ。でも--」
「俺が強引にしたんだよ。なんか気に入らなかったからな、そのままにしとくのは。だから近くで護ろうって決めたんだ」
「それで今に至る、と」
「まぁそういうこったな。涼華はなんか無いのか?」
「私の話は良いのよ、長くなるから。短い間の話なら、貴方達の話が聴きたいわ。次はそうね....こう、響弥を巡ってのバトル!みたいなのは無いの?」
「有りますよ、今でも」
「へぇ、やっぱりね~。....今でもぉ!?」
「はい。響弥くんを好きな人は私含めて3人居て、今日は偶々2人に予定が入ってたのでこうなってるんです」
「お邪魔だったかしら?それなら今からでも消えるけど?」
「そう言わないで下さいよ。これも1つの縁ですから」
「あら、嬉しい事言ってくれるじゃない。そうね...2人は、お互いのどういう所が好きなの?」
「好きな所?...そうだな、全部好きだ。嫌いな所なんて無い。欠点も良い所も引っくるめて、嫌いな所なんて無い。...こんな答えじゃ不満か?」
「いいえ。一言言うなら....御馳走様、かしらね」
「.......ッ!!」
「あー、おい?雪菜、どうかしたのか?」
「その....ありがとう、ございます」
「こういう所も?」
「まぁ、大好きだぜ?」
「わ、私だって!そ、その...全部、好きです」
「え?....ありがとよ」
「ふう、そろそろお腹いっぱいね」
「お前地味に食ってたんだな。良い食いっぷりだ、作った俺達も嬉しいな」
「コレ響弥達が作ったの?凄く美味しかったわ、御馳走様」
「おう。...おーい雪菜ー、そろそろ帰ってこーい」
「ひぅっ!?あ、す、すいません」
「...小動物みたいね、この子」
「だろ?見てるとスゲェ庇護欲をそそられるんだ。一緒に居ても良し、見てても良しだ」
「私は家電ですか」
「一家に1人雪菜が居れば多分戦争なんて無くなるぞ?」
「それは言い過ぎ....いえ、そうでもないわね」
「もう!2人とも私をからかって!」
「アハハ、悪かったって。ほら、苺あげるから機嫌直せって」
「わぁ!有り難う御座います!.....って、またからかってますよね!?」
「ふふふふ、面白いものを見せて貰ったわね。それじゃ、私からのプレゼントを置いて帰らせて貰うわね」
「もう帰んのか?」
「ええ、待ってる人が居るからね。じゃ、またね」
「...はい、また来てくださいね」
「またな、涼華」
「......行っちまったな」
「....はい。そう言えば涼華さん、何を残して--ッ!!??!?」
「どうした!?...って、コレは」
立つ鳥後を濁さず、という言葉を実践するかの様に立ち去った涼華。彼女が残していったのは避妊具だった。
これは聖夜の奇跡。たった一時、戦いも無くただ談笑したその時は替えのない一時だっただろう。そう、これは遠くない未来の話....