さて、これでコラボしてくださる方はあと1名です。ある都合により、1話だけになりますが、頑張りますので宜しくお願いします!
アマゾンズさん、コラボ有り難う御座いました!アマゾンズさんの世界での響弥達の活躍を期待しております。
「さぁて、行くぜ!」
走って距離を詰め、腹を殴る。若干よろけた敵【オルフェノクアマゾン】は腕から剣を生やしてファイズを斬り付ける。胸に掠らせながらも回避し、入れ替わりでアマゾンオメガがオルフェノクアマゾンに槍での一撃を加える。
「舞原、なんか武器は無いのか!?」
『ファイズは一応拡張領域を持ってます!その中に何か入ってませんか!?』
「....っと、これか。なんかバイクのハンドルみたいだな」
『Ready』
ファイズエッジにミッションメモリーを挿し込み、フェンシングの様に突き込む。バチバチと火花を立ててオルフェノクアマゾンは吹き飛び、やっと体勢を立て直す事が出来る隙が作れた。
「大丈夫か響弥?それにそれは....」
「ファイズだ。ISとはちょっと違うらしいけど....まぁ、鏡夜のソレと同じ様なもんだと思ってくれ」
「オーケー。で、アイツの形態が違うものになってるぜ」
「うわ、本当だ。取り敢えず様子見だな。それからどうするか決める!」
オルフェノクアマゾンは先程までは灰色をベースとした【オルフェノク形態】だったのが、今は青などの色が出てきた【アマゾン形態】と言うのだろう。逆関節になり、動物的なフォルムにより近付いたオルフェノクアマゾンは、とても速い。ついさっきとは、全く比べ物にならない程に。
オメガの前に現れた。オメガは【アマゾンサイズ】と呼ばれる鎌で攻撃しようとしたが、次の瞬間にはファイズの背後に移動していた。義眼の予測に従って身をよじり、義手の薬莢を激発させて回転しつつファイズエッジを振るが、オルフェノクアマゾンはしゃがんで回避すると、ファイズの脚を掴んで転ばせた。相手の野性動物染みた戦い方を見ていたファイズは義眼に頼るまでもなく『不味い』と感じ、義足の薬莢を激発させて蹴り飛ばす。皮膚の硬さは健在の様で少しだけ衝撃に耐える様な素振りを見せるが、次の瞬間にはファイズの首筋へとその口を--
「--ガアァ!!」
後ろからオメガがアマゾンサイズを背中に突き刺し、オルフェノクアマゾンを後ろに引き倒したのだ。オメガはマウントポジションを取ろうとしたが、一瞬で起き上がったオルフェノクアマゾンは体勢を立て直している。
「ったく、そんなに速いのが良いなら付き合ってやるよ。10秒間だけな!」
『Complete』
腕に付けている腕時計--ファイズアクセルからミッションメモリーを抜き、ファイズフォンに装備する。そして胸の装甲--フルメタルラングが開き、肩の部分に装備される。紅いフォトンストリームは銀色に輝き、
『Start-Up』
右手に握るファイズエッジが、オルフェノクアマゾンを斬り裂く。生物、特にオルフェノクにとっての猛毒であるフォトンブラッドがその身体を蝕み、オルフェノクアマゾンを苦しめる。ファイズに反撃しようと身体を動かすオルフェノクアマゾンだが、通常の動きを1000倍にまで拡張するアクセルフォームの前ではそれは亀の歩みより遅く感じるものだ。回り込み、加速する前に移動を潰す。
オメガからすれば響弥は消えている様にも見えるだろう。例え見えていても、それはファイズが少しだけ動きを止めた瞬間だけであって、移動する経路や速度は見えない。それまでに速い。
『3』
残りのスリーカウントでファイズはファイズエッジを拡張領域に叩き込み、ファイズフォンのエンターを押す。脚に装着したファイズポインターにフォトンブラッドが行き渡った事を確認し、ファイズは跳んだ。
『2』
跳んだファイズは数多のポインターを発射し、その全てをオルフェノクアマゾンに当てる。その数、10個。通常の1000倍の動きが出来るからこそやれる芸当である。そして1つ目のポインターに飛び込む。
『1』
着地するよりもまた跳躍する方が速い、と思える程の速度で【クリムゾンスマッシュ】を繰り返す。自分がオルフェノクアマゾンに付けたポインターの全てを使いきるまで、止まる事無く。雪菜の目にはただポインターが付けられ、1つずつ凄い速度でポインターがめり込んでいる様にしか見えていない。オメガには飛び蹴りの構えを取るファイズが少しだけ視認出来ているだけである。
『Time-Out』
『Reformation』
10秒の制限時間の全てを使い、どうにか【アマゾン形態】を解除させる。恐らく今の状態が【オルフェノク形態】だったなら倒せていただろうが、悔やんでいる暇は無い。ファイズが声を掛ける前に、オメガは駆け出してベルトから槍を取り出していた。
「オオオォォォ!!!」
獣の咆哮から繰り出される無数の乱打。拳で殴り、槍で突き、石突きで薙ぐ。闘争本能の塊とも言える
「終わりだ、行くぞ響弥」『Biolent Punish』
「オーケー、行くぜ!」『Exceedcharge』
ファイズはファイズショットを右手に装着し、オメガはベルトのハンドルを捻って構える。フォトンブラッドが右腕に伝わったと感じたファイズはオメガと目配せし、同時に走り出した。
どちらの攻撃も脅威と悟ったオルフェノクアマゾンは全力で抵抗し始める。形振り構わずに殴り蹴り、背中を向けて逃げる。しかし其処は円形のアリーナ、何れは追い詰められてしまう。ファイズは先回りしてアリーナの中央に追い込み、挟み撃ちにする。
「コイツ、中央から逃げねぇ...全方位に逃げられる様にしてんのか」
「どうする鏡夜!?決められねぇぞ!」
『それなら安心して下さい、手は打ってあります』
「舞原!?」
周囲を見れば、10機程のファングが浮いてオルフェノクアマゾンを包囲している。もしかしてなくても雪菜が操作しているのだ。しかし雪菜のIS適性は高くない。寧ろ低い方なのだ。だからこの包囲網も決して長くは続かない。それが解っているファイズは決めに行く。
「鏡夜ァ!!」
「大体解ってるっての!!」
ファイズは背後から胸に、オメガは正面から必殺の拳を腹に叩き付ける。オメガの一撃はオルフェノクアマゾンの腹をぶち抜き、ファイズの一撃は快音と共に衝撃を浸透させ、灰化消滅させる事に成功した。激闘を繰り広げた怪物は灰となって存在をこの世界に遺す事もなく、消えていった。
◇ ◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇
「お疲れ、鏡夜」
「あぁ、お疲れ。本当にありがとな」
「別に良いさ。俺の世界の為でもあるし、何より友達の為だ」
「ハッ、会って数時間の奴を友達ねぇ....そういうの、嫌いじゃないぜ」
「そうか、それなら良かった。....もうお別れだな、鏡夜」
「そうみたいだな。まぁ響弥、そう哀しむな」
「アホ言え、哀しくなんてねーよ」
「きっとまた会えるから、か?」
「その通りだよ。ったく、最近俺の台詞持ってかれてるなぁ....」
「さて、さよならだな」
「ちょっと待って下さい!!雨宮くんに渡したい物が有りますから!」
「ん?なんだこの箱?」
「食堂のおばさん特製、ステーキサンドです!帰る途中にでも食べて下さい!」
「...おぉ、めっちゃ美味そう!ありがとな!」
「喜んで貰えて良かったです。それでは、また会いましょう」
「おう、またな!」
「またな、鏡夜」
こうして人を外れた少年は自分の世界へと帰っていった。しかし、ただ人ならざる細胞を埋められただけで人を外れたとは言い難い。誰よりも自分の欲と向き合って打ち克ち、欲望を抑え付けるその姿は誰よりも人間らしい姿ではないか。そう思いながら響弥は、自分の仕事場へと帰っていった。