「ッ、来たか....」
「鏡夜、どうした?」
「人の味に呑まれた俺の同類が来たんだよ!早くしないとこの学園の生徒全員喰われるぞ!」
「行くぞッ!!アイツらの命と俺の睡眠時間を守る為!」
「.....念の為ですが、一応持ってきましょうか」
響弥達は全力でアリーナへと駆け出した。
「うわ、グロいな。なんだアレ....」
「なんの動物か解らねーな...分かればちょっとは対策が立てられるんだが...」
「取り敢えず戦えば解るさ。【絶月】!」
「アマゾン....!」
響弥の身には絶月が纏われ、鏡夜のベルトからは
EVOLU-E-EVOLUTION
緑の身体に全てを威嚇する様な吊り目、手足には鋭い鰭こ様なブレード。これが鏡夜に宿る獣の姿である。
緑の獣は駆け出すと、相手の首を掴み響弥に向かって投げてくる。響弥はそれを【水鳴刀・鬼百合】を使って斬ろうとするが、相手は空中で体勢を立て直すと当たり前の様に鬼百合を掴み、響弥を投げ飛ばした。
「クッ...ならば!」
響弥は背中から【ドラグ・ファング】を抜くと全力で投げる。スラスターの勢いも加えたそのクナイは肉眼では視認する事すら難しい速度で飛ぶが、簡単に相手に掴まれた。
無言で飛び掛かったアマゾンオメガは相手に一撃入れると、更に首筋に噛み付く。しかし直ぐに弾かれ、胸部に痛烈な一撃を貰ってしまう。響弥が後ろから【八重霞】で貫こうとするも、硬い皮膚に阻まれて弾かれてしまう。
「さてさて、なんかデジャヴだな....」
◇ ◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇
「やっぱりISじゃ対抗は出来ませんか...やっぱり
雪菜が持っていたのは以前響弥が別世界で使ったベルト、【ファイズギア】だった。此方の世界に戻ってきた際、雪菜でも解読出来ない暗号でロックが組まれていた為に使用不可だったのだが、何故かこの時だけはロックが緩くなっている。恐らく、別世界の人間に反応したのだろうと雪菜は当たりを付けてロックを解除し始める。
「取り敢えず、足跡だけは残しておきましょうか....いざという時の為に....」
ロックを完全に閉ざささせない為に楔を打ち込み、やっとファイズギアのロックを全て解放する。ガラケー型なので充電は大丈夫か?とも一瞬思ったが、首を振ってそんな事は頭から追い出し、通信機に向けて叫ぶ。
「更識くん!!」
◇ ◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇
『更識くん!!』
「なんだ舞原!?」
『ファイズギアを使って下さい!取りに来れますよね!?』
「ったく、無茶苦茶言ってくれる!今行くぞ!」
ガラスを割って投げられたファイズギアを見て、後々迫る仕事の予感に身を震わせつつ響弥はベルトを腰に巻いて5を3回押してエンターを入力し、右手を高く上げて高らかに叫ぶ。
「変身ッ!!」