Rainforestさん、コラボ有り難う御座いました!Rainさんの作品も、楽しみにしてますよ!
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俺が誓った【絶護の誓い】というのは、端的に言えば【絶対に何が有っても雪菜を護る】といったものだ。自分が死にそうになっても、何処に居ても舞原を護るっていう、ある見方では傲慢とも取れる誓い。それは俺の戦う理由でもあり、そして俺自身の【狂気】でもあったんだ。
--止めろ、止めろ、止めろ、止めろ、やめろ、やめろ、やめろやめろやめろやめろヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ!
狂気、それが今の俺を支配する感情だった。
--アァ、ワカッテシマッタ。マモルノハ、コワスコト。コワサナキャ、マモレナイ。ソレナラ、ソレナラオレハ...
言葉に出さず、心の中の叫びすら片言になる程に狂っている俺が狂気に沈んでいく中1つ思い出したのは、デートに行った時に舞原が見せたくれた無邪気な笑顔だった。
--オレハスベテヲ、コワシツクソウ。
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『何故だ....君は何をした、更識響弥くん!?』
雪菜は死んでしまった....様にも見えた。しかし、炸裂音と共に弾丸が放たれた時には既に、雪菜は響弥の腕の中に居た。抱えれた
「響弥くん....貴方、髪の色が.....」
「眼の色も...しかも義眼まで紅に....」
皆は、【アルビノ】と呼ばれるものを知っているだろうか。簡単に言えば色素が欠けており、正に純白とも言える個体の事だ。しかしそれは先天的なものであり、響弥はアルビノではないのだ。確かに眼に関しては母親からの遺伝で眼の色には紅みが少し入っていた。だが此処まで紅くはなかったし、髪だって若白髪であった故に少しは白かったが真っ白ではなかった。それはもう....異常であった。
「昴....舞原ヲ、頼ム。出来タラ、援護モ」
「わ、分かりました。でも無茶は駄目ですよ」
「さ、更識くん!その....負けないで下さい!」
「.......任セロ」
響弥は飛び立つと、敵に向けて骸火を放つ。しかし、いつまで経っても肝心のビームが出ない。虚仮脅しと判断した【
「ソウ慌テルナヨ」
『上から....だと!?』
有り得ない地点から放たれたビームの奔流が、【極彩色の革命】の腕を
響弥の紅く染まった視界はだんだんとブレてきていた。怒りと狂気により、無理矢理加速させられた思考速度は響弥の脳を食い潰す程の勢いで処理領域を使っている。ビットを使う事はおろか、正確な射撃をする事すらもう厳しい。ならば、と響弥は鬼百合を我流の構えで構える。左足を前に、鬼百合を持つ右手は後ろに引いてだらんと垂らし、自然体で構えている。
『その力を...その力を、何故世界の為に使わない!?』
「知ルカヨ....俺ニトッチャ、舞原ダケガ全テダ。ソレ以外、何モ必要トシテイナイ!」
突き出された相手の右手を首の動きだけで避け、肘から先を切断する。更に義足の薬莢を激発させ、サマーソルトを顎に入れる。一瞬よろけた隙に、腹部に正拳を叩き込む。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ.....これで、どうだ....」
アリーナに展開されているエネルギーバリアに叩き付けられ、地面に落ちて土煙を舞い上げる敵を見て、やっと落ち着いた響弥は膝を着いてしまう。明滅する視界と腹の中から込み上げてくる吐き気を精神力で捩じ伏せて正面を見る。
『許さん....絶対に許さんぞ!貴様の様な者は私が救う世界には不必要だ!死んで貰うぞ!』
「随分と傲慢ですね。世界を救済する救世主になったつもりでしょうが、そんなのはただの独り善がりですよ!」
ロングソードとソードビット【桐】を構えた昴が【極彩色の革命】に突っ込んでいく。灼かれていない腕を呆気なく斬り落とされた【極彩色の革命】は叫び声を上げて
「どうしますか?響弥くん。相手さん、中々にタフですよ」
「....アイツは1度もBT兵器を使ってない。だから此方はBT兵器で決着を付けるぞ!」
雪菜は今パソコンを持っていない為、響弥自らパッケージを変える。選択したのは【花】。今現在に至るまで雪菜が負担軽減の改良を加えているが、まだ負担が大きいBT兵器特化型パッケージだ。前の時より多少使いやすくはなっているが、未だに負担が大きい事には変わりない。短期決着が望ましいだろう。
「グッ.....うぁぁぁぁ!!」
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
凄まじい弾幕と斬撃の嵐が【極彩色の革命】を襲う。1秒経つ毎に傷が増え、装甲に皹が入っていく。【ファング・ドラグーン】を全てぶつけ、【シールドドラグーン】をも殴打に使う。響弥にとって無限にも近い時間が終わった時には、あの極彩色の輝きを放っていた機体は見るも無惨な状態になっていた。
「行って下さい響弥くん!【飛空剣】!!」
昴は大気を薙ぎ払い、鎌鼬を産み出して【極彩色の革命】を斬り刻む。もう満足に動けない【極彩色の革命】に向けて、今響弥が出せる最高の火力をぶつける。
「更識流戦闘術壱ノ型壱番【
皹の中心、胸の中心部を過たず打ち抜き、その場に崩れ落ちる【極彩色の革命】。そのフルフェイスの頭部からは、未だにノイズに覆われた音が漏れていた。
『グギ....わタシは、このセカいを、カえたかッタ....』
「......そうか」
『わタシたちノようナ、ぎセイしゃヲ....ダサないたメに....』
「.....確かに、更識くん達の様な人を出してはいけません。...技術者の私が言うのは信じられないかも知れませんが、私はそんな犠牲者を出す事は絶対にしません」
『キみのメは....すきとオッてイル。ウソなんて...ツケないだロウ。ソのすきとオッてイルめのまま....イきて、クレ』
「...貴方は僕達が成り得た、未来の姿です。だから、絶対に忘れない。例えやり方が過激でも、世界を変えようとした人が居た事を」
『く、クク....サイごのサイごに、わタシを人とシテよぶモノに、あエタ...こレほど、ウレしいことハない....』
【極彩色の革命】は自分の頭に手を突っ込み、掻き回した後にその手を抜き取り、雪菜に差し出した。恐る恐る差し出した雪菜の手にはISコアが乗せられた。
「これって...ISの....」
『キみに、タクソう....キみが、ただシイつかいかたをシテくれルと、ねがって....サラバだ、わタシの--』
爆散する事はなく、眠る様に死んだ彼は、記憶から消える死者の様に消えた。何処に消えたのかは解らないが、雪菜に右手に握られているコアが、彼の存在を裏付ける何よりの証拠だ。それと同時に、2人の姿も透け始める。
「...時間、なんですね」
「あぁ、そうみたいだな。...そんな
「そうですよ、篠ノ之くん。あんなに戦いでは強かったのに、情けないです」
「だって、もう....」
「あのなぁ昴--」
響弥は昴に近付いて、片腕で抱き寄せる。そして耳元で、あやす様に話し掛ける。
「--なぁに、ちょっとの間別れるだけだ。ほら、一夏と箒も、離れ離れにはなったけど直ぐにまた会えただろ?俺達も同じ事さ。だから『さよなら』なんて言葉は使わねー。言い方はちょっと
「『またね』ですよ!」
「あ、オイ!俺の言葉持ってきやがったな!...あー、その、なんだ。...またな!」
「はい...では、また!」
響弥と雪菜はこの世界から消えた。しかし、【可能性】を見せてくれた。憎しみに囚われず、戦い続ける可能性。そして、例え手足や眼を喪っても、輝き続ける少年達の事を....