IS ~義肢義眼の喪失者~   作:魔王タピオカ

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 あとがきは別に読まなくても大丈夫です。ただ、最後には次回作の事を書くので見てやって下さい。


最終話 I'II be here

 -3年後-

 

 「第三回モンド・グロッソ総合優勝、おめでとうございます、更識刀奈さん!」

 「この事を誰に伝えたいですか?」

 「そうですね....私を応援してくれた人達と、この競技用コアの開発者、舞原雪菜さんに感謝を伝えたいです」

 

 かの戦い【無価値であり意味の有る戦争】から3年の月日が過ぎた。非業の死を遂げたとされる彼を置き去りに、世界は変わっていた。

 まず、篠ノ之束が造ったコア、通称【オリジンコア】の全回収、そして舞原雪菜が競技用、または開発用に【セカンドコア】を世界に終戦1年後に発表した。そのコアはあらゆる面での出力が抑えられ、拡張領域を持たない。実質的には空を飛べる外骨格装備(エクゾスケルトン)と変わらないが、絶対防御は変わらずに搭載しており、宇宙開発に貢献している。

 更にセカンドコアは男性も装備できる事から女尊男卑の風潮は薄れ、それにより表面化した女権団の横暴が世間に知られ、女権団は解体された。

 そして戦争から吹っ切れる為に行われたのが第三回モンド・グロッソだ。第二回でも優勝候補として目された選手や、現役軍人の選手もエントリーする中優勝したのは更識刀奈だった。

 

 「さて....明日は一夏くんと箒ちゃんの結婚式ね。先ずは雪菜ちゃんとラウラちゃんと合流しなきゃ」

 「私は居るぞ。後は雪菜を迎えに行くだけだ」

 「あれ、ラウラちゃん?どうして此処に?」

 「私は軍人、つまりこの大会の警備に就いている。少し隊員に無理を言って早退けさせて貰った」

 「それって職権濫用じゃないの?」

 「この為に面倒な書類仕事を全て終わらせてきたんだ、この程度は許されるだろ」

 「そうね。じゃあ行きましょ」

 

 刀奈はISを展開、ラウラも同じくISを纏い、日本へと飛ぶ。競技用ではなく、特例でオリジンコアを使用している自らの乗機の速さはセカンドコアの比ではなく、視界の右上に表示される地図を見ればどんどん近くなっていく。5分程飛んだだろうか、2人の目の前にはそれなりに大きな邸宅が。これこそが雪菜が所有するラボだ。

 

 「雪菜ちゃん、居る?」

 「居ますよ。クロエも夏蓮も、丁度準備が出来たところです」

 「今日は宜しくね、2人とも。私達、こういう礼服?っていうの着た事無いから」

 「刀奈様、ラウラ姉様、今日は御教授宜しくお願い致します」

 「相変わらずクロエは堅いなぁ~。もっと気楽に行こうよ」

 「夏蓮が気楽過ぎるんです。もっと慎みを持って行動して下さい」

 「まあまあクロエちゃん、夏蓮ちゃんは夏蓮ちゃんなりに考えてるんだよ」

 「そうだぞ。....っと、こんな事では直ぐに時間が無くなってしまう。行くぞ」

 「運転はお願いしますね、ラウラ」

 「.....解ったよ。やるからそんな目で見るな」

 

 クロエの本名はクロエ・クロニクルと言う。彼女は元々束に保護された遺伝子強化個体(アドバンスド)だったのだが、束の指示で終戦後に雪菜の元へ現れ、それ以来雪菜が世話をしている。

 嫌そうな顔をしたラウラだが、全員の目がチベットスナギツネの様に乾いた視線を送った事で根負けし、運転席に座る。向かう先は【レゾナンス】だ。大抵のものは揃っているが故に仕方の無い事なのだが、いまいちワンパターンだ。

 

 「ねぇねぇ見た?昨日の番組」

 「最近テレビ見てないな~。で、なに?」

 「なんかね、昨日日本の上空に黒い未確認飛行物体?が来たんだって!宇宙人かも知れませんって偉そうな人が言ってたの!」

 「偉そうな人って、あんたね....でも、有り得ないっしょ。何年か前に地球の周辺宙域には監視衛星が飛ばされたんだし、それに捉えられてないならただのCGでしょ?」

 「夢が無いなぁ。そんな事ではいけないよ、ミカちゃん」

 「うっさいわ、アホ」

 「アコだしー!」

 

 と、そんな下らない会話が聴こえてくるくらいには平和になった。雪菜は優しげな目線でそれを見て、目の前の服屋に目を向ける。スーツ、というより結婚式に着ていく為の礼服を買いに来たのだ。

 

 「どんなのが良いのか分かんないや。雪菜、分かる?」

 「私が分かるとでも?」

 「マスターは良く論文の発表などで礼服を着ていますが、それは...」

 「アレは用意してあるのを着ているだけですよ。...まぁ、サイズが合えば良いのでは?」

 「まぁ大体そんな感じだ。スカートかズボンか、其処は好みだな」

 「皆スカートで良いんじゃない?纏めて頼めるし、楽でしょ」

 「そうですね、そうしましょう」

 

 雪菜は店員を呼び止め、会計を頼む。全員が中に残るのも邪魔だから、と他のメンバーは外に出た。袋に詰めて貰うのを待っていると、店員と客の会話が聴こえてくる。

 

 「えっとさ、なんつーのかな...結婚式に来てく感じのヤツが欲しいんだ」

 「分かりました、それではこれなどは如何でしょう?」

 「ん、じゃあそれで良いや。会計はカードで一括で」

 「畏まりました」

 

 暇な時間も終わり、店員に袋を渡されたので店から出る。適当に買い食いをして時間を潰し、帰ろうという話が出たので雪菜はラウラに頼んだ。

 

 「ラウラ、ちょっと法務省に向かってくれませんか?」

 「む、またコア関連の話か?」

 「そうですね」

 「了解した。お前達はどうする?」

 「クロエは寝てるし、私は別に良いよー」

 「私も良いわよ。まぁ夜のドライブって感じだし、法務省からならホテルも近いでしょ?」

 「あぁ。じゃあ決まりだな、行くぞ」

 

 ラウラは秘書の様な雰囲気を醸し出しつつ法務省へと向かう。秘書らしさを加速させているのは掛けている眼鏡のせいだろう。かの戦いで両目が生体兵器になったラウラは両目に眼帯を着ける訳にもいかず、その良過ぎる視力を眼鏡で制御している。脚も長く、大人らしくなったラウラは正に出来る女性秘書、といった風貌だ。

 法務省の入り口に到着。勝手知ったるとはこの事だろう、雪菜は受付を顔パスで通ると、招待されている部屋へと入る。が、肝心の呼び出した人物が現れない。15分ほど経った頃、急いで1人の男性が中へと入ってきた。

 

 「す、すみませんね舞原さん......少し急な客が来てしまったもので...」

 「全くですよ轡木さん。で、どんなお客だったんですか?」

 「え゛。....本当に申し訳無いですが、言えません」

 「どうしてですか?私に言えない誰かとは、非常に気になります」

 「いえ、その、あの...何と言うか、ですね....兎に角言えません!」

 

 雪菜に追求され、たじたじになっているこの男性。実はIS学園の前理事長である。元々法務大臣は女権団の幹部だったが、女権団が解体されると同時にその座を引き摺り下ろされ、空席になっていた所を雪菜が推薦してこうなったのだ。推薦して、と言うより頭を下げてなって貰ったのだが、隠居してすっかり丸くなっている轡木は雪菜に敵わない。が、今回の頑なな拒み方はもうどう足掻いても聞き出せないだろうと悟ると、雪菜は本題に入ろうとした。

 

 「で、私が造るコアに関する条約は--」

 「あ、それならもう舞原さんの提案が全面的に通ります。篠ノ之束とは違い、数に限りがある訳ではないからか、あっさり各国は承認しましたね。......恐らく、彼の事もあるのでしょうが」

 

 そう、トップシークレットではあるが彼こと赤羽響介は世界に多大な影響を及ぼしている。と言うのも、彼と共に戦った仲間は彼を除き存命である。しかも、全員が特例でオリジンコアの所有を認められており、オリジンコアが回収されている関係上世界最強のグループになっている。

 基本的には国家間の面倒な事にはノータッチな彼女達だが、彼が望んだ平和な世界を壊す主張や思考を持つ国は自分達の全力を以て制裁する、という宣言をしている。故に、勝手な主張は出来ない。世界を救った英雄の言葉をスルーする事も出来ない為に世界で最も影響力を持つ者達とも言える。しかも彼はどの国家にも帰属せず、恩を返すには雪菜達に報いるしか無いので雪菜が提案する条約は先進国の全ては二つ返事で了承したのだ。

 

 「そうですか、有り難う御座います。では--」

 「すみません、この後も立て込んでまして....それに、明日は織斑くんと篠ノ之さんの結婚式でしたね!明日に備えて、休んだ方が良いと思いますよ」

 「ですが--」

 「良いから良いから、休みましょう!布仏さん、頼みますよ!」

 「ゆっきー、今日は帰っておこうよ~。残業の私の前で残るなんて許せないな~」

 「.....分かりました。では、失礼します」

 

 怪訝な表情をしたまま車に戻り、適当に風呂に入り髪を整え、眠りに就く。流石の長旅に疲れたのか全員夜更かしする事無く、あっさりと眠っていた.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -翌日-

 

 

 

 

 

 

 「皆さん、お久し振りですわね!」

 「ほんと、刀奈さんは2年ぶりで他の皆は去年ぶりくらい?懐かしく感じるなぁ」

 「お久し振りです、シャルにセシリア。鈴は何処に?」

 「ん、キッチンで料理してるよ。それにしても、鈴の進路には吃驚したよね~」

 「あぁ、まさかアイツが料理人とはな」

 

 そう、鈴は料理人になっていた。因みに刀奈はIS競技者、ラウラは軍人、雪菜は研究者、シャルロットとセシリアは社長、一夏と箒はIS学園で教鞭を取り、夏蓮とクロエは雪菜のアシスタントで、本音と虚は法務省に勤務している。

 

 「でも、2人が共同で社長をすると言ったのも衝撃でしたね」

 「うん。どんな感じだったっけ?」

 「確かお2人とも、マスターに頭を下げていたかと」

 「その話は止めて下さいまし!恥ずかしいですわ」

 「会社の儲けはどうだ?最近軌道に乗っていると聴いたが」

 「お陰様で上々だよ。お爺さんとお婆さんにも恩返し出来てると思うし、現状維持が目標かな?」

 「...そう言えば箒ちゃん、教え方が感覚派過ぎて分からないとか聴いた事があるけど、大丈夫なの?」

 「大丈夫らしいわよ。中々人気の先生みたい」

 「あら、鈴ちゃん。もう終わったの?」

 「えぇ。まぁこの場に居る皆の分だけですし、直ぐに終わりますよ」

 「それにしても、一夏も箒も律儀だよね。身内だけの結婚式と宣伝的な結婚式、2回するんだから」

 「仕方が無い話ですよ。彼等は世界の英雄も同然、結婚などという話になればマスコミが黙っていませんし、周囲を嗅ぎ回られるよりはマシだと考えたのでしょう」

 「まぁ大体そんな感じですね。...そろそろ時間です」

 

 貸し切りの教会。入り口から入ってくるのは白いタキシードに身を包む一夏と、父親と腕を組む箒。勿論ウェディングドレスだ。レッドカーペットを歩む2人、神父の言葉に誓うと答え、指輪を交換すると一夏はベールを捲る。元の素材が良いからか、薄いメークだが今までの何時よりも美しく見える。箒の喜びからか潤んだ瞳もあって何処か色っぽい。一夏は優しく、感謝を込めて唇を箒の唇に重ねた。

 それを見届ける者の反応もそれぞれだ。刀奈はキスを見て少し頬を赤らめながらも喜び、ラウラは何処か寂しそうな顔で2人を見詰める。シャルロットは友人の祝福を願って拍手を送り、セシリアは「末長くお幸せに!」と立って呼び掛ける。鈴は親の様に頷き、夏蓮とクロエは初めて味わう雰囲気に興奮気味で、雪菜はそれを見て微笑んでいる。

 

 「皆、今日は俺達の結婚式に来てくれて本当に有り難う!今日はあの戦いからちょうど1年だ。響介に感謝しつつ、皆で俺達を祝ってくれ!乾杯!!」

 「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」

 

 各々が自分の好きな飲み物を持ち、グラスを当てて涼やかな音を立ててから一気に飲み物を飲む。そして鈴が作った料理を食べつつ、一夏達に祝福の言葉を掛ける。

 

 「アンタは鈍いんだから、しっかりと箒の事見てなさいよ、一夏」

 「おう、相談した時は乗ってくれよ、鈴」

 「ったく、あたしに頼らない様にしなさいよ」

 「良かったわね、箒ちゃん。おめでとう」

 「ほ、本当に...夢みたいだ...!」

 「あぁもう、泣かないで下さいまし!折角のお祝いなのですから、笑って笑って!」

 「まさか卒業して直ぐに結婚なんてね。ねぇ、子供はいつ誕生するのかな?」

 「お、おいシャル!お前セクハラおやじみたいな事は止めてくれよ!ほら、箒が真っ赤だし」

 「シャルロット意地悪だね。ほんと、デビルシャルロットって感じ」

 「全くもって同感です」

 「えぇ!?じょ、冗談だってば~」

 「よぉ一夏に箒、結婚おめでとう。まだ俺の分の料理は残ってるか?」

 「あぁ響介有り難う!勿論お前の...料理も...」

 

 その瞬間、場の空気が凍り付いた。一夏を含めた全員が、余りにも自然に輪に入っていたが故に一瞬スルーしたが、此処に居るハズが無い人物が居たのだから。

 

 「..........ふぇ?」と刀奈

 「..........は?」とラウラ

 「.........え?」と雪菜

 「.........えぇ?」とセシリア

 「.........んん?」とシャルロット

 「.........ちょ」と鈴

 「.........?」と理解が出来ていないクロエ

 「..........まさかな」と箒

 「..........嘘だろ?」と一夏

 

 そして夏蓮が

 

 「....お兄ちゃん?」

 

 と言った瞬間、全員の意識は現実に戻される。それからは速かった。クロエを除く全員が響介に飛び掛かり、逃がさない様にして椅子に座らせたのだ。この間なんと5秒も掛かっていない。

 

 「お前、本当に響介なのか!?」

 「おう。逆に俺じゃなかったら誰だよ」

 「お前、いつ戻ってきた!?連絡くらい寄越せ!」

 「落ち着け箒、戻ったのは昨日だ。てか、お前ら番号変えてんだもん!掛けても出なかったわ!」

 「響介くんの....」

 「嫁の.....」

 「響介くんの....」

 「お、おう3人とも。久し振りだな」

 「「「バカーーー!!!!」」」

 「スタイリッシュ!!??!?」

 

 雪菜の鋭いアッパーでカチ上げられ、ラウラのボディーブローをマトモに喰らい、刀奈のビンタを右頬全体で受ける。オールクリティカルヒット、響介は死ぬ(大嘘)。

 満身創痍な感じで立ち上がり、もう1度椅子に座り直す響介。次は3人も落ち着いたのか椅子に座っている。

 

 「あー...いってぇ」

 「で、どうやって戻ってきたんですか?」

 「いやぁ、苦労したんだぜ?何日か経ったらやっぱ死にたくなくて、帰ろうとしたんだけど中々な速度で飛んでるから俺の残留エネルギーも辿れない訳だ。だから当てずっぽうな座標に飛んだんだよ。そしたら戦場に放り出されるわ弾幕?とかいう光る弾出してくる奴等に追い掛け回されるわで死にかけたけど、どうにか帰って来られた。何年経った?俺的に5、6年辺りだと思うんだが」

 「3年だよ、お兄ちゃん」

 「そっか3年か.....どうだ、この世界は楽しいか?夏蓮」

 「楽しいよ。妹分も出来たし、雪菜には働く場所も貰ったし、居場所が出来た」

 「そうか、なら良かったよ。多分お前なら、戻れなかったろうし」

 「....どうして昨日に姿を現さなかった?」

 「ん、まぁサプライズ、かな。先ずは一夏達の結婚式は轡木に聴いたから昼にレゾナンスでタキシード買って、後は色々」

 「轡木さんに?まさか、昨日法務省に居たんですか!?しかも昼にレゾナンス!?」

 「まぁな」

 

 つまり、雪菜は2度、他のメンバーは1度響介とニアミスしていたのだ。どちらも気付かず、又は入れ違いになった。

 

 「で、何か俺は特別な立場で法を曲げる事も出来るって言われたから曲げてやったんだよ」

 「法を...曲げた?響介くんが?」

 「そうだ。...あー、言うの照れ臭いわ。俺自身がサプライズだけど、もう1個だけ有るんだ」

 「....何ですか?」

 

 響介は懐から3つ箱を取り出すと、3人の左手を取って薬指にリングを着ける。そして顔を真っ赤にして言った。

 

 「...その、俺は確かに約束も守れねーロクデナシだけど、この為だけに日本の法を曲げられるくらいには3人を愛してるつもりだ。こんな俺で良ければ、まだ俺を好きでいてくれるなら、その...あれだ...うん、その...」

 

 まだ照れ臭そうにしていたが、彼は大声で叫んだ。

 

 「俺と、結婚して下さい!!」

 

 彼が曲げたのは重婚を禁じる法だ。日本だと重婚した場合禁固50年の刑に処されるが、響介はそれを自分の名前を使って自分達だけに限り適応されない様にした。喪い続けた自分への褒美、取捨選択など出来ない自分の為に。

 そんな事は知らない3人。余りにも予想外過ぎる事の連続に呆けてしまう。が、直ぐに現実に戻り、彼女達は返事をした。

 

 「こんな私ですが....変な響介くんには丁度良いですね」

 「フフ、私の愛は濃密だからな。感じるよりもずっと重いぞ、覚悟しておけ」

 「私が小さい頃から大切にしてきた愛情、大切にしてね?」

 

 全員の答えは勿論「YES」だった。響介は飛び上がり、上がったテンションのまま全員とキスをする。夏蓮ははしゃぐ兄を爆笑して見詰め、3人は喜びで出てきた涙で顔をクシャクシャにして笑った。周囲の全員も、仲間の帰還と永く続くだろう幸福を祝福し、笑って拍手した。彼の胸ポケットに入っていたオリジンコア(蓮菜のコア)は喜ぶように何度か点滅し、砂になって消えた。まるで、独り立ちを喜ぶ親の様だった。

 この幸福はきっと、末長く永遠に続くだろう...

 

 

 

 

 喪い続けた彼は空間を、次元を飛び越えて、自分達を縛る法を曲げてこの地球に舞い戻った。どんなに辛い事があろうと、どれだけ大切な存在を喪おうと、彼は踏ん張り、そして這い上がってきた。例え化け物と言われても、人だと誤魔化し続け、そして幸福を掴んだのだ。彼は生きる。想ってくれる人と共に、自らの生が続く限り。

 彼は言った。これからの人生を見据えた、その覚悟を。

 

 「俺達は、此処で生きるんだ」

 

 

 

 

 

  IS ~義肢義眼の喪失者~ 完




 はい、完結致しました。皆さん、この作品を愛読して下さり、誠に有り難う御座います。取り敢えずあとがきという事で、色々振り返ってみたいと思います。


 実はこの作品、前に2作品の踏み台...の様な感じの前段階の作品が有ります。知ってる人は多分知ってると思いますが、1作目は主人公無双の原作レイプ、2作目はアンチ過ぎて批判を喰らい、投げてしまいましたね。
 元々私は『インフィニット・ストラトス』という作品よりも前段階の主人公が書きたくて手を出した感じでした。それで新しい主人公にしたISを書こうと奮起、生まれたのがこの作品でした。

 読んで頂いた人なら思ったのではないでしょうか?「響介の正義やらブレ過ぎだろオルァン!?」と。確かにそうです。と言うより、私はそんな主人公を書きたかったのです。
 アニメやらの主人公は確かに迷ったりしますが、基本的には正義一直線です。昨今のラノベなどは違いますが、それでも自分を貫けますよね。ロボットSF系などは主人公が軍属だったりする関係上、正義一直線の風潮が強いです。でも、私は思うんですよ。普通の思春期の少年が戦いに放り込まれたら流されるだろ、と。
 現に響介は流れに流れて漸く終盤は主人公然とした主人公になりましたが、中盤のブレブレ具合は凄いです。
 そう言えば初期の方に『ブラック・ブレット』に似てると言われましたね。読んでみたら吃驚、本当に似てますし菫なんてほぼ一緒でしたね。まぁ途中はわざと寄せましたが()
 【御伽の国の破壊者】のメンバーは難産でした。最後は夏蓮と響介以外皆死にましたが、本来の役回りがこんな感じでした。彼女達に、感謝と尊敬を
 千冬と束は救わないのか?とも聴かれましたが、救いません。私は勧善懲悪は嫌いではありませんが、主人公側に適応されないのは嫌いなのです。主人公側に人殺しやらの過去を持っている癖に敵の罪を非難し、結局生き残る、というのが本当に嫌いです。千冬でも束でも、罪は償うものですから。響介達?...充分だと思いますがね。

 友人から【御伽の国の破壊者】メンバーのサイドストーリー、もしくは響介がやらかしたバッドエンドを見たいと言われました。基本的にこの作品は此処で完結ですが、要望が有れば喜んで書きます。どしどし感想を送ってせっついてやって下さい。

 


 話は変わりまして、次回作ですがSAOにしようと思います。オリジナル展開マシマシのヤツです。ダリフラも考えましたが、先駆者様の様に書ける気はしませんし、まだ序盤ですしね。....ロボット系はお腹一杯なの(ボソッ
 そっちは頑張りますので、私の作風が気に入ってくれた方は是非とも読んで、感想を送ってやって下さい。激烈にテンション上がります。
 え?艦これ書けよって?...アレは息抜きですから。


 此処まで拙作を読んで頂いた読者様。感想を送って頂いた方々、並びに評価をして下さった方々、本当に有り難う御座いました!本作はこれで物語に幕を閉じますが、皆さんの頭の片隅に響介達の生き様が残っていれば幸いです。
 約1年の間、本当に有り難う御座いました!

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