IS ~義肢義眼の喪失者~   作:魔王タピオカ

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 オリジナル設定をぶち込みました。すいません、許して下さい!何でもしますから(何でもするとは言ってない)!


黙殺された犠牲

 外に浮遊していたのは極彩色のISだった。まるで目立つ事がメインの目的である様な虹の機体は、嫌悪感を響弥に抱かせた。右手には雪菜を持っている。

 

 「昴、お前の友達か?」

 「そんな訳無いでしょう。あんなに目立つISは見た事が有りませんよ」

 『そう言うな。私はお前達と同類なのだから』

 

 聴こえてきた声は聞き取りにくい、濁った音声だった。まるで、機械を用いて声帯の代わりにしている感じだ。その極彩色の機体に響弥は最大の敵意を向けつつ喋りかける。

 

 「...へぇ、俺達と同類ねぇ。それは良いけど、どうして舞原に手を出した?」

 『決まっている、彼女はこの世に居てはいけない種類の人間だからだ。彼女の様に才能に満ち溢れる天才が、私達の様な時代の犠牲者を出していくのだ。危険の芽は早急に摘まねば、世界がまた悪い方向へと変革してしまう--』

 「--黙れよ」

 

 瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使い、一気に間合いを詰めた響弥は鬼百合を相手の左手を斬り落とすつもりで振る。しかし、相手が構えた左手の装甲に刃は阻まれ、若干傷を作っただけで終わってしまう。

 

 「響弥くん退いて下さい!アトミック斬!」

 『甘いぞ。君達の様に人として生きる事を諦めた私に、そんな中途半端な攻撃は効かん』

 

 昴が放った斬撃は、敵が左手を掲げただけで霧散してしまった。後ろから響弥が【骸火】による射撃を繰り出すも、それはヒラリとかわされてしまう。しかしそれは計算済みだった響弥は、瞬時加速(イグニッション・ブースト)して再び間合いを詰め、【八重霞】を使う。もう2度と同じ事は通用しないという事を理解しつつ、鞭モードの八重霞で背中を攻撃する。だが、それでも敵には届かない。後ろに回された左手に、刀身が掴まれたのだ。

 

 「なっ!?」

 『効かん、と言ったハズだ。もう抵抗は止めろ、同類を痛め付ける趣味は持ち合わせていないのだ。たかが技術者1人の命に何故拘る?私に付いてくれば、もっと腕前が良い技術者を紹介しよう』

 「っ、ざけんなよ.....俺の技術者は舞原雪菜だけで充分で、最高だ。俺の技術者は舞原以外有り得ねぇ!」

 『そうか、君がそう言うのならば--』

 「ゴハッ!!?」

 

 響弥はまるでハンマー投げのハンマーの如く投げられ、壁に轟音を立ててぶつけられた。SEは若干減ったものの、まだ機体は動く。そう判断した響弥の隣に、昴も同じく叩き付けられた。昴も同じだったのか、敵を見て僅かに頷いた。それが同時攻撃の合図だと解った響弥は3本指を立てて順に折り畳んでいく。響弥の指が全て折り畳まれた直後、2人は飛び出そうとした。しかし、全く機体が動かなかった。

 

 『--私がどんな存在か、少し話させて貰おうか。まぁ問題形式だが、君達が当てられればこの技術者の命が少し延びるよ。これがどういう意味か、当てて見せてくれ。()()I()S()()()()I()S()()()()()()

 「まさか、貴方はISと一体化しているのですか..?」

 『その通りだ、篠ノ之昴くん。いや、()()()()()()()()()?』

 「成功例...まさか、まさか貴方は!」

 『そう、私は君と同じ研究所の者さ。しかし、少し君とは違うけどね。君が施された所業の目的は飽くまで【男性操縦者を造り出す】事だ。対して私は、その途中で派生した目的の元にこうなった。それは--』

 「男性操縦者ではなく、【()()I()S()()()()()()()()】....違うか?」

 『....ククッ、その通りだよ、更識響弥くん。流石は【更識】の姓を持つ者か。そう、私は身体の中にISコアを移植され、高性能な義手義足の様な感覚でこの機体【極彩色の革命(ヴァイオレント・レボリューション)】を動かしている。其処は君と似ているかも知れんな、更識響弥くん』

 「俺の事を、知ってんのかよ....!」

 『当然だ。...と言いたい所なのだがな、教えて貰ったのだよ。【彼女】にな』

 「彼女、だと...?誰だよ、ソイツ」

 『それは契約上言えないな、悪いね。さて、そろそろ時間切れだ。--消えて貰おうか、舞原雪菜さん』

 

 【極彩色の革命】は雪菜を握る右手を下にゆっくり下げると、次の瞬間には雪菜を上に放り投げていた。そして懐からゆっくりと銃を取り出し、余裕が見える動作で、撃ち抜かれた時に響弥からバッチリ見える位置に移動してから引き金に指を掛けて--

 

 「--止めろォォォォォォォォォォ!!!!」

 

 命を容易く撃ち抜く弾丸が、放たれた。


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