ついに念願のスマホを手に入れたカツオ。しかし、あろうことか出会い系アプリに手を出してしまい…⁉︎

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カツオのスマホGO!

こんにちは!磯野カツオです。

先日スマホを買ってもらいました。

そのおかげで僕は今、彼女が8人います。

すべてフルーツクラブで見つけたよ♪

フルーツクラブってのは、いわゆる出会い系アプリの名前だ。

スマホ買って少ししてからね、

「あなたもフルーツクラブで可愛い彼女をゲットしませんか?」

というメールが来たんだよ。

 

そんでちょっとメールの内容を見ると。

「彼女や不倫、割り切った関係をお望みの方はきっと、本アプリが力になれると思います」

なんて書いてあるのよ。

よーし。いい女をガンガンゲットしてやるぜって即効、そこで登録したわけよ。

いやぁ。なかなかナイスだったです‼︎

ちょっと掲示板に

「母性本能をくすぐるボーズ頭の男です(爆)

そんな僕だから女の人には優しいよ(本人のコメントだから間違いなし!ホントホントだよwww)」

とか書き込んでみたら。

 

すぐにメッセージが来たよ、だいたい10分ぐらいでね。

「こんにちは、カツオさん。身長154cmでFカップのメグミです。

顔は黒◯徹子そっくりです。よかったらお返事ください」

こんな感じのメールが8通くらいな。ヒャハハ‼︎

もちろん“全部”に返事を出したよ。

いや~僕ってモテモテじゃん!

 

けど。実はこのアプリって有料なワケです。

そういや、みんな有料の出会い系アプリってどういうのか知ってる?

最初にポイントを購入するんだよ。1ポイント10円くらい。(この出会い系では)

ポイント購入は、銀行振込なんかだね。

それでそのポイントがアプリの掲示板の観覧、書き込み時にポイントが消費されていくかんじ。

アプリの掲示板は「こういう女性募集とか、こういう男性募集」っていう募集掲示板のこと。

 

あとそんで、メールを1通送るのに10ポイント(100円)

受信したメールを1通読むのに3ポイント(30円)使うんだ。

そんで、そのポイントを使ってメールするんだ。

あと、そういうポイントを使って(お金を使って)メールするのは男だけで。

女は無料らしい。

勉強になった?よくわからないだって⁉︎

 

だから。普通のドコモやEZのメールと違ってね。

メールのやりとりは出会い系アプリの中でするんだ。

つまり僕がメグミにメールを送るとする。

そんでメグミが僕に返事をするとする。

 

その場合はだ。

俺はメグミに送信して100円。

メグミからの返事を読んで30円。

合計130円使うってこと。

 

この説明でわからねえなら僕みたいに出会い系でもやってみてよ、有料の。

すぐにわかるよ!

 

けど。この出会い系アプリって有料だし。

結構お金がかかるんだよ。

その都度ポイント購入するのも面倒だったし、後払い式にして毎日鬼のようにメールしてたら…

 

今月53万も使ってた。。

 

 

あ、でも。確かにバカ高いけど俺には8人の彼女が出来たし。

まだメールのやりとりだけで会ったことないけど。

でも「今日はどんな下着履いてるの?」

って聞くとさ。

「今日は黒の下着だからちょっとエッチだよ」

なんて即効で返事が来るんだ。

 

 

もうたまらねえぜ

 

 

カオリちゃんだったら「磯野くんとはもう、口も利きたくないわ。フン!」

なんて言いそうだけどよ。

こんなに簡単に彼女が8人も出来るとはな。

 

おっと。調子に乗ってる場合じゃないね。

小学5年生の僕に53万なんて用意できるわけないし。。

どうしよう。

 

「あのね。出会い系アプリで53万も使っちゃったよ。テヘ♪」

 

なんて父さんに言えば払ってくれるかなあ。

いや、そんなワケないよなぁ。

 

「私の出会い系アプリの使用料は53万です。

ですが、もちろんフルマネー(全額)を出すつもりはありませんのでご心配なく」

 

かなあ。うーん、それも違うかな。

どこかの宇宙の帝王じゃあるまいし。

 

くそ。。どうしたらこの状況を切り抜けられるんだよ。

カツアゲやオヤジ狩りでもして稼ぐしかないかぁ。。

真面目にバイトとかしたいけど、小学生じゃ雇ってくれないしね。

野球のバットを、野球以外で使おうと手にした時…

 

カタカタとなんか音がした。

なんの音だろう?キーボードを叩く音のような。

マスオ兄さんが仕事でもしてるのかなぁ?

けど、うちにパソコンなんていつ買ったんだろう。

不思議に思ってその音に近づいた。

すると…

 

 

あ…なんかタラちゃんがパソコンしてる。

最近の幼児はパソコンまでするのかよぉ。

ちょっと生意気だねえ。まあ別にどうでもいいけど。

 

「あ、カツオお兄ちゃんですぅ~」

 

どうやら僕に気付いたみたいで、タラちゃんが人なつっこい笑顔を向けてくる。

なんて純真無垢な笑顔なんだろう。

さっきまで非行に走ろうと思ってた自分が恥ずかしくなってきた。

 

「あれ?金属バットなんか持って、野球でもするんですか?」

 

「あ、いや、うん。ちょっと素振りでもしようかなー、なんて思ってね」

 

タラちゃんの顔を見てたらオヤジ狩りなんてできないよ。

仕方ない。

メチャクチャ怒られるだろうけど、父さんに正直に言おう。

 

「有料出会い系で53万円も使ってしまった」ってね。

 

ありがとう、タラちゃん。

おかげで犯罪者にならなくて済んだよ。

よかったよかった、うん。

 

そういや、タラちゃんはパソコンで何をしてたんだろ?

多分インターネットかな?いやいや、

幼児だし、ちょっといじってただけかな?

 

「そういえばタラちゃん。パソコンなんて使うの?」

 

「はい。実は有料出会い系のサクラ会社を設立して稼いでるんですぅ~!」

 

「え?サクラ会社⁇」

 

「そうなんですぅ。フルーツクラブって出会い系なんですけど。

そこで女の人を装って、馬鹿な男共にポイントを消費させるって仕事です。結構儲かるんです♪」

 

フ、フルーツクラブ⁉︎

…もしかして、僕が使ってる出会い系じゃないよなあ。

おそるおそるパソコンの画面を見ると。

 

「フルーツクラブオペレーター画面」と出ていた。

それでもって…

下のほうには、タラちゃんがやりとりした過去ログが残っていた。

 

 

 

フルーツクラブ

 

カツオ⇔メグミ これまでのやりとりの履歴

 

カツオ 「今日はどんな下着履いてるの?」

メグミ 「今日は黒の下着だからちょっとエッチだよ」

カツオ 「へー。エッチだね。でも可愛いね」

メグミ 「本当?嬉しいな。カツオくんのほっぺに、ちゅう」

カツオ 「嬉しいな。良かったら、僕の彼女になってくれるかな?」

メグミ 「うん、いいよ♪会った時にはホントにホントにいっぱいギュッて抱きしめてね」

カツオ 「いっぱい抱きしめてあげるよ。ねえ直アド教えて」

メグミ 「うーん、どうしよう。けどカツオくんって恐い人じゃないよね?」

カツオ 「全然恐くないよ〜」

メグミ 「会った時にアドレス交換じゃダメかな。その時までのお楽しみにしたいし」

カツオ 「そうだね。メグミがそう言うならそれでいいよ。で、いつ会う?」

メグミ 「来月でも平気?今月はちょっと」

カツオ 「じゃあ来月、約束だよ」

 

 

 

……このカツオって僕じゃん。

じゃあ今まで彼女だと思ってたメグミってタラちゃんがサクラしてたってこと⁉︎

 

「このカツオって男、馬鹿なんですぅ。

あ、カツオっていっても、カツオお兄ちゃんの事じゃないですよ。

サクラに引っかかった愚かな男のことですぅ」

 

お、愚かな男って…

なんてことだ、今まで股間にテントを張りながらメールしてた相手がタラちゃんだったなんて。。

いやいや、けど俺にはまだ7人の彼女がいる。

このメグミはサクラだったにしろ、他の女の子はそうじゃないはずだよね…!

 

「しかもちょっと笑えますよ、このカツオって人。

このメグミ以外にも7人の人とメールしてるんですけど。実は全員僕のサクラなんです。

しかも1ヶ月で50万以上使ってますしね。

よっぽどヒマなんですえ。まったくおバカさんです」

 

ガーン‼︎

 

今まで僕の費やした時間と53万円って一体。。

じゃあ僕が彼女だと思ってた8人は全員、タラちゃんのサクラキャラじゃないか!

 

「カツオお兄ちゃんも時間があったら、手伝って欲しいです。

僕とイクラちゃんだけじゃなかなか忙しくって」

 

あ、なんか、どーでもよくなってきた。

るーるーるるるるーる。。

僕はショックのあまり、暫く立ち尽くしていた…

 

 

 

その夜、勇気を出して父さんに

「出会い系で53万も使ってしまった」

と言う決心をした。

絶対に怒られる。と父さんの雷を予想していた。

 

 

けど、意外にも父さんは怒らなかった。

 

「そうか。カツオもフルーツクラブのサクラに騙されたんだな」

 

「え?カツオもってことは、もしかして父さんも?」

 

「そうなんだ。ワシなんて先月265万も使ってしまったよ」

 

いやぁ。さすが親子だなーって思ったね。

後でわかったんだけど、

マスオ兄さんとノリスケおじさんとアナゴさんと花沢さんのお父さんとサブちゃんとイササカ先生とジンロクさんと担任の先生と中島と堀川くんとタケオくんと裏のおじいちゃんも騙されてたらしい。

 

み〜んな騙されてたってことで、今日もアッハッハと磯野家ではいつもの楽しい笑いがあった。

めでたしめでたし……かなあ?

そろそろ家庭崩壊しそうって思うのは考えすぎだろうか。



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