ジュエルス・ストラトス~宝石の海に浮かぶ無限の願い   作:カオスサイン

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ロクアカも執筆したいいいー!…




EPⅤ「願いの守護者と入学、クラス代表決定戦 中編」

Side箒

「一夏?お前なのか?…」

私、篠ノ之箒は今、鈹岸と名乗り急遽クラスに編入してきたもう一人の男性IS操縦者を見て驚きを隠せなかった。

苗字は違うが名は同じであるし容姿もどこか私の知る一夏に良く似ていたからだ。

私の知る一夏は世界初といわれた一番目の男性操縦者であり、実の兄である依秋に出来損無い扱いで陰湿で酷い苛めを受けていた。

私はなんとかして何度も依秋の取り巻きを含む彼等が行っていた苛めを止めようと試みた事はあった。

彼等の姉である千冬さんは話を聞いてくれる暇などなく仕方無く居所を転々としていた束姉さんにメールや電話で何度も何度も相談したのだが…。

『よっくんが苛め?

そんな筈ないよ!何かの間違いか冗談でしょ?…』

「!?」

束姉さんは私の話なんか全く信じる所か真面目に聞いてさえもくれなかったのだ。

束姉さんはアイツにすっかり騙され御執心だった事を確信してしまった私はそれから一切の連絡を絶っていた。

だが二年前にドイツで一夏が誘拐されてしまう事件が起きた。

勿論この時だけ姉さんに探して貰える様に頼んだのだが最早彼女は依秋以外の事に興味を失くしてしまっていたせいで全然とり合って貰えなかった。

現状まで欠陥品でしかないISを造って可笑しな風潮を拡散させる様な真似をしておいて責任など一切とっていない彼女は一体何がしたいのかは今はもう分かりたくもない。

結局一夏は誘拐犯に殺されてあのまま亡くなってしまったのかそれともまだ何処かで生きていてくれているのかは分からず仕舞いで千冬さんも私も傷心していた。

只一点、あの屑達だけは狂喜していたようだが…私は心の底からとてつもない怒りと悲しみを感じて以降自身から一切依秋に近付く事はなくなった。

あの時の己にもっと力があればと悔いるばかりの時間が過ぎていった。

だがある日なんだかとても不思議な感じがする宝石を拾って少しだけだが驚くべき事が起こったのだ。

数日後、なんとあの屑の主導で一夏を苛めていた奴等の内の数名が投獄されたのだ。

勿論一夏に対する苛めの件ではなく別件の犯罪だった様だが…私は少しだけスッキリしていた。

このままあの屑達も地獄にとでも思っていたがよもやISを動かしてしまうは予想外だった上に束姉さんが簡単に役人達に捕まる様な天災ではない事は分かっていたので願いは願う前に潰されていた様なものだ。

しかし…見れば見る程そっくりだ…。

「ってン?…」

私は観察していてふと気が付いた。

鈹岸の右肩になんか小さい機械染みたドラゴンみたいな生物らしきもの?が見えたからだ。

なんなのだアレは?…クラスメイト達は愚か千冬さん達教師もその物体に特に気が付いている様子は見られない。

もしや私にだけしか視えていないとでいうのだろうか?…

ジーッとソレを見つめていると少しだけソレも此方を見てきた様な気がしたのだが…。

「一体?…」

私は気になって仕方無かったので彼に話しかけようとしたのだがイギリスの代表候補生が話かけていた上その話が丁度終わった所で次の授業が始まってしまったので出来ず仕舞いであった。

 

放課後

Side刀奈

「くぅっ…」

先日の正体不明の化物の襲撃においてあの一方的な蹂躙のせいで傷が癒えない者が少なからずおり誰も口にする事がなかった。

私自身はまだ良いがミステリアス・レイディはあの化物の尋常ではない攻撃によって大破させられてしまい修理が難航していた。

世界初、第2のIS男性操縦者の出現で世界は更なる混沌が渦巻いているというのにこれでは…。

「織斑依秋君は何の変哲も無い初代ブリュンヒルデ、織斑先生の弟、だけどもう一人は…」

突如として湧っき出てきたもう一人の男性操縦者である鈹岸 一夏君についてはほとんど分からなかったのだ。

私は彼に不信感を感じずにはいられなかったが…。

「お前が更識の次期当主だな?」

「え、ええそうよ…そういう貴方は編入生の琴代キラさんよね?…

貴方…いえ鈹岸君を含めた貴方達は一体何者?」

完全にノーマークであった私と同じクラスへの編入生の一人である琴代さんに私は長ドスを突き付けられていた。

「その質問への回答は警告を以て答えよう。

だがな、たかが一部に過ぎない暗部の小娘如きに「我がカルテル」の情報を知る必要は無い…おとなしく手を引けば貴様の身の安全は保障すると約束しよう」

「…わ、分かったわ…」

「フン…」

私は彼女を含む編入生が鈹岸君と何らかの関係があると踏み質問したが案の定多くは答えてもらえなかった。

私は琴代さんに解放された後急いで実家に連絡を入れてこの件を伝えた。

すると帰ってきた反応は

「『何!?…刀奈良く聞いてくれ…その組織には一切手を出すな!

いくら更識家でもあれを敵に回すのは非常に不味いのだ!…』」

「どういう事です!?…」

「『とにかくだ!』」

「ああ!?…」

父にそれだけ言われ通信を切られる。

「我がカルテル…」

私は計り知れない恐怖を抱いていた。

 

Side簪

「織斑依秋…」

突如出現した男性操縦者の専用機制作の為に私の専用機開発が凍結されてしまい自分で制作する事になり私は憤慨していた。

何故たかが一人の為に私のだけが凍結されなきゃいけなかったのかと。

「うーん…気分転換がてらに予備パーツ買いにいくかな…」

機体制作が上手くいかずにいた私はそう言い聞かせ外出する。

「キャ!?…」

「あ、ごめんなさい!…」

その帰路の最中、寮の門限が迫っている事に気が付き慌てていた私は誰かとぶつかってしまう。

「良いよこっちも慌ててたから…」

「そ、そうですか…」

向こうの女性もすぐに謝罪してきたのでそのまま別れた。

「ん?…コレは…」

女性が立ち去った後ふと見ると赤い角錐の宝石が落ちていた。

これってあの人の落し物?…

「うっ!?…今のは?…」

宝石に触れた瞬間、私は一瞬だけ眩暈を感じた様な気がした。

ほんの一瞬だった為あまり気にかける事はなく私はそのまま帰った。

 

Side?

「…彼女なら大丈夫だよね?…」

彼女の名は草壁 真珠。

以前の事件に巻き込まれ自身の弱さに付けこまれ力を暴走させていた事もあったが見事それを乗り越え己自身の強さを得て成長した。

彼女はもう自分には必要無いと魔石「無銘の華」をワザと落とし以前の自身「空っぽ」を簪に感じ重ね託したのだ。

「後の事は頼むね…アルラウネクイーン」

「任せておけ」とかつての己の影とも相棒ともいうべき存在の声が彼女には聞こえていた。

 

 

 




次回、「私は!…」
「ははっはは!これがISの力か!」
始まる戦いの幕開け。
淑女の願いは歪み混沌と化する。
「それがお前が叶えたい本当の願いなんだな?
その願い俺が守ってやる!」
「願いの守護者と入学、クラス代表決定戦 後編」

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