ジュエルス・ストラトス~宝石の海に浮かぶ無限の願い 作:カオスサイン
Side一夏
「お呼びでございましょうか?卿」
多くの謎を生み残したままIS学園襲撃未遂事件が幕を閉じた翌日、俺はオッペンハイマー卿に呼び出されていた。
恐らくはアレの件であろう。
「うむ、一夏君貴殿の専用機が完成を迎えたのでな。
早速だがテスト運用をしてみたまえ」
「は!これはありがたき幸せ!
では早速やらせて頂きたいと思います!
試運転に付き合ってくれるな武流?」
「ああ、勿論だ!
シュミレーターは奥の部屋に配置してあるぜ」
「おお!ありがとな!」
武流の了解を得て早速テスト運用を行う事にした。
「凄え!…この機体確かにダールの力を完璧に再現出来ているじゃないか!」
「ガウ!」
一次移行を終え確認してみる。
その機体能力がダールの持つ力を完璧に再現出来ていた事に俺は驚いた。
「これからよろしくな「紫玉宝龍」」
~そしてIS学園入学の日~
「来たか。私が孔雀、琴代 キラだ。
私は一夏君、君の協力者として二年に編入する事になっているからよろしく頼む。
って零戦、頭の上にはいつも乗るなと言っているだろう!っては!?…」
「ニャー~♪」
「あはは…これからよろしくお願いしますね琴代さん」
「ああ…」
学園前につくと三人の少女がいた。
件の組織の協力者の内の一人が彼女か。
武流に聞いていた人物像とはちょっとギャップがあるな。
しかし猫に零戦なんて名前を付けるなんてぷプ!…
「わ、笑うな!///~」
「はいはい」
琴代さんが顔を超真っ赤にしていたので弄るのをやめる。
「お久し振りですね一夏さん!」
「ISを動かしたのって一夏だったんだね」
「本当に久し振りだなこはくさん、それに狐夜音…もう一人の助っ人ってお前だったんだな」
「うんそうだよ!」
一人は武原こはくさん、八尋さんの事件で巻き込まれた元一般人のジェムマスターだ、
元々不治の病を患っていて余命幾許もなかったのだが武流が願った事により現在では病気もすっかり完治し現在は兄の晃一さんと共に我がカルテルに身を置いている。
晃一さんは魔石を所持していないが彼女の保護者として身を置かせて貰っている。
そしてもう一人が二年前の俺と同じくアゲイルの人工緋赤眼実験の被害者であり俺の恋人でもある弓花 狐夜音だった。
彼女達は八尋さん主導の部隊員で動いていた為こうして会うのは本当に久し振りなのである。
「じゃあ、いきますかね」
「「はい!」」
織斑一夏としてではなく生まれ変わった鈹岸一夏として俺はこの任を成し遂げてみせる!
Side?
「へへへ…ようやくこの時が来たぜ俺はこのビッグウェーブに乗るぜえ!」
彼は織斑 依秋。
テンプレの如く…とは言い難い死に様(浮気しまくって二人の女性に刺された)で神に転生して貰った元一般人である。
特典は一夏のポジションを奪い約束された生を送る事だった。
その為に彼はあらぬ噂を流し一夏を苛め抜いてきたのだ。
だがそれがもうすぐ…というよりもう既に脆く崩れ去っている事を彼は知る由もない。
「?山田先生何故此処に空席があるんですか?」
「ああ、すっかり言い忘れていましたが急遽編入生が入る事になったんですよ」
「?…」
自身の持ち得る原作知識の中では全く見覚えの無い空席が三つもある事に疑問を感じたが山田先生から訳を聞き依秋は気にする事もなかった。
「「すいません遅刻しました!」」
「あ、まだ大丈夫ですよ!」
「なっ!?…」
慌てて入って来た編入生の内の一人を見て依秋は驚愕した。
少しばかり変わってはいたが紛れも無い一夏だったからだ。
Side一夏
「…」
チッ!…よもやあの糞兄貴と一緒のクラスに編入されるとは予想外だった。
だがもう俺はあの時の出来損無いだった自分とは違う。
もう絶対にアイツなんかに奪われてなるものか。
「ガウ?…」
「大丈夫だダール…」
ダールが俺の様子を心配したのか周りをウロウロしていた。
ちなみにダールの姿は俺が認識阻害の術をかけているのでジェムマスター、もしくは魔石を持つ者でなければ見る事が出来ない。
「「も、もう一人の男子ィー!?」」
クラスメイト中から黄色い悲鳴が上がる。
五月蠅っせえ!
「どうか皆さん落ち着いて下さい。
俺は鈹岸 一夏です。
先日の調査でISを動かせる事が判明致しましたので急遽入学が決まりました。
どうぞよろしくお願いします」
「「キャアァァー!」」
「ぐふぐふ…これで夏コミの題材は決まったも同然ね!」
落ち着かせる所か火に油だったな…。
そしてそこ!何を考えてる!?
悪寒がしたぞ…
「私は弓花 孤夜音です。
あ、後一夏は私の大事な彼氏さんだからそういう事で!」
「「!?」」
狐夜音が俺の彼女宣言をすると声にならない悲鳴が聞こえてきた。
「なっ!?(出来損無いの分際で戻ってきやがったのはあきたらずあんな可愛い彼女持ちだと!?絞りカス如きが!…)」
只一人依秋だけはドス黒いオーラを出しながら一夏を睨みつけていた。
「はあ…よくもこれだけの馬鹿者達が毎年集まるものだな…]
「!」
織斑 千冬か…元姉も此処で教師をしていたんだな…でも今はそんな事に興味は無い。
それから色々あってクラス代表を決める事となっていた。
「はい!織斑君が良いと思います!」
「なら私は鈹岸君を!」
「え、俺!?」
「…」
糞兄貴はクラスメイト達の他薦に戸惑っていたが俺は任務の事がある為この件に一切興味はなかった。
だが…
「お待ち下さい!いくら男性操縦者が珍しいからという理由だけで決めるなど邪道ですわ!
こんな極東の島国でそんな屈辱を味わえとでもいうのですの?!」
イギリス代表候補生のセシリア・オルコット女史がそんな事を言い放ってきた。
「はん!イギリスだって大したお国自慢ないだろう?」
「なんですって!?」
「あわわ!…」
はああの馬鹿兄貴…売り言葉に買い言葉で二人の喧嘩は勃発した。
ていうか山田先生はあたふたしていて賢姉殿はというと只、傍観しているだけだった。
おい仮にも教師ならば彼等を止めろよ。
「オルコット、織斑そこまでにしておけ!
自分達の発言が何を意味しているのか分かっている筈だろう?」
「何!?…だがコイツが…」
「くっ!?…」
仕方無く俺が仲裁に入るが糞兄貴はやはり以前と全く変わらず己の意見を押し通そうとしているのが分かる。
一方のオルコットは俺の指摘に何処か思う所があったのか押し黙っていた。
「…決闘ですわ!」
「ああ、いいぜ…四の五いうより分かり易い!」
「はあ…」
結局こうなるのかよ…
「先生、私も立候補します。
一夏君を馬鹿にしたのは許せないから」
「!?」
「ヒッ!?…」
「狐夜音お前…」
久し振りに笑顔なのだが何処か黒いオーラを感じさせた狐夜音を見て糞兄貴とオルコットは怯えていた。
「ああ、まあ良いだろう。
日程は三日後とする、
織斑、オルコット、鈹岸、弓花は準備をしておけ」
かくしてかなり理不尽だが新たな戦いの始まりの火蓋がきられたのだった。
次回、「お前は…あの一夏なのか?」
「箒…」
かつての幼馴染の決意とは?
「願いの守護者と入学、クラス代表決定戦 中編」