ジュエルス・ストラトス~宝石の海に浮かぶ無限の願い 作:カオスサイン
プロローグ
Side?
「ぐっ!?…」
なんだってこんな事に…俺の名は織斑 一夏。
家では厄介者、疫病神扱いされ、欠陥品のパワードスーツであるISが登場してからもずっと他人には出来損無いの烙印を押され、心の底から信頼出来る者は指折り数える程しかいなかった俺の人生。
糞兄貴に言われて嫌々ついてきたまではいいがまさか姉の世界連覇を止める為に自分が誘拐されちまうとはついてないな…俺も誘拐犯も…。
「俺なんかを誘拐したのはミスだったな…やるんだったら兄貴の方にするべきだったぜ?俺は出来損無いだからな…」
「ああそうかいならお互い来世に期待しようぜ」
自分で言ってて普段なら悲しくなってくる筈なのだがようやくこの理不尽な世界から解放されると涙が一滴も流れなかった。
「まあちょっと待てよ。
此奴も腐ってもあのブリュンヒルデの弟だ。
他に何かしらの商品としての価値はある筈さ」
「それもそうだな。
よし、坊主こっちに来い!」
「…」
…その筈だったのに誘拐犯一味の一人がしてきた提案により俺は何処かの研究所に売り飛ばされてしまった。
まだ俺に惨めな生き地獄を続けろとでもいうのか…。
「ぐああああー!?」
それからというもの日々、下種な科学者達による実験により俺はより一層狂わされていった。
「じ、実験は成功だ!我々の未来は明るいぞ!」
俺に施した実験が成功したと科学者達は飛び上がって狂喜していた。
何が明るい未来だよ…地獄の間違いだろ?
そう思いながら彼等を睨みつけていると
ドーン!と突如凄まじい爆音が鳴り響く。
「な、何事だ!?」
「部長!奴等が此処に攻め込んで来たようです!」
「何ィ!?折角実験に成功したという時に…ええい!なんとしてでも迎撃し此処を死守しろ!良いな?!」
「は、はい!…」
何者かにこの研究所を襲撃されたらしく武装した研究員達は慌ただしく迎撃に出て行った。
「…ウッ!?…これは!…」
その直後、俺は激しい頭痛を感じた。
先程まで行われていた実験のせいか?嫌、それだけではない…何かが俺を呼んでいる気がする…。
俺はそんな気がしてフラフラとした足取りで歩き出していた。
「しまった!?成功体が逃亡してしまっているぞ!オイ、何をしている?早く奴を捕獲しろ!」
「チッ!…」
がすぐに奴等に見つかってしまい必死に逃げ出そうと試みるも足下がおぼつかない為咄嗟には動けずにいた。
「撃てー!」
「しまっ!?…」
放たれた銃弾に俺は恐怖し目を瞑る。
すると不思議な事に痛みは襲ってこなかった。
「はあはあ…これだけの銀を撃ち込めばいくら成功体といえども満足には動け…なんだと!?…」
「え?…」
それ所かとても不思議な感覚を感じていた。
リーダー格の男も驚きを隠せないといった表情で立ち尽くしていた。
一体何が?…そう思って目を開けると…
「!?」
「グアアァーー!!」
紫色の綺麗な翼を持つ機械仕掛けの龍が俺の目の前に現れ視えない壁いわばバリアらしきもので銃弾を防いでくれていたのだ。
「お前は…俺の味方なのか?…」
「グアー!」
俺の声に答えるかの様にその龍は高らかに咆哮していた。
「ひ、怯むな!たかがジュエルガイスト一匹如きだ!残りの銀を奴に集中しろ!」
「は、は!」
男はこれでもかといわんばかりに龍に向けて銃弾を放ってくるが全てバリアに弾かれていた。
「こ、こんな馬鹿な事が!?…」
「グアー!」
「そうだな…まずは俺を助けてくれ!」
「グアァー!!」
「うわあああー!?…」
再び俺の声に答えた龍は咆哮を上げたかと思うと翼を広げ歯車を象った弾丸を防衛員達に向けて放った。
「さて、どうしてくれようか…」
「ひ、ヒイ!?た、助けてくれ!」
見苦しく命乞いをしてくる残った男をどうしてやろうかと模索していたその直後、ドゴーン!と再び大きな音が響いたかと思うと付近の扉が破壊された。
「アゲイル・ベイツその他一味!お前達は既に組織の裏切り者として手配されている!おとなしく「我がカルテル」から奪い、持ち去った魔石を全て返却するんだ!さもないとあらゆる手段を以て粛清する!…って何だこの光景は?」
「…」
なんだか自分でも訳が分からない状況になったが突然現れた男の目に入ったら間違い無く面倒事に発展すると思った俺は早々に逃げる準備をしようとした。
「ムッ!?アレはジュエルガイストじゃないか!」
「待ってくれ!ソイツは敵じゃない!」
「チッ!お前がジェムマスターか!?」
「話を…聞いて…くれ……」
「お、おい!?…」
すぐに気付かれてしまい仕方無く応戦する事にした…のだが体力の限界を迎え俺は倒れてしまった。
かなりマイナーだけど知っている人いるかな?…