無/霊タイプの厨ポケが現れたようです   作:テテフてふてふ

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02:らぐなろく

【朗報】二次元の美少女、三次元になっても美しかった。

 

 

 

いや、俺の目の前にあのシロナさんがいるわけなんですが……なんやこの別嬪さんは。会って二秒で求婚しそうになったんだけど。アローラ求婚である。

 

……ゆきふらしの影響もあってか、随分と寒いネタになってしまったようだ。自重。

 

しかしまあ、自分から持ちかけた話とはいえ、あのシロナさんとバトルする事になるとは、感無量と言ったところか。このお姉さん、ゲームでは随分とメチャクチャやってくれていたので、リアル(ここをリアルと称して良いのか分からないが)では逆にメチャクチャにしてやりたい所ではある。いやらしい意味じゃないからね?

 

「噂はかねがね聞いているわ、マキナ」

 

シロナさんが近づいてくるなり、至ってフランクに話しかけてくださる。

 

 

あ、駄目。好き。顔がニヤけちゃう。

 

 

「シロナさん程の方に注目されると、どこかむず痒さを感じますね。……お手柔らかにお願いします」

 

ビックリしちゃうほど棒読みになってしまう。女の人とまともに会話すんの何年ぶりか分かんないんだけど。

 

あかん、緊張で手が震えてきた。童貞の弊害がこんなところにまで……泣きそう。

 

そんな情けない様子の俺を前に、シロナさんはクスリと微笑む。余裕たっぷりに目を細めて、俺の事をじっくりねっとりと観察している。

 

きっと、彼女の考えている事はこうだ。

 

『ふふ……緊張しちゃって。かわいいわ』

 

脳内再生余裕でした。おねショタとか全然ありだと思います。ショタと呼べるようなツラじゃないですけど、俺。

 

「見た所、ポケモンを三匹しか持っていないようだけど…あたしも三匹にしようかしら?」

 

外見が美しい女性は心も美しい説を提唱させていただきます。

 

だが、その提案に乗るわけにはいかない。それでは本来の目的を果たせなくなってしまう。

 

「それには及びません。手を抜かれる事ほど、面白くない事はない」

 

だって、手抜かれて負けたら「ねぇ、なんでポケモンバトルしてるの?生きてる価値あるの?お家帰って?生きてる価値あるの?呼吸止めて?」とか言われても仕方ないし、勝ったら勝ったで「いや、今の本気じゃなかったし。ノーカンだし」とか言われかねない。そうなってしまった場合、もはや何の為にシロナと親善試合をしたのか分からなくなってしまう。

 

「……わかったわ。ならば、お互いの全力を尽くすのみよ。……ミカルゲ!!」

 

「オンミョーン!!」

 

初手はおんみょ〜んか。シロナさんもそれなりに考えてきているようだ。

 

『頼んだぞ、アロフォーネ』

 

新品同様のゴージャスボールに念を飛ばし、大正義アロフォーネちゃんを繰り出す。

 

この子は、ミミッキュやゲンガーを捕まえようとメガやす跡地に突入した際、たまたま現れた()()しんれい(心霊)ポケモンで、外見はゴシックに身を包んだようなフランス人形のポケモンだ。

 

タイプはノーマル/ゴーストと、ゲーム(あちら)では解禁されていない複合タイプで、特性は恐らく「ふゆう」だ。

 

能力としては馬鹿みたいに高い特攻と素早さ、高めの特防、頼りない物理防御が特徴だ。

 

どうやら心霊現象のポルターガイストをモチーフにしているのか、音技をほぼ全て覚える。それ以外の技範囲もやたら広く、絵に描いたような高速特殊アタッカーだ。

 

メインウェポンは、威力140のノーマル音技「ばくおんぱ」と、彼女の専用技と思しきゴースト音技「ポルターガイスト」。

 

ポルターガイストは、威力90命中100のハイパーボイスをそのままゴーストタイプにしたような技で、稀に相手を混乱させる追加効果がある。確率にして10%くらいか。

 

この二つだけでもかなりの等倍範囲だが、残念ながら今回のシロナ戦では、ばくおんぱはルカリオに受けられるだろうし、霊技のポルターガイストは誰にも刺さらない。サブウェポンのきあいだまとムンフォとフリーズドライで強引に突破するしかない。

 

初手でふいうちが来た時点で詰むので、ふいうちを食らったら初手降参もあり得る。そうなったらシロナさんが降参読み降参をしてくれる可能性に賭けるしかない。

 

『ますた、まがまがしいぽけもんがいます。ここはせんりゃくてきてったいを』

 

そんな事を考えていたら、ビクビクと怯えながらミカルゲを観察していたアロフォーネが、交代を所望してきた。

 

いや、ゴーストタイプがゴーストタイプを恐れてどうすんの。お前の方がよっぽど禍々しい雰囲気あるからね?

 

チキンすぎるアロフォーネを叱咤激励し、ムーンフォースを指示する。

 

 

「ミカルゲ、あくのはどう!!」

 

 

セーフ。

 

特殊型のミカルゲでした。どんな育て方をしているかは分からないが、よっぽどでなければ確定一発で落とせるだろう。

 

ゲンガーすら抜けるアロフォーネがミカルゲに抜かれるわけもなく、上からムーンフォースを確実に当てていく。やはりミカルゲは一撃で落とせた。

 

会場のモブ共は、アロフォーネの厨性能に開いた口が塞がらないといった様子だ。ブハハハハハハ!!しかとその目に焼き付けるんだな!!この俺(のアロフォーネ)が頂点に君臨しているという事実を、今一度改めて認識するが良い!!

 

 

まあ、ぼうおんバリヤードで止まるんですけどね。

 

 

『ますた、くちほどにもないおんみょーんでしたね』

 

 

アロフォーネがドヤ顔でこちらをチラ見してくる。いや、さっきまでくっそビビってたやんか、お前。

 

「驚いたわ。まさか、あたしのミカルゲが一撃で倒されるだなんて……いいわ。あなたの力、もっと見せて!!」

 

あ、俺の力じゃないんで、そこんとこ間違えないでくださいね。この子の種族値配分がちょっと頭おかしいだけなので。

 

そんな俺の抗議をよそに、シロナさんは次のポケモンを繰り出す。

 

わぁお、ミロカロスじゃん。実物ってこんなに美しいんですね……なんか気品のようなものが満ち溢れている。

 

生のミロカロスに感動していたのだが、それよりも気になる事があった。

 

 

シロナさんのミロカロス、眼鏡っ子属性持ってるんですが。

 

 

え、あれこだわりメガネ?この世界来てから、初めてまともな持ち物を見た気がするんだけど。

 

やるきルガルガンに、カゴのみを持たせている舐めプ野郎がいるくらいだからな、この世界。

 

『ますた、このままでは、びしょびしょのぬれぬれになってしまいます。てったいめいれいを』

 

ガタガタと震えながら、まるでナイフを振り回す殺人鬼でも見ているかのような目つきでミロカロスを見据えるアロフォーネが、SOS信号を送ってくる。

 

女の子がぬれぬれとか言ってはいけません。というか、なんで事ある毎に撤退命令を所望するんだお前は。

 

しかし、特殊受けを相手に殴り合っていても仕方がないし、アロフォーネには恐らく後続に控えているであろうルカリオに対する役割が残っているので、いたずらにHPを削る訳にはいかない。

 

ここはセオリー通りにナットレイを投げる。

 

「ミロカロス、ハイドロポンプ!!」

 

正面から眼鏡ミロカロスのドロポンを受けたナットレイは、凄まじい水圧に押されてぶっ飛ぶ。

 

 

え、思ったより食らってねえか?

 

 

ナットレイはいつも通り、目半開きのポーカーフェイスで実際どうなのか全く分からないが、想像以上にぶっ飛んだぞ、今。

 

 

…シロナさんのミロカロスが個体値VひかえめC極振りと仮定したら、乱数三発くらいだろうか?想像してたより余裕ないんだが。

 

 

それでも、ナットレイの鉢巻パワーウィップならば確定一発だ。シロナにとって不利な対面である事は確かだ。

 

実際、シロナさんめっちゃ嫌そうな顔してるし。分かるよ、その気持ち。こだわってる状態で不利な対面にされた時って、マジで頭くるよね。レート潜り始めたばかりの頃の俺も、なんやこの糞アイテムと思って珠ばかり使っていたし。

 

この状況でミロカロスを居座らせてドロポンを連打してくる程、シロナさんの頭が残念だとは思いたくない。そのへんにいる一般トレーナーならやってきそうではあるが、チャンピオンともなれば流石にポケモンを変えてくるだろう。というか変えてください。

 

まあ、間違いなく草技を受けにくるので、パワーウィップは選択肢に入らない。ゲームでの手持ちとこちらの世界の手持ちが共通しているのならば、ルカリオかトゲキッスあたりが出てきそうだ。

 

トゲキッスを確定一発で落とせるジャイロボール安定だな。ルカリオは当然落とせないだろうが、耐久の高いポケモンではないので、半分以上は削れるはずだ。

 

何より、ルカリオでさえ落とせるかどうか微妙な「じならし」を打って、トゲキッスを無償降臨させてしまっては、ポケモンを引退した方がいいレベルだ。

 

ここはジャイロボール以外ありえない。

 

「ミロカロス、戻って!!」

 

『チャンピオン・シロナ、ミロカロスを引っ込めます!!ナットレイの草技を恐れたのでしょうか!?』

 

実況と観客が、シロナの選択に驚きを隠せないでいる。

 

いや、僕はあなたたちが驚いている事に驚きを隠せないんですが。

 

「耐えて、トゲキッス!!」

 

出てきたのはキッスか……大方、文字でナットレイを焼こうとでもしたのだろう。

 

指示通りに、ナットレイはトゲキッスにジャイロボールをぶちかます。当然、確定一発だ。

 

 

「そんな……どうして!?」

 

 

あ、シロナさんが、デンジュモクに交代読みめざ氷をガブリアスにぶっ刺された時のレート厨みたいな顔してる。

 

 

『ああっと!!一撃!!またしても一撃!!チャンピオン・シロナのトゲキッスは、ナットレイのジャイロボールを前に果ててしまいました!!』

 

 

よしよし、なかなかいい感じにサイクルが回っている。手持ちの数に差がある時点で、ダメージレースはこちらが圧倒的に不利だからな。的確に相手の弱点を突いていきたい所だ。

 

 

「…………」

 

 

……なんか、シロナさんが人を殺せそうな目で俺の事見てるんですがこれは一体。

 

「………マキナ」

 

 

……シロナさんは、今にもこちらを噛みちぎってきそうなほど、ドス黒いオーラを放っている……ように見える。数分前までここにいた女神は、一体どこへ行ったんです?

 

 

「……なんでしょう」

 

 

「あなた、あたしの考えている事が分かるのかしら?」

 

 

分かりたくないんですけど。

 

 

「……ご冗談を。人を勝手にエスパータイプにしないでください」

 

 

俺の知る限りでは、超能力を使える人間はエ◯パー伊東さんくらいだ。テニスラケットをくぐるとか、これはもうエスパー以外の何者でもない。エス◯ー伊東さんマジエスパー。

 

……ふざけるのはやめておこう。マジで殺されそうだ。俺は馬鹿みたいな雑念を振り払うようにして、静かに(かぶり)を振る。

 

 

シロナさんが四匹目のモンスターボールに、何やら小声で囁いている。

 

 

『どさくさに紛れてトレーナーも巻き添えにしてこい』

 

 

とか言ってたらどうしよう。ここが俺の墓場とか全然笑えないから。

 

 

少しだけポケモンたちから距離を取りつつ、四匹目のポケモンが現れるのを待つ。

 

 

 

「ガァァアアアアアァアア!!!!!」

 

 

 

『おおっとぉ!!ここでガブリアスのお出ましだぁああああ!!!!』

 

 

 

 

 

アイエエエエエ!?ナンデ!?ガブリアスナンデ!?

 

 

 

 

流れ的にお前はトリを飾らないとダメやろ!!心の準備をさせろや!!

 

 

おっといかん……声に出ていた。紳士たるもの、いかなる時も冷静でいなければならない。

 

 

しかしまぁ、実物は随分とイカツイな……普通に怖いんですけど。こんなん砂漠で鉢合わせになったら死を覚悟するわ。

 

 

うーむ……それにしても、ここでガブリアスか……絶対にルカリオが出てくると思ったんだがな。わざわざ死に出しするほどガブリアスはナットレイに対して有利と言うわけではあるまい。

 

なんにせよ、ナットレイは引っ込めなくてはならない。ナットレイにはミロカロスに対する役割が残っている。ここで居座る必要性など皆無だ。

 

…もしかすると、シロナのガブリアスは文字(だいもんじ)や炎の牙を搭載した変態型の可能性もある。いや、ナットレイに死に出ししてきている時点で炎技を持ってるのは濃厚じゃないか?ああもう…きけんよちが欲しいな。

 

なんであれ、ここはアロフォーネを投げるのが安全策だろう。この対面で竜技は絶対にありえないので、じしんか炎技を撃ってくるはずだ。

 

じしんならば無償降臨だし、炎技が来たとしても、ガブの不一致特殊炎などチョッキを着たアロフォーネにとってはドライヤーみたいなものだろう。

 

「ガブリアス、だいもんじ!!」

 

やっぱり持ってやがったなコイツ。レートでは嫌と言う程エアームドを焼かれてきたので、その辺りの勘には結構自信があるのだ。

 

『ルーキー・マキナ、再び新種ポケモンのアロフォーネを繰り出しました!!ガブリアスのだいもんじが直撃したというのにも関わらず、アロフォーネは全くこたえていません!!』

 

いや、そういう事言わなくていいから。持ち物バレるじゃんか。ざっけんなよお前。ミラクル通信交換に孵化余り糞個体値コイキング垂れ流すぞこの野郎。

 

『ますた、あついです。やけただれました。およめにいけなくなりました』

 

うそつくなよお前。ほぼ無傷じゃねぇか。俺が嫁にもらってやるから何の問題もねぇよ馬鹿野郎。というかバトル中にこっち向くな。前を見ろ前を。

 

『ますたのおよめに、なれるのですか?いまのわたしに、かてるものは、だれひとりとしてそんざいしません。しろなのぽけもんなど、おそるるにたらず』

 

訳わからないくらいに自信満々にそう宣ったアロフォーネが前を向き直るが……その僅か0.5秒後くらいに、再びこちらへと向き直る。

 

 

マジ泣きしてるんだけど、この子。

 

 

『ますた……てったいめいれいを。あれはだめです。いったいなんですか、あのそびえたつ、らぐなろく(終末)は』

 

餓死寸前の子犬の如くプルプルと震えあがるアロフォーネが、チェンジを要請してくる。

 

いや、チェンジとかありえないから。安定してガブリアスを倒せるの、お前しかいないんだから。

 

『むりです。しんでしまいます。ますた、やつのかおを、ごらんになってください。あれは、ぼうぎゃくのかぎりをつくす、つらがまえです。しんでしまいます』

 

確かにDQNみたいな面構えしてるけども。ガブの上からフリーズドライぶっさせるお前を引っ込めるとか気ぃ狂ってるから。

 

『だめです』

 

駄目ですとか駄目です。

 

『だめですとかだめですとかだめです』

 

駄目ですとか駄目ですとか駄目ですとか駄目です。

 

『だめですとかばくがめすがめのですしろですなありあどす』

 

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

なんやこの新種ポケモン!!

 

 

トレーナーの命令を無視するとか終わっとるやろ!!

 

 

 

あ、そういえば島の試練とか何もクリアしてませんでしたね。命令無視されても仕方ないですわ。

 

 

 

分かったよ。変えりゃいいんだろ変えりゃ。そうは言っても、こちとらボスゴドラとナットレイしかいないからな。まあ地震を撃ってくる事は無いだろうし、ボスゴドラ投げとくしかないな。ちょうど役割なさそうだし。

 

 

ヤケクソ気味にボスゴドラを投げると、だいもんじがボスゴドラに刺さる。交代読みだいもんじとか、この数分間でシロナさんもだいぶ変態じみた立ち回りをするようになったものだ。これ以上強くなられても困ります。

 

「まさか最後の一体も、はがねタイプだとは思わなかったわ。けれど、交代を繰り返していても、あなたのポケモンだけが傷ついていく一方よ?」

 

 

……なんだろう、シロナさんがちょっと嬉しそうな顔してるんだけど。げきりんを撃たなかった事を褒めて欲しいのかな?かわいい。

 

「…随分と余裕ですね、シロナさん」

 

このHPでボスゴドラがメガれば、ガブの地震は一発は必ず耐えられる。二発耐えられるかはかなり微妙な所だが、一発耐えられれば問題はない。こちらのボスゴドラはれいとうパンチを持っているので、確定一発でガブを落とせる。

 

「ガブリアス、じしん!!」

 

「ボスゴドラ、メガシンカ」

 

オイオイオイ。死ぬわアイツ。何の躊躇いもなく地震撃ってきたぞ。シロナさんはメガると思ってなかったのかな?

 

何と言っても物理耐久バカのメガボスゴドラだ。特性のフィルターと防御種族値の暴力で、物理弱点を強引に受けられる。

 

 

 

「硬い……!!」

 

 

 

………………。

 

 

 

いやらしい事は考えてないからね?

 

 

いやらしい事は考えてないからね?

 

 

 

た、耐えてれいとうパンチだ。色々と耐えて、れいとうパンチだ。

 

 

「ッ!?ガブリアス!!よけて!!」

 

 

砂嵐でもないのに命中100の技を避けないでください。そんな事されたら確実に憤慨する自信あります。

 

が、そんな番狂わせが起きる事もなく、ちゃんとボスゴドラのれいとうパンチはガブリアスに刺さる。

 

氷技は本当に苦手なのだろう。ガブリアスは苦しそうな呻き声を上げながら、地をのたうち回る。四倍弱点だからな。さぞ苦しかろう。

 

 

……は?

 

 

ちょっと待って、なんで立ち上がってんの?確定一発のはずだルォ!?

 

 

まさか耐久に努力値振ってんのか?いやいやいや、HP極振りでも高乱数一発のはずだぞ。これもうアレしかねぇだろ。

 

「……ヤチェの実か」

 

ちょっとシロナさん侮りすぎてたわ。保険の一つや二つはかけてくる事など、考えるまでもなく分かる事だろうに。と言うか、いままでガブリアスはきのみを口の中に入れた状態で戦っていたのか?よく飲み込まないな…俺は飴を舐めながらマリ◯カートをしているだけで飲み込みそうになるというのに。赤こうら投げられると良く飲み込みます。

 

「ねぇ…あなた、本当はエスパータイプなんでしょ?」

 

なぜか、シロナさんがいきなりそんな事を聞いてくる。

 

「…しつこいですよ。私がエスパータイプだったら、こっそりシロナさんのポケモンに催眠術の一つや二つはかけてますよ」

 

こっそりシロナさんに催眠術の一つや二つはかけてあんな事やこんな事をグヘへへへ…とは、口の中にチェーンソーをぶち込まれても言えるわけがなかった。そんな事を口走った日には、ガブリアスのドラゴンクローを生身で受ける事になるだろう。まだ死にたくないです。

 

さて、ふざけるのはここまでとして、ヤチェの実はちょっと計算外だった。だが、この一撃でアロフォーネの確一圏内に入れる事ができたと言う事だ。まあ、あそこでアロフォーネがちゃんとフリーズドライを撃っていれば、ボスゴドラもこんなダメージを受ける事も無かったわけだが。

 

ボスゴドラがもう一発ガブリアスの地震を耐えられるか微妙な所だが、仮に落とされてしまってもアロフォーネを死に出しすれば、どのみちガブリアスは倒せるので、ここはもう一度れいとうパンチで問題ない。

 

だいもんじを撃たれたら確定に落とされるのだが、先程のシロナさんはなぜか地震を撃ってきたので、おそらくまた地震を撃ってくるだろう。だいもんじの命中率を気にしているのかもしれない。

 

「ガブリアス、もう一回じしんよ!!」

 

ボスゴドラはほぼ瀕死になりながも、二度目の地震を耐えた。シロナさんのガブがさめはだだったら完全に落ちていただろう。

 

「ボスゴドラ、れいとうパンチでとどめだ」

 

炎に焼かれ、二度の地震に見舞われと、すでに満身創痍のボスゴドラだったが、確実にれいとうパンチを当てていく。

 

「嘘でしょ…?ガブリアスがはがねタイプに正面から負けるなんて……」

 

シロナは敗北を喫したガブリアスを目の前に、かなりのショックを受けているようだ。

 

ここで俺が慰めや同情の言葉をかけるのは論外だ。静かに彼女の選出を待つ以外ありえない。

 

「…お願いルカリオ。あなたならきっと勝てるはずよ」

 

恐らく、俺のパーティにとって一番重いであろうルカリオが選出される。

 

これがレート戦ならば、ボスゴドラにばかぢからを指示してアロフォーネを死に出ししているのだが……俺はあえてボスゴドラを引っ込めた。

 

 

もうこの時点で、どちらが勝っても負けても構わない。

 

 

故に、この世界のトップクラスというものが、一体どれほどのものか……俺は彼女を試すような真似をした。

 

 

 

 

「ルカリオ、はどうだん!!」

 

 

 

 

……シロナさんのルカリオがどんな技構成をしているかは分からない。だが、少なくとも俺だったら、はどうだんを選択することはないだろう。

 

ボスゴドラの代わりに現れたアロフォーネをめがけ、はどうだんが飛来するが……ゴーストタイプを持つアロフォーネに命中する事はなかった。

 

「アロフォーネ、きあいだま」

 

「ルカリオ、あくのはどう!!」

 

当然、先手を取るのはアロフォーネだ。

 

命中率に癖があるきあいだまだが、外れることなくルカリオに命中した。

 

後続のミロカロスも、十分に体力の残ったナットレイで受けて、パワーウィップで沈めた。

 

 

 

 

なんだ、この世界のポケモンバトルは、この程度の物なのか。

 

 

 

 

己の中で、名状しがたきナニカが膨れ上がっていくのを感じた。

 

 

 

 

 

頂点を、取れる。

 

 

 

 

 

そんな確信を抱いたこの時の俺は、あまりにもこの世界の事を知らなさすぎたのだ。

 

 

 

 




アロフォーネ@とつげきチョッキ
ノーマル/ゴースト

種族値
HP 100
こうげき 1
ぼうぎょ 60
とくこう 150
とくぼう 130
すばやさ 159
計 600

特性
ふゆう

性格
おくびょう

努力値
H4、C252、S252

覚えている技
(無)ばくおんぱ 威力140(210) 命中100
(霊)ポルターガイスト 威力90(135) 命中100
(闘)きあいだま 威力120 命中70
(妖)ムーンフォース 威力95 命中100
(氷)フリーズドライ 威力70 命中100

火力指数(括弧内は弱点時)
ばくおんぱ42,420
ポルターガイスト27,270(二倍54,540)
きあいだま24,240(二倍48,480)
ムーンフォース19,190(四倍76,760)
フリーズドライ14,140(四倍56,560)
※参考※
C極振りひかえめテテフのフィールド下サイコキネシスが40,500

耐久指数
物理耐久指数 14,080
特殊耐久指数 39,600(チョッキ込み)
※参考※
H92D164振りチョッキテテフの特殊耐久指数が36,738

ようきガブげきりん 低乱数1発(25%)
両刀メガマンダハイボ 確定4発
ひかえめ珠サザン流星群 乱数2発
いじっぱりメガハッサムバレパン 確定2発
いじっぱりメガクチートふいうち 確定1発


オリポケ。語源は英語のAllophone(アロフォーン)(異音)から。ポルターガイストをコンセプトにしたしんれい(心霊)ポケモンで、ゴシック美少女を精巧に象ったフランス人形に取り憑いている。周囲の物を浮遊させたり振動させたりして、ありとあらゆる音を再現する事ができる。

とても臆病な性格をしており、常に浮遊させている物の背後から、怯えながらも相手の様子を伺っている。

人間の言葉を完全に理解し、人間の言葉を再現する事ができるため、人間と会話ができる非常に珍しいポケモン。ただ、前述の通りとても臆病なので、主人公以外と会話を交わすことは無い。

ほろびのうたやハイパーボイス、むしのさざめきなどといった音技を非常に幅広く覚える事が可能で、アシレーヌの専用技である「うたかたのアリア」すらも覚えられる。音技の中でも最高火力を誇る「ばくおんぱ」も習得可能。なお、自分が引き起こした爆音にビビってしまう事がしょっちゅうある。

専用技として「ポルターガイスト」というゴースト技を最初から覚えている。威力90、命中100、身代わり貫通という、ハイパーボイスをそのままゴーストタイプにしたような技で、非常に使い勝手のよい技である。10%の確率で相手を混乱させる追加効果がある。

原作では未解禁の無/霊の複合タイプで、特性はふゆう。無闘地霊を無効、毒を半減、弱点は悪のみと言う、とても素晴らしい耐性をもつ。

HPの種族値が水準以上とはいえ、物理耐久が心許ない。特殊耐久は申し分ない。基本的に、圧倒的な素早さと特攻を活かして、殴られる前にタイプ一致のばくおんぱで落としていくスタイルが一番噛み合ってる。

ちなみにS159という種族値は、最速にすると実数値が232になるが、これはスカーフ準速ガブリアスの231を1だけ抜くと言う奇跡的な数字。スカーフなしで準速スカーフガブを抜けるとかちょっと頭おかしい。ただ、流石に一舞の準速メガマンダは抜けないので舞わせる前に落とすべし。

「1」という前代未聞すぎる攻撃種族値だが、覚える技は専ら特殊技ばかりなので、むしろ無駄のない種族値配分。箸より重い物どころか箸すら持てない。

C150、S159という、高速かつ高火力で放たれる一致ばくおんぱは理不尽と言わざるを得ない。火力指数はひかえめテテフのフィールド下サイキネを上回るバケモノっぷり。なんやこの厨ポケェ!!

ばくおんぱをスカされるゴーストタイプは、彼女の専用技である「ポルターガイスト」で一方的にボコれる。はがねタイプのみがわりに対しても、等倍以上で貫通する事ができる。いばって人形をばら撒くだけの某糞鍵を恐怖の深淵に突き落としてくれるだろう。

ばくおんぱを半減してくる岩や鋼には、サブウェポンのきあいだまで粉砕。音技であるメインウェポンふたつを無効化する「ぼうおん」の特性を持つバクオング、バッフロン、トリデプス、ユキノオーにも刺さる。命中難は日頃の行いでカバーするしかない。

ややピンポ気味ではあるがムーンフォースを搭載する事で、ぼうおんを持つジャラランガや、竜悪のサザンドラを4倍で仕留める事ができる。2倍闘、2倍悪、2倍龍に対しては、半減されない限りばくおんぱを撃った方が火力が出る。バンギラスには4倍きあいだまを。

本二次創作に於いては、よく懐いているポケモンは5〜6つほど技を覚えてくれるので、5つ目の技として貴重な氷技であるフリーズドライを習得している。一応れいとうビームも覚えるが、専ら4倍にしか撃たないのでギャラやラグラージにも刺さるこちらの方が有用。

物理耐久が低いため、ふいうちを食らうとゴッソリHPを持っていかれる。ふいうちを持ってそうなポケモンと対面した場合は、おとなしく引っ込めた方が吉。

チョッキを着せる事で、悪以外の特殊技に対してかなり強気に出られるため、サイクル戦に持ち込まれても自由に動きやすくなれる。
脅威の4タイプ無効を最大限に活かし、無地闘霊読み無償降臨を積極的に狙うと尚良い。

覚える技
ポルターガイスト(専用技)
なきごえ
うたう
いやなおと
いやしのすず
いにしえのうた
ほろびのうた
さわぐ
エコーボイス
ハイパーボイス
ばくおんぱ
うたかたのアリア
むしのさざめき
バークアウト
きんぞくおん
なみだめ
おにび
ほたるび
のろい
おんねん
あくむ
こごえるかぜ
フリーズドライ
れいとうビーム
ねんりき
サイコショック
サイコキネシス
ゆめくい
たたりめ
あやしいかぜ
ナイトバースト
マジカルシャイン
ムーンフォース

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