人が次第に朽ち行くように国もいずれは滅びゆく。千年栄えた帝都さえも、今や腐敗し生き地獄。人の形の魑魅魍魎が我が物顔で跋扈する。これはそんな世界で生き抜く一人の男の人生の軌跡。
突然だが、俺は今森の中にいる。自分でも何が起こったのかまだ理解できずにいた。事の発端はとても些細なものだった。携帯で二次小説を読みながら、いつものようにもし自分がアニメの中の世界に飛ばされるなんてことがあれば、こんな風にやりたいと考えをめぐらしていた。まぁそんなことある訳ないという当たり前の結論に至るのにそう長い時間はかからなかった。一眠りしようそう思い、携帯をクッションに、体をベットに、意識を闇の中に放り投げた。
かなりの時間眠っていた様で、目を覚ますと夜のようで辺りがとても暗かった。
「んー!!ちょっと寝すぎたな。部屋が真っ暗だ。」
時間を確認するため、近くのクッションに放り投げた携帯を手探りで探すが、一向に見つからない。寝相が悪くてベットの下にでも落ちたのかなと思い、うつ伏せのままベットの下を覗いてみた。
「ん?」
「んん???」
「ふぁ!?!?」
ちょっと落ち着こう。いいかい。今俺は部屋のベットで寝てるはずなんだ。なのに何故ベットの下は床じゃなくて空なの!?どこかの大陸の空のはるか上空にベットだけが浮かんでいた。よく落ちなかったなと自分の寝相の良さに感心しつつ、一方でまだ自分は夢の中にいるんだろうという感覚だった。まぁもう一回寝ればすべて元どうりだろうと思い、寝た。そして起きた。恐る恐る下を覗いてみたが、景色は変わっていなかった。もう一度寝ようと布団を被り直そうとした時、突然周りが明るくなった。さらにベットの近くには顔中シワシワの見るからにお年を召したご老人が立っており、俺に話しかけてきた。
「起きなされ。お若いの。」
「あの、あなたは?」
俺がそうたずねるとおじいさんは一言
「神じゃ。」
(あっちゃー、アニメの見過ぎか、それともこのおじいさん頭が残念なのかな)
「聞こえておるぞぃ」
「あれ?声に出てた?」
「言葉など喋らずとも聞こえるわぃ。言ったであろう。わしは神じゃと」
(じゃぁ俺が今何考えてるか当ててみろってんだ。俺のお宝は本棚の二段目の辞書の中に隠してある。これは家族の誰にも知られてないトップシークレットだから流石にわからねーだろ。)
「よかろう。なになに、俺が今何考えてるか当ててみろ。お宝は本棚の二段目の辞書の中に隠してある。これは家族の誰にも知られてないトップシークレットだから流石にわからねーだろ。じゃろ?」「ついでに言っておくと、バレてないと思っていたのはお前だけで親どころか1番下の弟にもバレてるぞぃ」
「なん……だと!」
全員にバレていながら俺はさもうまく隠しているかの様に振舞っていたなんて。心の壊れる音がした。口から白い靄が出かけている俺を見たおじいさんは気休め程度にこう言った。
「まぁ男子じゃからな」
その時初めて俺はおじいさんが神に見えた
後光が差している気がした。決しておじいさんの頭が寂しいからではない。決して。
「まぁよい。さっそくだがお主にはアカメが斬るの世界へ行ってもらう」
「はぁ?なんで?せっかく行くならToloveちゃったり、楽様ーとか一条くんとかもやしとかそういう世界にしてくれよ(涙目)」
「なんで人殺し満載の世界に行かなきゃいないんだよ!」
「まぁ落ち着け。その分、幾分かお前の要求を聞いてやる。」
「!?それは俗に言うチートとか言うやつか?」
「まぁそうなるのぉ。ちなみにさっきお主が言った世界に行くこともできるが、一生モブとしての人生になるがよいか?」
「なん……だと!?(本日二度目)」
「それならアカメが斬るでいいよ。確かあっちにも可愛い子結構いるし。」
「そ、そうか。ではどんな能力が欲しい?なんでも言うてみなされ」
「じゃあまずは、将軍級の器!どんだけ武器とかが強くて中身の人間が弱いんじゃ話にならないからね。」
「次に武器は犬夜叉の龍羅が使っていた。風神牙と雷神牙みたいなやつがいいな。」ああいうのかっこいいよね
「最後はまぁ最初のやつとかぶる感じもするけど、統率力と魅力をあげて欲しい。
「それだけでいいのか?世界を滅ぼせる力や誰でも瞬殺できるほどの力・内政チートとか異性にモテモテとかてっきりそういうものを要求してくると思っていたのじゃが。」
おじいさん(神)が少し驚いた様に聞いてくる。
「まぁあんまり無双しすぎてもね。あれだし。それくらいでいいよ。」
「ふむ、わかった。では早速お主をアカメが斬るの世界へ送ろう。武器は要求通り風神牙と雷神牙これを渡しておく。まぁ多くは言わんが適度に頑張りなさい。」
おじいさんの笑顔に少し心が暖まったと思った瞬間、目の前が真っ暗になり意識を失った。そして眼が覚めると森にいた。←これが現状である。
今手元にあるのは 刀(風神雷神)・お金(最低限必要な金額)
・周辺地図・食料のみだった。
(まぁ必要なものは全て揃ってるってことに感謝だな)
主人公は地図を開き目的地を定めた
「とりあえずはこの"帝都"って場所を目指しますかね」
上空side
「ふむ、無事降り立った様じゃな。なかなかに面白い奴よ。気に入ったぞ。これはわしからのささやかなボーナスじゃ。(間違えて彼の書類をゴミ箱に捨ててしまったせめてもの償いというわけではないぞ。決してな!!)」
・将軍級の器→大将軍の器
・統率力と魅力のup→絶大なカリスマ性と圧倒的な統率力
「さて、お主はそこでどんな人生を歩んで行くのか。上からではあるが見物させてもらうぞ。」
主人公side
自分の要求が上方修正されているなんて全く知らない主人公。ましてや自分が異世界転移している理由が間違えて捨てられたからなんて夢にも思わない。
まぁ世の中には知らなくていいことたくさんあるからね。
「さてこの世界で生きて行く覚悟を決めるために新しい名が必要だな。そうだな…リュウセツ。リュウセツにしよう。」
名前も決まったところで主人公改めリュウセツはまだ見ぬ帝都へ向けて向けて旅を始めるのだった。
初めまして鶴丸と申します。
風雷坊がゆく第1話を読んでくださり本当にありがとうございます。
小説を書くのはこれが初めてなので、至らないところばかりだとは思いますが、頑張っていきたいと思います。