締切を守らないイササカ先生に訪れた不幸とは…
やあ、こんにちは。イササカ ナンブツです。
磯野家のお隣に住んでいる、小説家のイササカです。
みなさんからはイササカ先生と呼ばれています。
最近、お隣に住んでいる波平さんなんですがね。
磯野家でゴミ扱いされてるようです。
いやいや、かわいそうですねえ。
理由は、気に入らない部下や後輩に対して、何かと難癖をつけて殴る蹴るの暴力をふるったり、OLのスカートの中をこっそり盗撮してたのが上層部にバレて、会社を懲戒解雇され甲斐性なしになったから、らしいのですが。。
まったくもって、情けない話ですなあ。
無闇に人を傷つけたり、ましてや盗撮なんぞに手を出すようになったら人間お終いですな。
え?私ですか?私はイササカ家の大黒柱ですよ。
だって私の職業は素敵な印税生活の小説家です。
甲斐性なしのどこぞの一本毛ハゲとは違いますからね。
ストレスが溜まったら浪人生のジンロクに「勉強しろ!」と叫びながら好きなだけ暴力をふるえますからな。
ハッハッハッハッハッハ!
あとウキエの着替えと入浴とトイレと彼氏との◯◯◯を盗撮するのもやめられませんよ。
ヒャハハハ。気分は田代◯さしです!
おっとこんなことを言ってる場合ではないようです。
小説の締め切りが今日までなんですよ。急がなくてはいけません。
ピンポーン
く!奴が来た…‼︎
ノリスケだ。あいつが原稿を取りに来たんだ。
まだ原稿は出来上がってないのに…
「ん~~⁉︎イササカ先生。小説の方は出来あがってますかなぁ~?」
「ノ、ノリスケくん…それが、まだ1枚も、出来ておらんのだよ」
ゴスッ!!
く⁉︎あ、あばらが…あばらが折れた⁉︎
ゲホゲホ‼︎
「ヒャハハハ!先生、僕は冗談が嫌いなんですよ。
今日中に仕上げられますね?」
「そ、そんな…無理です」
「おや?無理ですか⁉︎そうですか。
…では次はチ◯◯でも切り取ってあげましょうか?
そうすればやる気になりますよね⁉︎」
「それだけはやめてくれ!私は弁護士じゃない、小説家だ。。
ゴメンナサイ。助けてください」
「本当に悪いと思ってますか?」
「も、も、もちろんだよ。
だからこれ以上殴らないで!ぷりーず!」
ここまで徹底した命乞いは生涯初めてだった。ここまですれば、さすがのノリスケも情けというものをかけてく…
「では、ここで死んでください」
「は⁉︎」
「締め切りを守れない外道には死こそふさわしいのです。
僕が処刑してあげますよ。じっくりと苦しむようにしてね‼︎ケケケ」
ひぃぃ!なんという恐ろしい男だ、ノリスケは‼︎
こうなったら此奴を殺害するしかない‼︎
くくく…3日前にタラちゃんから買った拳銃でぶっ殺すことにしましょう‼︎
ゲヘへ、この机の中に拳銃がありますからね。
ノリスケ‼︎貴様はここで死ぬのだ‼︎
さあ!オープン・ザ・マイデスク‼︎そして出て来い。拳銃よ‼︎
バン!!(引出しを開ける音)
「な、ない⁉︎どういうことだ⁉︎なくなっておるぞ⁉︎」
「ハーイバブーバブーチャーン」
そこにいるのは、イクラちゃん⁉︎なんでこんなところに。ノリスケが連れてきたのか?
む⁉︎
イクラちゃんが右手に握っているのは…私の拳銃ではないか‼︎
「おやおや、イクラが拳銃を見つけたようですね。
さあイクラ、イササカ先生を肉の塊にしてあげなさい。じっくりと苦しむようにね!」
「ハーイ」(満面の笑顔で)
ズキューーン!!
「ゲハ⁉︎な…何で⁉︎」
どういうことだ?なんでイクラちゃんが、ノリスケを撃ったんだ?
「チャーンバブーバブバブハーイハーイ」
な、何を言っておるのだ?理解できん‼︎
ひぃぃ!なんで銃口を私に向けてるのだ?
そ、そうだ!タラちゃんを呼ぼう‼︎
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「お待たせです~~!あ、イクラちゃん。
どうしたですか?」
「チャーンバブーバブバブハーイハーイ」
「タ、タラちゃん。イクラちゃんはなんと言ってるんだい?」
「この家と土地の権利書と今までウキエさんを盗撮した画像と動画が入ったデータを全てよこせと言ってますぅ~」
「えぇぇえ⁉︎そんな~~!苦労して手に入れた私の家をぉぉ⁉︎」
「チャーンバブーバブバブハーイハーイ」
「よこさないと殺すと言ってますぅ~」
「あの、イクラちゃん…
盗撮データだけなら、ダメ、かのう?」
急にイクラちゃんの目の色が変わりよった。
これは本当に『殺る』目付きだ…!
ぐぐぐ…仕方ない。この家を差し出すしかないようだ。。
そして私は家と土地をイクラちゃんに奪われた。
私は今、安いボロアパートに住んでいる。
そこでコツコツと小説を書いて生計を立てているのだ。
今度はノリスケのように恐ろしい担当はいないし、少しくらい原稿が遅れても殴られるようなことはない。
ただ、今の私には家族がいない。
娘のウキエを盗察してたのがバレてしまい、それが原因で離婚をしてしまった。
ま、裁判沙汰にならなくてよかった。。
ピンポーン!
おや!?原稿を取りに来たようですな。
残念ながらまだ全然出来てないのですが、少しくらい遅れても許してくれますからな。
気楽なものですよ。
「チャーンバブーバブ」
「こんにちは。原稿を取りに来たと言ってるですぅ」
「そんな馬鹿な⁉︎いつもは温厚な青年が取りに来るのに…
どういう事なんだ⁉︎」
私は完全にパニック状態になっていた。
しかも、イクラちゃんの服には大量の紅い液体がこびりついている。
もはや嫌な予感しかしないが…
「バブバブハーイチャーンバブ」
「ここに来る途中でぶっ殺したと言ってますぅ」
「ひぃぃ‼︎殺した〜〜⁉︎
ま、まさか…イクラちゃんが、私の新しい担当者なのか⁉︎」
「ハーイバブバブー」
「さっさと原稿を出せよハゲ!と言ってるですぅ」
「そんな、いやそのまだその…原稿は…その…出来てないんだ」
「バブバブーハーイ」
「それでは、これから動けなくなるまで殴ると言ってますぅ。
ついでだから、ボクも参加するですぅ」
「な⁉︎そんなぁぁぁあ‼︎ちょっとタラちゃんまで⁉︎
参加しなくていいよぉぉ‼︎」
「バブバブ~~~♪」
「ウヒョヒョヒョですぅ。とっても愉快ですねえ。イクラちゃん♪
う~ん。面白いですぅ。もっと殴るですぅぅ‼︎」
「ギャァァアアア‼︎やめてとめてやめてとめて‼︎」
ガキッゴシャアボコバキィ‼︎‼︎
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かくして、ボロ雑巾になった私はブリーフパンツ一丁でゴミ捨て場に放置された
そんな私のところにタラちゃんとイクラちゃんが現れた。
「ハーイバブゥバブゥチャ~~ン」
「また明日 続きをすると言ってますぅ。
ボクもイクラちゃんと一緒に、イササカ先生のところに遊びに行ってあげますぅ!」
な、なんて幼児共だ‼︎
なんか波平の気持ちが少し分かったぜ。
波平はいつもターゲットにされてるもんな。。